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ワルドさんへ注文
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「これをウヅキが作ったのか?」
「これはロッタさん、ニルスさんの家で料理関係を担当されている方が作ったんですよ」
飲み物を持って来てくれたワルドさんにもクラッカーを勧めると、パクパクと食べ初めた後「酒飲みてえ」と呟いた。
「そうなのか、上手いなあ。甘いのと塩っ辛いのと合わせて食うのがこんな旨いとは知らなかったぜ」
そりゃ、甘いのは殆ど食べないだろうから知らないだろうなぁ。
「そぉいや、ウヅキ昼飯の前に言ってた作って欲しいものってのはなんなんだ?」
目覚めた後、ビリーさんの話題が出たのはニルスさんの謝罪だけだった。
あの後どうなったのかとか、そんな話がないのは俺を怖がらせると思ってのことなのかな。
気を遣われてるのなら申し訳ないけど、自分から話を振るのは止めようと口を開いた。
「料理する道具が欲しくて、ワルドさん作れないかなって」
「料理する道具? 具体的にはどんな物だ?」
俺はマジックバッグから今朝描いた欲しい物の絵を取り出してテーブルに並べた。
「はい、このクラッカーなんですけど、石窯で焼くと焦げそうなので鉄鍋で焼いたんです。焼いてる時にひっくり返すんですが、柔らかいから二又フォークだと難しくて」
「成程なあ」
「あと、こっちは炒める用です。で、これが……」
絵に描いた物をそれぞれ説明していきながら、最後に蒸籠が残った。
「これは難しいな」
「そうですか。鉄でもいいかなとは思うんですが、後は竹とか。俺が使ったことあるのは竹製だったと思いますし」
蒸籠の蓋の上の部分と底の部分は竹だったと思うけど、枠の部分ってなんだったのかな?
「竹かぁ、成程あれなら作りやすいな。ん? ウヅキは竹を知ってるんだな」
「ええと、俺が育ったところでは竹は普通にありましたから、この辺りにはないですか? 筍は食べませんか?」
食べないのかな? そうだ、醤油!
「醤油とか味噌とかで味を付けて煮ると美味しんですよ」
「筍? それは知ってるがあれを食うのは猫熊獣人だけだぞ」
「猫熊獣人?」
「知らないのか?」
「はい。ゲルトさんとは別の種族ですか?」
猫熊? 熊猫? あれ、パンダってどっちなんだっけ?
「違うな、彼奴等は片方が白耳、もう片方は黒耳なんだ」
「色が決まってるんですね」
特徴聞くとパンダっぽいなあ。
まあ、ここ異世界だから地球と読み方違っててもいいのかな。
「竹は知ってても猫熊獣人は知らねえのか」
「うーん。色んなものを他から持ってきてたみたいなので、竹もそうなのかもしれません。まあ、俺も話に聞いただけで実際に植えられてるのを見た事ありませんが。あ、竹製の籠とかザルとかは使ったことありますよ」
俺の説明にワルドさんは考え始めてしまった。
「ウヅキは醤油を知ってるのか」
「ええと、俺が知ってるのは黒っぽい液体で、味は塩辛いです」
「味噌も?」
「味噌は茶色くて柔らかい粘土みたいなものです。これも塩辛いですね」
この二つが作れるなら、料理もう少し種類が増えてていいんじゃないのかな。
「そうか、多分俺が持ってるのと同じだな」
持ってる? え、ワルドさん持ってるの。
大神様、そんな事言ってたっけ? そしたらワルドさんは醤油とかで料理してるのかな。
「あれ、本当に食えるのか」
「ええと、調味料なので塩みたいに使うんですが。ワルドさんはどうやって……」
そういえば俺の今の能力ってどんな感じに見えるんだろう。
自分を鑑定して茫然とした。
名前:卯月
年齢:十歳
種族:狼獣人族
レベル:22
体力:150/3000
魔力:3000/3000
職業:魔法使い、料理人
魔法属性:全属性(光、闇、火、水、氷、風、土)
習得魔法:生活魔法(水、火、浄化)防御壁(レベル最上位無詠唱)、全属性初級(中の上)、風神の刃(中の下)、回復魔法(下の下)、物見る目(中の下)、防御壁(上の下)
習得技:蹴り(レベル中の上)、瞬殺(レベル中の下)、棒術(レベル下)、投石(レベル上の上)、気配察知(下の下)、体術(下の下)、対人術(下の下)、攻撃力上昇、素材奪取(レベル中)、詠唱短縮(レベル下)、調理(レベル上の上)、経験値奪取(レベル下)
職業が料理人になってる。そして分からないのが魔法と能力。
なんなの、物見る目って、調理って、素材奪取だけじゃなく、経験値奪取なんてものまで増えてるんだけど!
「どうしたウヅ」
「あの。ええと、醤油ってワルドさんの家にあるんですか」
「いや、持ってる。これだ」
ワルドさんは、多分マジックバッグ? らしいものから小さな壺を取り出した。
鑑定すると、醤油と出たけど、醤油の実からとれた液体、調味料として使えると鑑定に出た。
醤油の実ってなに?
戸惑う俺は、ワルドさんから衝撃の事実を教えられたのだった。
「これはロッタさん、ニルスさんの家で料理関係を担当されている方が作ったんですよ」
飲み物を持って来てくれたワルドさんにもクラッカーを勧めると、パクパクと食べ初めた後「酒飲みてえ」と呟いた。
「そうなのか、上手いなあ。甘いのと塩っ辛いのと合わせて食うのがこんな旨いとは知らなかったぜ」
そりゃ、甘いのは殆ど食べないだろうから知らないだろうなぁ。
「そぉいや、ウヅキ昼飯の前に言ってた作って欲しいものってのはなんなんだ?」
目覚めた後、ビリーさんの話題が出たのはニルスさんの謝罪だけだった。
あの後どうなったのかとか、そんな話がないのは俺を怖がらせると思ってのことなのかな。
気を遣われてるのなら申し訳ないけど、自分から話を振るのは止めようと口を開いた。
「料理する道具が欲しくて、ワルドさん作れないかなって」
「料理する道具? 具体的にはどんな物だ?」
俺はマジックバッグから今朝描いた欲しい物の絵を取り出してテーブルに並べた。
「はい、このクラッカーなんですけど、石窯で焼くと焦げそうなので鉄鍋で焼いたんです。焼いてる時にひっくり返すんですが、柔らかいから二又フォークだと難しくて」
「成程なあ」
「あと、こっちは炒める用です。で、これが……」
絵に描いた物をそれぞれ説明していきながら、最後に蒸籠が残った。
「これは難しいな」
「そうですか。鉄でもいいかなとは思うんですが、後は竹とか。俺が使ったことあるのは竹製だったと思いますし」
蒸籠の蓋の上の部分と底の部分は竹だったと思うけど、枠の部分ってなんだったのかな?
「竹かぁ、成程あれなら作りやすいな。ん? ウヅキは竹を知ってるんだな」
「ええと、俺が育ったところでは竹は普通にありましたから、この辺りにはないですか? 筍は食べませんか?」
食べないのかな? そうだ、醤油!
「醤油とか味噌とかで味を付けて煮ると美味しんですよ」
「筍? それは知ってるがあれを食うのは猫熊獣人だけだぞ」
「猫熊獣人?」
「知らないのか?」
「はい。ゲルトさんとは別の種族ですか?」
猫熊? 熊猫? あれ、パンダってどっちなんだっけ?
「違うな、彼奴等は片方が白耳、もう片方は黒耳なんだ」
「色が決まってるんですね」
特徴聞くとパンダっぽいなあ。
まあ、ここ異世界だから地球と読み方違っててもいいのかな。
「竹は知ってても猫熊獣人は知らねえのか」
「うーん。色んなものを他から持ってきてたみたいなので、竹もそうなのかもしれません。まあ、俺も話に聞いただけで実際に植えられてるのを見た事ありませんが。あ、竹製の籠とかザルとかは使ったことありますよ」
俺の説明にワルドさんは考え始めてしまった。
「ウヅキは醤油を知ってるのか」
「ええと、俺が知ってるのは黒っぽい液体で、味は塩辛いです」
「味噌も?」
「味噌は茶色くて柔らかい粘土みたいなものです。これも塩辛いですね」
この二つが作れるなら、料理もう少し種類が増えてていいんじゃないのかな。
「そうか、多分俺が持ってるのと同じだな」
持ってる? え、ワルドさん持ってるの。
大神様、そんな事言ってたっけ? そしたらワルドさんは醤油とかで料理してるのかな。
「あれ、本当に食えるのか」
「ええと、調味料なので塩みたいに使うんですが。ワルドさんはどうやって……」
そういえば俺の今の能力ってどんな感じに見えるんだろう。
自分を鑑定して茫然とした。
名前:卯月
年齢:十歳
種族:狼獣人族
レベル:22
体力:150/3000
魔力:3000/3000
職業:魔法使い、料理人
魔法属性:全属性(光、闇、火、水、氷、風、土)
習得魔法:生活魔法(水、火、浄化)防御壁(レベル最上位無詠唱)、全属性初級(中の上)、風神の刃(中の下)、回復魔法(下の下)、物見る目(中の下)、防御壁(上の下)
習得技:蹴り(レベル中の上)、瞬殺(レベル中の下)、棒術(レベル下)、投石(レベル上の上)、気配察知(下の下)、体術(下の下)、対人術(下の下)、攻撃力上昇、素材奪取(レベル中)、詠唱短縮(レベル下)、調理(レベル上の上)、経験値奪取(レベル下)
職業が料理人になってる。そして分からないのが魔法と能力。
なんなの、物見る目って、調理って、素材奪取だけじゃなく、経験値奪取なんてものまで増えてるんだけど!
「どうしたウヅ」
「あの。ええと、醤油ってワルドさんの家にあるんですか」
「いや、持ってる。これだ」
ワルドさんは、多分マジックバッグ? らしいものから小さな壺を取り出した。
鑑定すると、醤油と出たけど、醤油の実からとれた液体、調味料として使えると鑑定に出た。
醤油の実ってなに?
戸惑う俺は、ワルドさんから衝撃の事実を教えられたのだった。
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