215 / 248
悪夢からの生還3
しおりを挟む
「そういえばニルスさん怪我してたんだ。回復魔法効いてるといいけど」
魔法を使おうとして使えなかった時と、ニルスさんに向けて回復魔法を使えた時の違いが分からないけれど、ちゃんとニルスさんの怪我は治ったかな。
魔法がちゃんと使えるなら、火事を消したいしさっき人族っぽい人に捕まっていたいた子供のその後も気になる。
「いやああ、助けて!」
「お父さん! お母さん!」
なんだ、今の声。
「どこから聞こえるの?」
きょろきょろと声の主を探す。
魔力消費してるみたいだけど、体が浮いてるお陰で里全体が見渡せるのは助かる。
「あそこだ」
さっきとは違う人族、それも二人。
それぞれが狐獣人の子供、さっきよりも少し大きい? 子を肩に担いでいる。
「お母さん~!」
「うるせえ、餓鬼。おい首輪つけようぜ」
「俺達が従属させられるわけないだろ。泣かれんのは面倒だが港まではこのまんまだ」
港? じゃあ、こいつらギルドマスターが言っていた奴らの仲間なのか。
でもどうやって里に?
「騒ぐな。泣いたらお前の親を殺すぞ」
「や、やだあ」
「ころさないで、いやだああ」
「うるせえ。おい、あの狐どこ行ったんだ」
「先に上に行ってる筈だ。俺達も急ごうぜ」
「あの馬鹿狐、自分が人族の国で本当に贅沢に暮らせるとでも思ってんのかねえ」
「所詮、獣だってことだ。坊ちゃん達に騙されて自分の仲間を裏切ったんた馬鹿だからな」
仲間を裏切る? 誰のことだろう。
「狐獣人の子だけじゃつまらねえなあ。こいつら見た目良く育つのか」
「狐獣人は結界魔法が得意なんだよ。見た目は二の次三の次さ」
崖方面に歩きながら話す。
何か手がかり、誰が里を裏切ったんだろう。
「凄い魔法が使えても、あのビリーって奴みたいな馬鹿じゃなあ」
「ビリーと一緒に裏切った馬鹿も頭の作りは似たり寄ったりだったなあ」
「やっぱり獣だからな。考える力なんかないんだろ」
「同じ馬鹿なら俺は山猫獣人か兎獣人がいいなあ」
「いいねえ。山猫。あの勝気な顔を服従させるのはたまんねえよ」
山猫ってグレオ君。
本当に山猫獣人は人族に狙われやすいんだ。
「坊ちゃん達のいる町には山猫獣人が多いらしいな。まだ成人前の可愛いのが坊ちゃんのお気に入りらしいぜ」
「へえ。それじゃ坊ちゃんが飽きたら俺達にも貸してくれるかもな」
「いいねえ。わざと従属の弱い首輪をつけて、自分の意思がある奴隷を好き放題してえな」
「そうだな。狐獣人でもこの位の子供ならそれもありだな。国に帰る前に遊ぶか?」
「いいねえ」
なに、何を言ってるんだ。こいつら。
『許せない、里に火を放っただけじゃなく。幼い子を摑まえるなんて』
体の血が逆流しそうな程の怒り。
許せない、人族と何の約束をしたのか知らないけれど、里の仲間を裏切ったビリー達。
「おい、お前達何してる。白い狐が出たぞ」
「なんだって」
怒りに震えていると、新な人族がやってきた。
「しかも九尾だ。真っ白の九尾。殺してはく製にしたら高く売れるぜ」
「よし、捕まえよう! なあに子供の命を盾にすれば簡単に殺せるさ」
白い狐、ニルスさん、マリアさん!
「どこだ、どこにいる」
「あっちだ。北の祠を燃やした辺りだ」
怒りに震える。
魔力が体の奥から溢れてくる。
『許さない。許さない。里を燃やし子供達を傷つけた。白い狐は狐獣人の力そのもの、それを殺そうとするなんて』
何だろう、この声。
どこから聞こえてくるんだろう。
「なんだ、この雨。折角の火が消える!」
突然、魔力を含んだ雨が降り始めた。
何この雨、思わず崖の方を見るとワルドさんみたいな人が杖を天に向けていた。
「雨、火を消そうとしてるんだ」
『力を、力を。火を消して。祠を守って』
「雨よ」
魔力が抜ける、大量に抜けていく。
ワルドさんの魔法に俺の魔力を加えると、雨はバケツをひっくり返した様な量で里に振り始め火柱を消すと跡形もなく消えたんだ。
「良かった、火柱消えた」
あれ、また意識が遠くなる。
どうして、俺また魔力を使い過ぎた?
遠くなる意識の向こうに、俺は小さな狐獣人の子共を見た気がしたんだ。
魔法を使おうとして使えなかった時と、ニルスさんに向けて回復魔法を使えた時の違いが分からないけれど、ちゃんとニルスさんの怪我は治ったかな。
魔法がちゃんと使えるなら、火事を消したいしさっき人族っぽい人に捕まっていたいた子供のその後も気になる。
「いやああ、助けて!」
「お父さん! お母さん!」
なんだ、今の声。
「どこから聞こえるの?」
きょろきょろと声の主を探す。
魔力消費してるみたいだけど、体が浮いてるお陰で里全体が見渡せるのは助かる。
「あそこだ」
さっきとは違う人族、それも二人。
それぞれが狐獣人の子供、さっきよりも少し大きい? 子を肩に担いでいる。
「お母さん~!」
「うるせえ、餓鬼。おい首輪つけようぜ」
「俺達が従属させられるわけないだろ。泣かれんのは面倒だが港まではこのまんまだ」
港? じゃあ、こいつらギルドマスターが言っていた奴らの仲間なのか。
でもどうやって里に?
「騒ぐな。泣いたらお前の親を殺すぞ」
「や、やだあ」
「ころさないで、いやだああ」
「うるせえ。おい、あの狐どこ行ったんだ」
「先に上に行ってる筈だ。俺達も急ごうぜ」
「あの馬鹿狐、自分が人族の国で本当に贅沢に暮らせるとでも思ってんのかねえ」
「所詮、獣だってことだ。坊ちゃん達に騙されて自分の仲間を裏切ったんた馬鹿だからな」
仲間を裏切る? 誰のことだろう。
「狐獣人の子だけじゃつまらねえなあ。こいつら見た目良く育つのか」
「狐獣人は結界魔法が得意なんだよ。見た目は二の次三の次さ」
崖方面に歩きながら話す。
何か手がかり、誰が里を裏切ったんだろう。
「凄い魔法が使えても、あのビリーって奴みたいな馬鹿じゃなあ」
「ビリーと一緒に裏切った馬鹿も頭の作りは似たり寄ったりだったなあ」
「やっぱり獣だからな。考える力なんかないんだろ」
「同じ馬鹿なら俺は山猫獣人か兎獣人がいいなあ」
「いいねえ。山猫。あの勝気な顔を服従させるのはたまんねえよ」
山猫ってグレオ君。
本当に山猫獣人は人族に狙われやすいんだ。
「坊ちゃん達のいる町には山猫獣人が多いらしいな。まだ成人前の可愛いのが坊ちゃんのお気に入りらしいぜ」
「へえ。それじゃ坊ちゃんが飽きたら俺達にも貸してくれるかもな」
「いいねえ。わざと従属の弱い首輪をつけて、自分の意思がある奴隷を好き放題してえな」
「そうだな。狐獣人でもこの位の子供ならそれもありだな。国に帰る前に遊ぶか?」
「いいねえ」
なに、何を言ってるんだ。こいつら。
『許せない、里に火を放っただけじゃなく。幼い子を摑まえるなんて』
体の血が逆流しそうな程の怒り。
許せない、人族と何の約束をしたのか知らないけれど、里の仲間を裏切ったビリー達。
「おい、お前達何してる。白い狐が出たぞ」
「なんだって」
怒りに震えていると、新な人族がやってきた。
「しかも九尾だ。真っ白の九尾。殺してはく製にしたら高く売れるぜ」
「よし、捕まえよう! なあに子供の命を盾にすれば簡単に殺せるさ」
白い狐、ニルスさん、マリアさん!
「どこだ、どこにいる」
「あっちだ。北の祠を燃やした辺りだ」
怒りに震える。
魔力が体の奥から溢れてくる。
『許さない。許さない。里を燃やし子供達を傷つけた。白い狐は狐獣人の力そのもの、それを殺そうとするなんて』
何だろう、この声。
どこから聞こえてくるんだろう。
「なんだ、この雨。折角の火が消える!」
突然、魔力を含んだ雨が降り始めた。
何この雨、思わず崖の方を見るとワルドさんみたいな人が杖を天に向けていた。
「雨、火を消そうとしてるんだ」
『力を、力を。火を消して。祠を守って』
「雨よ」
魔力が抜ける、大量に抜けていく。
ワルドさんの魔法に俺の魔力を加えると、雨はバケツをひっくり返した様な量で里に振り始め火柱を消すと跡形もなく消えたんだ。
「良かった、火柱消えた」
あれ、また意識が遠くなる。
どうして、俺また魔力を使い過ぎた?
遠くなる意識の向こうに、俺は小さな狐獣人の子共を見た気がしたんだ。
11
お気に入りに追加
3,678
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる