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ニルスさんを呼ぼう8
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「くううん」
瞼を開くとゲルトさんの顔が見えて驚いた。
俺、ゲルトさんに抱き込まれた状態で寝てたみたいだ。
上を見るとテントっぽい天井、体の下は毛布越しの地面の感触だ。
そして見える、俺の白い手。
そう、目が覚めても俺の体は元には戻っていなかった。
大神様のところにも行けなかった。
もしかしたら、大神様が何か教えてくれるかもなんて考えてた俺は甘かったということだ。
「ううう」
何て言うか悲しくなってきて、小さく鳴くとゲルトさんを起こしてしまった。
「ウヅ起きたか、腹は減ってないか」
「くううん」
俺を抱っこして寝てたゲルトさんは、目を覚ました途端俺のお腹を心配してくれる。
俺は嬉しくなって、顔をゲルトさんに擦り付けた。
「くすぐったい」
寝起きのゲルトさんの声は少し掠れていて、ちょっと色気過剰気味だ。
狼の体の方が鼻がいいのか、ゲルトさんの匂いが良く分かる。
ああ、この匂い安心する。
もう少しこのままいちゃいたいな。
「まだ、眠いのか、寝るか」
うっかり目を閉じてしまった俺は、本能のまま動いてるんだろうか。
起きた方が良いかな、でもこんな姿でずっといるのどうなんだろう。
もうテントの中にずっといようかな。
「くううん」
「寝てていいぞ、ウヅが寝るなら俺も寝てるとするか」
寝ころんだまま、ゲルトさんは狼になった小さな俺の頭を撫でいる。
人型の俺の頭よりも、狼の頭はゲルトさんの手の感触をしっかりと拾ってくれて、なんだか優しい手の感触に俺は目を閉じてうっとりとしてしまう。
これって、俺が卯月の時に犬と遊んでいた時によく犬がやって顔なんじゃないかな。
頭を撫でたり、犬の散歩のバイトの時にブラシを掛けてあげた時、よく目を細めて小さくクウウンって鳴いてた。
今の俺、そんな気持ち。
いいよ、もっと撫でて、もっといっぱい撫でて。
そんな気持ちで、うっとりしてる。
「魔力不足は大丈夫か?」
「くうん」
「そうか、昨日は慌ただしくて疲れただろうが回復してるならいいか」
ゲルトさんは俺の頭を撫でる手を止めて、俺を抱き込んで首の辺りに顔を埋めてしまった。
あれ、こんな体勢今までなかったよね。
え、ゲルトさん大丈夫? もしかして具合悪い?
「ウヅの毛はふわふわだな。眠くなる」
「くううん」
眠いの? ゲルトさん、昨日一晩走り続けて疲れちゃったんだね?
眠ってていいよ、俺の毛ふわふわで気持ちいい?
元気になって、癒されて。
「くうん」
あれ、今魔力が抜けた?
でも回復魔法じゃないよね。なんだろ、何か増えた?
こんな状態で鑑定出来るのかなと思いながら鑑定したら、見えた。
癒しの風(下の下):精神の疲れを癒しその結果体力を回復する。眠気が強くなる場合がある。
え、こんなのあるの? 癒しの風、そうかあ。
俺ゲルと三を癒したいって思ったから、それで覚えちゃたのか。
相変わらず、俺の魔法の覚え方って俺の強い望みが反映しちゃうんだね。
「なんだか、眠いな……ウヅ、寝よ……う」
ゲルトさんはそう言うと、寝息を立て始めた。
わあ、珍しい。
ゲルトさんが本気で寝ようとしてるんだ。
いつもは俺の方が寝るの早いし、ゲルトさんって眠り浅い感じなのに。
「くううん」
駄目押しでもう一度癒しの風をゲルトさんに掛ける。
今度はしっかり意識して、ゲルトさんに掛ける事が出来た。
俺とグレオ君のところに来るために、夜通し駆けて来てくれたんだもん疲れちゃったよね。
ありがとう、ゲルトさん。
大好きだよ、ゲルトさん。
沢山眠って元気になってね。
ゲルトさんが起きたら凄く元気になってるといいなあ。
