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新しい家族ができました
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ロイスさんの家に帰るとフローラさんが出迎えてくれた。
馬車の中でも私の涙は止まらなくて、ロイスさんがずっと背中を摩ってくれていた。
馬車を降りようとした私を、両手を広げて待ち構えていたフローラさんが抱き締めてくれる。
フローラさんは柔らかくて、とってもいい匂いがして、私はママを思い出して、またいっぱい泣いた。
『大丈夫よ。アヤナは私達が守るから。』
何を言われているのか分からない。
けれど、フローラさんの優しい声と抱いてくれている体の温もりに安心して、私は意識を手放した。
「かーさま、これ、なに?」
「このお花?これはね、アマリネって言う名前のお花よ。」
「アマリネ?これ、きれい、おはな。」
「そうね。とっても綺麗ね。」
そう言いながら、フローラさん……もとい、かーさまは私の頭を撫でてくれる。
私がここに来てから1か月くらいたったと思う。
結論からいうと、私はロイスさん、フローラさん夫婦の子供になった。
子供のいなかった2人は本当の娘のように私をとても可愛がってくれる。
ロイスさん……とーさまはお仕事から帰ってくると、まず最初に私を抱っこしてほっぺにキスをしてくれる。
あ、ちなみにとーさまのお仕事は王国騎士団の団長さんでした。とっても強いんだって!スゴイね!!
かーさまは今、毎日私につきっきりで言葉を教えてくれている。その他のお勉強は言葉を覚えてから教えてくれるんだって。
「ゆっくりでいいよ。」って言ってくれてるけど、迷惑かけないように頑張って早く覚えないとね!
夜は3人で一緒に寝ている。
原因はこの前、夜中に私が起きてベッドの上でひとり泣いていたから。
とーさまは私が帰れなくなって、すぐにお姫様の住むような素敵な部屋を用意してくれた。
薄ピンクの壁にはお花の模様が描かれていて可愛いし、天蓋付きのベッドはフリフリフワフワの寝心地良さそうな物だった。
そうして私はこの夢のような可愛らしい部屋でひとり寝ることになったんだけど……帰れなくなってから、私は毎日のようにママとパパの夢を見た。
夜中に目が覚めて、ママとパパのいない現実に泣いて、この広い部屋に1人でいる寂しさに泣いた。
それでも、私は良くしてくれてる2人には心配をかけたくなくて何も言えなくて黙っていたら……ある日、夜中に心配して様子を見に来てくれた2人にバレた。
そして、とっても怒られた。
「私達はもう親子なんだから、遠慮なんかしないでおくれ。いくらでも我儘を言っていいんだよ。」
まだ勉強中でなんとなくしか分からなかったけど、こんな感じのように言ってくれてたと思う。
それから、夜はとーさまとかーさまの間に挟まれて寝ている。
寝る前には2人からのキスの嵐で恥ずかしいけど、すごく嬉しい。
だから私もお返しに2人のほっぺにチュッてしてからベッドに潜り込んで眠りにつく。
チラッと目を開けて見ると、いつも2人は幸せそうに笑ってくれた。
ママとパパにもう会えないのはとっても悲しいけれど、夜中に寂しくて1人で泣くことはきっともう無いんだと思う。
どんなに怖い夢を見ても、どんなに悲しい夢を見ても、目を開ければそこには私の心も体も温めてくれる優しい人達がいるから。
馬車の中でも私の涙は止まらなくて、ロイスさんがずっと背中を摩ってくれていた。
馬車を降りようとした私を、両手を広げて待ち構えていたフローラさんが抱き締めてくれる。
フローラさんは柔らかくて、とってもいい匂いがして、私はママを思い出して、またいっぱい泣いた。
『大丈夫よ。アヤナは私達が守るから。』
何を言われているのか分からない。
けれど、フローラさんの優しい声と抱いてくれている体の温もりに安心して、私は意識を手放した。
「かーさま、これ、なに?」
「このお花?これはね、アマリネって言う名前のお花よ。」
「アマリネ?これ、きれい、おはな。」
「そうね。とっても綺麗ね。」
そう言いながら、フローラさん……もとい、かーさまは私の頭を撫でてくれる。
私がここに来てから1か月くらいたったと思う。
結論からいうと、私はロイスさん、フローラさん夫婦の子供になった。
子供のいなかった2人は本当の娘のように私をとても可愛がってくれる。
ロイスさん……とーさまはお仕事から帰ってくると、まず最初に私を抱っこしてほっぺにキスをしてくれる。
あ、ちなみにとーさまのお仕事は王国騎士団の団長さんでした。とっても強いんだって!スゴイね!!
かーさまは今、毎日私につきっきりで言葉を教えてくれている。その他のお勉強は言葉を覚えてから教えてくれるんだって。
「ゆっくりでいいよ。」って言ってくれてるけど、迷惑かけないように頑張って早く覚えないとね!
夜は3人で一緒に寝ている。
原因はこの前、夜中に私が起きてベッドの上でひとり泣いていたから。
とーさまは私が帰れなくなって、すぐにお姫様の住むような素敵な部屋を用意してくれた。
薄ピンクの壁にはお花の模様が描かれていて可愛いし、天蓋付きのベッドはフリフリフワフワの寝心地良さそうな物だった。
そうして私はこの夢のような可愛らしい部屋でひとり寝ることになったんだけど……帰れなくなってから、私は毎日のようにママとパパの夢を見た。
夜中に目が覚めて、ママとパパのいない現実に泣いて、この広い部屋に1人でいる寂しさに泣いた。
それでも、私は良くしてくれてる2人には心配をかけたくなくて何も言えなくて黙っていたら……ある日、夜中に心配して様子を見に来てくれた2人にバレた。
そして、とっても怒られた。
「私達はもう親子なんだから、遠慮なんかしないでおくれ。いくらでも我儘を言っていいんだよ。」
まだ勉強中でなんとなくしか分からなかったけど、こんな感じのように言ってくれてたと思う。
それから、夜はとーさまとかーさまの間に挟まれて寝ている。
寝る前には2人からのキスの嵐で恥ずかしいけど、すごく嬉しい。
だから私もお返しに2人のほっぺにチュッてしてからベッドに潜り込んで眠りにつく。
チラッと目を開けて見ると、いつも2人は幸せそうに笑ってくれた。
ママとパパにもう会えないのはとっても悲しいけれど、夜中に寂しくて1人で泣くことはきっともう無いんだと思う。
どんなに怖い夢を見ても、どんなに悲しい夢を見ても、目を開ければそこには私の心も体も温めてくれる優しい人達がいるから。
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