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塩とバターで卵を焼いて1
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「お芋と玉ねぎの皮剥き終わりました」
「ありがとうございます」
「これ、俺が切ってもいいですか? 両方スープに使うんでしょうか」
大きな鍋がスープ用に準備されている。
木の椀にはさっきロッタさんが作ったというバターが、沢山入っている。
「玉ねぎは薄く切って、お芋は一口大ですが大丈夫ですか?」
「はい。じゃあ玉ねぎから切りますね」
鍋は大きすぎて俺には扱えないから、炒める順番に切って行こう。
「はい、お願いします」
「はい」
サクサクと玉ねぎを薄切りにして、籠に入れる。
お芋は一口サイズに切って、水を張った鍋に戻す。
「お芋も切れました」
「ありがとうございます」
「もう水を切っていいですか」
「あ、はい」
玉ねぎをバターで炒めているロッタさんは、こちらを見ずに返事をする。
この家は大きな竈があって、煮物も焼き物も作れるらしい。
パンは石窯で焼くのだそうだ。
「お芋です」
ザルにお芋を入れて、ロッタさんに手渡す。
沢山お芋が入ったザルは重いけれど、でも何故か余裕で持てる。
「ありがとうございます」
「あと、何をしますか?」
「では、腸詰めを一口大に切っていただいても」
「これもスープですか?」
「はい。今朝はパンとスープと坊ちゃまが作られる卵料理、後は生野菜をサラダにしますので、スープは牛乳と腸詰めを入れて食べごたえがあるものにしようかと」
「美味しそうです!」
この世界には牛も豚も鶏も食用で飼われているらしいけれど、卵はコケッコという鶏の二倍位の大きさの魔物の物を使う方が多いらしい。
ちなみに牛乳は牛の乳と言ったり、牛乳と言ったりするようだ。
「ふふふ。私も牛乳を沢山いれたスープが大好きなんですよ。腸詰めは商会で扱っているものですから、上等なものですよ。茹でて食べると皮がパリッとして中は肉汁たっぷりで美味しいんですよ」
「わぁっ」
ロッタさんの話を聞いているだけで美味しそうでお腹が空いてくる。
パンは焼き立てのものだし、凄く贅沢な朝ごはんだと思う。
「ニルスさんの商会は食べ物を沢山扱っているんですよね、旅の間にニルスさんに聞きました」
「食べ物も服も雑貨も何でも扱っていますね。大きな商会ですから」
「そうなんですね」
今日はニルスさんと商会に行って、寝間着を買うんだ。
始めて寝間着を着て寝るの楽しみだ。
普通の人みたいだよね、ずっと憧れてた寝間着。
「さて、後は暫く煮てお芋に火が入ったら腸詰めを入れますね」
「じゃあ、使った道具を浄化」
卵はスープが出来上がってから焼き始めればいいかな、じゃあ次はサラダだ。
「サラダの野菜はどれですか?」
「サラダの準備は終わっていますので、スープが煮えるまで暫くお待ち下さいませ。坊ちゃま、お腹はすいていませんか」
「えと、大丈夫です」
本当は少しお腹すいてるけど、そう言うのが恥ずかしくてこう答えてしまう。
動いた後だからお腹はそりゃすいてるんだけどね。
「良かったら果物等いかがかと思ったのですが」
「果物?」
「はい、まだスープが煮上がるまで四半刻程掛りますし」
「そう、です、ね」
「少し時期が早いので酸味が強いかもしれませんが」
赤の実って、マリアさんが食べさせてくれた果物だ。
「あの、お砂糖とバター使ってもいいですか?」
「砂糖ですか?」
「はい」
「勿論大丈夫ですよ」
「じゃあ、あの、俺赤の実を煮てみたいです」
「煮る?」
「はい」
林檎に似た味の赤の実、昔奥さんがよく作ってくれた林檎の甘煮にしたらどうかなって思ったんだ。
「良く分かりませんが、どうぞ」
「ありがとうございます」
赤の実を水を出して洗い、イチョウ切り? にする。
「俺、火って」
竈は俺の身長だと難しい気がする。
そういえば、どうやって卵焼き作ろう。
「ああ、こちらで使えます」
ロッタさんが指さしたのは、暖炉? だった。
「こうして、火を前に出して。危ないのでここから先には足を入れないで下さいね」
「はい」
ロッタさんは暖炉の前の石が敷いてある部分に燃えている薪を少し、移し小さなたき火を作ってくれた。
暖炉には鍋等を吊り下げておける様になっているから、ここでも煮炊きが出来るんだろう。
「この上に焼き鍋を置いてください」
「はい」
鉄製の鍋置き、とでも言えば良いのかな?
脚付きの台は鍋を置いて火に掛けられる様に、枠だけになっている。理科の実験で火を使うときに金網のせてた三脚に似てるけど、あれよりはかなりしっかりした作りだ。
「バター入れて、赤の実も入れて」
「焼くんですね」
「はい、焦げない様に炒めて、何となく火が通ってきたら砂糖」
砂糖は高価らしいから、少しだけ使う。
バターの香りと砂糖の少し焦げかけた匂いが美味しそう。
ごくんと喉が鳴る。
「味見してください」
頃合いを見て焼き鍋を火から外して、そのままロッタさんの方へ向ける。
「いいんですか?」
「はい」
ロッタさんは、慎重にフォークで刺した赤の実を一切れ口にする。
「美味しい。バターの香りがして、甘くて赤の実の酸味がとても美味しいです」
「良かった」
火から下ろして赤の実を器に移す。
焼き鍋は浄化で綺麗にする。
焼き焦げしやすいかなって心配だったけれど、上手に焼けそうだ。
「これなら酸っぱくて食べにくい時も、美味しく食べられそうですね」
「ニルスさん達に気に入ってもらえるかな」
「ええ、きっと。さ。坊っちゃんも食べてください」
ロッタさんがにっこり笑ってくれたから、俺は安心して
赤の実をくちにしたのたった。
「ありがとうございます」
「これ、俺が切ってもいいですか? 両方スープに使うんでしょうか」
大きな鍋がスープ用に準備されている。
木の椀にはさっきロッタさんが作ったというバターが、沢山入っている。
「玉ねぎは薄く切って、お芋は一口大ですが大丈夫ですか?」
「はい。じゃあ玉ねぎから切りますね」
鍋は大きすぎて俺には扱えないから、炒める順番に切って行こう。
「はい、お願いします」
「はい」
サクサクと玉ねぎを薄切りにして、籠に入れる。
お芋は一口サイズに切って、水を張った鍋に戻す。
「お芋も切れました」
「ありがとうございます」
「もう水を切っていいですか」
「あ、はい」
玉ねぎをバターで炒めているロッタさんは、こちらを見ずに返事をする。
この家は大きな竈があって、煮物も焼き物も作れるらしい。
パンは石窯で焼くのだそうだ。
「お芋です」
ザルにお芋を入れて、ロッタさんに手渡す。
沢山お芋が入ったザルは重いけれど、でも何故か余裕で持てる。
「ありがとうございます」
「あと、何をしますか?」
「では、腸詰めを一口大に切っていただいても」
「これもスープですか?」
「はい。今朝はパンとスープと坊ちゃまが作られる卵料理、後は生野菜をサラダにしますので、スープは牛乳と腸詰めを入れて食べごたえがあるものにしようかと」
「美味しそうです!」
この世界には牛も豚も鶏も食用で飼われているらしいけれど、卵はコケッコという鶏の二倍位の大きさの魔物の物を使う方が多いらしい。
ちなみに牛乳は牛の乳と言ったり、牛乳と言ったりするようだ。
「ふふふ。私も牛乳を沢山いれたスープが大好きなんですよ。腸詰めは商会で扱っているものですから、上等なものですよ。茹でて食べると皮がパリッとして中は肉汁たっぷりで美味しいんですよ」
「わぁっ」
ロッタさんの話を聞いているだけで美味しそうでお腹が空いてくる。
パンは焼き立てのものだし、凄く贅沢な朝ごはんだと思う。
「ニルスさんの商会は食べ物を沢山扱っているんですよね、旅の間にニルスさんに聞きました」
「食べ物も服も雑貨も何でも扱っていますね。大きな商会ですから」
「そうなんですね」
今日はニルスさんと商会に行って、寝間着を買うんだ。
始めて寝間着を着て寝るの楽しみだ。
普通の人みたいだよね、ずっと憧れてた寝間着。
「さて、後は暫く煮てお芋に火が入ったら腸詰めを入れますね」
「じゃあ、使った道具を浄化」
卵はスープが出来上がってから焼き始めればいいかな、じゃあ次はサラダだ。
「サラダの野菜はどれですか?」
「サラダの準備は終わっていますので、スープが煮えるまで暫くお待ち下さいませ。坊ちゃま、お腹はすいていませんか」
「えと、大丈夫です」
本当は少しお腹すいてるけど、そう言うのが恥ずかしくてこう答えてしまう。
動いた後だからお腹はそりゃすいてるんだけどね。
「良かったら果物等いかがかと思ったのですが」
「果物?」
「はい、まだスープが煮上がるまで四半刻程掛りますし」
「そう、です、ね」
「少し時期が早いので酸味が強いかもしれませんが」
赤の実って、マリアさんが食べさせてくれた果物だ。
「あの、お砂糖とバター使ってもいいですか?」
「砂糖ですか?」
「はい」
「勿論大丈夫ですよ」
「じゃあ、あの、俺赤の実を煮てみたいです」
「煮る?」
「はい」
林檎に似た味の赤の実、昔奥さんがよく作ってくれた林檎の甘煮にしたらどうかなって思ったんだ。
「良く分かりませんが、どうぞ」
「ありがとうございます」
赤の実を水を出して洗い、イチョウ切り? にする。
「俺、火って」
竈は俺の身長だと難しい気がする。
そういえば、どうやって卵焼き作ろう。
「ああ、こちらで使えます」
ロッタさんが指さしたのは、暖炉? だった。
「こうして、火を前に出して。危ないのでここから先には足を入れないで下さいね」
「はい」
ロッタさんは暖炉の前の石が敷いてある部分に燃えている薪を少し、移し小さなたき火を作ってくれた。
暖炉には鍋等を吊り下げておける様になっているから、ここでも煮炊きが出来るんだろう。
「この上に焼き鍋を置いてください」
「はい」
鉄製の鍋置き、とでも言えば良いのかな?
脚付きの台は鍋を置いて火に掛けられる様に、枠だけになっている。理科の実験で火を使うときに金網のせてた三脚に似てるけど、あれよりはかなりしっかりした作りだ。
「バター入れて、赤の実も入れて」
「焼くんですね」
「はい、焦げない様に炒めて、何となく火が通ってきたら砂糖」
砂糖は高価らしいから、少しだけ使う。
バターの香りと砂糖の少し焦げかけた匂いが美味しそう。
ごくんと喉が鳴る。
「味見してください」
頃合いを見て焼き鍋を火から外して、そのままロッタさんの方へ向ける。
「いいんですか?」
「はい」
ロッタさんは、慎重にフォークで刺した赤の実を一切れ口にする。
「美味しい。バターの香りがして、甘くて赤の実の酸味がとても美味しいです」
「良かった」
火から下ろして赤の実を器に移す。
焼き鍋は浄化で綺麗にする。
焼き焦げしやすいかなって心配だったけれど、上手に焼けそうだ。
「これなら酸っぱくて食べにくい時も、美味しく食べられそうですね」
「ニルスさん達に気に入ってもらえるかな」
「ええ、きっと。さ。坊っちゃんも食べてください」
ロッタさんがにっこり笑ってくれたから、俺は安心して
赤の実をくちにしたのたった。
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