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悋気
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私がお願いしてから初めて迎えた学園の休日。
ルーカスが渋々ながらも承諾してくれ私の部屋に来てくれた。
私は昔を思い出してウキウキしながらベッドに横になりルーカスとのお喋りを楽しんだ。
ルーカスも私に倣ってベッドに寝転がると、持参してきたクマの縫いぐるみをギュッと抱きかかえる。
そこそこの大きさがあるクマさんを抱きかかえる様子は、最早可愛いとしか言いようがなかった。
「おはようルーカス。」
「っ!!おおおおひゃよう、お姉様!」
朝、ルーカスより早く目覚めた私は、クマに抱き付いてスヤスヤと眠るルーカスの寝顔を、横になったまま間近で堪能していた。
途中でパチッと目覚めたルーカスが変な雄叫びを上げ、猛スピードで後退りベッドから落ちて見えなくなる。
「大丈夫!?」
「…………目覚めの一発目に視界に映るのがお姉様とか……平常心でいられないんですけど……。」
慌ててベッド下を覗き込むと、ひっくり返ったままルーカスが真っ赤になって転がっていた。
身支度を済ませ、朝食を食べに行こうと部屋を出ると、部屋の外にお兄様とオーウェン様がいた。
私の部屋の前にお兄様がいたのが不思議でルーカスとキョトンとしていると、お兄様がクスリと笑い私とルーカスの頭を撫でる。
「本当に2人で一緒に寝たの?僕も兄妹なのに1人だけ仲間外れなんてズルいじゃないか。」
「まあ!お兄様を私なんかの部屋で寝かせるなんて恐れ多いです!!」
「えー?ロッティーとルーの間に挟まれて寝るのは、僕にとってはまさに夢のようなシチュエーション……ご褒美以外の何ものでもないよ?」
お兄様が目をキラキラと輝かせる姿があまりにも綺麗で、尊すぎて…………私は心の中でお兄様に向かって手を合わせる。
ーー朝から良いモノを拝ませてもらい、ありがとうございます。眼福です。
「明日も学園お休みだよね?今日の夜は2人で僕の部屋に来てほしいな。ベッドの上でたっぷりと愛を語り合おうよ。」
「いやらしい言い方をするな。この変態が。」
バシッ
オーウェン様が遠慮なくお兄様の頭を叩いて呆れ顔をしている。
「痛いなぁ。何だよ。兄妹だからいいじゃないか。僕だって可愛いロッティーとルーとイチャイチャしたいんだ。オーウェンは僕が羨ましいんでしょ。」
「…………チッ。」
「ふふっ。図星だ。自分はその間、ロッティーの護衛が出来ないんだもんね。ヤキモチだって焼きたくなっちゃうよねぇ。」
「…………」
オーウェン様を揶揄うような口調で笑いながら言うお兄様を、オーウェン様はギロリと睨んで後ろから羽交い締めをした。
幼馴染の2人のこういった掛け合いは、昔から見ていてとても微笑ましい。
次期国王となるお兄様は常にその重圧と戦っている。
そんなお兄様にも、気の置けないオーウェン様という存在がどれだけ心の支えになっていることだろうか。
本当に有り難い。
そんなオーウェン様を私が疲れさせてしまっていて申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
昨夜、少しは休むことが出来ただろうか。
オーウェン様を注意深くジッと観察していると、オーウェン様とパチッと目が合った。
ーー良かった。眉間の皺が心なしか浅くなった気がする。
「昨夜はゆっくり休めましたか?」
「…………はい。」
「良かった。」
安堵して微笑むと、オーウェン様はパッと目を逸らし俯いてしまった。
お兄様にそっと肩を抱かれオーウェン様と離される。
「こーら、顔の距離が近過ぎるでしょ。」
「ご、ごめんなさい!」
注意深く見過ぎだせいで、オーウェン様との距離が思いのほか近かったらしい。…………恥ずかしい。
恥ずかしさのあまり顔を赤くして慌てていると、お兄様が頬をプクッと膨らませて私の顔を手で覆い隠そうとする。
「お兄様?」
「ロッティー、そんな可愛い顔をしたらダメでしょ。男は皆オオカミなんだから油断していたらパクッと食べられてしまうよ。」
「お前が言うな。」
オーウェン様に白い目で見られても、お兄様はそれに堪える様子もなくチュッチュッと私の頬にキスを落とした。
「ロッティーにはまだまだ僕だけの可愛い妹でいて欲しいからね。」
「あー!!お兄様ズルい!!」
「ふふっ、ルーもして欲しいのかい?しょうがないなぁ。」
お兄様が嬉しそうにルーカスを抱き寄せて「違ーう!!」と叫びながら拒否するルーカスの頬にもキスをする。
ルーカスがオーウェン様に助けを求め、オーウェン様がお兄様を冷たく見ながら止めていた。
ーー男同士っていいなぁ。羨ましい。
戯れ合う3人を羨ましく思い見守っていると、お兄様が私に近付いてそっと耳元で囁く。
「今日の夜、楽しみにしてるからね。」
そう言って綺麗な笑顔で見つめてくるお兄様に、私はただコクコクと頷くことしか出来なかった。
ーーお兄様、それは恋人に言うセリフですよ。
兄妹じゃなかったら間違いなく惚れちゃうパターンですから。
お兄様こそ気をつけて下さいよ。
そんな思いを込めてキッと睨みながらお兄様を見上げた……つもりだったのに、何故かウットリとした表情のお兄様に抱き締められた。
「……ハァ、僕の妹が可愛過ぎて困る。」
ーーイヤイヤ、困ってるのは私ですから!!
