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二人の冒険者4

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「まあ、俺達が考えても仕方ねえな。憶測にしかならん」
「そうですね」

 頷いて、そう言えば俺とワルドさんしか話していないと気がついた。
 町に戻るときは流石に会話しながらだったろうけれど、少しでも多く話したいよね。
 俺邪魔しちゃ駄目じゃないか。

「グレオ君」
「な、何?」

 ワルドさんの膝の上で固まってるグレオ君は、俺が急に名前を呼んだせいかぎょっとした顔で俺を見た。
 顔が赤いのはワルドさんの膝の上にいるせいか、それともさっき泣いたせいかどっちなんだろ。

「明日も薬草採取一緒に行ってくれる?」

 なんとかワルドさんを含めて会話をと思いながら、話題が思いつかずに気になっていたことを口にする。

 グレオ君はもう俺と一緒に依頼したくないかもしれない。
 俺余計なことしちゃったから、愛想尽かしたかも。
 俺が余計なことしなければ、グレオ君は下級昇級試験の手続きを保留にしなかったかもしれないんだから。

「ウヅキは俺とまだ一緒に行ってくれるのか?」

 不安そうにグレオ君が聞いてくるけど、俺は一緒に依頼を受けたい。

「もう勝手なことしないから、また一緒に依頼受けてくれる?」
「勝手なことって、ウヅキって馬鹿だなぁ」
「本当だな」

 グレオ君が、呆れたように俺を馬鹿だと言って、それにワルドさんまで頷いた。

「え、なんで馬鹿なの?」
「ウヅキは俺を助けようとしただけだろ。そりゃ驚いたし、何か滅茶苦茶落ち込みすぎて泣いちゃったけど。ああ、この年で泣くとか恥ずかしすぎだよ」
「そんなことないぞ、あれはなぁ。なんだ、色々ありすぎてそうなっちまったんだよ」

 ワルドさんが、物凄く不器用なフォローを入れてくれる。
 年下の俺に慰められたら、元気になるどころか逆に落ち込むだろうからワルドさんのフォローはありがたいけれど。

「色々ですか」
「そうだ、だいたいお前ら煙玉吸ったんだろ? 一般的に煙玉ってのはな、気持ちを乱す効果があんだよ。本来は魔物を煙で目眩まししてついでに混乱させる為のものだからよぉ。それ以外の目的のもあるが、大抵の煙玉にはそういう効果がついてんだよ」

 ワルドさんの説明に目を見張る。煙玉にそんな効果あったんだ知らなかったよ。 

「咳き込むだけじゃないんですか」
「ウヅキはその場を浄化したらしいが、それじゃ足りねえんだよ。煙吸って状態異常になったみてえなもんだから。気持ちの浮き沈みが激しくなっても仕方ねぇんだよ」
「浄化しても駄目なんですね」
「あぁ、煙吸い込んじまったんだろ? 浄化しても変わんねえな。だが明日には普通に戻ってるから、そこまで気にしなきゃならねえもんじゃねぇから安心しな」

 グレオ君の状態を鑑定すると、確かに情緒不安定と出た。
 でも、俺にはそれが無いのはなんでだろう。
 あ、そうか大神様の贈り物の身体堅固が多分頑張ったんだ。
 というか、俺の鑑定いつの間に部分鑑定出来るようになったんだろ。今グレオ君の状態が知りたいって思ったら、そこだけ見れたんだけど。
 レベル上がったんだろうか。

「じゃ、あの、俺おかしかったってことで、さっき泣いたのは忘れてくださいっ」
「ん? 俺か?」
「は、はい。ウヅキに助けてもらったのに、小さい子みたいに駄々をこねて、泣いたなんて恥ずかしすぎて」

 情緒不安定。そういえばそうだ。
 グレオ君の耳としっぽ、俺のみたいになってるもん。
 グレオ君、動きをコントロール出来てないんだ。

「小さい子? ああ、大丈夫だ。ウヅキなんざ大泣きした後泣きつかれて寝たからな」
「ワ、ワルドさんっ! それは言わなくていいじゃないですか!」

 なんで俺を引き合いに出すんだよ!
 プンッと膨れた俺を、ワルドさんは大笑いしたのだった。
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