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盗賊さんに狙われました
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結局、とーさまは夕飯にも帰って来なかった。
私は睡魔に勝てず寝てしまったんだけど、夜中に誰かの話し声で目が覚める。
「……では、あの時の盗賊にまだ仲間がいたの?」
「いや、盗賊自体は全員捕まえたんだ。
ただ、それとは別に窃盗を手助け……というか、侵入を手助けしていた奴がいたらしい。おそらく、そいつが今回の犯人だ。」
あ、とーさまとかーさまの声だ。とーさま帰って来たんだね。お仕事お疲れ様です!
私はベッドから起きてとーさまに「おかえりなさい」って言おうとしたんだけど、次のかーさまの一言で動けなくなってしまった。
「なんでそんな人がアヤナの事を調べているの?」
なんですと!?
「……わからない。私の部屋が主に荒らされていたのは、書類を保管していた机の引き出しなんだ。盗まれたのは書類数枚。その全てがアヤナを養子にする際に提出したアヤナの報告書だった。」
なんでー!?なんで私!?
「仲間を捕まえたあなたに報復する為とか?」
「それも考えたんだが、捕まえた盗賊達を聴取してみると、どうやら仲間では無いらしいんだよ。そいつが何処かに侵入する際について行っては盗みを繰り返していたらしい。」
「なにそれ。どういう事?」
かーさまが首を傾げている。
ホントそれ、どういう事なの?
「詳しくはまだ分からないが、侵入スキルが高いみたいだ。盗賊達はそれに目をつけて勝手にそいつに付き纏っていたみたいだから、報復の線は無いだろうな。」
「だったら尚更アヤナの情報を盗む意味が分からないわ。」
そうだそうだ!!
私の情報返せ!!
「盗賊の話では、そいつは昔から何かを探しているようだったと言っていた。もしかしたら、それと何か関係があるのかもしれない。……何にせよ、アヤナを狙っている可能性がある限り警護を万全にするに越したことはない。何かあってからでは遅いからね。」
「だからダナンとカールを家に?」
「あいつらなら腕は確かだし、アヤナも2人を慕っているしね。何より信頼できる。」
とーさまとかーさまは寝たふりをする私の頭を暫く撫で続けた。
「この子に手出しなんてさせないわ。」
「勿論だよ。」
この重たい空気の中、私は目を開ける勇気が無くて……とーさまとかーさまが眠りにつくまで、私は寝たふりをし続けた。
それから私は色々考えちゃって……考え過ぎちゃって朝まで寝られなかった。
「おはようアヤナ。…………どうしたの?今日はなんだか朝から疲れてるね?」
目をゴシゴシ擦りながら出迎える私を、リスターが心配そうに覗き込む。
「おはよう……ちょっとよくねむれなくて……。あ、それよりきのう、けんはどうだった?ちゃんとなおった?」
「剣?……あぁ、ちゃんと直ったよ。カールさんがいろいろと教えてくれたから。……ねぇ?カールさん。」
リスターが私の後ろからついて来たカールさんを見てニッコリ微笑んだ。
「そうだね。本当にしつこかった……じゃない熱心に聞いてきたから、いろいろと教えてあげたよ。」
カールさんもニッコリ微笑む。
心なしかカールさんの表情に疲れが見える気がするけど大丈夫かな?
「そ、そう?それならよかった。」
「じゃあアヤナ、そろそろ部屋に行って一緒に勉強しようか?」
リスターはチラッとカールさんを見ると、私の手を取って部屋へ向かった。
今日はとっても良い天気。
部屋の中はポカポカと暖かい。
「いつもアヤナと2人でいるから、部屋にカールさんがいると変な感じがするね。」
「……うん。」
暖かいと、眠くなるよね。
「変な感じってなんだよ。いつも2人って……ちゃんと勉強してるんだよね?」
「嫌だなぁ、これだからオジサンは。いつも部屋の扉全開にして、しっかり勉強してますよ。ねぇ?アヤナ。」
「……うん。」
昨日、寝れなかったから目がしょぼしょぼする。
「オジサンてなんだ。俺はまだ21歳だ。オジサンなんかじゃないよね、アヤナ?」
「……うん。」
あ~……目が開けていられない。
「そういう考えをすること自体がオジサンなんですよ。ねぇ、アヤナ?」
「……うん。」
…………勉強しないと…………。
「「 アヤナ?」」
コクリ。コクリ。
部屋の暖かさと睡魔に負けて勉強もそこそこに、私は眠りに落ちてしまいました。
私は睡魔に勝てず寝てしまったんだけど、夜中に誰かの話し声で目が覚める。
「……では、あの時の盗賊にまだ仲間がいたの?」
「いや、盗賊自体は全員捕まえたんだ。
ただ、それとは別に窃盗を手助け……というか、侵入を手助けしていた奴がいたらしい。おそらく、そいつが今回の犯人だ。」
あ、とーさまとかーさまの声だ。とーさま帰って来たんだね。お仕事お疲れ様です!
