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俺のサイズとニルスさんの家のお孫ちゃん1
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ゲルトさんって俺に対して過保護だよなあ。
俺にとってゲルトさんは恋愛的な意味に好きな相手だけれど、ゲルトさんにとっては保護したい子供でしかないんだろう。
ゲルトさんは自分の太ももを跨ぐように俺を座らせて、体面な体勢で俺を抱っこしながら話をすることがある。
さっきもそうだ。
あれって、それなりの年齢の二人なら色っぽい展開になる体勢だと思う。
だけど、悲しいかな俺は子供の年齢で、俺がいくらゲルトさんを好きでも彼にとっては恋愛対象外の存在でしかない。
だからさっきも、俺にとってはドキドキハラハラの甘い体勢でも、ゲルトさんにとっては幼い俺を心配する状態でしかなかった。
はあ。
「ニルスさん、あの。俺」
ニルスさんとゲルトさんと一緒に家を出て暫く歩いた後、ゲルトさんは後ろ髪引かれた様子をしながら、ギルドの方へ歩いていった。
それを見送ってから俺はニルスさんと二人、商会があるという町の中央通りに向かって歩きだした。
この町は、今まで旅の途中で立ち寄った町に比べたらかなり栄えていると思う。
なんていうか、今までの町とは違う空気を感じるんだよね。どうしてだろう。
なんていうか活気があるんだよこの町は、それに身奇麗な人が多い気がする。つまりこの町の人達は裕福な人が多いんだ。
裕福な人達が多いなら、食事にもお金を掛けるんじゃないかな。
わざわざ遠いところから高いジャムを取り寄せて、それでも売れるくらいお金に余裕がある人達がいるってことだもんね。
だけれど作り方を知らないんだよね。
「どうしたのかの」
「俺が知っている料理、それをニルスさんに教えたら役に立てないでしょうか」
ゲルトさんに俺が作った料理を食べて欲しいという気持ちも大きいけれど、ニルスさん達の役に立ちたいという気持ちも同じくらいあるんだ。
「ウヅキ君。私は商人だからのぉ、己が得できるならそうしたいと思うがの」
「はい」
不安になりながら俺はニルスさんを見つめる。
「何故料理を教えてたら役に立てると考えたか、教えてはくれんかの」
「ニルスさんの商会では色々な物を取り扱っていると、ロッタさんに聞きました。食堂とか宿もやっているって」
「確かに様々な物を扱っているがの」
「ニルスさん達とこの町まで旅をしてきて、色々な町や村に行きましたよね。そしてこの町に来ました。俺、この町は凄く活気があって町の人達があの、凄く綺麗な恰好をしているなって思ったんです」
こういう言い方って子供らしくないのかな。でも、今更止められない。
「お金が無ければ綺麗な恰好は出来ないと思うんです。そしてお金がある人なら美味しいものを食べたいと思って、それがすぐに手に入るなら躊躇わないんじゃないかなって思ったんです」
「なるほど。確かに商会にジャムを買おうとする方々はそう考えていて、食にお金を掛けられるだけの余裕がある方々じゃのう」
ニルスさんは俺の手を引き歩きながら、小さく頷いている。
「そうか、ウヅキ君はジャムは苺以外の果物でも出来ると言っていたのう。だが私達はジャムは苺で作るものだと思い込まされておった。卵もあんな食べ方があることすら知らなかったのう。茹でるかスープに落とすか以外の食べ方なんぞあるとは考えもしなかったからのう」
「料理って煮ると焼く以外に、蒸気で蒸すとか炒めるとか、油で揚げるとかあるんです。卵料理だってもっと色んな食べ方があるんですよ。そういうのを出す食堂。ニルスさんの商会の食堂でそういうものを出したらお金少しくらい高くてもお客さんは喜んでくれるんじゃないかなって、あの、そう思って」
余計なことだったとは思う。
俺の知っている料理は、この世界だとかなり高いと思うし。
だって、胡椒とか使うから。
「そこまで考えてくれたのかの。ウヅキ君ありがとう。でも無理しなくていいんじゃよ」
「無理じゃないです。だってお腹がいっぱいに美味しいもの食べられるは幸せだって思うから」
「そうさの。そうさの、美味しいものを食べるのは幸せじゃの」
ニルスさんは、俺の考えを良いとも悪いとも言わずそう言ったのだった。
俺にとってゲルトさんは恋愛的な意味に好きな相手だけれど、ゲルトさんにとっては保護したい子供でしかないんだろう。
ゲルトさんは自分の太ももを跨ぐように俺を座らせて、体面な体勢で俺を抱っこしながら話をすることがある。
さっきもそうだ。
あれって、それなりの年齢の二人なら色っぽい展開になる体勢だと思う。
だけど、悲しいかな俺は子供の年齢で、俺がいくらゲルトさんを好きでも彼にとっては恋愛対象外の存在でしかない。
だからさっきも、俺にとってはドキドキハラハラの甘い体勢でも、ゲルトさんにとっては幼い俺を心配する状態でしかなかった。
はあ。
「ニルスさん、あの。俺」
ニルスさんとゲルトさんと一緒に家を出て暫く歩いた後、ゲルトさんは後ろ髪引かれた様子をしながら、ギルドの方へ歩いていった。
それを見送ってから俺はニルスさんと二人、商会があるという町の中央通りに向かって歩きだした。
この町は、今まで旅の途中で立ち寄った町に比べたらかなり栄えていると思う。
なんていうか、今までの町とは違う空気を感じるんだよね。どうしてだろう。
なんていうか活気があるんだよこの町は、それに身奇麗な人が多い気がする。つまりこの町の人達は裕福な人が多いんだ。
裕福な人達が多いなら、食事にもお金を掛けるんじゃないかな。
わざわざ遠いところから高いジャムを取り寄せて、それでも売れるくらいお金に余裕がある人達がいるってことだもんね。
だけれど作り方を知らないんだよね。
「どうしたのかの」
「俺が知っている料理、それをニルスさんに教えたら役に立てないでしょうか」
ゲルトさんに俺が作った料理を食べて欲しいという気持ちも大きいけれど、ニルスさん達の役に立ちたいという気持ちも同じくらいあるんだ。
「ウヅキ君。私は商人だからのぉ、己が得できるならそうしたいと思うがの」
「はい」
不安になりながら俺はニルスさんを見つめる。
「何故料理を教えてたら役に立てると考えたか、教えてはくれんかの」
「ニルスさんの商会では色々な物を取り扱っていると、ロッタさんに聞きました。食堂とか宿もやっているって」
「確かに様々な物を扱っているがの」
「ニルスさん達とこの町まで旅をしてきて、色々な町や村に行きましたよね。そしてこの町に来ました。俺、この町は凄く活気があって町の人達があの、凄く綺麗な恰好をしているなって思ったんです」
こういう言い方って子供らしくないのかな。でも、今更止められない。
「お金が無ければ綺麗な恰好は出来ないと思うんです。そしてお金がある人なら美味しいものを食べたいと思って、それがすぐに手に入るなら躊躇わないんじゃないかなって思ったんです」
「なるほど。確かに商会にジャムを買おうとする方々はそう考えていて、食にお金を掛けられるだけの余裕がある方々じゃのう」
ニルスさんは俺の手を引き歩きながら、小さく頷いている。
「そうか、ウヅキ君はジャムは苺以外の果物でも出来ると言っていたのう。だが私達はジャムは苺で作るものだと思い込まされておった。卵もあんな食べ方があることすら知らなかったのう。茹でるかスープに落とすか以外の食べ方なんぞあるとは考えもしなかったからのう」
「料理って煮ると焼く以外に、蒸気で蒸すとか炒めるとか、油で揚げるとかあるんです。卵料理だってもっと色んな食べ方があるんですよ。そういうのを出す食堂。ニルスさんの商会の食堂でそういうものを出したらお金少しくらい高くてもお客さんは喜んでくれるんじゃないかなって、あの、そう思って」
余計なことだったとは思う。
俺の知っている料理は、この世界だとかなり高いと思うし。
だって、胡椒とか使うから。
「そこまで考えてくれたのかの。ウヅキ君ありがとう。でも無理しなくていいんじゃよ」
「無理じゃないです。だってお腹がいっぱいに美味しいもの食べられるは幸せだって思うから」
「そうさの。そうさの、美味しいものを食べるのは幸せじゃの」
ニルスさんは、俺の考えを良いとも悪いとも言わずそう言ったのだった。
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