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やっと会えたね2
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「俺の次はウヅキだからね。でもウヅキまだ十歳だからなあ」
「うん、成人だってまだ遠い先だよ」
なのにゲルトさんは今がもういい年齢なんじゃないかって感じ、しかもゲルトさんはもてる。
だけど、絆の魔道具が真面目に番の誓いを完了していたとしたらゲルトさんはこの先好きな人が出来てもどうしようもない。
その辺りは今度大神様に会ったら聞いてみようかと思っている。
俺は誓いが完了してたら嬉しい以外の言葉は無いけれど、ゲルトさんにとっては呪いみたいな物だ。
今は、かまわないと言ってくれても将来どうなるかなんて、誰も分からないじゃないか。
「少し冷えて来たね。子供達大丈夫かな」
考え込んでいたら、ひゅうと風が吹いてぶるりと体が震えた。
「毛布持ってくる? それとも中に連れていく?」
「うーん、どうしよう。中の方が良いと思うけれど目を覚ましたら怖がらないかな。グレオ君中にいる? 俺こっちで見張りしてるから」
夜になったら交代で見張りをしてないといけない。
魔物除けの香はあっても、どの程度の魔物まで効果があるのか分からない。
オークは大丈夫とは言っていた気がするけれど、この場所にいる強い魔物がオーク程度なのか分からないから全員寝ているわけにはいかない。
昨日だってワルドさんとゲルトさんが交代で見張りしてたんだし、俺達がしなくていいってことはない。
だってこの場所でオークが出たんだから。
「でも」
「俺、なんか興奮してて眠れそうにないし、出来れば最初にグレオ君に寝てて欲しいんだ。駄目?」
「いいよ。じゃあちゃんと途中で起こしてよ。絶対交代するんだからね」
「分かってるってば。じゃあこの子達運ぼう。起きないといいけど」
「そうだね」
目覚めてしまいそうだったら、可哀相だけど睡眠の魔法を使うしかない。
こんな小さいんだから、夜中に目を覚ましたらきっと親を探して泣いちゃうだろう。
だったら朝までぐっすり眠った方が、多分マシだ。
「よいしょ。寝てる子って重いって本当だね」
ホルン君よりだいぶ小さいとはいえ、それなりに重い。
グレン君と手分けして子供達を抱っこして馬車の中に運ぶと、馬車の寝台を作り子供達を寝かせる。
狭い馬車の中だけど、寝台をフルサイズにすれば子供達とグレオ君が寝るには十分の広さはあると思う。
「子供達落ちると大変だから、グレオ君は端っこに寝てね。グレオ君寝相大丈夫?」
くすくす笑いつつ言えば、グレオ君は子供達に毛布を掛けながら笑った。
「毛布一枚貰ってくね」
「一枚で大丈夫? ウヅキ寒くない?」
「俺、焚火の中に石入れてあるんだ。それを布でくるんで持てば温かいから大丈夫」
「ああ、昨日ワルドさんに渡してたやつだね。あれ温かかった。でもなんでワルドさんに?」
「うーん、寒いの苦手そうだなって思ったんだけど、違った?」
「ううん、俺には言わないけど多分苦手なんだと思うから、助かったと思う」
「そっか。あれね寝る前にベッドの中に入れて置くと真冬でも温かく眠れると思うよ。直接触ると火傷するから布でぐるぐる巻きにしてね」
蛇獣人と蛇はそう変わらない様子に、俺はついついアドバイスをする。
寒いのは辛いよね、真冬にベランダに出されて部屋に入れて貰えないのと数日水だけってのが俺の中で辛かった事の一、二を争う出来事だもんなあ。
「そうなんだ。俺も寒いの苦手だから助かる。いい大きさの石探しておかなきゃね」
ふふふと笑うグレオ君は、ワルドさんとの暮らしを想像しているのかな。
なんかいいなあって思いながら、毛布に包まったグレオ君と子供達にそっと俺は睡眠の魔法を掛けたんだ。
明日はゲルトさん達に会えるといいな。
早く会いたいな、ゲルトさん。
「うん、成人だってまだ遠い先だよ」
なのにゲルトさんは今がもういい年齢なんじゃないかって感じ、しかもゲルトさんはもてる。
だけど、絆の魔道具が真面目に番の誓いを完了していたとしたらゲルトさんはこの先好きな人が出来てもどうしようもない。
その辺りは今度大神様に会ったら聞いてみようかと思っている。
俺は誓いが完了してたら嬉しい以外の言葉は無いけれど、ゲルトさんにとっては呪いみたいな物だ。
今は、かまわないと言ってくれても将来どうなるかなんて、誰も分からないじゃないか。
「少し冷えて来たね。子供達大丈夫かな」
考え込んでいたら、ひゅうと風が吹いてぶるりと体が震えた。
「毛布持ってくる? それとも中に連れていく?」
「うーん、どうしよう。中の方が良いと思うけれど目を覚ましたら怖がらないかな。グレオ君中にいる? 俺こっちで見張りしてるから」
夜になったら交代で見張りをしてないといけない。
魔物除けの香はあっても、どの程度の魔物まで効果があるのか分からない。
オークは大丈夫とは言っていた気がするけれど、この場所にいる強い魔物がオーク程度なのか分からないから全員寝ているわけにはいかない。
昨日だってワルドさんとゲルトさんが交代で見張りしてたんだし、俺達がしなくていいってことはない。
だってこの場所でオークが出たんだから。
「でも」
「俺、なんか興奮してて眠れそうにないし、出来れば最初にグレオ君に寝てて欲しいんだ。駄目?」
「いいよ。じゃあちゃんと途中で起こしてよ。絶対交代するんだからね」
「分かってるってば。じゃあこの子達運ぼう。起きないといいけど」
「そうだね」
目覚めてしまいそうだったら、可哀相だけど睡眠の魔法を使うしかない。
こんな小さいんだから、夜中に目を覚ましたらきっと親を探して泣いちゃうだろう。
だったら朝までぐっすり眠った方が、多分マシだ。
「よいしょ。寝てる子って重いって本当だね」
ホルン君よりだいぶ小さいとはいえ、それなりに重い。
グレン君と手分けして子供達を抱っこして馬車の中に運ぶと、馬車の寝台を作り子供達を寝かせる。
狭い馬車の中だけど、寝台をフルサイズにすれば子供達とグレオ君が寝るには十分の広さはあると思う。
「子供達落ちると大変だから、グレオ君は端っこに寝てね。グレオ君寝相大丈夫?」
くすくす笑いつつ言えば、グレオ君は子供達に毛布を掛けながら笑った。
「毛布一枚貰ってくね」
「一枚で大丈夫? ウヅキ寒くない?」
「俺、焚火の中に石入れてあるんだ。それを布でくるんで持てば温かいから大丈夫」
「ああ、昨日ワルドさんに渡してたやつだね。あれ温かかった。でもなんでワルドさんに?」
「うーん、寒いの苦手そうだなって思ったんだけど、違った?」
「ううん、俺には言わないけど多分苦手なんだと思うから、助かったと思う」
「そっか。あれね寝る前にベッドの中に入れて置くと真冬でも温かく眠れると思うよ。直接触ると火傷するから布でぐるぐる巻きにしてね」
蛇獣人と蛇はそう変わらない様子に、俺はついついアドバイスをする。
寒いのは辛いよね、真冬にベランダに出されて部屋に入れて貰えないのと数日水だけってのが俺の中で辛かった事の一、二を争う出来事だもんなあ。
「そうなんだ。俺も寒いの苦手だから助かる。いい大きさの石探しておかなきゃね」
ふふふと笑うグレオ君は、ワルドさんとの暮らしを想像しているのかな。
なんかいいなあって思いながら、毛布に包まったグレオ君と子供達にそっと俺は睡眠の魔法を掛けたんだ。
明日はゲルトさん達に会えるといいな。
早く会いたいな、ゲルトさん。
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