その時、俺は狼の姿なんだろうか。
考えながら、俺ももう一度目を閉じたんだ。
瞼を開くとゲルトさんの顔が見えて驚いた。
俺、ゲルトさんに抱き込まれた状態で寝てたみたいだ。
上を見るとテントっぽい天井、体の下は毛布越しの地面の感触だ。
そして見える、俺の白い手。
そう、目が覚めても俺の体は元には戻っていなかった。
大神様のところにも行けなかった。
もしかしたら、大神様が何か教えてくれるかもなんて考えてた俺は甘かったということだ。
「ううう」
何て言うか悲しくなってきて、小さく鳴くとゲルトさんを起こしてしまった。
「ウヅ起きたか、腹は減ってないか」
「くううん」
俺を抱っこして寝てたゲルトさんは、目を覚ました途端俺のお腹を心配してくれる。
俺は嬉しくなって、顔をゲルトさんに擦り付けた。
「くすぐったい」
寝起きのゲルトさんの声は少し掠れていて、ちょっと色気過剰気味だ。
狼の体の方が鼻がいいのか、ゲルトさんの匂いが良く分かる。
ああ、この匂い安心する。
もう少しこのままいちゃいたいな。
「まだ、眠いのか、寝るか」
うっかり目を閉じてしまった俺は、本能のまま動いてるんだろうか。
起きた方が良いかな、でもこんな姿でずっといるのどうなんだろう。
もうテントの中にずっといようかな。
「くううん」
「寝てていいぞ、ウヅが寝るなら俺も寝てるとするか」
寝ころんだまま、ゲルトさんは狼になった小さな俺の頭を撫でいる。
人型の俺の頭よりも、狼の頭はゲルトさんの手の感触をしっかりと拾ってくれて、なんだか優しい手の感触に俺は目を閉じてうっとりとしてしまう。
これって、俺が卯月の時に犬と遊んでいた時によく犬がやって顔なんじゃないかな。
頭を撫でたり、犬の散歩のバイトの時にブラシを掛けてあげた時、よく目を細めて小さくクウウンって鳴いてた。
今の俺、そんな気持ち。
いいよ、もっと撫でて、もっといっぱい撫でて。
そんな気持ちで、うっとりしてる。
「魔力不足は大丈夫か?」
「くうん」
「そうか、昨日は慌ただしくて疲れただろうが回復してるならいいか」
ゲルトさんは俺の頭を撫でる手を止めて、俺を抱き込んで首の辺りに顔を埋めてしまった。
あれ、こんな体勢今までなかったよね。
え、ゲルトさん大丈夫? もしかして具合悪い?
「ウヅの毛はふわふわだな。眠くなる」
「くううん」
眠いの? ゲルトさん、昨日一晩走り続けて疲れちゃったんだね?
眠ってていいよ、俺の毛ふわふわで気持ちいい?
元気になって、癒されて。
「くうん」
あれ、今魔力が抜けた?
でも回復魔法じゃないよね。なんだろ、何か増えた?
こんな状態で鑑定出来るのかなと思いながら鑑定したら、見えた。
癒しの風(下の下):精神の疲れを癒しその結果体力を回復する。眠気が強くなる場合がある。
え、こんなのあるの? 癒しの風、そうかあ。
俺ゲルと三を癒したいって思ったから、それで覚えちゃたのか。
相変わらず、俺の魔法の覚え方って俺の強い望みが反映しちゃうんだね。
「なんだか、眠いな……ウヅ、寝よ……う」
ゲルトさんはそう言うと、寝息を立て始めた。
わあ、珍しい。
ゲルトさんが本気で寝ようとしてるんだ。
いつもは俺の方が寝るの早いし、ゲルトさんって眠り浅い感じなのに。
「くううん」
駄目押しでもう一度癒しの風をゲルトさんに掛ける。
今度はしっかり意識して、ゲルトさんに掛ける事が出来た。
俺とグレオ君のところに来るために、夜通し駆けて来てくれたんだもん疲れちゃったよね。
ありがとう、ゲルトさん。
大好きだよ、ゲルトさん。
沢山眠って元気になってね。
ゲルトさんが起きたら凄く元気になってるといいなあ。
その時、俺は狼の姿なんだろうか。
考えながら、俺ももう一度目を閉じたんだ。
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