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残念な弟 〜アレクセイ〜
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「今日も宰相殿は怖かったよ。」
私は今日一日のスケジュールをこなし、側近候補兼、親友でもある幼馴染みのフレイと共に紅茶を飲んで一息ついていた。
「そうですか?いつもと変わりありませんよ。」
「まあ、いつも無表情だから怖いんだけど、最近は特に近寄り難いんだよね。」
「さあ?普段通りですよ。」
私がティーカップを置いてじっと見つめても、フレイはしれっとした様子で紅茶を飲んでいる。
事の起こりは一週間ほど前の、フレイの従姉妹殿に対してのエアリスの発言だった。
以前からフレイには従姉妹殿……アヤナの報告は受けていた。
異国の子で黒目黒髪の少女。養父母となった騎士団長夫妻からかなり溺愛されていると。とても可愛く、宰相夫妻も度々アヤナに会いに行くくらいメロメロになっているらしい。
フレイ自身もつい最近まで直接会った事が無かったらしいが、アヤナに会った直後に「あの可愛さはかなりヤバい!」と言っていた。
そしてフレイの弟リスターの初恋相手。どうやらリスターが一目惚れしたらしい。足繁く団長の家へ通い、アヤナに会いに行っているとフレイが面白そうに言っていた。
その団長夫妻にも宰相一家にも愛されているアヤナに、エアリスは暴言を吐いてしまったのだ。
母上に呼ばれて向かった茶会の席で、アヤナは御行儀良く座っていた。
その姿はまるでお人形のように美しくて暫く目を奪われる。黒という初めて見る色彩の髪と目は、その美しさをより一層際立たせていた。
母上に紹介され、アヤナがちょこんとカーテシーをして私とエアリスに微笑んだ。途端に可愛さが溢れ出てくる。
私は思わずアヤナの前に膝をつき、手の甲にキスをしていた。
美しく、そして可愛くもあるアヤナに、私は出会って間もないというのにすっかり魅了されてしまったらしい。
それはエアリスも同じだったようだ。……物凄い形相でアヤナを睨みつけていたけれど。
エアリスは私の6歳下の弟だ。この国の第二王子として生まれ、常に王太子である私と比べられていたからか、幼い頃から少々へそ曲がりなところがあった。
その上、父上の側近である宰相にも私とエアリスと同い年の息子がいた為、そちらとも常に比べられて、エアリスの性格はひねくれまくった。
エアリスは特に同い年のリスターと比較される事が多く、何でも自分より優れているリスターに昔から劣等感を抱いていた。
いつからかライバル心が嫌悪になり、今ではリスターに対して敵意を剥き出しにしている。
そんなエアリスがアヤナを睨みつけていたのも、自分の感情を上手く表に出せないが故の事だったのだ。
私から見て、エアリスがアヤナを気に入ったのは明らかだ。伊達に7年もエアリスの兄をしていない。
アヤナが怖がっていたので私が2人の間を取り持とうとエアリスに挨拶を促したりしていたのだが、母上達の会話にリスターの名前が上がり、案の定エアリスがそれに過剰な反応を示してしまう。
「髪も目も真っ黒で気持ち悪いんだよ!見てるだけで気分が悪くなる!!」
エアリスが言い終わった後、その場は最悪な状況に陥った。
フローラ夫人が泣いているアヤナを抱き上げる顔に表情は無かった。いつも微笑みを絶やさない夫人が、無表情にこちらを冷ややかに見ている。
私と母上は青ざめた。夫人がとてつもなく怒っている。
後から母上に聞いた話では、この時初めてフローラ夫人から笑顔が消えたのを見たそうだ。
夫人がアヤナを連れて帰ってから今日までの間、エアリスにとっては自分の愚かな言動を悔やんでも悔やみきれない期間となったのは間違いないだろう。
母上はエアリスの吐いたあまりに酷い暴言に涙した。泣いて泣いて、エアリスに暫く自身の部屋での謹慎を言い渡すと、母上も自分の部屋へこもってしまった。
茶会の席に控えていた使用人に全ての報告を受けた父上は激怒した。
「お前は今まで何を学んでいたのだ。」
その場に同席していた私も思わず震え上がりそうになるくらい、父上の声は怒りに満ちていた。
