234 / 248
子狐達とゲルトさん5
しおりを挟む
「お前、一口に詰め込み過ぎだ」
呆れたようなゲルトさんの膝の上には小狐達。
皆でゲルトさんの膝の上に座り、小さな両手でサンドイッチを掴んで口に詰め込んで、時々スープを俺がスプーンで飲ませている。
「笑っちゃいけねえのかもしれねえが、ゲルト面白いぞ」
「何がだ、ほら、一口はもう少し小さくしろ。誰も取らないから」
「スープは口の中の物飲み込んでからだよ」
サンドイッチをハグハグハグとどんどん口の中に詰め込もうとするから、喉につまらせるんじゃないかと焦りながら俺に向かって、パカッと口を開いた子にスプーンを差し出す。
小狐達、体は小さいのに俺と同じ位食べてる気がするけとこんなに食べて大丈夫なのかな。
鶏を焼いたのが気に入ったらしく、パンを残してそれだけ食べようとしてゲルトさんに注意されていたんだけど、今度はパンの半分位を一度にくちにいれようとして止められている。
「よく噛んでね、モグモグするんだよ」
俺一人じゃスープを飲ませるのが間に合わなくて、見かねたグレオ君も手伝ってくれてるけど、何ていうかグレオ君のほうが手際がいい気がする。
「そうそう上手だね、じゃあもう一口、はい」
やっぱりグレオ君上手だ。
「あ、ごめん。こぼしちゃったね。うわあ、舐めたら駄目だよ。浄化!」
「キュイキュイッ!」
浄化したら抗議の様な声が上がった。
えええ、なんで怒ったの?
「ふふふ。ウヅキ、なんで舐めさせないんだって怒ってるよ」
「えええ、だって口の周りベタベタになってるのに」
こぼして顎の辺りにべったりついちゃったスープを、手で拭って舐めようとしてたんだよ。
浄化するよね? 駄目なの?
「家の弟達も凄く小さい頃はよく口の周り汚して、母さんが舐めてくれてたからなあ。それでこの位になると自分で舐めて綺麗にするんだよ」
「そうなの?」
「うん、獣してる時は毛づくろいするからね。なんでも舐めて綺麗にしたくなるんだよ」
じ、獣、獣化?
え、それって皆するの?
「え、グレオ君も?」
「さすがに今は成人前だし獣化はしないよ」
え、獣化って小さい子だけじゃないの。
成人前だからしないってことは、大人になるとするの?
「ウヅ。スープくれって皆口開いてるぞ」
「え、わっ。ごめんね。ええと、うわっ一人ずつしかあげられないから待って、順番ーっ!」
早く早くと言わんばかりに鳴いてるから慌ててた。ゲルトさんが俺の手からスープの器とスプーンを受け取って、皆に飲ませ始めたんだ。
「ほら、一人ずつだ」
グレオ君みたいな手際の良さで、ゲルトさんはスープを飲ませていく。
皆、ゲルトさんの言うことは聞いてるし、大人しいのはなんで?
「ふふふ、ウヅキにも苦手なことあるんだね」
「グレオ君上手過ぎるよ。言葉通じないのになんで分かるの?」
「弟達の面倒見てたから慣れてるだけだよ」
グレオ君は照れてる、それを横で見てるワルドさんの視線が優しい。
俺はこういうの苦手、小さい子はホルン君で慣れたと思ってたんだけどなあ。
「もう終わりだ。これ以上は腹を壊す」
「キュイキュイッ!」
「キューキュー!」
抗議の声が上がる。
これは甘いものは見せないほうがいいな。
「鳴いても駄目だ」
「キュイイイッ」
ポカポカと小さな手でゲルトさんを叩く姿は、何ていうか可愛いです。
ワルドさんじゃないけど、笑っちゃ駄目なのに笑っちゃうよ。
「そんなことをしても駄目だ。こら、上るな」
ポカポカ攻撃が駄目だと分かると、今度はゲルトさんの頭目掛けて上っていく。
「こらこらっ」
「ふふふ、ゲルトさん懐かれてるなあ」
何ていうか可愛いです。
眼福って感じだよね。
昨日の騒ぎが嘘みたいな穏やかな時間に、俺の頬は緩みっぱなしだったんだ。
呆れたようなゲルトさんの膝の上には小狐達。
皆でゲルトさんの膝の上に座り、小さな両手でサンドイッチを掴んで口に詰め込んで、時々スープを俺がスプーンで飲ませている。
「笑っちゃいけねえのかもしれねえが、ゲルト面白いぞ」
「何がだ、ほら、一口はもう少し小さくしろ。誰も取らないから」
「スープは口の中の物飲み込んでからだよ」
サンドイッチをハグハグハグとどんどん口の中に詰め込もうとするから、喉につまらせるんじゃないかと焦りながら俺に向かって、パカッと口を開いた子にスプーンを差し出す。
小狐達、体は小さいのに俺と同じ位食べてる気がするけとこんなに食べて大丈夫なのかな。
鶏を焼いたのが気に入ったらしく、パンを残してそれだけ食べようとしてゲルトさんに注意されていたんだけど、今度はパンの半分位を一度にくちにいれようとして止められている。
「よく噛んでね、モグモグするんだよ」
俺一人じゃスープを飲ませるのが間に合わなくて、見かねたグレオ君も手伝ってくれてるけど、何ていうかグレオ君のほうが手際がいい気がする。
「そうそう上手だね、じゃあもう一口、はい」
やっぱりグレオ君上手だ。
「あ、ごめん。こぼしちゃったね。うわあ、舐めたら駄目だよ。浄化!」
「キュイキュイッ!」
浄化したら抗議の様な声が上がった。
えええ、なんで怒ったの?
