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第1章
お残しは、ゆるさなくってよ!
しおりを挟む私・・・・舐めてましたわ。
学食って、量が半端無いのですわね。
付け合せのサラダや添えられていたパスタ。バケットとスープで、お腹が既にはちきれそうでしてよ・・・・。
少なめにしていただいてましたけど、もっと減らすべきでしたわ。
「ヴィー大丈夫?」
「お嬢様。無理はなされないで下さい」
「ふふ。大丈夫よ。お残しなんてしないわ。そんな事をすれば、作ってくれた方や、私の為に命を散らした食材達に申し訳なくってよ」
そうよ。私、絶対お残しなんて致しませんわ。絶対に完食しましてよ。最後にクリームコロッケを残していますもの。
最後に好きな物を食べて終わる。そのモチベーションさえあれば、私、頑張れますわ!
「ヴィクトリア。食べ切れないのか。仕方のない奴だな」
ーひょい。ぱく。
「え?」
「俺様が手伝ってやる。感謝しろ」
もくもくと口を動かすオズワルド・・・・
私のお皿から消えたクリームコロッケ。
「何をなさいますのーーー!!この馬鹿皇子ーーー!!!」
「はっ!?誰が馬鹿だ!!お前っ!!」
「貴方の事がでしてよ!!なんて事をしますの!?私の・・・・私の・・・・私の最後のクリームコロッケが・・・・」
「腹がいっぱいだとか言うから、手伝ってやったんだろうが」
「あれは、最後の楽しみに取っておいたのですわ!」
酷い・・・・酷いですわ。オズワルド皇子・・・・私に何の恨みがあって?
「どうせ食べるなら僕の野菜を食べてよ。オズ」
うんざりした顔で、腹黒が一向に減っていないサラダをつつきますわ。
「グレイ。一口も食べてないじゃないか」
「・・・・。」
「野菜嫌いなのかー?」
「別に。今はそんな気分じゃないだけ」
ハンスとレオニダスの言葉に、腹黒はしれっと返していますわ。
その割りに、ほんっとうに嫌そうな顔をしますわね。
「ご馳走様」
「グレイ?お前残すのかよ?」
「・・・・お金はちゃんと払ってるんだ。残そうがどうしようが僕の勝手だろ」
まぁ!貴方!だめよお残しなんて!
「ダメです!残すなんて!」
そうよ!
「食材にも、作ってくれた方にも失礼です!」
そう!感謝の心が足りなくってよ!腹黒!食べられる事が当たり前では、ないのですわ!
「嫌いな物も食べれないと。ほら、グレイ先輩。口を開けて下さい!」
「・・・・」
「先輩」
「わかったよ。ルビアナ嬢」
ーぱく。シャムシャム・・・・んぐ。
「うげっ。やっぱり生臭い」
口元を歪め思いっきり顔を顰めてますわ。
「ほら、ちゃんと食べれるじゃないですか。残りも頑張りましょう」
ルビアナが、優しく微笑んでいますわ。ルビアナ・・・・悪魔を甘やかしてはだめよ。善意をどんな仇で返されるかわからないわ。
「ーん。じゃ。ルビアナ嬢食べさせて」
「へ?」
「え?だって今、食べさせてくれたじゃない。1度したなら、2度も3度も一緒だろ?」
「はひ?」
にこーっと腹黒が笑いながら、ルビアナの腕をガシッと捕まえましたわ。
ほら見なさい!やっぱり悪魔は悪魔ですわ!!
「ほら。食べさせてよ。あーん」
顔を真っ赤にさせ目を回すルビアナを、悪魔は愉しそうに見つめていますわ!ほんっっとうに性格が悪すぎでしてよー!!!
「ほらグレイ。食え。俺様が直々に食わせてやる。ありがたいだろ」
「ちょっと。オズ。なんで君が」
「食事に時間がかかりすぎなんだよ。お前、これじゃ何時までたっても見回れないだろ」
ぐぐぐと無理矢理に、悪魔の口をこじ開けますわ。グッジョブ!グッジョブでしてよ!オズワルド皇子!!
「男に食べさせられても、嬉しくないんだけど」
「でしたら、私が突っ込んで差し上げましょうか?」
オホホ。私も追い討ちをかけて差し上げてよ?
うふふ。嫌がるグレイ様のお顔。あら、こうして見るとイケメンも割と悪くないわね。
嫌がる顔は、嫌いでなくてよ?
オーッホッホッホッホッホ!!
「アクヤック嬢・・・・なぜこんな時に限って、僕の顔を頬を染めて見つめるんだい?」
「私、初めてグレイ様の顔が好ましく感じましたわ」
「へー。あまり嬉しく感じないのは何故だろう」
「なっ!?ヴィクトリア!お前までグレイの顔が好きなのか!お前もやっぱり美人がいいのか!?」
「いえ、私イケメンには、興味ありませんわよ?」
私が興味あるのは、ソコメンのハンスだけですわ。
「ああ。顔で靡くようなら、とっくに俺様に屈服してるか・・・・」
「自惚れもそこまでいくと、敬服に値しますわね」
「褒めるな。何もでんぞ」
褒めてませんわ。
そんな事より
「さぁ。グレイ様。お口をお開けになって。私自ら運んで差し上げますわ。ほら。あーん」
さぁ、もっと嫌がるお顔を私にお見せになって?
「嫌、ヴィクトリア!お前はしなくていい!これは、俺様の役目だ!」
くっ!オズワルド皇子!貴方もこの嫌がらせをやりたいのですわね!?取り合いですわ!負けませんわよ!!
「うーん。アクヤック嬢か。欲しい反応じゃないのがなー・・・・」
「あーでも」
チラッと、ハンスとオズワルド皇子に目を向け、腹黒はふふっと笑いましたわ。
ナニを考えてらして?
「うん。アクヤック嬢食べさせてくれる?オズより君の方がいいや。あーん」
「グレイ!お前!!」
「そうですね。お嬢様。グレイ様に食べさせて差し上げましょう。まずは、私がお手本をお見せしますね」
「え?ハンス?ちょっと待って?君がまさかそんなはんの・・・・むっむぐぐぐっ」
ハンスの活躍で、無事お残しもなく皆が完食できましたわ。
ああ。正直この面子で食事は、二度とごめんでしてよ。
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