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みんなで勉強するんです
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龍斗さんに特訓を受け始めて数日経って、私はジャンプのコツもだいぶ掴めてきた。
日に日にジャンプが上達して喜ぶ私に反して、特訓に付き合ってくれているリスターはどんどん元気がなくなっている気がする。
「ねえ、カールさん、どうしてだとおもう?」
いつもなら午前中に騎士団へ行き、午後は私に付き合ってくれるリスターが今日は来ない。
用事があるからって朝も家に来てくれなかったし、騎士団での特訓が終わったら帰っちゃったんだって。
だから今日はリスターの代わりにカールさんが私の特訓に付き合ってくれていた。
特訓が終わり、庭の芝生の上で寝そべっている龍斗さんの隣に座ってカールさんとお喋りタイム。
「うーん、そうだなぁ。リュートに嫉妬してるんじゃない?」
「えー?」
リスターの様子を相談したカールさんからの、予想しなかった返答に私は首を傾げる。
「りゅうとさん、とーさまとそんなにとしがかわらないよ?」
「おい。俺の方が少し若いわ。」
確か2歳くらいしか違わなかったじゃん。私は思わずジト目で龍斗さんを見てしまった。
カールさんは肩を竦めて苦笑する。
「リスターはアヤナが大好きだからね。それにいつも特訓中は今日みたいにニホンゴ?でリュートと話してるんじゃないのか?言葉が分からないから余計に嫉妬するんだよ。」
「あ……。」
特訓に夢中で無意識のうちに日本語喋ってたんだ。
そうだよね。自分だけ分からない言葉で話されたら嫌だよね。リスター怒ってるかな……。
「細かい動作を伝えるのは日本語のが便利なんだよ。まあ、リスターがスゲェ睨んでくるから半分以上は当てつけてやってんだけどな。」
「お前のせいじゃないか。子供相手に何ムキになってんだ。」
得意げに言う龍斗さんの頭をカールさんが叩いた。
「リスター、あしたはきてくれるかなぁ?すぐにでもあやまりたい。」
「大丈夫だよ。そんなに心配なら明日はアヤナも騎士団に来るか?明日はリュートも来る日だったろう?」
シュンとする私の頭を撫でながらカールさんが提案する。
リスターはいつも朝は家に来て、とーさまと一緒に行くのに今日は来なかった。明日もそうなのかなぁ。明日も会えないなんて絶対嫌だ。
エアリス王子と色々あってから、騎士団には勿論、お城にも行っていない。
ちょっと気まずいけど……リスターに会えないのはもっと嫌だ。
「……かーさまにきいてみる。」
「ああ、そうか。あれから城には行けてないのか。フローラさんまだ怒ってるもんな。一緒に聞きに行こうか?」
私はコクコク頷いた。
かーさまは、あのお茶会からお城には行っていない。何度か呼ばれているみたいだけど全部断っている。……かーさまってば強い。
「いけません。」
伺いを立てにかーさまの部屋を訪れると、かーさまはニッコリ笑ってカールさんの提案を却下した。
……ですよねー。そんな気がしてました。
「リュート、今からリスターの所へ行って伝言をお願い。明日は必ず家に来るようにと。」
「俺がですか?」
「他に誰がいるの?」
眉を顰める龍斗さんにも、かーさまは微笑みを崩さない。
「……行ってきます。」
龍斗さんが大人しく部屋から出て行く。
……かーさま強い。
「アヤナ、明日からはもうこの国の言葉の勉強はしなくてもいいわ。」
かーさまが私に手招きをしながら言った。
「おべんきょうは、もういいの?」
「ええ。もう十分よ。よく頑張ったわね。明日からは、アヤナが先生になって私達にニホンゴを教えてくれないかしら?」
「わたしがせんせい?」
かーさまに抱き付きながら目を丸くして聞き返す私に、かーさまは目を細める。
「そうよ。とーさまとかーさまとリスターにニホンゴを教えて欲しいの。」
「いいけど……どうして?」
「アヤナが生まれた国の言葉を、ちゃんと理解したくて。それに、アヤナとリュートがニホンゴで話しているのに嫉妬しているのはリスターだけじゃないって事よ。」
かーさまが私の髪の毛を梳きながらパチンとウィンクした。
私は照れ隠しにかーさまの胸に顔を埋め、抱き付いていた手にギュッと力をこめる。
「かーさまだいすき。」
「ふふっ。かーさまもいつだってアヤナが大好きよ。」
私が抱き付いている間、かーさまは私の頭をずっと撫でてくれていた。
「リスター、ごめんなさい!」
次の日の朝、会ってすぐに気まずそうにしていたリスターに勢いよく頭を下げて謝った。
「やめてよアヤナ。謝るのは僕の方だよ。僕が勝手に嫉妬してただけなんだから。」
慌てて止めるリスターの腕を、私はガシッと掴んで離さない。
「かーさまが、きょうからみんなで、にほんごのべんきょうをするって。わたしがせんせいするの。」
「え?勉強?アヤナが教えてくれるの?」
驚くリスターに私は胸を張って見せる。
「そう!せんせいよ。いままでリスターがわたしにいっぱいおしえてくれたから、こんどはわたしがおかえしするね!」
意気込んで私が言うと、リスターがとっても嬉しそうに笑ってくれた。
「アヤナが先生なんて、すごく楽しみだな。今日は騎士団の特訓がいつもより頑張れそうだよ。なるべく早く戻って来るからね。」
「うん、まってる!」
元気よく笑って答えると、リスターは眉尻を下げながら私の手を握った。
「昨日は本当にごめんね。嫉妬してる自分が嫌で、少し反省したくてワザとアヤナに会わなかったんだ。」
「……きのうね、リスターにきらわれちゃったかもって、とってもこわかったの。わたしにいやなところがあったらいってほしい。すぐになおすから。だから……きらいにならないで。」
ヤバイ。言ってて泣けてきちゃった。
ウルウルと涙目になった私をリスターは優しく抱き締めてくれる。
「アヤナを嫌いになんてならないよ。僕がアヤナを好き過ぎるだけなんだ。本当にごめんね。大好きだよ。」
だからもう泣かないで?と、リスターに頬へキスされた私は、暫く顔が真っ赤のままだったと思う。
リスターと無事に仲直り?もしたし、今日からみんなで日本語の勉強頑張るぞ!
日に日にジャンプが上達して喜ぶ私に反して、特訓に付き合ってくれているリスターはどんどん元気がなくなっている気がする。
「ねえ、カールさん、どうしてだとおもう?」
いつもなら午前中に騎士団へ行き、午後は私に付き合ってくれるリスターが今日は来ない。
用事があるからって朝も家に来てくれなかったし、騎士団での特訓が終わったら帰っちゃったんだって。
だから今日はリスターの代わりにカールさんが私の特訓に付き合ってくれていた。
特訓が終わり、庭の芝生の上で寝そべっている龍斗さんの隣に座ってカールさんとお喋りタイム。
「うーん、そうだなぁ。リュートに嫉妬してるんじゃない?」
「えー?」
リスターの様子を相談したカールさんからの、予想しなかった返答に私は首を傾げる。
「りゅうとさん、とーさまとそんなにとしがかわらないよ?」
「おい。俺の方が少し若いわ。」
確か2歳くらいしか違わなかったじゃん。私は思わずジト目で龍斗さんを見てしまった。
カールさんは肩を竦めて苦笑する。
「リスターはアヤナが大好きだからね。それにいつも特訓中は今日みたいにニホンゴ?でリュートと話してるんじゃないのか?言葉が分からないから余計に嫉妬するんだよ。」
「あ……。」
特訓に夢中で無意識のうちに日本語喋ってたんだ。
そうだよね。自分だけ分からない言葉で話されたら嫌だよね。リスター怒ってるかな……。
「細かい動作を伝えるのは日本語のが便利なんだよ。まあ、リスターがスゲェ睨んでくるから半分以上は当てつけてやってんだけどな。」
「お前のせいじゃないか。子供相手に何ムキになってんだ。」
得意げに言う龍斗さんの頭をカールさんが叩いた。
「リスター、あしたはきてくれるかなぁ?すぐにでもあやまりたい。」
「大丈夫だよ。そんなに心配なら明日はアヤナも騎士団に来るか?明日はリュートも来る日だったろう?」