「ふふふ。ウヅキ、なんで舐めさせないんだって怒ってるよ」
「えええ、だって口の周りベタベタになってるのに」
こぼして顎の辺りにべったりついちゃったスープを、手で拭って舐めようとしてたんだよ。
浄化するよね? 駄目なの?
「家の弟達も凄く小さい頃はよく口の周り汚して、母さんが舐めてくれてたからなあ。それでこの位になると自分で舐めて綺麗にするんだよ」
「そうなの?」
「うん、獣してる時は毛づくろいするからね。なんでも舐めて綺麗にしたくなるんだよ」
じ、獣、獣化?
え、それって皆するの?
「え、グレオ君も?」
「さすがに今は成人前だし獣化はしないよ」
え、獣化って小さい子だけじゃないの。
成人前だからしないってことは、大人になるとするの?
「ウヅ。スープくれって皆口開いてるぞ」
「え、わっ。ごめんね。ええと、うわっ一人ずつしかあげられないから待って、順番ーっ!」
早く早くと言わんばかりに鳴いてるから慌ててた。ゲルトさんが俺の手からスープの器とスプーンを受け取って、皆に飲ませ始めたんだ。
「ほら、一人ずつだ」
グレオ君みたいな手際の良さで、ゲルトさんはスープを飲ませていく。
皆、ゲルトさんの言うことは聞いてるし、大人しいのはなんで?
「ふふふ、ウヅキにも苦手なことあるんだね」
「グレオ君上手過ぎるよ。言葉通じないのになんで分かるの?」
「弟達の面倒見てたから慣れてるだけだよ」
グレオ君は照れてる、それを横で見てるワルドさんの視線が優しい。
俺はこういうの苦手、小さい子はホルン君で慣れたと思ってたんだけどなあ。
「もう終わりだ。これ以上は腹を壊す」
「キュイキュイッ!」
「キューキュー!」
抗議の声が上がる。
これは甘いものは見せないほうがいいな。
「鳴いても駄目だ」
「キュイイイッ」
ポカポカと小さな手でゲルトさんを叩く姿は、何ていうか可愛いです。
ワルドさんじゃないけど、笑っちゃ駄目なのに笑っちゃうよ。
「そんなことをしても駄目だ。こら、上るな」
ポカポカ攻撃が駄目だと分かると、今度はゲルトさんの頭目掛けて上っていく。
「こらこらっ」
「ふふふ、ゲルトさん懐かれてるなあ」
何ていうか可愛いです。
眼福って感じだよね。
昨日の騒ぎが嘘みたいな穏やかな時間に、俺の頬は緩みっぱなしだったんだ。
12
お気に入りに追加
3,665
あなたにおすすめの小説
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな?
そして今日も何故かオレの服が脱げそうです?
そんなある日、義弟の親友と出会って…。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!
触手生物に溺愛されていたら、氷の騎士様(天然)の心を掴んでしまいました?
雪 いつき
BL
仕事帰りにマンホールに落ちた森川 碧葉(もりかわ あおば)は、気付けばヌメヌメの触手生物に宙吊りにされていた。
「ちょっとそこのお兄さん! 助けて!」
通りすがりの銀髪美青年に助けを求めたことから、回らなくてもいい運命の歯車が回り始めてしまう。
異世界からきた聖女……ではなく聖者として、神聖力を目覚めさせるためにドラゴン討伐へと向かうことに。王様は胡散臭い。討伐仲間の騎士様たちはいい奴。そして触手生物には、愛されすぎて喘がされる日々。
どうしてこんなに触手生物に愛されるのか。ピィピィ鳴いて懐く触手が、ちょっと可愛い……?
更には国家的に深刻な問題まで起こってしまって……。異世界に来たなら悠々自適に過ごしたかったのに!
異色の触手と氷の(天然)騎士様に溺愛されすぎる生活が、今、始まる―――
※昔書いていたものを加筆修正して、小説家になろうサイト様にも上げているお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる