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ギルドで魔法習得2
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「じゃあ講習が終わった頃に迎えに来るからの、頑張るんじゃぞ」
「はい、ニルスさん。ここまで付き合って頂いてありがとうございます。頑張って勉強して来ます」
ギルドの出入り口まで行ってニルスさんを見送ると、ニルスさんはにこにこ笑いながら手を振って去っていった。
今日は寝間着を買うつもりだったのに、それを俺の我儘で買わずに商会を出て、ギルドに付き合わせた挙げ句講習が始まる時間まで一緒にいてもらったんだから、迷惑掛けまくったことになる。
「はぁ、俺って駄目駄目だ」
ニルスさんは、美味しい卵料理をご馳走になったのだから気にすることないって言ってくれたけど、それを言葉通り受け取って善意に胡座をかいてたら駄目だ。
反省して、迷惑かけないようにしなきゃ。
「ウヅキさん、そろそろ講習が始まりますので練習場へどうぞ」
「あ、リサさんありがとうございます」
リサさんに呼ばれて慌てて練習場へと向う。
今日の講習は、俺の他に三人受ける人がいるらしい。
小走りで練習場へと辿り着き扉を開くと、まだ一人来ているだけだった。いや、講師らしい人は既に来てた。ヤバいっ!
「魔法講習を受講しますウヅキです。遅れて申し訳ありません。ご指導よろしくお願いします」
扉を閉めてすぐにそう言って頭を下げる。
俺の声を聞いて振り向いたのは、猫系っぽいしっぽの男の子と、人族なのかなと思う背の高い女性だった。
男の子の方は十代前半位に見えるけど、講師っぽい女性はいくつくらいだろう?
「丁寧な、挨拶ありがとう。私は本日の講師です。私の名前の発音は難しいのだからルルと呼んでね。ちなみに、まだ遅刻の時間ではないから大丈夫よ」
「はい、ありがとうございます」
話をしていたら鐘が鳴った。ギルドでは半刻毎に鐘がなるのだそうだ。
リサさんから遅刻厳禁と言われていたから、講師の先生っぽい後ろ姿に焦ったけれど間に合ったみたいだ。
「グレオ、他の人達はどうしました?」
「ええと、知り合いでもなんでもないから分からないよ」
猫っぽい獣人の子は、グレオって言うみたいだ。
そして今日初めてなのは俺だけ、みたいだ。ヤバい緊張してきた。
「そうですか。私は遅刻を認めないと初日に言った筈ですが。困ったものです」
ルル先生はそう言いながら扉に向かうと、鍵を掛けてしまった。
「え、ルルさん何してるんすか、これから二人来るんじゃないの?」
「教わる者が遅刻などありえないでしょう。護衛などの依頼を受けて遅刻したら依頼者を怒らせてしまう場合もあるのですよ。初級だからと甘やかしていたら悪い癖がついてしまいます。ちなみに受けられなくても回数には数えられますから」
そりゃそうだ。
ギルドは仕事を受けるための場所で、遊びに来てるんじゃないんだから遅刻は駄目だ。
「でも、講習の無料は三回分だけだって、そしたら講習途中で有料になっちまうじゃんか」
魔法講習は三回は最低受けないといけないとリサさんから説明された。
その三回はギルドの講習を無料で受けられるんだ。
でもそれ以上講習を受けたい場合は、一回あたり銀貨三枚払わないといけないし魔法使い希望の人は最低一つは魔法を覚えないと覚えるまで追加講習を受けないといけないらしい。
「無料だから遅刻していいと? あなた達は講習料金を払っていないかもしれませんが、ギルドから私には講師の依頼として料金が発生しているのですよ」
「だったら、教えなきゃいけないんじゃないのかよ」
「受付時に遅刻厳禁と言われている筈です。遅刻したら講習が受けられないこともあるとも言われている筈です。私はギルドから依頼を受ける際、遅刻者は講習参加を認めないと契約に入れていますし、ギルド側もそれを了承しています」
ルル先生の言い分は正論過ぎて、俺は何も言えずに二人のやり取りを見ているしかなかった。
「ほら、無駄な会話をしている暇はありませんよ。あなたは今日が最終日ですよ。何かしら魔法を覚えなければ魔法使いで活動するのが難しくなりますよ。追加講習は一回銀貨三枚。払いたくはないでしょう」
「うえっ。ルルさんの教え方が悪いんじゃ」
凄い。教わる立場でそんな事言っちゃうんだ。
俺、ちゃんと出来るかな。心配になってきた。
「今まで講習を受けた魔法使い志望者の中で魔法を覚えられなかった者はいませんよ。追加講習を受ける者は少なくありませんが、覚えられない者は皆無でした。まあ、あなたが覚えられない最初の者になるかもしれませんが」
「なんだよ。それ、ちゃんと教えてくれよ」
「教わりたいという姿勢が無い者には、いくら私が教えたくても教えられませんがね。ほら、あなたがグダグダ言っている時間で彼の学ぶ時間を奪っているのですよ。いい加減講習を開始させてくださいね」
そうそう。俺には重要な時間だよ。
魔法はすでに二つ習得していても、どうやって習得したのか分からないんだから。
基礎を学ぶのは大切だ、頑張ろう。
「はい、ニルスさん。ここまで付き合って頂いてありがとうございます。頑張って勉強して来ます」
ギルドの出入り口まで行ってニルスさんを見送ると、ニルスさんはにこにこ笑いながら手を振って去っていった。
今日は寝間着を買うつもりだったのに、それを俺の我儘で買わずに商会を出て、ギルドに付き合わせた挙げ句講習が始まる時間まで一緒にいてもらったんだから、迷惑掛けまくったことになる。
「はぁ、俺って駄目駄目だ」
ニルスさんは、美味しい卵料理をご馳走になったのだから気にすることないって言ってくれたけど、それを言葉通り受け取って善意に胡座をかいてたら駄目だ。
反省して、迷惑かけないようにしなきゃ。
「ウヅキさん、そろそろ講習が始まりますので練習場へどうぞ」
「あ、リサさんありがとうございます」
リサさんに呼ばれて慌てて練習場へと向う。
今日の講習は、俺の他に三人受ける人がいるらしい。
小走りで練習場へと辿り着き扉を開くと、まだ一人来ているだけだった。いや、講師らしい人は既に来てた。ヤバいっ!