私はベッドから起きてとーさまに「おかえりなさい」って言おうとしたんだけど、次のかーさまの一言で動けなくなってしまった。
「なんでそんな人がアヤナの事を調べているの?」
なんですと!?
「……わからない。私の部屋が主に荒らされていたのは、書類を保管していた机の引き出しなんだ。盗まれたのは書類数枚。その全てがアヤナを養子にする際に提出したアヤナの報告書だった。」
なんでー!?なんで私!?
「仲間を捕まえたあなたに報復する為とか?」
「それも考えたんだが、捕まえた盗賊達を聴取してみると、どうやら仲間では無いらしいんだよ。そいつが何処かに侵入する際について行っては盗みを繰り返していたらしい。」
「なにそれ。どういう事?」
かーさまが首を傾げている。
ホントそれ、どういう事なの?
「詳しくはまだ分からないが、侵入スキルが高いみたいだ。盗賊達はそれに目をつけて勝手にそいつに付き纏っていたみたいだから、報復の線は無いだろうな。」
「だったら尚更アヤナの情報を盗む意味が分からないわ。」
そうだそうだ!!
私の情報返せ!!
「盗賊の話では、そいつは昔から何かを探しているようだったと言っていた。もしかしたら、それと何か関係があるのかもしれない。……何にせよ、アヤナを狙っている可能性がある限り警護を万全にするに越したことはない。何かあってからでは遅いからね。」
「だからダナンとカールを家に?」
「あいつらなら腕は確かだし、アヤナも2人を慕っているしね。何より信頼できる。」
とーさまとかーさまは寝たふりをする私の頭を暫く撫で続けた。
「この子に手出しなんてさせないわ。」
「勿論だよ。」
この重たい空気の中、私は目を開ける勇気が無くて……とーさまとかーさまが眠りにつくまで、私は寝たふりをし続けた。
それから私は色々考えちゃって……考え過ぎちゃって朝まで寝られなかった。
「おはようアヤナ。…………どうしたの?今日はなんだか朝から疲れてるね?」
目をゴシゴシ擦りながら出迎える私を、リスターが心配そうに覗き込む。
「おはよう……ちょっとよくねむれなくて……。あ、それよりきのう、けんはどうだった?ちゃんとなおった?」
「剣?……あぁ、ちゃんと直ったよ。カールさんがいろいろと教えてくれたから。……ねぇ?カールさん。」
リスターが私の後ろからついて来たカールさんを見てニッコリ微笑んだ。
「そうだね。本当にしつこかった……じゃない熱心に聞いてきたから、いろいろと教えてあげたよ。」
カールさんもニッコリ微笑む。
心なしかカールさんの表情に疲れが見える気がするけど大丈夫かな?
「そ、そう?それならよかった。」
「じゃあアヤナ、そろそろ部屋に行って一緒に勉強しようか?」
リスターはチラッとカールさんを見ると、私の手を取って部屋へ向かった。
今日はとっても良い天気。
部屋の中はポカポカと暖かい。
「いつもアヤナと2人でいるから、部屋にカールさんがいると変な感じがするね。」
「……うん。」
暖かいと、眠くなるよね。
「変な感じってなんだよ。いつも2人って……ちゃんと勉強してるんだよね?」
「嫌だなぁ、これだからオジサンは。いつも部屋の扉全開にして、しっかり勉強してますよ。ねぇ?アヤナ。」
「……うん。」
昨日、寝れなかったから目がしょぼしょぼする。
「オジサンてなんだ。俺はまだ21歳だ。オジサンなんかじゃないよね、アヤナ?」
「……うん。」
あ~……目が開けていられない。
「そういう考えをすること自体がオジサンなんですよ。ねぇ、アヤナ?」
「……うん。」
…………勉強しないと…………。
「「 アヤナ?」」
コクリ。コクリ。
部屋の暖かさと睡魔に負けて勉強もそこそこに、私は眠りに落ちてしまいました。
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