神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです

珂里

文字の大きさ
上 下
16 / 73

過保護になりました

しおりを挟む
私の家出?事件から2ヶ月くらい経ち、私はすっかり元気になりました!

あれから私は、森で助けてくれたのがとーさまで本当に良かったなぁと改めて実感しております。
言葉も何も分からないこの世界で、もしあのまま一人だったら……とーさまと出会っていなければと思うと怖すぎる。

今日もみんなに愛されて幸せいっぱい、元気いっぱいでお家で勉強頑張るぞー!

「おはよう、アヤナ。朝から元気だね。今日も可愛いよ。」

私が意気込んで腕を突き上げたタイミングで、後ろからリスターがクスクスと笑いながら現れた。


リスターは今、ほぼ毎日騎士団に通っている。騎士団で特訓しているエアリス殿下と一緒に特訓を受けてるんだって。

だから毎朝とーさまと一緒にお城まで行ってお昼に一緒に帰ってくる。
本当はリスターの家からの方がお城に近いんだけど、毎日特訓が終わった後に私に会いに来てくれるから、とーさまがどうせならって提案したんだって。

とーさまはいつもお昼に帰ってきて、お昼ご飯は家族一緒に食べてるもんね。
私も毎日リスターと一緒にお昼ご飯を食べれて嬉しいし!

私が家出事件を起こしてから、とーさまとかーさまの間で、私を森から連れ帰ったリスターに対する好感度がうなぎのぼりだ。

とーさまとかーさまは、あれから私をなるべく1人にしないようにしている。
とーさまがリスターに一緒にお城に行くのを提案したのも、たぶんそれが原因の1つにあると思う。
そうすればリスターは毎日家に来るもんね。
私がどんなに「もうだいじょうぶだよ」って言っても、これだけは聞き入れてくれない。
ちょっと過保護過ぎない?

私に付き合わされてるリスターに申し訳なくて、前に一度リスターに謝ったことがあった。

「謝らないで。強制なんかされてないよ。僕がアヤナに会いたいから来てるんだから。アヤナ、大好き。」

リスターは蕩けるような笑顔でそう言うと、私の頬にチュッとキスをしてくれた。
最近のリスターは毎日私に大好きだと言ってくれる。スキンシップも前よりかなり増えたと思う。今では頬にチューは当たり前になりつつあった。

リスターといるとドキドキが止まらないことをかーさまに相談した時、「それが恋ですよ。」とニコニコと頭を撫でながら言われた。


私、リスターに恋をしました。


かーさまに言われて自覚した私は、リスターが何をしてもドキドキしてしまう。
一緒にご飯食べてる時、手を繋いでる時、話す時、笑顔を見た時、目が合った時……もう、ドキドキし過ぎて死んじゃうんじゃない!?ヤバいでしょ!!

一人で悶えているとリスターに本気で心配された。

「リスターといるとドキドキしすぎてしんじゃう!!」

私は真剣にリスターに訴える。
リスターは一瞬目を瞠ると、蕩けるような笑顔で私を優しく抱き締めた。

「アヤナ、僕もだよ。ねえ、僕の心臓の音が聞こえる?すごくドキドキしてるでしょ?」

リスターの胸に耳をピタリと付けてみれば、心臓の音がドキドキと大きくて早く聴こえてきた。

「リスターのすきは、こいのすき?わたしのはね、リスターにこいしてる、のすきなんだって。」

「え?」

私がリスターを見上げると、リスターは目を丸くして私を見返す。
うぅっ。リスターの顔が近い。カッコいい。好き。

「わたしはリスターにこいしてる。すきなの。」

私は頑張ってもう一度リスターに言った。リスターの顔が見る見る真っ赤になる。

「僕だって!僕はアヤナと出会った時からずっと……ずっと、アヤナに恋してるよ。」

「ほんとう?うれしい!」

今度は私がリスターをギュッと抱き締めてリスターの胸に頭をスリスリと擦りつけた。
リスターも私と同じ気持ちだって分かったら、リスターとギュッてするととってもドキドキするけど、とっても落ち着く。

「はい、そこまでだよ。2人とも、私の前でイチャイチャしないでくれるかい。
リスター、アヤナはまだまだ渡さないからね。」

私がリスターをギュウギュウしていたら、とーさまにベリッと引き離された。

「ふふっ。ロイス、やきもち妬かないのよ。」

「かーさま!とーさまがひどーい!」

そのままとーさまに抱き上げられた私は、とーさまの肩をポコポコと叩いて抗議する。
かーさまはそんな私の頭を優しく撫でてくれた。


最近のお昼の時間帯はだいたいいつもこんな感じ。
私達家族にリスターが加わって、より賑やかになった。

みんなが楽しくて、幸せな時間。
これも、ちょっぴり過保護なとーさまとかーさまのお陰なのかな?









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!

加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。 カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。 落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。 そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。 器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。 失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。 過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。 これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。 彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。 毎日15:10に1話ずつ更新です。 この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。

死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話

みっしー
恋愛
 病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。 *番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

魔力を持たずに生まれてきた私が帝国一の魔法使いと婚約することになりました

ふうか
恋愛
レティシアは魔力を持つことが当たり前の世界でただ一人、魔力を持たずに生まれてきた公爵令嬢である。 そのために、家族からは冷遇されて育った彼女は10歳のデビュタントで一人の少年と出会った。その少年の名はイサイアス。皇弟の息子で、四大公爵の一つアルハイザー公爵家の嫡男である。そしてイサイアスは周囲に影響を与えてしまうほど多くの魔力を持つ少年だった。 イサイアスとの出会いが少しづつレティシアの運命を変え始める。 これは魔力がないせいで冷遇されて来た少女が幸せを掴むための物語である。 ※1章完結※ 追記 2020.09.30 2章結婚編を加筆修正しながら更新していきます。

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...