シュンとする私の頭を撫でながらカールさんが提案する。
リスターはいつも朝は家に来て、とーさまと一緒に行くのに今日は来なかった。明日もそうなのかなぁ。明日も会えないなんて絶対嫌だ。
エアリス王子と色々あってから、騎士団には勿論、お城にも行っていない。
ちょっと気まずいけど……リスターに会えないのはもっと嫌だ。
「……かーさまにきいてみる。」
「ああ、そうか。あれから城には行けてないのか。フローラさんまだ怒ってるもんな。一緒に聞きに行こうか?」
私はコクコク頷いた。
かーさまは、あのお茶会からお城には行っていない。何度か呼ばれているみたいだけど全部断っている。……かーさまってば強い。
「いけません。」
伺いを立てにかーさまの部屋を訪れると、かーさまはニッコリ笑ってカールさんの提案を却下した。
……ですよねー。そんな気がしてました。
「リュート、今からリスターの所へ行って伝言をお願い。明日は必ず家に来るようにと。」
「俺がですか?」
「他に誰がいるの?」
眉を顰める龍斗さんにも、かーさまは微笑みを崩さない。
「……行ってきます。」
龍斗さんが大人しく部屋から出て行く。
……かーさま強い。
「アヤナ、明日からはもうこの国の言葉の勉強はしなくてもいいわ。」
かーさまが私に手招きをしながら言った。
「おべんきょうは、もういいの?」
「ええ。もう十分よ。よく頑張ったわね。明日からは、アヤナが先生になって私達にニホンゴを教えてくれないかしら?」
「わたしがせんせい?」
かーさまに抱き付きながら目を丸くして聞き返す私に、かーさまは目を細める。
「そうよ。とーさまとかーさまとリスターにニホンゴを教えて欲しいの。」
「いいけど……どうして?」
「アヤナが生まれた国の言葉を、ちゃんと理解したくて。それに、アヤナとリュートがニホンゴで話しているのに嫉妬しているのはリスターだけじゃないって事よ。」
かーさまが私の髪の毛を梳きながらパチンとウィンクした。
私は照れ隠しにかーさまの胸に顔を埋め、抱き付いていた手にギュッと力をこめる。
「かーさまだいすき。」
「ふふっ。かーさまもいつだってアヤナが大好きよ。」
私が抱き付いている間、かーさまは私の頭をずっと撫でてくれていた。
「リスター、ごめんなさい!」
次の日の朝、会ってすぐに気まずそうにしていたリスターに勢いよく頭を下げて謝った。
「やめてよアヤナ。謝るのは僕の方だよ。僕が勝手に嫉妬してただけなんだから。」
慌てて止めるリスターの腕を、私はガシッと掴んで離さない。
「かーさまが、きょうからみんなで、にほんごのべんきょうをするって。わたしがせんせいするの。」
「え?勉強?アヤナが教えてくれるの?」
驚くリスターに私は胸を張って見せる。
「そう!せんせいよ。いままでリスターがわたしにいっぱいおしえてくれたから、こんどはわたしがおかえしするね!」
意気込んで私が言うと、リスターがとっても嬉しそうに笑ってくれた。
「アヤナが先生なんて、すごく楽しみだな。今日は騎士団の特訓がいつもより頑張れそうだよ。なるべく早く戻って来るからね。」
「うん、まってる!」
元気よく笑って答えると、リスターは眉尻を下げながら私の手を握った。
「昨日は本当にごめんね。嫉妬してる自分が嫌で、少し反省したくてワザとアヤナに会わなかったんだ。」
「……きのうね、リスターにきらわれちゃったかもって、とってもこわかったの。わたしにいやなところがあったらいってほしい。すぐになおすから。だから……きらいにならないで。」
ヤバイ。言ってて泣けてきちゃった。
ウルウルと涙目になった私をリスターは優しく抱き締めてくれる。
「アヤナを嫌いになんてならないよ。僕がアヤナを好き過ぎるだけなんだ。本当にごめんね。大好きだよ。」
だからもう泣かないで?と、リスターに頬へキスされた私は、暫く顔が真っ赤のままだったと思う。
リスターと無事に仲直り?もしたし、今日からみんなで日本語の勉強頑張るぞ!
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