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第99話
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「だな。じゃないよ!どうしてそんなに普通なのさ。やばい、ヤバいって、全滅しちゃうよ、ぜってー!」
景虎の段蔵を揺らす手に力が籠る。
「全滅しちゃうかもな」
段蔵は変わらず平然と答えた。
「かもな。じゃないよ!軽い!軽いよ、段蔵さん!兄ちゃん達に伝令出そうか、伝令?!春日山からじゃ間に合わないか~」
「すまんが手を放して貰えないだろうか?少し吐き気を催してきた」
段蔵がうっと喉を鳴らして、景虎に訴えた。
「あっ!ゴメン!」
景虎はいつの間にか力一杯掴んでいた段蔵の小袖から両手を放した。
「四方を囲まれるは必至。援軍も期待できませぬ。この初陣、景虎様に武運が有れば、生き残り、無ければそれまで」
段蔵は静々と景虎に進言した。
「それまで、か」
景虎は感慨深げに空(くう)を見詰めた。
「それがしも死力を尽くさせて頂きます」
段蔵はそう言って姿を消した。
「段蔵!互いに命が有ればまた会おうぞ!」
一人残された景虎が寝床で叫ぶと、「御意」 段蔵の姿なき声が闇に滲んだ。
景虎の段蔵を揺らす手に力が籠る。
「全滅しちゃうかもな」
段蔵は変わらず平然と答えた。
「かもな。じゃないよ!軽い!軽いよ、段蔵さん!兄ちゃん達に伝令出そうか、伝令?!春日山からじゃ間に合わないか~」
「すまんが手を放して貰えないだろうか?少し吐き気を催してきた」
段蔵がうっと喉を鳴らして、景虎に訴えた。
「あっ!ゴメン!」
景虎はいつの間にか力一杯掴んでいた段蔵の小袖から両手を放した。
「四方を囲まれるは必至。援軍も期待できませぬ。この初陣、景虎様に武運が有れば、生き残り、無ければそれまで」
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「それまで、か」
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