77 / 164
セドリックの提案とキム先生の提案1(キム先生視点)
しおりを挟む
「ルーシー、まだ両親に話す前だから許可が出るか分からないのだけれど、パティの件が解決するまでミルフィ付になってもらうことは出来る?」
暫く考え込んだ後、セドリック様は驚くことを言い始めた。
「私がミルフィーヌお嬢様付になるのですか? でも私でいいのでしょうか」
嫌そうな素振りは無く、理由が知りたいという風にルーシーはセドリック様に問う。
ミルフィ様の乳母兼侍女兼臨時の家庭教師の立場であるジョゼットは、信用出来ると思う。
ジョゼットは使用人の立場だが、セドリック様にミルフィ様が魔法を使う機会を一度だけでも与えて欲しいと願い出たと聞いた。セドリック様の体を心配しているミルフィ様の気持ちを尊重して欲しいとも言っていたという。
この家、スフィール侯爵家は使用人に比較的優しい家だと思う。
だが、ただの使用人でしかないジョゼットが、家のことに口を出すのは本来なら罰を与えられてもおかしくない行いだ。
主人から「ジョゼットは乳母の立場からどう考える?」等と聞かれたのならともかく、しっかりしているとしてもまだ幼いセドリック様に頼み込むなんて、私の母みたいに使用人を人間と思わない人だったら即解雇するだろう。
解雇まではいかなくとも、叱責は十分あり得ることを彼女はミルフィ様の為にしたのだ。
そこまでのことをしていて、実はパティの様な裏の顔があるなんてことは流石に無いと思いたい。
「僕に付いている人達を皆を僕は信用している。その中でもルーシーなら安心してミルフィを任せられると思う」
「セドリック様」
「ミルフィにはジョゼットとパティしか付いていないし、その内の一人は成人前のメイド見習いだ。お母様がなぜミルフィに二人しか付けていないのか僕は分からないけれど足りない気がする」
確かにセドリック様には数人の侍女とメイドと従僕が付いている。
この年齢なら乳母か子守りがいてもおかしくないが、それらしい人は見当たらない。
人を雇うゆとりがないならともかく、侯爵家はこの国の中では上位に入る程の資産家なことを考えるとおかしな話だと思う。
「ジョゼットはなぜこちらに雇われたのでしょう」
ジョゼットにはパティの下にミルフィ様と同じ年の妹がいるが、彼女は元男爵家の夫人で今は平民扱いになるという。そこも侯爵家の令嬢の乳母としては珍しいと思う。
私は馬鹿らしいと考えるが、平民の乳母は価値が低いと考える上位貴族は多い。だから寄子の子爵や男爵の家の夫人を乳母にする。
「僕の乳母とミルフィの乳母になる予定の者が馬車の事故で亡くなって、新しくミルフィの乳母候補を探していた時にジョゼットが家で働かせてもらえないかってお母様を頼ったと聞いたことはある。確かお母様の遠縁だったと」
「事故で亡くなった?」
「僕はそれ以上詳しい事は分からないけど、ルーシー知ってる?」
セドリック様の説明でおおよそのことは理解出来たが、乳母というのは簡単に雇えるものではない。
為人も家の繋がりも大切だし、そもそも乳母をするにはその者に乳飲み子がいなければ、どれだけ向こうが乳母になりたいと望んでも出来るわけが無い。
「セドリック様の乳母だった方は数日の休みを取り自分の息子と一緒に、ミルフィお嬢様の乳母予定だった方を訪ねていたそうです。馬車の事故はその間に起きたそうです」
「なぜセドリック様の乳母が?」
「二人は姉妹だったそうですから、出産が近い姉妹を案じてではないでしょうか」
つまりセドリック様は乳母と乳兄弟をそこで亡くしてしまったから、今乳母らしき人がいないのか。
「そうだったのか、それでジョゼットが」
「ジョゼットさんの嫁ぎ先は、奥様の従姉妹が嫁がれた子爵家の大奥様の妹が嫁がれた家だったそうで、ジョゼットさんは初めはその子爵家を頼ったそうです。その子爵家の夫人が、奥様が出産間近だから乳母を探しているかもしれないと、ジョゼットさんを紹介されたのです」
それは遠縁というより、ただの他人だ。
侯爵夫人とその子爵家の夫人の仲が良かったからこその縁なのかもしれないが、普通なら嫁ぎ先から出された女性を乳母として雇うと言う事はしないだろう。
「そうだったのか」
「ジョゼットさんの義弟、今男爵家を継いでいる方ですが、その方はパティを自分の息子と婚約させるなら家に残ってもいいと言っていたらしいのですが、パティが嫌がったので家を出るしかなかったとも聞いております」
ルーシーはかなり詳しく事情を知っている様だが、従兄弟と婚約していれば家を出て平民になる事も無かっただろうに、義弟家族と確執があったのだろうか。
「ルーシー良く知っているね」
「ええと、これは多分使用人は皆知っているかと。パティが何度も話をしていたもので」
「何度も?」
「ええ、叔父に家を追い出されたと。元々自分は婚約がほぼ決まった相手がいたのに、意地悪な従兄弟と無理矢理婚約させられそうだったから逃げて来たのだと」
ルーシーは困った様に答えているが、つまり使用人達の間でパティがこの家に来た理由は知られていて、パティの境遇に同情していたと言うことだろう。
「叔父に家を追い出された当時十歳にもならないであろうパティが健気に、産まれたばかりの妹の為に私はメイドとして認めて貰える様に頑張るとでも言えば、それは同情を誘うでしょうね」
当時のパティの気持ちは分からないが、今のパティのミルフィ様を見る悪意が籠った視線を知っているだけにどうしても捻くれた目で見てしまう。
「どうしてご存知なのですか。確かにパティは妹のスザンヌの為に早く正式なメイドになりたいと、いつも言っていて皆も応援していますし、そもそもパティがメイド見習いになったのも、ジョゼットさんが乳母となりこの家に来た時に、自分を下女見習いとして雇って欲しいと頼みこんだことが切っ掛けなんです。妹の為に少しでもお金を稼ぎたいからと」
私の捻くれた言葉に、ルーシーは驚いた顔で答えるが、ルーシーの言葉でパティはこの屋敷の使用人達にいかに自分が健気な人間か印象付けようとしているのか理解する。
侯爵も侯爵夫人も優しい方だから、男爵家の令嬢だった子どもが、下女見習いとして雇って欲しいと願い出れば、母親の近くで働けた方がいいだろうと気遣ってくれるだろう。
そこまで考えたかどうか分からないが、パティを応援する者を増やして行った可能性はある。
まあ、その程度なら子どもだろうと少し考える力があるならするだろうし、悪いことでもない。
父親が亡くなり生まれ育った家を出るしかなく、男爵家の令嬢から平民になってしまったのだから、雇い主や仕事仲間が少しでも自分に同情し優しくしてくれる様動くのは当たり前の行動だ。
「それでメイド見習いに?」
「はい」
「そうか、そういうことだったのか。それじゃお母様にパティの話をしても信じて貰えるかな」
セドリック様の考え方に、驚き過ぎて目を見開いた。
何度も驚いている気がするが、この方はまだ五歳だというのに、こんな大人びた考え方をするのか。
「それではパティの盗みの件は言わず、パティが少々疲れ気味の様だから人手を増やした方がいいのではないかと侯爵夫人に私から言ってみましょう。パティは「熱を出したミルフィ様に付き添っていたから体調が良く無い」とミルフィ様の前で言っていたため、ミルフィ様がそれを心配している様子だとね」
あくまでもこちらは、パティを心配しているミルフィ様のことが心配だから、ミルフィ様が悩まない様にルーシーをミルフィ様の傍に付かせることを提案する。
他人の目があれば、パティもミルフィ様を害する様な真似は出来ないだろう。
暫く考え込んだ後、セドリック様は驚くことを言い始めた。
「私がミルフィーヌお嬢様付になるのですか? でも私でいいのでしょうか」
嫌そうな素振りは無く、理由が知りたいという風にルーシーはセドリック様に問う。
ミルフィ様の乳母兼侍女兼臨時の家庭教師の立場であるジョゼットは、信用出来ると思う。
ジョゼットは使用人の立場だが、セドリック様にミルフィ様が魔法を使う機会を一度だけでも与えて欲しいと願い出たと聞いた。セドリック様の体を心配しているミルフィ様の気持ちを尊重して欲しいとも言っていたという。
この家、スフィール侯爵家は使用人に比較的優しい家だと思う。
だが、ただの使用人でしかないジョゼットが、家のことに口を出すのは本来なら罰を与えられてもおかしくない行いだ。
主人から「ジョゼットは乳母の立場からどう考える?」等と聞かれたのならともかく、しっかりしているとしてもまだ幼いセドリック様に頼み込むなんて、私の母みたいに使用人を人間と思わない人だったら即解雇するだろう。
解雇まではいかなくとも、叱責は十分あり得ることを彼女はミルフィ様の為にしたのだ。
そこまでのことをしていて、実はパティの様な裏の顔があるなんてことは流石に無いと思いたい。
「僕に付いている人達を皆を僕は信用している。その中でもルーシーなら安心してミルフィを任せられると思う」
「セドリック様」
「ミルフィにはジョゼットとパティしか付いていないし、その内の一人は成人前のメイド見習いだ。お母様がなぜミルフィに二人しか付けていないのか僕は分からないけれど足りない気がする」
確かにセドリック様には数人の侍女とメイドと従僕が付いている。
この年齢なら乳母か子守りがいてもおかしくないが、それらしい人は見当たらない。
人を雇うゆとりがないならともかく、侯爵家はこの国の中では上位に入る程の資産家なことを考えるとおかしな話だと思う。
「ジョゼットはなぜこちらに雇われたのでしょう」
ジョゼットにはパティの下にミルフィ様と同じ年の妹がいるが、彼女は元男爵家の夫人で今は平民扱いになるという。そこも侯爵家の令嬢の乳母としては珍しいと思う。
私は馬鹿らしいと考えるが、平民の乳母は価値が低いと考える上位貴族は多い。だから寄子の子爵や男爵の家の夫人を乳母にする。
「僕の乳母とミルフィの乳母になる予定の者が馬車の事故で亡くなって、新しくミルフィの乳母候補を探していた時にジョゼットが家で働かせてもらえないかってお母様を頼ったと聞いたことはある。確かお母様の遠縁だったと」
「事故で亡くなった?」
「僕はそれ以上詳しい事は分からないけど、ルーシー知ってる?」
セドリック様の説明でおおよそのことは理解出来たが、乳母というのは簡単に雇えるものではない。
為人も家の繋がりも大切だし、そもそも乳母をするにはその者に乳飲み子がいなければ、どれだけ向こうが乳母になりたいと望んでも出来るわけが無い。
「セドリック様の乳母だった方は数日の休みを取り自分の息子と一緒に、ミルフィお嬢様の乳母予定だった方を訪ねていたそうです。馬車の事故はその間に起きたそうです」
「なぜセドリック様の乳母が?」
「二人は姉妹だったそうですから、出産が近い姉妹を案じてではないでしょうか」
つまりセドリック様は乳母と乳兄弟をそこで亡くしてしまったから、今乳母らしき人がいないのか。
「そうだったのか、それでジョゼットが」
「ジョゼットさんの嫁ぎ先は、奥様の従姉妹が嫁がれた子爵家の大奥様の妹が嫁がれた家だったそうで、ジョゼットさんは初めはその子爵家を頼ったそうです。その子爵家の夫人が、奥様が出産間近だから乳母を探しているかもしれないと、ジョゼットさんを紹介されたのです」
それは遠縁というより、ただの他人だ。
侯爵夫人とその子爵家の夫人の仲が良かったからこその縁なのかもしれないが、普通なら嫁ぎ先から出された女性を乳母として雇うと言う事はしないだろう。
「そうだったのか」
「ジョゼットさんの義弟、今男爵家を継いでいる方ですが、その方はパティを自分の息子と婚約させるなら家に残ってもいいと言っていたらしいのですが、パティが嫌がったので家を出るしかなかったとも聞いております」
ルーシーはかなり詳しく事情を知っている様だが、従兄弟と婚約していれば家を出て平民になる事も無かっただろうに、義弟家族と確執があったのだろうか。
「ルーシー良く知っているね」
「ええと、これは多分使用人は皆知っているかと。パティが何度も話をしていたもので」
「何度も?」
「ええ、叔父に家を追い出されたと。元々自分は婚約がほぼ決まった相手がいたのに、意地悪な従兄弟と無理矢理婚約させられそうだったから逃げて来たのだと」
ルーシーは困った様に答えているが、つまり使用人達の間でパティがこの家に来た理由は知られていて、パティの境遇に同情していたと言うことだろう。
「叔父に家を追い出された当時十歳にもならないであろうパティが健気に、産まれたばかりの妹の為に私はメイドとして認めて貰える様に頑張るとでも言えば、それは同情を誘うでしょうね」
当時のパティの気持ちは分からないが、今のパティのミルフィ様を見る悪意が籠った視線を知っているだけにどうしても捻くれた目で見てしまう。
「どうしてご存知なのですか。確かにパティは妹のスザンヌの為に早く正式なメイドになりたいと、いつも言っていて皆も応援していますし、そもそもパティがメイド見習いになったのも、ジョゼットさんが乳母となりこの家に来た時に、自分を下女見習いとして雇って欲しいと頼みこんだことが切っ掛けなんです。妹の為に少しでもお金を稼ぎたいからと」
私の捻くれた言葉に、ルーシーは驚いた顔で答えるが、ルーシーの言葉でパティはこの屋敷の使用人達にいかに自分が健気な人間か印象付けようとしているのか理解する。
侯爵も侯爵夫人も優しい方だから、男爵家の令嬢だった子どもが、下女見習いとして雇って欲しいと願い出れば、母親の近くで働けた方がいいだろうと気遣ってくれるだろう。
そこまで考えたかどうか分からないが、パティを応援する者を増やして行った可能性はある。
まあ、その程度なら子どもだろうと少し考える力があるならするだろうし、悪いことでもない。
父親が亡くなり生まれ育った家を出るしかなく、男爵家の令嬢から平民になってしまったのだから、雇い主や仕事仲間が少しでも自分に同情し優しくしてくれる様動くのは当たり前の行動だ。
「それでメイド見習いに?」
「はい」
「そうか、そういうことだったのか。それじゃお母様にパティの話をしても信じて貰えるかな」
セドリック様の考え方に、驚き過ぎて目を見開いた。
何度も驚いている気がするが、この方はまだ五歳だというのに、こんな大人びた考え方をするのか。
「それではパティの盗みの件は言わず、パティが少々疲れ気味の様だから人手を増やした方がいいのではないかと侯爵夫人に私から言ってみましょう。パティは「熱を出したミルフィ様に付き添っていたから体調が良く無い」とミルフィ様の前で言っていたため、ミルフィ様がそれを心配している様子だとね」
あくまでもこちらは、パティを心配しているミルフィ様のことが心配だから、ミルフィ様が悩まない様にルーシーをミルフィ様の傍に付かせることを提案する。
他人の目があれば、パティもミルフィ様を害する様な真似は出来ないだろう。
658
お気に入りに追加
2,036
あなたにおすすめの小説

どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?
しゃーりん
恋愛
婚約者を妹に取られる。
そんな小説みたいなことが本当に起こった。
婚約者が姉から妹に代わるだけ?しかし私はそれを許さず、慰謝料を請求した。
婚約破棄と共に跡継ぎでもなくなったから。
仕事だけをさせようと思っていた父に失望し、伯父のいる辺境に行くことにする。
これからは辺境で仕事に生きよう。そう決めて王都を旅立った。
辺境で新たな出会いがあり、付き合い始めたけど?というお話です。

今日、大好きな婚約者の心を奪われます 【完結済み】
皇 翼
恋愛
昔から、自分や自分の周りについての未来を視てしまう公爵令嬢である少女・ヴィオレッタ。
彼女はある日、ウィステリア王国の第一王子にして大好きな婚約者であるアシュレイが隣国の王女に恋に落ちるという未来を視てしまう。
その日から少女は変わることを決意した。将来、大好きな彼の邪魔をしてしまう位なら、潔く身を引ける女性になろうと。
なろうで投稿している方に話が追いついたら、投稿頻度は下がります。
プロローグはヴィオレッタ視点、act.1は三人称、act.2はアシュレイ視点、act.3はヴィオレッタ視点となります。
繋がりのある作品:「先読みの姫巫女ですが、力を失ったので職を辞したいと思います」
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/496593841/690369074

これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。
りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。
伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。
それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。
でも知りませんよ。
私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!

笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。

欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]
ラララキヲ
恋愛
「お姉様、それ頂戴!!」が口癖で、姉の物を奪う妹とそれを止めない両親。
妹に自分の物を取られた姉は最初こそ悲しんだが……彼女はニッコリと微笑んだ。
「わたくしの物が欲しいのね」
「わたくしの“お古”じゃなきゃ嫌なのね」
「わたくしが一度持った物じゃなきゃ欲しくない“欲しがりマリリン”。貴女はなんて“可愛”そうなのかしら」
姉に憐れまれた妹は怒って姉から奪った物を捨てた。
でも懲りずに今度は姉の婚約者に近付こうとするが…………
色々あったが、それぞれ幸せになる姉妹の話。
((妹の頭がおかしければ姉もそうだろ、みたいな話です))
◇テンプレ屑妹モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい。
◇なろうにも上げる予定です。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
「お姉様ばかりずるいわ!」と言って私の物を奪っていく妹と「お姉さんなんだから我慢しなさい!」が口癖の両親がお祖父様の逆鱗に触れ破滅しました
まほりろ
恋愛
【完結済み】
妹はいつも「お姉様ばかりずるいわ!」と言って私の物を奪っていく。
誕生日プレゼントも、生誕祭のプレゼントも、お祖父様が外国に行ったときのお土産も、学園で首席合格しときに貰った万年筆も……全て妹に奪われた。
両親は妹ばかり可愛がり「お姉さんなんだから我慢しなさい!」「お前には妹への思いやりがないのか!」と言って私を叱る。
「もうすぐお姉様の十六歳の誕生日ね。成人のお祝いだから、みんな今までよりも高価な物をプレゼントして下さるはずよね? 私、新しい髪飾りとブローチとイヤリングとネックレスが欲しかったの!」
誕生日の一カ月前からこれでは、当日が思いやられます。
「ビアンカはお姉さんなんだから当然妹ののミアにプレゼントを譲るよな?」
「お姉さんなんだから、可愛い妹のミアのお願いを聞いてあげるわよね?」
両親は妹が私の物を奪っていくことを黙認している、いえ黙認どころか肯定していました。
私は妹に絶対に奪われないプレゼントを思いついた、贈った人も贈られた人も幸せになれる物。その上、妹と両親に一泡吹かせられる物、こんな素敵な贈り物他にはないわ!
そうして迎えた誕生日当日、妹は私が頂いたプレゼントを見て地団駄を踏んで悔しがるのでした。
全8話、約14500文字、完結済み。
※妹と両親はヒロインの敵です、祖父と幼馴染はヒロインの味方です。
※妹ざまぁ・両親ざまぁ要素有り、ハッピーエンド。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
他サイトにも投稿してます。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/07/17、18時、HOTランキング1位、総合ランキング1位、恋愛ランキング1位に入りました。応援して下さった皆様ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる