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ワルドさんへの注文3
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「上手く使えるようになってきたわ。後は実践で慌てずに今と同じように出来るといいわね」
ギルドに行くと丁度ルル先生がいて、「今から講習出来るわよ、でもその間ゲルトが剣術講習をやるならね」と言われて、お願いしてる立場なのに俺もゲルトさんの講習に混ざりたくてしかたなかった。
「俺もそろそろ杖使ったほうがいいですか?」
「そうねえ、あなたの場合は魔力を込め過ぎちゃうから、まだ無いほうがいいんじゃないかしら」
「そうですか」
「杖ってね、魔力の巡りを良くして魔法の威力を上げる他に、適性がない属性魔法を使いたい時に、杖に属性を持たせる事で使用する魔力を少なくする効果もあるのよ。でもウヅキ君は全属性の適性があるでしょう? 今日で初級はすべて覚えてしまったし。杖無しで威力も十分だから、今以上の威力が欲しいとかでない限り必要性は感じないわね。どうしてもと言うなら、癒やし力を持つの魔石が付いた杖くらいかしら」
「癒やしの魔石? 回復魔法の時に使う?」
なぜどうしてもで癒やしの魔石付きの杖なのか分からず首を傾げていると、ルル先生は俺の頭を撫でながら教えてくれた。
「そうよ。ゲルトとパーティーを組んだのだから、あなたの役割は魔法攻撃の他に補助魔法や回復魔法を使うという点になるわ」
「どちらも苦手です」
「あなた見た目より好戦的だものね。ワルドと戦った時もあの蹴りは容赦無かったわね。普通はもう少し躊躇するものだけど」
それは多分、自分が冒険者として認められたいという思いが強かったからだ。
後は喧嘩慣れしていたせいもあるし、この体の能力の高さもあると思う。
「まあ狼獣人の種族は好戦的な者が多いから、種族的なものかしらねえ。兎に角ゲルトとあなたの組み合わせで今後不足しそうなのが回復魔法と補助魔法なのよ。癒やしの魔石付きの杖ならそれを補えると思うの。ただあまり出回らないし、高価だからまずは階級を上げていくことね」
「はい。それを目標にします。ありがとうございます」
当面の目標が出来た。
魔法の勉強、練習、階級を上げる。
ルル先生にお礼を言って練習場を後にした。
「ゲルトさん、もう講習終わったかな」
長い廊下を通り受付の部屋に向う。
剣術講習、大人気だとリサさんが言っていたからまだ時間が掛かるかもしれない。
いっそ俺も講習受けに行こうかな、と思いついて俺はいつでも教えて貰えるんだから他の人の邪魔しちゃ駄目だと思い直した。
「ゲルトさん、人気あるんだなあ」
ギルドに来ると、離したそうにしてる人が沢山いるけどゲルトさんから声を掛けることって殆どないんだよね。
俺が一緒だから気を遣ってくれてるのかもしれないけれど、そんなに親しくしている人がいないのかもしれない。
「あ、ゲルトさ……ん」
部屋に入ると受付付近ではなく、食堂の前辺りにゲルトさんの姿が見えた。グレオ君とワルドさんは掲示板の方にいるのが見えた。
「誰かな」
ゲルトさんは二人の女の人と立ち話をしていた。
ゲルトさんは俺に背を向けて立っているから表情は分からないけれど、女の人達は凄く嬉しそうに話しをしている。
「スタイル良いし、美人だ」
ゲルトさんよりは年上に見えるけど、どちらも美人だった。
胸が大きくて、腰が細くて手足が長い大人の女の人だ。
俺といるより自然だ。
それが何よりショックだった。
俺といるゲルトさんは子守りと言われても仕方ない。
何せ俺の見た目は五歳児以下だ。
それをあんな素敵な人が抱っこして歩いてるんだから、子守りと言われても当然だ。
「ワルドさんに、ニルスさんの伝言伝えなきゃ」
ゲルトさんに声を掛ける勇気が無くて、だって楽しくお話してたのにとか思われたら立ち直れないから、フラフラした足取りで掲示板のワルドさんのところに向かった。
「ワルドさん、グレオ君」
「よお、ウヅキどうした」
「ウヅキ、元気か? 疲れてないか?」
「グレオ君は大丈夫? 俺はね元気だよ。今ねルル先生に魔法講習受けて来たところ」
「そっか、良かった。え、魔法講習?」
「うん、魔力の込め方が思い通りにいかないから」
「そっか、ウヅキ頑張るなぁ」
グレオ君がいつも通りに話しをしてくれて、安心しながらワルドさんに話を向けた。
「ワルドさん、今日ではなくてもいいんですが、近い内に時間取ってもらう事出来ますか? ニルスさんとお話しして欲しいんですが」
「ニルス会頭?」
「はい。ちょっと俺が作って欲しい物があって、ニルスさんに相談したら家でワルドさんと話をしたいと」
「お前が作って欲しい物について、ニルス会頭と話すのか?」
ワルドさんとグレオ君二人共不思議そうな顔をしてる。
「ええと、ちょっと面倒なお願いになるので、そのせいかな」
「そうか、明日はグレオと依頼を受ける約束してるから。今日ならいいぜ」
え、グレオ君ワルドさんと依頼受けるの?
驚いてグレオ君を見たら、何となく顔が赤くなっている。
昨日の件で仲良くなったのかな。
だったら、あんな一件でも結果的には良かったのかも?