「魔法講習を受講しますウヅキです。遅れて申し訳ありません。ご指導よろしくお願いします」
扉を閉めてすぐにそう言って頭を下げる。
俺の声を聞いて振り向いたのは、猫系っぽいしっぽの男の子と、人族なのかなと思う背の高い女性だった。
男の子の方は十代前半位に見えるけど、講師っぽい女性はいくつくらいだろう?
「丁寧な、挨拶ありがとう。私は本日の講師です。私の名前の発音は難しいのだからルルと呼んでね。ちなみに、まだ遅刻の時間ではないから大丈夫よ」
「はい、ありがとうございます」
話をしていたら鐘が鳴った。ギルドでは半刻毎に鐘がなるのだそうだ。
リサさんから遅刻厳禁と言われていたから、講師の先生っぽい後ろ姿に焦ったけれど間に合ったみたいだ。
「グレオ、他の人達はどうしました?」
「ええと、知り合いでもなんでもないから分からないよ」
猫っぽい獣人の子は、グレオって言うみたいだ。
そして今日初めてなのは俺だけ、みたいだ。ヤバい緊張してきた。
「そうですか。私は遅刻を認めないと初日に言った筈ですが。困ったものです」
ルル先生はそう言いながら扉に向かうと、鍵を掛けてしまった。
「え、ルルさん何してるんすか、これから二人来るんじゃないの?」
「教わる者が遅刻などありえないでしょう。護衛などの依頼を受けて遅刻したら依頼者を怒らせてしまう場合もあるのですよ。初級だからと甘やかしていたら悪い癖がついてしまいます。ちなみに受けられなくても回数には数えられますから」
そりゃそうだ。
ギルドは仕事を受けるための場所で、遊びに来てるんじゃないんだから遅刻は駄目だ。
「でも、講習の無料は三回分だけだって、そしたら講習途中で有料になっちまうじゃんか」
魔法講習は三回は最低受けないといけないとリサさんから説明された。
その三回はギルドの講習を無料で受けられるんだ。
でもそれ以上講習を受けたい場合は、一回あたり銀貨三枚払わないといけないし魔法使い希望の人は最低一つは魔法を覚えないと覚えるまで追加講習を受けないといけないらしい。
「無料だから遅刻していいと? あなた達は講習料金を払っていないかもしれませんが、ギルドから私には講師の依頼として料金が発生しているのですよ」
「だったら、教えなきゃいけないんじゃないのかよ」
「受付時に遅刻厳禁と言われている筈です。遅刻したら講習が受けられないこともあるとも言われている筈です。私はギルドから依頼を受ける際、遅刻者は講習参加を認めないと契約に入れていますし、ギルド側もそれを了承しています」
ルル先生の言い分は正論過ぎて、俺は何も言えずに二人のやり取りを見ているしかなかった。
「ほら、無駄な会話をしている暇はありませんよ。あなたは今日が最終日ですよ。何かしら魔法を覚えなければ魔法使いで活動するのが難しくなりますよ。追加講習は一回銀貨三枚。払いたくはないでしょう」
「うえっ。ルルさんの教え方が悪いんじゃ」
凄い。教わる立場でそんな事言っちゃうんだ。
俺、ちゃんと出来るかな。心配になってきた。
「今まで講習を受けた魔法使い志望者の中で魔法を覚えられなかった者はいませんよ。追加講習を受ける者は少なくありませんが、覚えられない者は皆無でした。まあ、あなたが覚えられない最初の者になるかもしれませんが」
「なんだよ。それ、ちゃんと教えてくれよ」
「教わりたいという姿勢が無い者には、いくら私が教えたくても教えられませんがね。ほら、あなたがグダグダ言っている時間で彼の学ぶ時間を奪っているのですよ。いい加減講習を開始させてくださいね」
そうそう。俺には重要な時間だよ。
魔法はすでに二つ習得していても、どうやって習得したのか分からないんだから。
基礎を学ぶのは大切だ、頑張ろう。
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