その日の夜は宣言通りお兄様の部屋に強制連行された。
そして、とってもご機嫌なお兄様を真ん中にして、3人仲良くベッドに横になり就寝したのであった。
ルーカスが渋々ながらも承諾してくれ私の部屋に来てくれた。
私は昔を思い出してウキウキしながらベッドに横になりルーカスとのお喋りを楽しんだ。
ルーカスも私に倣ってベッドに寝転がると、持参してきたクマの縫いぐるみをギュッと抱きかかえる。
そこそこの大きさがあるクマさんを抱きかかえる様子は、最早可愛いとしか言いようがなかった。
「おはようルーカス。」
「っ!!おおおおひゃよう、お姉様!」
朝、ルーカスより早く目覚めた私は、クマに抱き付いてスヤスヤと眠るルーカスの寝顔を、横になったまま間近で堪能していた。
途中でパチッと目覚めたルーカスが変な雄叫びを上げ、猛スピードで後退りベッドから落ちて見えなくなる。
「大丈夫!?」
「…………目覚めの一発目に視界に映るのがお姉様とか……平常心でいられないんですけど……。」
慌ててベッド下を覗き込むと、ひっくり返ったままルーカスが真っ赤になって転がっていた。
身支度を済ませ、朝食を食べに行こうと部屋を出ると、部屋の外にお兄様とオーウェン様がいた。
私の部屋の前にお兄様がいたのが不思議でルーカスとキョトンとしていると、お兄様がクスリと笑い私とルーカスの頭を撫でる。
「本当に2人で一緒に寝たの?僕も兄妹なのに1人だけ仲間外れなんてズルいじゃないか。」
「まあ!お兄様を私なんかの部屋で寝かせるなんて恐れ多いです!!」
「えー?ロッティーとルーの間に挟まれて寝るのは、僕にとってはまさに夢のようなシチュエーション……ご褒美以外の何ものでもないよ?」
お兄様が目をキラキラと輝かせる姿があまりにも綺麗で、尊すぎて…………私は心の中でお兄様に向かって手を合わせる。
ーー朝から良いモノを拝ませてもらい、ありがとうございます。眼福です。
「明日も学園お休みだよね?今日の夜は2人で僕の部屋に来てほしいな。ベッドの上でたっぷりと愛を語り合おうよ。」
「いやらしい言い方をするな。この変態が。」
バシッ
オーウェン様が遠慮なくお兄様の頭を叩いて呆れ顔をしている。
「痛いなぁ。何だよ。兄妹だからいいじゃないか。僕だって可愛いロッティーとルーとイチャイチャしたいんだ。オーウェンは僕が羨ましいんでしょ。」
「…………チッ。」
「ふふっ。図星だ。自分はその間、ロッティーの護衛が出来ないんだもんね。ヤキモチだって焼きたくなっちゃうよねぇ。」
「…………」
オーウェン様を揶揄うような口調で笑いながら言うお兄様を、オーウェン様はギロリと睨んで後ろから羽交い締めをした。
幼馴染の2人のこういった掛け合いは、昔から見ていてとても微笑ましい。
次期国王となるお兄様は常にその重圧と戦っている。
そんなお兄様にも、気の置けないオーウェン様という存在がどれだけ心の支えになっていることだろうか。
本当に有り難い。
そんなオーウェン様を私が疲れさせてしまっていて申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
昨夜、少しは休むことが出来ただろうか。
オーウェン様を注意深くジッと観察していると、オーウェン様とパチッと目が合った。
ーー良かった。眉間の皺が心なしか浅くなった気がする。
「昨夜はゆっくり休めましたか?」
「…………はい。」
「良かった。」
安堵して微笑むと、オーウェン様はパッと目を逸らし俯いてしまった。
お兄様にそっと肩を抱かれオーウェン様と離される。
「こーら、顔の距離が近過ぎるでしょ。」
「ご、ごめんなさい!」
注意深く見過ぎだせいで、オーウェン様との距離が思いのほか近かったらしい。…………恥ずかしい。
恥ずかしさのあまり顔を赤くして慌てていると、お兄様が頬をプクッと膨らませて私の顔を手で覆い隠そうとする。
「お兄様?」
「ロッティー、そんな可愛い顔をしたらダメでしょ。男は皆オオカミなんだから油断していたらパクッと食べられてしまうよ。」
「お前が言うな。」
オーウェン様に白い目で見られても、お兄様はそれに堪える様子もなくチュッチュッと私の頬にキスを落とした。
「ロッティーにはまだまだ僕だけの可愛い妹でいて欲しいからね。」
「あー!!お兄様ズルい!!」
「ふふっ、ルーもして欲しいのかい?しょうがないなぁ。」
お兄様が嬉しそうにルーカスを抱き寄せて「違ーう!!」と叫びながら拒否するルーカスの頬にもキスをする。
ルーカスがオーウェン様に助けを求め、オーウェン様がお兄様を冷たく見ながら止めていた。
ーー男同士っていいなぁ。羨ましい。
戯れ合う3人を羨ましく思い見守っていると、お兄様が私に近付いてそっと耳元で囁く。
「今日の夜、楽しみにしてるからね。」
そう言って綺麗な笑顔で見つめてくるお兄様に、私はただコクコクと頷くことしか出来なかった。
ーーお兄様、それは恋人に言うセリフですよ。
兄妹じゃなかったら間違いなく惚れちゃうパターンですから。
お兄様こそ気をつけて下さいよ。
そんな思いを込めてキッと睨みながらお兄様を見上げた……つもりだったのに、何故かウットリとした表情のお兄様に抱き締められた。
「……ハァ、僕の妹が可愛過ぎて困る。」
ーーイヤイヤ、困ってるのは私ですから!!
その日の夜は宣言通りお兄様の部屋に強制連行された。
そして、とってもご機嫌なお兄様を真ん中にして、3人仲良くベッドに横になり就寝したのであった。
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