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第1章

方向性の違いによって、解散します。

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「お前達・・・・一体何をしてるんだ」

 わなわなと震えながら、オズワルドが声を荒らげる。その視線の先には、噴水の縁で仲睦まじく身を寄せ合うグレイとヴィクトリアの姿。

その姿に、オズワルドは機嫌をあからさまに損ねていた。

「お帰り。オズ。早かったね」

 グレイがこちらを見やり返事をする。その側で、ヴィクトリアは俯き表情がよく見えない。心無しか赤らんでいるようにも見える。

ー何かあったのか?

「あの2人、さっき抱き合ってたわよ。」
「うそ!グレイ様が!?」
「相手の女子生徒は、誰!?」
「それが・・・・ブルーテス会長の妹君だとか」

ひそひそと、周りの生徒達の囁き声が耳に入る。

ー抱き合ってた!?

「おい、グレイ!お前ヴィクトリアに何かしたのか!?」

聞き捨てならない単語に、オズワルドは顔を顰め、グレイに詰め寄る。



まさか、こんな短時間で落ちるとは思わなかった。

ーグレイまでもが、ヴィクトリアに興味を持つとは・・・・あんなにも釘を刺していたというのに。こんな事なら、2人を残して行くべきではなかった。



オズワルドは今、その事を激しく後悔していた。

「ヴィー。大丈夫?熱があるみたい」

 ルビアナの声に、慌ててヴィクトリアの顔を見る。赤らめていたと思った顔は、どうやら熱を出していたらしい。抱き合っていたというのも、もしかしたら弱っているヴィクトリアをグレイが支えていた為だろうか。

「失礼します。お嬢様」

そういってハンスが、さっとヴィクトリアに近づく。頬に手を当て顔を顰める。

「ー確かに熱いな」
「ハンスさん?ヴィーは」
「水に濡れたり、魔力が暴走したりと・・・・色々あって疲れがでたのかもしれない。俺はお嬢様をこのまま寮へお連れする」

「ああ。僕のせいもあるかもしれない。・・・・悪かった」
「いや。傍にいなかった俺の責任だ。失礼する」

ヴィクトリアを抱き上げ、ハンスが寮へと踵を返した。

その背中をルビアナは、心配そうに見つめる。

「ヴィー。大丈夫かな」
「お嬢の事だ、寝ればすぐ元気になるって!」
「そうだな。・・・・元気が取り柄なあいつが、これくらいでへこたれる訳がないだろう。はしゃぎ過ぎて充電でも切れたんだろ。心配する事ないぞ。ルビアナ」

 そうルビアナを気遣いながらも、オズワルドは眉を顰める。本心では、ヴィクトリアの事が心配で仕方ないのだろう。



ただ 1人、グレイは顎に手を当て真剣に悩んでいた。



「僕が意地悪しすぎたせいかな?虐めるなら、もう少し優しく虐めるんだった・・・・な。」




 方向性を間違えているグレイの声は、他の者の耳には入らなかった。




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