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ニルスさんを呼ぼう1
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「これでニルスさんに連絡が取れるんですか?」
「ニルスさんのところに場所を知らせられると聞いた、もしかするとこれを目印に転移するのかもしれないな」
「凄い」
俺が驚いていると、ゲルトさんもワルドさんも笑った。
なんで?
「ウヅキ、おめぇ自分が凄い魔道具身に着けてるくせにこれに驚くのかよ」
「え、凄い魔道具?」
何か凄いのってあったっけ? 首を傾げていたらグレオ君まで笑い出した。
「グレオ君まで笑う」
「だって、ウヅキ、俺とワルドさんに何くれた? あんなに色々出来る魔道具俺見たことないよ。父ちゃん達だってきっと知らないと思うよ」
そこまで言われてやっと気が付いた。
そうか、あれ十分凄いよね。互いの位置が分かるしその他色々出来ちゃうし。
でもあれは大神様がくれたものだしなあ。
「でもあれって大神様がくれたものだし、それを考えたらニルスさん大神様がくれたものと似たような事が出来ちゃうんだよ。やっぱり凄くない?」
ニルスさんとルル先生がいつ来られるか分からないから、ここから動けない俺達はすることもないのでお茶を飲んでいる。
子狐達はゴロゴロ寝ころんでいる内に眠ってしまったから、冷えてしまわない様に馬車の中に寝かせて毛布を掛けて来た。
馬車の中に子供達だけで大丈夫かなとゲルトさんに聞いたら、あの位の年の子なら起きたら騒ぐから大丈夫なんだって。
そして親が近くにいなくても、俺達に慣れたから問題ないらしいって聞いてホッとした。
小さい子が親が恋しくて泣いたら可哀相だもんね。
「そういう考え方するウヅキって面白いよね。俺にしてみたらどっちも凄いで終わる話だけど」
「だよな。ウヅキ、おめぇ凄いもの俺達に渡したって自覚はないのか?」
「無いかも。役に立つものを大神様がくれたって思ったけど、そうかあ確かに凄いね」
絆の魔道具を作った時は、凄いとか思う前にグレオ君を守らなきゃってそれしか考えて無かったからなあ。
それにグレオ君に渡したら、思い切り泣かせちゃったし。
俺、常識無いからやらかし過ぎだ。
そうだ、大神様に今度会えたら俺とゲルトさんの誓いを何とか出来ないか確認しなきゃ。
俺は嬉しいけれど、ゲルトさんを縛り付けるのは駄目だよ。
騙し打ちみたいな感じにしちゃったんだもん、そんなの駄目だ。
もし俺が大人になって、本当にゲルトさんと結婚出来たとしてもそれってこの誓いのせいなんじゃないかって思って自信が持てないと思う。
だって、誰にも心を動かせないんだもん。
そんな約束をゲルトさんに無理矢理させてしまったのなんて、やっぱり絶対に駄目だ。
「どうしたウヅキ」
「あの、これからの話なんですけど。俺達やっぱりルル先生と一緒にエルフの里に行くんですよね」
「そうなるな。まあ、ルルから町の情報を聞いての判断になるとは思うが」
そうか、こっちで人族があれだけ暴れたんだから、町の方でも何かある可能性があるんだ。
そこまで考えて無かった。
「町に来た人族も里と同じ様に子供達を攫おうとしていると思いますか」
「そうだなあ。ゲルトどう思う」
「ビリーが人族を引き入れたのは確かだろうが、何でビリーが子供達を攫ったのか分からない」
「あの、人族の国で本当に贅沢に暮らせるって騙されたんじゃないかと」
さっきその話しなかったっけ? 自信が無いけれど俺は第六感で見た事を話す。
ビリーさんが人族に騙されて子供達を攫ったかもしれない事、ビリーさんと一緒に騙された狐獣人がいるかもしれない事、山猫獣人をあの人族の冒険者が気に入っていて攫おうとしているかもしれない事だ。
「え、山猫獣人。そんな」
「グレオ、大丈夫だ。お前の家族ももう町を離れている」
「そうですけど、でも」
「大丈夫だ。領主もギルマスも町を守ると決めている。人族が何かしようものなら、あいつらは町を出られない」
町を出られない、それって。
「ワルドさん、それって」
「ああ、そうだ。領主は人族が町の奴らを害するならそれを許さないと決めた」
それってつまり、人族と対立するってこと? そんな事して大丈夫なの。
「ニルスさんのところに場所を知らせられると聞いた、もしかするとこれを目印に転移するのかもしれないな」
「凄い」
俺が驚いていると、ゲルトさんもワルドさんも笑った。
なんで?