ギルドに行くと丁度ルル先生がいて、「今から講習出来るわよ、でもその間ゲルトが剣術講習をやるならね」と言われて、お願いしてる立場なのに俺もゲルトさんの講習に混ざりたくてしかたなかった。
「俺もそろそろ杖使ったほうがいいですか?」
「そうねえ、あなたの場合は魔力を込め過ぎちゃうから、まだ無いほうがいいんじゃないかしら」
「そうですか」
「杖ってね、魔力の巡りを良くして魔法の威力を上げる他に、適性がない属性魔法を使いたい時に、杖に属性を持たせる事で使用する魔力を少なくする効果もあるのよ。でもウヅキ君は全属性の適性があるでしょう? 今日で初級はすべて覚えてしまったし。杖無しで威力も十分だから、今以上の威力が欲しいとかでない限り必要性は感じないわね。どうしてもと言うなら、癒やし力を持つの魔石が付いた杖くらいかしら」
「癒やしの魔石? 回復魔法の時に使う?」
なぜどうしてもで癒やしの魔石付きの杖なのか分からず首を傾げていると、ルル先生は俺の頭を撫でながら教えてくれた。
「そうよ。ゲルトとパーティーを組んだのだから、あなたの役割は魔法攻撃の他に補助魔法や回復魔法を使うという点になるわ」
「どちらも苦手です」
「あなた見た目より好戦的だものね。ワルドと戦った時もあの蹴りは容赦無かったわね。普通はもう少し躊躇するものだけど」
それは多分、自分が冒険者として認められたいという思いが強かったからだ。
後は喧嘩慣れしていたせいもあるし、この体の能力の高さもあると思う。
「まあ狼獣人の種族は好戦的な者が多いから、種族的なものかしらねえ。兎に角ゲルトとあなたの組み合わせで今後不足しそうなのが回復魔法と補助魔法なのよ。癒やしの魔石付きの杖ならそれを補えると思うの。ただあまり出回らないし、高価だからまずは階級を上げていくことね」
「はい。それを目標にします。ありがとうございます」
当面の目標が出来た。
魔法の勉強、練習、階級を上げる。
ルル先生にお礼を言って練習場を後にした。
「ゲルトさん、もう講習終わったかな」
長い廊下を通り受付の部屋に向う。
剣術講習、大人気だとリサさんが言っていたからまだ時間が掛かるかもしれない。
いっそ俺も講習受けに行こうかな、と思いついて俺はいつでも教えて貰えるんだから他の人の邪魔しちゃ駄目だと思い直した。
「ゲルトさん、人気あるんだなあ」
ギルドに来ると、離したそうにしてる人が沢山いるけどゲルトさんから声を掛けることって殆どないんだよね。
俺が一緒だから気を遣ってくれてるのかもしれないけれど、そんなに親しくしている人がいないのかもしれない。
「あ、ゲルトさ……ん」
部屋に入ると受付付近ではなく、食堂の前辺りにゲルトさんの姿が見えた。グレオ君とワルドさんは掲示板の方にいるのが見えた。
「誰かな」
ゲルトさんは二人の女の人と立ち話をしていた。
ゲルトさんは俺に背を向けて立っているから表情は分からないけれど、女の人達は凄く嬉しそうに話しをしている。
「スタイル良いし、美人だ」
ゲルトさんよりは年上に見えるけど、どちらも美人だった。
胸が大きくて、腰が細くて手足が長い大人の女の人だ。
俺といるより自然だ。
それが何よりショックだった。
俺といるゲルトさんは子守りと言われても仕方ない。
何せ俺の見た目は五歳児以下だ。
それをあんな素敵な人が抱っこして歩いてるんだから、子守りと言われても当然だ。
「ワルドさんに、ニルスさんの伝言伝えなきゃ」
ゲルトさんに声を掛ける勇気が無くて、だって楽しくお話してたのにとか思われたら立ち直れないから、フラフラした足取りで掲示板のワルドさんのところに向かった。
「ワルドさん、グレオ君」
「よお、ウヅキどうした」
「ウヅキ、元気か? 疲れてないか?」
「グレオ君は大丈夫? 俺はね元気だよ。今ねルル先生に魔法講習受けて来たところ」
「そっか、良かった。え、魔法講習?」
「うん、魔力の込め方が思い通りにいかないから」
「そっか、ウヅキ頑張るなぁ」
グレオ君がいつも通りに話しをしてくれて、安心しながらワルドさんに話を向けた。
「ワルドさん、今日ではなくてもいいんですが、近い内に時間取ってもらう事出来ますか? ニルスさんとお話しして欲しいんですが」
「ニルス会頭?」
「はい。ちょっと俺が作って欲しい物があって、ニルスさんに相談したら家でワルドさんと話をしたいと」
「お前が作って欲しい物について、ニルス会頭と話すのか?」
ワルドさんとグレオ君二人共不思議そうな顔をしてる。
「ええと、ちょっと面倒なお願いになるので、そのせいかな」
「そうか、明日はグレオと依頼を受ける約束してるから。今日ならいいぜ」
え、グレオ君ワルドさんと依頼受けるの?
驚いてグレオ君を見たら、何となく顔が赤くなっている。
昨日の件で仲良くなったのかな。
だったら、あんな一件でも結果的には良かったのかも?
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