父上は涙目で微かに震えているエアリスを一瞥すると、側に控えていた宰相にエアリスを騎士団へ特訓に行かせるよう指示した。
エアリスがサッと青ざめる。
今のエアリスにとって、騎士団は針のむしろ状態で耐え難いものだろう。
「団長に一から鍛え直してもらえ。」
そう言って父上は宰相と共に去っていった。去り際に見た父上の目は冷たく、そして少し悲しそうにも見えた。
父上の側に控えていた宰相は一度もこちらを見ようとはしなかった。
エアリスには当分、気の休まる時間も場所も無いだろう。
エアリスの強制的な騎士団での特訓は、予想通りの厳しさだった。
怒りがMAXな団長からの扱きは勿論の事、事情を知るダナンとカールからも厳しく指導されていた。
エアリスは必死で地獄の特訓に耐えていた。だがエアリスに何よりも打撃を与えていたのは、エアリスと同じ特訓をリスターが涼しい顔で平然と受けている事だろう。
エアリスが騎士団で特訓を受けると知ったリスターが、エアリスと同じ日時に同じ特訓を希望したのだ。
私は少々エアリスを不憫に思い(まあ自業自得なんだけど)ちょこちょこ騎士団へ様子を見に行っていた。
騎士団での特訓が5日目。
訓練用の剣を団長に弾き飛ばされ、その場にへたれ込んだエアリスにリスターが近づいた。
今まで付かず離れずの状態だった2人の距離が急に縮まる。エアリスは狼狽ていたがリスターは構わず更に距離を詰めた。
そしてへたり込むエアリスを見下ろし、ニッコリと微笑んだ。
「昨日ね、アヤナが危うく僕の前からいなくなってしまうところだったんです。」
微笑んでいるリスターの目が笑っていない。私は背中がゾクリとした。
「エアリス殿下。僕を嫌うのは構いません。いくらでもどうぞ。ですが、それにアヤナを巻き込まないで下さい。」
「なっ!べ、別に巻き込んでなんか……」
「アヤナを傷つける奴は、例え王子でも許さない。僕から引き離そうとする奴もね。」
リスターは訓練用の剣を目の前に掲げると、真剣な眼差しでそれをじっと見据えた。
「僕はもっともっと強くなる。強くなって僕がアヤナを守るんだ。」
そこにはリスターの強い意志が込められていて、男の私から見てもリスターはカッコ良かった。
私はへたり込んだままのエアリスを見て思う。
この残念な弟が、リスターを超える日が来ることは無いだろうな……と。
私は今日一日のスケジュールをこなし、側近候補兼、親友でもある幼馴染みのフレイと共に紅茶を飲んで一息ついていた。
「そうですか?いつもと変わりありませんよ。」
「まあ、いつも無表情だから怖いんだけど、最近は特に近寄り難いんだよね。」
「さあ?普段通りですよ。」
私がティーカップを置いてじっと見つめても、フレイはしれっとした様子で紅茶を飲んでいる。
事の起こりは一週間ほど前の、フレイの従姉妹殿に対してのエアリスの発言だった。
以前からフレイには従姉妹殿……アヤナの報告は受けていた。
異国の子で黒目黒髪の少女。養父母となった騎士団長夫妻からかなり溺愛されていると。とても可愛く、宰相夫妻も度々アヤナに会いに行くくらいメロメロになっているらしい。
フレイ自身もつい最近まで直接会った事が無かったらしいが、アヤナに会った直後に「あの可愛さはかなりヤバい!」と言っていた。
そしてフレイの弟リスターの初恋相手。どうやらリスターが一目惚れしたらしい。足繁く団長の家へ通い、アヤナに会いに行っているとフレイが面白そうに言っていた。
その団長夫妻にも宰相一家にも愛されているアヤナに、エアリスは暴言を吐いてしまったのだ。
母上に呼ばれて向かった茶会の席で、アヤナは御行儀良く座っていた。
その姿はまるでお人形のように美しくて暫く目を奪われる。黒という初めて見る色彩の髪と目は、その美しさをより一層際立たせていた。
母上に紹介され、アヤナがちょこんとカーテシーをして私とエアリスに微笑んだ。途端に可愛さが溢れ出てくる。
私は思わずアヤナの前に膝をつき、手の甲にキスをしていた。
美しく、そして可愛くもあるアヤナに、私は出会って間もないというのにすっかり魅了されてしまったらしい。
それはエアリスも同じだったようだ。……物凄い形相でアヤナを睨みつけていたけれど。
エアリスは私の6歳下の弟だ。この国の第二王子として生まれ、常に王太子である私と比べられていたからか、幼い頃から少々へそ曲がりなところがあった。
その上、父上の側近である宰相にも私とエアリスと同い年の息子がいた為、そちらとも常に比べられて、エアリスの性格はひねくれまくった。
エアリスは特に同い年のリスターと比較される事が多く、何でも自分より優れているリスターに昔から劣等感を抱いていた。
いつからかライバル心が嫌悪になり、今ではリスターに対して敵意を剥き出しにしている。
そんなエアリスがアヤナを睨みつけていたのも、自分の感情を上手く表に出せないが故の事だったのだ。
私から見て、エアリスがアヤナを気に入ったのは明らかだ。伊達に7年もエアリスの兄をしていない。
アヤナが怖がっていたので私が2人の間を取り持とうとエアリスに挨拶を促したりしていたのだが、母上達の会話にリスターの名前が上がり、案の定エアリスがそれに過剰な反応を示してしまう。
「髪も目も真っ黒で気持ち悪いんだよ!見てるだけで気分が悪くなる!!」
エアリスが言い終わった後、その場は最悪な状況に陥った。
フローラ夫人が泣いているアヤナを抱き上げる顔に表情は無かった。いつも微笑みを絶やさない夫人が、無表情にこちらを冷ややかに見ている。
私と母上は青ざめた。夫人がとてつもなく怒っている。
後から母上に聞いた話では、この時初めてフローラ夫人から笑顔が消えたのを見たそうだ。
夫人がアヤナを連れて帰ってから今日までの間、エアリスにとっては自分の愚かな言動を悔やんでも悔やみきれない期間となったのは間違いないだろう。
母上はエアリスの吐いたあまりに酷い暴言に涙した。泣いて泣いて、エアリスに暫く自身の部屋での謹慎を言い渡すと、母上も自分の部屋へこもってしまった。
茶会の席に控えていた使用人に全ての報告を受けた父上は激怒した。
「お前は今まで何を学んでいたのだ。」
その場に同席していた私も思わず震え上がりそうになるくらい、父上の声は怒りに満ちていた。
父上は涙目で微かに震えているエアリスを一瞥すると、側に控えていた宰相にエアリスを騎士団へ特訓に行かせるよう指示した。
エアリスがサッと青ざめる。
今のエアリスにとって、騎士団は針のむしろ状態で耐え難いものだろう。
「団長に一から鍛え直してもらえ。」
そう言って父上は宰相と共に去っていった。去り際に見た父上の目は冷たく、そして少し悲しそうにも見えた。
父上の側に控えていた宰相は一度もこちらを見ようとはしなかった。
エアリスには当分、気の休まる時間も場所も無いだろう。
エアリスの強制的な騎士団での特訓は、予想通りの厳しさだった。
怒りがMAXな団長からの扱きは勿論の事、事情を知るダナンとカールからも厳しく指導されていた。
エアリスは必死で地獄の特訓に耐えていた。だがエアリスに何よりも打撃を与えていたのは、エアリスと同じ特訓をリスターが涼しい顔で平然と受けている事だろう。
エアリスが騎士団で特訓を受けると知ったリスターが、エアリスと同じ日時に同じ特訓を希望したのだ。
私は少々エアリスを不憫に思い(まあ自業自得なんだけど)ちょこちょこ騎士団へ様子を見に行っていた。
騎士団での特訓が5日目。
訓練用の剣を団長に弾き飛ばされ、その場にへたれ込んだエアリスにリスターが近づいた。
今まで付かず離れずの状態だった2人の距離が急に縮まる。エアリスは狼狽ていたがリスターは構わず更に距離を詰めた。
そしてへたり込むエアリスを見下ろし、ニッコリと微笑んだ。
「昨日ね、アヤナが危うく僕の前からいなくなってしまうところだったんです。」
微笑んでいるリスターの目が笑っていない。私は背中がゾクリとした。
「エアリス殿下。僕を嫌うのは構いません。いくらでもどうぞ。ですが、それにアヤナを巻き込まないで下さい。」
「なっ!べ、別に巻き込んでなんか……」
「アヤナを傷つける奴は、例え王子でも許さない。僕から引き離そうとする奴もね。」
リスターは訓練用の剣を目の前に掲げると、真剣な眼差しでそれをじっと見据えた。
「僕はもっともっと強くなる。強くなって僕がアヤナを守るんだ。」
そこにはリスターの強い意志が込められていて、男の私から見てもリスターはカッコ良かった。
私はへたり込んだままのエアリスを見て思う。
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