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特訓するんです
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「リスター、どう?へんじゃない?」
「とっても可愛いよ。ズボンを履くアヤナも新鮮でいいね。」
私はズボン姿をお披露目すべく、リスターの前でクルリと回って見せた。
私が何故ズボンを履いているかって?
それはこれからジャンプの特訓をするからなのです!
あれから、龍斗さんは私の護衛としてとーさまに雇われました。
龍斗さんからの申し出だったんだけど、とーさまが、私もきちんと自分の能力を知っておいた方がいいからって。
ダナンさん、カールさん、リスターの3人は反対したみたいだけど、1ヶ月騎士団に入団してみんなと訓練する事と、私と特訓する時は必ず誰か一緒にいるということで渋々了承していた。
今日は龍斗さんが騎士団での訓練を終えて、家に来る日。
今日からこの家で一緒に住むんだって。家に着いたら早速ジャンプの特訓をしてくれるらしいから、ズボンを履いて龍斗さんが来るのを待ってるの。
ズボンはリスターのお下がりを貰いました。
かーさまと一緒に馬車に乗って行ったリスターの家は…………デカかった!!
うちも大きいとは思ってたけど、その倍くらい大きかった。
さすが侯爵家!! ( 本当は侯爵の意味ってあまりよく分かってないんだけど、とにかく偉いんだって )
ラントおじさまとエリーゼおばさまは私が来るのをずっと待っていたみたいで、お茶やお菓子を沢山用意してくれていた。
ズボンを貰いに来たはずなのに、ドレスが部屋の隅にズラリと並べられている。
これはあれか?久々のドレス試着会が開催されるのか?私はこの膨大なドレスの数々を着せ替え続けるのか?
チラリとかーさまを見ると、諦めなさいと言わんばかりにニッコリと微笑み返された。
用意されたお茶とお菓子をいただき、全てのドレスを着終わったのは、来てから2時間以上経った頃だろうか。
私がソファーでグッタリとしている横で、ラントおじさまとエリーゼおばさまは上機嫌でかーさまと話していた。
「父上、母上、そろそろアヤナにズボンを渡してもいいですか?」
「ああ、そうだったわね。リスター持って来てちょうだい。」
「アヤナに家を案内したいので、一緒に連れて行きます。アヤナ、おいで。」
差し出されたリスターの手に私は飛びついた。
「ありがとう、リスター。でも、もうちょっとはやくたすけてほしかった。」
「ごめんごめん。色んなドレスを着るアヤナが可愛くて、つい母上達と一緒に楽しんじゃったんだ。」
許して?と首をコテンと傾けるリスターがカッコ可愛くてドキドキする。
リスターは私と繋いだ手をギュッと強く握ると心配そうに私を覗き込んだ。
「アヤナ、ズボンはあげるけど絶対無理しないって約束してね。あと、アイツと特訓する時は僕も必ず参加するから。」
「うん、わかった。やくそくね!」
んもうっ!リスターってば心配性なんだから。でも、リスターが安心してくれるなら、いくらでも約束するよ。ちゃんと守るからね!
そうして私は無事にズボンをゲットしたのでした。
「まだかな~?」
「もう来るんじゃない?あ、ほら門が開いたよ。」
そわそわしながら玄関の扉の前で待つ私に、リスターが声を掛けて門を指差した。
開いた門から入ってきた龍斗さんは少し疲れて見えるけど、どこかスッキリとした表情でこちらに向かって歩いてくる。
「彩菜。」
「りゅうとさん、おかえりなさい!」
私は龍斗さんに駆け寄って勢いよく抱き付いた。
龍斗さんは私の勢いそのままに抱き上げてくれたけど、目を丸くして私を見る。
「お帰りなさい?」
「うん?だってきょうからいっしょにすむんでしょ?なら、おかえりなさいだよ!」
今日から一緒で嬉しいなって私がニコニコしてると、龍斗さんもとっても嬉しそうに笑って私の頭を撫でてくれた。
「そうか、お帰りか……10年振りに言われたけど、やっぱりいいもんだな。……うん、ただいま。ただいま、彩菜。」
ギュウギュウ抱き締めてくる龍斗さんに、私もキャッキャッしながら抱き締め返していると、後ろからリスターに引っ張られる。
「アヤナ、ひっつき過ぎだよ。リュートさん?早くアヤナを離して下さい。」
「なんだお前、俺にやきもち焼いてんのか?」
「お前じゃなくてリスターです。アヤナは僕の最愛の人なので、やきもち焼くのは当然でしょう。だから早く離して下さい。」
龍斗さんは顔を赤くしてリスターを軽く睨んだ。
「今どきのガキはスゲエ恥ずかしい事をサラッと言うんだな!?でも、彩菜がまだ誰のものかなんて決まってないだろう?俺が抱っこしてたっていいじゃねえか。」
「ダメです。特にリュートさんはダメ。」
「なんでだよ!?」
リスターと龍斗さんが睨み合いながら言い争ってる。
2人とも仲良くしようよ~。
そして早く私に特訓をさせてください!
「とっても可愛いよ。ズボンを履くアヤナも新鮮でいいね。」
私はズボン姿をお披露目すべく、リスターの前でクルリと回って見せた。
私が何故ズボンを履いているかって?
それはこれからジャンプの特訓をするからなのです!
あれから、龍斗さんは私の護衛としてとーさまに雇われました。
龍斗さんからの申し出だったんだけど、とーさまが、私もきちんと自分の能力を知っておいた方がいいからって。
ダナンさん、カールさん、リスターの3人は反対したみたいだけど、1ヶ月騎士団に入団してみんなと訓練する事と、私と特訓する時は必ず誰か一緒にいるということで渋々了承していた。
今日は龍斗さんが騎士団での訓練を終えて、家に来る日。
今日からこの家で一緒に住むんだって。家に着いたら早速ジャンプの特訓をしてくれるらしいから、ズボンを履いて龍斗さんが来るのを待ってるの。
ズボンはリスターのお下がりを貰いました。
かーさまと一緒に馬車に乗って行ったリスターの家は…………デカかった!!
うちも大きいとは思ってたけど、その倍くらい大きかった。
さすが侯爵家!! ( 本当は侯爵の意味ってあまりよく分かってないんだけど、とにかく偉いんだって )
ラントおじさまとエリーゼおばさまは私が来るのをずっと待っていたみたいで、お茶やお菓子を沢山用意してくれていた。
ズボンを貰いに来たはずなのに、ドレスが部屋の隅にズラリと並べられている。
これはあれか?久々のドレス試着会が開催されるのか?私はこの膨大なドレスの数々を着せ替え続けるのか?
チラリとかーさまを見ると、諦めなさいと言わんばかりにニッコリと微笑み返された。
用意されたお茶とお菓子をいただき、全てのドレスを着終わったのは、来てから2時間以上経った頃だろうか。
私がソファーでグッタリとしている横で、ラントおじさまとエリーゼおばさまは上機嫌でかーさまと話していた。
「父上、母上、そろそろアヤナにズボンを渡してもいいですか?」
「ああ、そうだったわね。リスター持って来てちょうだい。」
「アヤナに家を案内したいので、一緒に連れて行きます。アヤナ、おいで。」
差し出されたリスターの手に私は飛びついた。
「ありがとう、リスター。でも、もうちょっとはやくたすけてほしかった。」
「ごめんごめん。色んなドレスを着るアヤナが可愛くて、つい母上達と一緒に楽しんじゃったんだ。」
許して?と首をコテンと傾けるリスターがカッコ可愛くてドキドキする。
リスターは私と繋いだ手をギュッと強く握ると心配そうに私を覗き込んだ。
「アヤナ、ズボンはあげるけど絶対無理しないって約束してね。あと、アイツと特訓する時は僕も必ず参加するから。」
「うん、わかった。やくそくね!」
んもうっ!リスターってば心配性なんだから。でも、リスターが安心してくれるなら、いくらでも約束するよ。ちゃんと守るからね!
そうして私は無事にズボンをゲットしたのでした。
「まだかな~?」
「もう来るんじゃない?あ、ほら門が開いたよ。」
そわそわしながら玄関の扉の前で待つ私に、リスターが声を掛けて門を指差した。
開いた門から入ってきた龍斗さんは少し疲れて見えるけど、どこかスッキリとした表情でこちらに向かって歩いてくる。
「彩菜。」
「りゅうとさん、おかえりなさい!」
私は龍斗さんに駆け寄って勢いよく抱き付いた。
龍斗さんは私の勢いそのままに抱き上げてくれたけど、目を丸くして私を見る。
「お帰りなさい?」
「うん?だってきょうからいっしょにすむんでしょ?なら、おかえりなさいだよ!」
今日から一緒で嬉しいなって私がニコニコしてると、龍斗さんもとっても嬉しそうに笑って私の頭を撫でてくれた。
「そうか、お帰りか……10年振りに言われたけど、やっぱりいいもんだな。……うん、ただいま。ただいま、彩菜。」
ギュウギュウ抱き締めてくる龍斗さんに、私もキャッキャッしながら抱き締め返していると、後ろからリスターに引っ張られる。
「アヤナ、ひっつき過ぎだよ。リュートさん?早くアヤナを離して下さい。」
「なんだお前、俺にやきもち焼いてんのか?」
「お前じゃなくてリスターです。アヤナは僕の最愛の人なので、やきもち焼くのは当然でしょう。だから早く離して下さい。」
龍斗さんは顔を赤くしてリスターを軽く睨んだ。
「今どきのガキはスゲエ恥ずかしい事をサラッと言うんだな!?でも、彩菜がまだ誰のものかなんて決まってないだろう?俺が抱っこしてたっていいじゃねえか。」
「ダメです。特にリュートさんはダメ。」
「なんでだよ!?」
リスターと龍斗さんが睨み合いながら言い争ってる。
2人とも仲良くしようよ~。
そして早く私に特訓をさせてください!
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