「ウヅキ、おめぇ自分が凄い魔道具身に着けてるくせにこれに驚くのかよ」
「え、凄い魔道具?」
何か凄いのってあったっけ? 首を傾げていたらグレオ君まで笑い出した。
「グレオ君まで笑う」
「だって、ウヅキ、俺とワルドさんに何くれた? あんなに色々出来る魔道具俺見たことないよ。父ちゃん達だってきっと知らないと思うよ」
そこまで言われてやっと気が付いた。
そうか、あれ十分凄いよね。互いの位置が分かるしその他色々出来ちゃうし。
でもあれは大神様がくれたものだしなあ。
「でもあれって大神様がくれたものだし、それを考えたらニルスさん大神様がくれたものと似たような事が出来ちゃうんだよ。やっぱり凄くない?」
ニルスさんとルル先生がいつ来られるか分からないから、ここから動けない俺達はすることもないのでお茶を飲んでいる。
子狐達はゴロゴロ寝ころんでいる内に眠ってしまったから、冷えてしまわない様に馬車の中に寝かせて毛布を掛けて来た。
馬車の中に子供達だけで大丈夫かなとゲルトさんに聞いたら、あの位の年の子なら起きたら騒ぐから大丈夫なんだって。
そして親が近くにいなくても、俺達に慣れたから問題ないらしいって聞いてホッとした。
小さい子が親が恋しくて泣いたら可哀相だもんね。
「そういう考え方するウヅキって面白いよね。俺にしてみたらどっちも凄いで終わる話だけど」
「だよな。ウヅキ、おめぇ凄いもの俺達に渡したって自覚はないのか?」
「無いかも。役に立つものを大神様がくれたって思ったけど、そうかあ確かに凄いね」
絆の魔道具を作った時は、凄いとか思う前にグレオ君を守らなきゃってそれしか考えて無かったからなあ。
それにグレオ君に渡したら、思い切り泣かせちゃったし。
俺、常識無いからやらかし過ぎだ。
そうだ、大神様に今度会えたら俺とゲルトさんの誓いを何とか出来ないか確認しなきゃ。
俺は嬉しいけれど、ゲルトさんを縛り付けるのは駄目だよ。
騙し打ちみたいな感じにしちゃったんだもん、そんなの駄目だ。
もし俺が大人になって、本当にゲルトさんと結婚出来たとしてもそれってこの誓いのせいなんじゃないかって思って自信が持てないと思う。
だって、誰にも心を動かせないんだもん。
そんな約束をゲルトさんに無理矢理させてしまったのなんて、やっぱり絶対に駄目だ。
「どうしたウヅキ」
「あの、これからの話なんですけど。俺達やっぱりルル先生と一緒にエルフの里に行くんですよね」
「そうなるな。まあ、ルルから町の情報を聞いての判断になるとは思うが」
そうか、こっちで人族があれだけ暴れたんだから、町の方でも何かある可能性があるんだ。
そこまで考えて無かった。
「町に来た人族も里と同じ様に子供達を攫おうとしていると思いますか」
「そうだなあ。ゲルトどう思う」
「ビリーが人族を引き入れたのは確かだろうが、何でビリーが子供達を攫ったのか分からない」
「あの、人族の国で本当に贅沢に暮らせるって騙されたんじゃないかと」
さっきその話しなかったっけ? 自信が無いけれど俺は第六感で見た事を話す。
ビリーさんが人族に騙されて子供達を攫ったかもしれない事、ビリーさんと一緒に騙された狐獣人がいるかもしれない事、山猫獣人をあの人族の冒険者が気に入っていて攫おうとしているかもしれない事だ。
「え、山猫獣人。そんな」
「グレオ、大丈夫だ。お前の家族ももう町を離れている」
「そうですけど、でも」
「大丈夫だ。領主もギルマスも町を守ると決めている。人族が何かしようものなら、あいつらは町を出られない」
町を出られない、それって。
「ワルドさん、それって」
「ああ、そうだ。領主は人族が町の奴らを害するならそれを許さないと決めた」
それってつまり、人族と対立するってこと? そんな事して大丈夫なの。
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