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お昼寝の後は。。。
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「そろそろお昼の時間だけど、まだお休みになっていらっしゃるから、厨房にそう伝えていらっしゃい」
「はい」
私がパティの本心がどこにあるのか考えている内に、二人の話しは違う方へ行ってしまいました。
「あなたは先にお昼を頂いてきなさい。それからスザンヌにも食べさせてくれるかしら」
「はい」
短い返事だけで、パティは部屋を出ていってしまった。
パティの妹スザンヌが、日中どんな風に過ごしているかなんて想像した事もなかったけれど。あの薄暗い部屋で一人でいたのだろうと、今更ながら気がついた。
「ごめんなさいね、パティ。私が不甲斐ないばかりに苦労させてしまって」
ジョゼットの悲しそうな声、ジョゼットの夫である男爵が存命なら二人はこの屋敷で働くことはなかったでしょうし、もっとジョゼットがしっかりしていれば、パティを次期当主自分を後見人とすることも出来た筈だから、それを不甲斐ないと後悔するのは当然なのかもしれない。
それは能力が無かったのだから仕方ない。
「私は不甲斐ない母親な上、乳母としても失格ね。私がもっと気を付けていればお嬢様はあんなに傷付かずにすんだのに。どうすれば償えるのかしら」
冷たいことを考えていた私の耳に聞こえてきたのは、私に対する後悔の言葉だった。
ジョゼットは私を本心から心配している?
信じられない思いで私は寝ている振りがばれないように、ゆっくりと呼吸する。
「幼い子供があんなに怯えて、一年近くも理不尽な暴力を。旦那様が気がつかなければずっとそれが続いていたかもしれないなんて。私は乳母失格だわ」
乳母だから?
それだけで?
パティが悲しんでいるのは私のせいなのに?
眠った振りをしながら、私は混乱し続けていた。
「ミルフィーヌお嬢様、怖い夢を見たりはしていないかな?」
「怖い夢?」
数日後、兄様の往診のついでに私の部屋に立ち寄ったガスパール先生に不思議な質問をされた。
「最近見た夢を教えて頂けますか」
「夢、暗いところに座ってるの。誰もいないの」
それは昨日見た夢だった。
答えてから、側にパティがいたと思い出し続きが話せなくなった。
パティと手を繋いで歩いていたのに、何もない場所に置いていかれてしまうのだ。
私を置いて、パティは一人で歩いていってしまった。私が泣き叫んでいてもパティは後ろを振り返らない。
何もない見通しがいい筈のそこは薄暗くて、歩いていくパティの背中が薄闇に呑まれて見えなくなる。
その時パティは一人じゃないと気がついた。見覚えのある背中、背の高いその人と手を繋ぎパティは去っていくのだ。
一度も振り返らずに。
「誰かその場所には」
「あの」
言えないパティがいたなど。言える筈がない。
「先生が」
「子爵夫人ですかな」
「うん。ミルフィを見つけて怒るの」
それに近い夢を見たことが、以前の私にはあった。
大人になってからの話だ、何度も何度も見た。
助けてと言っても、誰も来てくれず逃げ切れない。
服を捕まれて、恐怖で目を閉じるとそこで目が覚めるのだ。
「ふうむ。お嬢様、もう不安はありませんか?」
「不安?」
「ミルフィーヌお嬢様は幼すぎておわかりにならないのかもしれませんなあ」
ガスパール先生が言うのは、私が夫人を恐れているかどうかだろう。
だけど、私が今恐れているのは夫人ではなく、パティだった。
彼女は私を嫌っているのだろうか、私を恨んでいるんだろうか。
「ガスパール先生、魔法ってミルフィ使えるの?」
「お嬢様が魔法をですか?」
「うん。ミルフィはガスパール先生みたいに魔法使える?」
それは、ここ数日ずっと疑問に思っていた事だった。
「はい」
私がパティの本心がどこにあるのか考えている内に、二人の話しは違う方へ行ってしまいました。
「あなたは先にお昼を頂いてきなさい。それからスザンヌにも食べさせてくれるかしら」
「はい」
短い返事だけで、パティは部屋を出ていってしまった。
パティの妹スザンヌが、日中どんな風に過ごしているかなんて想像した事もなかったけれど。あの薄暗い部屋で一人でいたのだろうと、今更ながら気がついた。
「ごめんなさいね、パティ。私が不甲斐ないばかりに苦労させてしまって」
ジョゼットの悲しそうな声、ジョゼットの夫である男爵が存命なら二人はこの屋敷で働くことはなかったでしょうし、もっとジョゼットがしっかりしていれば、パティを次期当主自分を後見人とすることも出来た筈だから、それを不甲斐ないと後悔するのは当然なのかもしれない。
それは能力が無かったのだから仕方ない。
「私は不甲斐ない母親な上、乳母としても失格ね。私がもっと気を付けていればお嬢様はあんなに傷付かずにすんだのに。どうすれば償えるのかしら」
冷たいことを考えていた私の耳に聞こえてきたのは、私に対する後悔の言葉だった。
ジョゼットは私を本心から心配している?
信じられない思いで私は寝ている振りがばれないように、ゆっくりと呼吸する。
「幼い子供があんなに怯えて、一年近くも理不尽な暴力を。旦那様が気がつかなければずっとそれが続いていたかもしれないなんて。私は乳母失格だわ」
乳母だから?
それだけで?
パティが悲しんでいるのは私のせいなのに?
眠った振りをしながら、私は混乱し続けていた。
「ミルフィーヌお嬢様、怖い夢を見たりはしていないかな?」
「怖い夢?」
数日後、兄様の往診のついでに私の部屋に立ち寄ったガスパール先生に不思議な質問をされた。
「最近見た夢を教えて頂けますか」
「夢、暗いところに座ってるの。誰もいないの」
それは昨日見た夢だった。
答えてから、側にパティがいたと思い出し続きが話せなくなった。
パティと手を繋いで歩いていたのに、何もない場所に置いていかれてしまうのだ。
私を置いて、パティは一人で歩いていってしまった。私が泣き叫んでいてもパティは後ろを振り返らない。
何もない見通しがいい筈のそこは薄暗くて、歩いていくパティの背中が薄闇に呑まれて見えなくなる。
その時パティは一人じゃないと気がついた。見覚えのある背中、背の高いその人と手を繋ぎパティは去っていくのだ。
一度も振り返らずに。
「誰かその場所には」
「あの」
言えないパティがいたなど。言える筈がない。
「先生が」
「子爵夫人ですかな」
「うん。ミルフィを見つけて怒るの」
それに近い夢を見たことが、以前の私にはあった。
大人になってからの話だ、何度も何度も見た。
助けてと言っても、誰も来てくれず逃げ切れない。
服を捕まれて、恐怖で目を閉じるとそこで目が覚めるのだ。
「ふうむ。お嬢様、もう不安はありませんか?」
「不安?」
「ミルフィーヌお嬢様は幼すぎておわかりにならないのかもしれませんなあ」
ガスパール先生が言うのは、私が夫人を恐れているかどうかだろう。
だけど、私が今恐れているのは夫人ではなく、パティだった。
彼女は私を嫌っているのだろうか、私を恨んでいるんだろうか。
「ガスパール先生、魔法ってミルフィ使えるの?」
「お嬢様が魔法をですか?」
「うん。ミルフィはガスパール先生みたいに魔法使える?」
それは、ここ数日ずっと疑問に思っていた事だった。
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