58 / 96
心の距離の詰め方
しおりを挟む
夜ご飯を作るまでまだ時間があるから、サイラスと一緒に一旦サイラスの部屋へ戻った。
サイラスの機嫌も、料理を作り始めた時よりも良くなっていたけれど、まだ少し納得していないような顔をしている。
ちょっと拗ねた感じのサイラスもカッコ可愛い。
思わずデレちゃう顔を引き締めて、ベッドに腰掛けるサイラスに歩み寄る。
「ねえ、サイラス。まだ国王様のこと、許せないの?」
私はサイラスの頭をヨシヨシと撫でながら聞いてみた。
サイラスは俯いて黙っている。
頭を撫でてサイラスの髪を手櫛で梳かしつつ、サイラスが話すのを待つことにした。
サイラスの髪はサラサラで、いつも触っていて気持ちがいい。
サイラスも私が髪に触りたがるのを拒否しないで、されるがままになってくれるから、ついつい、いつもサイラスの髪に手が伸びちゃうんだよね。
サイラスも、私が手櫛で髪を梳きながら頭を撫で撫ですると嬉しそうにしてくれるんだもん。
その顔もまた可愛いんだよな~。
ハッ!!駄目だ!!
サイラスが可愛過ぎて、すぐ顔がニヤけちゃう!!
ちょうど私が顔を引き締め直した時、サイラスが思い悩んでいる表情で私を見上げた。
「…………許せないとかじゃ、ないと思う。…………けど」
「けど?」
「今まで、母さんと2人で暮らしていて……父親の存在なんて俺が生まれた時からなくて。それなのに、いきなり現れてさ。ずっと探してたとか言われても…………そんなに急には"父さん"とか、呼べないよ。」
力弱くそう言うサイラスは、本当に戸惑っているんだなということが分かって、見ていてちょっと可哀想になってしまった。
「うん、ごめん。そうだよね。ゆっくりでいいよ。」
サイラスの頭をヨシヨシと撫でる私を、サイラスが潤んだ瞳でジッと見つめる。
ーー私はなんてバカなんだろう。
サイラスが"父親"に対して複雑な気持ちを抱えていることなんて、森で一緒に暮らしていた時から分かっていた筈なのに。
国王様がどんなに良い人だとしても、その気持ちがすぐになくなるわけ、ないのに。
「ごめんね。無理して、お父さん、なんて呼ばなくていいよ。ただ今日は、私と一緒に国王様の誕生日をお祝いしてほしいの。夜ご飯の時、国王様に改めて"おめでとう"って一緒に言おうよ。」
「…………ユーカと一緒に?」
「うん、私と一緒に。」
ニッコリ笑って私が頷けば、サイラスは眉尻を下げて私を抱き寄せる。
私の肩に顔を埋め、グリグリと擦り付けてくるから、ちょっとくすぐったい。
笑いが込み上げてきちゃうから体を捩って逃げようとしたけど、私を力強く抱き締めているサイラスはびくともしなくて、この体勢を崩せない。
「サイラス、くすぐったいよ~。」
「……離さない。逃げたら駄目だよ。今はユーカに甘えてるんだから、じっとしていて。」
「私に甘えてるの?」
「うん。甘えてるの。」
そう言って、私の肩へ更に頭をグリグリと擦りつけムギュッと抱き締めてくるサイラス。
ーーえ、何これ。何のご褒美ですか。
甘えてくるとか、今日のサイラスは可愛過ぎてヤバイんですけど。
「ユーカ、どうしたの?」
「サイラスが可愛過ぎてヤバイ。……心臓がヤバイ。」
「フフッ、何それ。可愛いのは俺じゃなくてユーカだからね。」
「……っうぅ!!今の笑顔で完全にやられた……!!」
可笑しそうにクスクス笑うサイラスは、もうカッコ可愛さを全面に押し出してきて、それに心臓を撃ち抜かれた私は、サイラスの腕の中でヘニョヘニョと脱力した。
私をしっかりと抱きとめてくれたサイラスはまだ楽しそうに笑っていたけれど、今度はサイラスが私の頭をヨシヨシと撫でながら、抱き締めている腕の力を少し強める。
「…………ありがとう、ユーカ。ちょっとヤル気が出てきた。」
「え~、ちょっと?もっとヤル気出してよ~!」
お互いに顔を見合わせて、クスクスと笑う。
「もう少ししたら、夜ご飯を作りに行こうね。」
「うん。でも、その前に…………たっぷりユーカを補充しておかないと。」
「グェッ!!サ、サイラス……ぐるじぃ…………」
ギュウギュウと抱き締めてくるサイラスに潰されながらも、国王様とサイラスの仲が今より良くなりますように、と願う私なのであった。
サイラスの機嫌も、料理を作り始めた時よりも良くなっていたけれど、まだ少し納得していないような顔をしている。
ちょっと拗ねた感じのサイラスもカッコ可愛い。
思わずデレちゃう顔を引き締めて、ベッドに腰掛けるサイラスに歩み寄る。
「ねえ、サイラス。まだ国王様のこと、許せないの?」
私はサイラスの頭をヨシヨシと撫でながら聞いてみた。
サイラスは俯いて黙っている。
頭を撫でてサイラスの髪を手櫛で梳かしつつ、サイラスが話すのを待つことにした。
サイラスの髪はサラサラで、いつも触っていて気持ちがいい。
サイラスも私が髪に触りたがるのを拒否しないで、されるがままになってくれるから、ついつい、いつもサイラスの髪に手が伸びちゃうんだよね。
サイラスも、私が手櫛で髪を梳きながら頭を撫で撫ですると嬉しそうにしてくれるんだもん。
その顔もまた可愛いんだよな~。
ハッ!!駄目だ!!
サイラスが可愛過ぎて、すぐ顔がニヤけちゃう!!
ちょうど私が顔を引き締め直した時、サイラスが思い悩んでいる表情で私を見上げた。
「…………許せないとかじゃ、ないと思う。…………けど」
「けど?」
「今まで、母さんと2人で暮らしていて……父親の存在なんて俺が生まれた時からなくて。それなのに、いきなり現れてさ。ずっと探してたとか言われても…………そんなに急には"父さん"とか、呼べないよ。」
力弱くそう言うサイラスは、本当に戸惑っているんだなということが分かって、見ていてちょっと可哀想になってしまった。
「うん、ごめん。そうだよね。ゆっくりでいいよ。」
サイラスの頭をヨシヨシと撫でる私を、サイラスが潤んだ瞳でジッと見つめる。
ーー私はなんてバカなんだろう。
サイラスが"父親"に対して複雑な気持ちを抱えていることなんて、森で一緒に暮らしていた時から分かっていた筈なのに。
国王様がどんなに良い人だとしても、その気持ちがすぐになくなるわけ、ないのに。
「ごめんね。無理して、お父さん、なんて呼ばなくていいよ。ただ今日は、私と一緒に国王様の誕生日をお祝いしてほしいの。夜ご飯の時、国王様に改めて"おめでとう"って一緒に言おうよ。」
「…………ユーカと一緒に?」
「うん、私と一緒に。」
ニッコリ笑って私が頷けば、サイラスは眉尻を下げて私を抱き寄せる。
私の肩に顔を埋め、グリグリと擦り付けてくるから、ちょっとくすぐったい。
笑いが込み上げてきちゃうから体を捩って逃げようとしたけど、私を力強く抱き締めているサイラスはびくともしなくて、この体勢を崩せない。
「サイラス、くすぐったいよ~。」
「……離さない。逃げたら駄目だよ。今はユーカに甘えてるんだから、じっとしていて。」
「私に甘えてるの?」
「うん。甘えてるの。」
そう言って、私の肩へ更に頭をグリグリと擦りつけムギュッと抱き締めてくるサイラス。
ーーえ、何これ。何のご褒美ですか。
甘えてくるとか、今日のサイラスは可愛過ぎてヤバイんですけど。
「ユーカ、どうしたの?」
「サイラスが可愛過ぎてヤバイ。……心臓がヤバイ。」
「フフッ、何それ。可愛いのは俺じゃなくてユーカだからね。」
「……っうぅ!!今の笑顔で完全にやられた……!!」
可笑しそうにクスクス笑うサイラスは、もうカッコ可愛さを全面に押し出してきて、それに心臓を撃ち抜かれた私は、サイラスの腕の中でヘニョヘニョと脱力した。
私をしっかりと抱きとめてくれたサイラスはまだ楽しそうに笑っていたけれど、今度はサイラスが私の頭をヨシヨシと撫でながら、抱き締めている腕の力を少し強める。
「…………ありがとう、ユーカ。ちょっとヤル気が出てきた。」
「え~、ちょっと?もっとヤル気出してよ~!」
お互いに顔を見合わせて、クスクスと笑う。
「もう少ししたら、夜ご飯を作りに行こうね。」
「うん。でも、その前に…………たっぷりユーカを補充しておかないと。」
「グェッ!!サ、サイラス……ぐるじぃ…………」
ギュウギュウと抱き締めてくるサイラスに潰されながらも、国王様とサイラスの仲が今より良くなりますように、と願う私なのであった。
64
あなたにおすすめの小説
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
華都のローズマリー
みるくてぃー
ファンタジー
ひょんな事から前世の記憶が蘇った私、アリス・デュランタン。意地悪な義兄に『超』貧乏騎士爵家を追い出され、無一文の状態で妹と一緒に王都へ向かうが、そこは若い女性には厳しすぎる世界。一時は妹の為に身売りの覚悟をするも、気づけば何故か王都で人気のスィーツショップを経営することに。えっ、私この世界のお金の単位って全然わからないんですけど!?これは初めて見たお金が金貨の山だったという金銭感覚ゼロ、ハチャメチャ少女のラブ?コメディな物語。
新たなお仕事シリーズ第一弾、不定期掲載にて始めます!
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
無能だと思われていた日陰少女は、魔法学校のS級パーティの参謀になって可愛がられる
あきゅう
ファンタジー
魔法がほとんど使えないものの、魔物を狩ることが好きでたまらないモネは、魔物ハンターの資格が取れる魔法学校に入学する。
魔法が得意ではなく、さらに人見知りなせいで友達はできないし、クラスでもなんだか浮いているモネ。
しかし、ある日、魔物に襲われていた先輩を助けたことがきっかけで、モネの隠れた才能が周りの学生や先生たちに知られていくことになる。
小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる