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俺ってやっぱり馬鹿なんだ1
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「ウヅキ君っ!」
ニルスさんとゲルトさん、そしてワルドさんも一緒に帰宅したらマリアさんに抱きしめられたんだ。
「マリアさん?」
「あぁ、良かった。ウヅキ君、痛い所はない? 治療して頂いたとは聞いたけれど、痛いところはない」
「あの、ご心配お掛けして、あの」
どうしたらいいんだろう。
マリアさんが泣いている。
「マリアさん、俺は全然痛いところないし元気ですよ!」
泣いているマリアさんにそう言って笑うと、マリアさんは更に涙をポロポロとこぼしてしまった。
どうしよう俺元気なのに、俺はこんなに元気なのにどうしてマリアさんは泣いてるの。
俺なんかの為に泣く必要なんてないのに、なんで。
そこまで考えて、そういえば俺を怪我させたのはビリーさんだったって思い出したんだ。
そうだよね、ニルスさんの甥ってことは、マリアさんの甥でもある。
この涙はそういうこと、謝罪の涙だ。
俺に向けてじゃない。
「ビリーさんのことは気にしてませんから、だから泣かないで下さいマリアさん」
「ウヅキ君でもね」
俺、ニルスさんに大丈夫って言ってそれで終わりだと思っていたけど、そうじゃないんだ。
ビリーさんの事をニルスさん達がどうするのか分からないけれど、俺が許しても許さなくてもきっとシコリは残る気がする。
俺がニルスさん達の役に立とうとすれば、商会に足を運ぶ頻度が増えるかもしれない。
でもそんなことしたら、ビリーさんの家族は面白くないだろう。
ホルン君の時、お店にいた人達は俺に冷たい視線を向けてたけれど、あれって最初からだった気がする。
それってきっと俺みたいなのを養い子にした不満からなんだ。
元々不満を持っているあの人達に今回のビリーさんのことがバレたら、もっと厳しい視線を向けられるかもしれない。
そうしたらニルスさんとマリアさんはきっと困るだろう。
考えていたら何だか悲しくなって来て、耳もしっぽもしょんぼりとしてしまう。
二人が大好きだから、困らせたくないのに。
俺は役に立つどころか、こんな風に泣かせてしまってるんだから。
「マリアさん心配掛けてしまってごめんなさい」
「ウヅキ君は悪くないのよ」
「でも、俺」
俺が上手く対処出来てたら、あんな事にならなかったのかなぁ。
どうするのが正解だったのか分からないのが困るんだ。
だってどうして怒り出したのかすら、俺は理由が分からない。
でも、多分。俺はこの家にいない方がいいんだろうな。
そうしないと、ニルスさんとマリアさんに迷惑が掛かってしまう。
俺が養い子としていることで、ニルスさんの一族の絆をおかしくしてしまうかもしれないんだ。
離れたくないけど、そうした方がいいのかもしれない。
「迷惑掛けて、ごめんなさい」
「迷惑なんかじゃないわ。ウヅキ君、そんな風に謝らないで」
「でもマリアさんを泣かせて、俺ごめんなさい」
出ていくって言うべきなのかな、そうした方がいいんだよね。
でも、二人の側に居たいよ。
せめて、もう少しだけ側にいたいよ。
「ウヅ、どうして泣いてるんじゃ」
「ごめんなさい。俺、ここにいない方がいいのに。出ていくべきなのに。だけど俺……」
うっかりな俺は、また馬鹿みたいに思ったことそのまま口にしてしまった。
大神様、この考えなしの俺の口を何とかしてください。
今一番言っちゃ駄目な事、なんで言っちゃうんだよ。
「ウ、ウヅキ君。私達と一緒にいるのが嫌になってしまったの」
ほら、マリアさんが凄く悲しそうに俺を見ている。
違う、そうじゃないんだ。嫌なんじゃなくて。
「違います。嫌じゃないです。ずっと一緒に居たいです。でも、俺迷惑掛け、迷惑、俺ニルスさん達に迷惑……」
もう感情が無茶苦茶になって、涙がボロボロ出てきてしまう。
「どうして迷惑だなんて、謝るのは私達なのよ。ビリーは許されないことをしてしまったのだもの」
「でも、俺がいたら、ビリーさんのご両親はきっと……。そしたらニルスさん達に迷惑、だから俺」
マリアさんに抱きしめられたまま、俺は支離滅裂な話をする。
俺自身がどうしていいのか決めかねているのに、感情のまま話すからこんなことになるんだ。
ニルスさんとゲルトさん、そしてワルドさんも一緒に帰宅したらマリアさんに抱きしめられたんだ。
「マリアさん?」
「あぁ、良かった。ウヅキ君、痛い所はない? 治療して頂いたとは聞いたけれど、痛いところはない」
「あの、ご心配お掛けして、あの」
どうしたらいいんだろう。
マリアさんが泣いている。
「マリアさん、俺は全然痛いところないし元気ですよ!」
泣いているマリアさんにそう言って笑うと、マリアさんは更に涙をポロポロとこぼしてしまった。
どうしよう俺元気なのに、俺はこんなに元気なのにどうしてマリアさんは泣いてるの。
俺なんかの為に泣く必要なんてないのに、なんで。
そこまで考えて、そういえば俺を怪我させたのはビリーさんだったって思い出したんだ。
そうだよね、ニルスさんの甥ってことは、マリアさんの甥でもある。
この涙はそういうこと、謝罪の涙だ。
俺に向けてじゃない。
「ビリーさんのことは気にしてませんから、だから泣かないで下さいマリアさん」
「ウヅキ君でもね」
俺、ニルスさんに大丈夫って言ってそれで終わりだと思っていたけど、そうじゃないんだ。
ビリーさんの事をニルスさん達がどうするのか分からないけれど、俺が許しても許さなくてもきっとシコリは残る気がする。
俺がニルスさん達の役に立とうとすれば、商会に足を運ぶ頻度が増えるかもしれない。
でもそんなことしたら、ビリーさんの家族は面白くないだろう。
ホルン君の時、お店にいた人達は俺に冷たい視線を向けてたけれど、あれって最初からだった気がする。
それってきっと俺みたいなのを養い子にした不満からなんだ。
元々不満を持っているあの人達に今回のビリーさんのことがバレたら、もっと厳しい視線を向けられるかもしれない。
そうしたらニルスさんとマリアさんはきっと困るだろう。
考えていたら何だか悲しくなって来て、耳もしっぽもしょんぼりとしてしまう。
二人が大好きだから、困らせたくないのに。
俺は役に立つどころか、こんな風に泣かせてしまってるんだから。
「マリアさん心配掛けてしまってごめんなさい」
「ウヅキ君は悪くないのよ」
「でも、俺」
俺が上手く対処出来てたら、あんな事にならなかったのかなぁ。
どうするのが正解だったのか分からないのが困るんだ。
だってどうして怒り出したのかすら、俺は理由が分からない。
でも、多分。俺はこの家にいない方がいいんだろうな。
そうしないと、ニルスさんとマリアさんに迷惑が掛かってしまう。
俺が養い子としていることで、ニルスさんの一族の絆をおかしくしてしまうかもしれないんだ。
離れたくないけど、そうした方がいいのかもしれない。
「迷惑掛けて、ごめんなさい」
「迷惑なんかじゃないわ。ウヅキ君、そんな風に謝らないで」
「でもマリアさんを泣かせて、俺ごめんなさい」
出ていくって言うべきなのかな、そうした方がいいんだよね。
でも、二人の側に居たいよ。
せめて、もう少しだけ側にいたいよ。
「ウヅ、どうして泣いてるんじゃ」
「ごめんなさい。俺、ここにいない方がいいのに。出ていくべきなのに。だけど俺……」
うっかりな俺は、また馬鹿みたいに思ったことそのまま口にしてしまった。
大神様、この考えなしの俺の口を何とかしてください。
今一番言っちゃ駄目な事、なんで言っちゃうんだよ。
「ウ、ウヅキ君。私達と一緒にいるのが嫌になってしまったの」
ほら、マリアさんが凄く悲しそうに俺を見ている。
違う、そうじゃないんだ。嫌なんじゃなくて。
「違います。嫌じゃないです。ずっと一緒に居たいです。でも、俺迷惑掛け、迷惑、俺ニルスさん達に迷惑……」
もう感情が無茶苦茶になって、涙がボロボロ出てきてしまう。
「どうして迷惑だなんて、謝るのは私達なのよ。ビリーは許されないことをしてしまったのだもの」
「でも、俺がいたら、ビリーさんのご両親はきっと……。そしたらニルスさん達に迷惑、だから俺」
マリアさんに抱きしめられたまま、俺は支離滅裂な話をする。
俺自身がどうしていいのか決めかねているのに、感情のまま話すからこんなことになるんだ。
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