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冒険者登録4
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「なんだと」
「それに、俺が誰とパーティーを組もうとお前に何か言われる必要等ないし、お前が納得しようとしまいと俺には関係ない」
ゲルトさんは冷たく言い切ると、俺を抱き上げたまま奥の部屋へと歩き始めてしまった。
「ゲルトさん」
「気にすることはない。冒険者なんてあんな奴らばかりだ、気にしていたらきりがない」
「でも」
「ウヅキさん、お気持ちは分かりますがまずは鑑定を終わらせてしまいましょう。今日のウヅキさんは登録する為に三人でいらっしゃったんですから」
俺がゲルトさんとワルドさんの件を気にしていると、リサさんがそう声を掛けてくれた。
「はい。お騒がせして申し訳ありません」
「気になさらないで下さい。冒険者ギルドはほぼ毎日騒がしいですから」
「ありがとうございます」
リサさん優しいな。
俺はリサさんの気遣いに慰められながら、ゲルトさんに連れられて部屋の中へと入った。
「こちらにお掛けください。ウヅキさんの能力は保証人になられたお二人へ開示できますが、ご覧になりますか」
「ウヅキ君が私達に見せてもいいなら、そうさせて貰おうかのう」
「ウヅ」
「あ、あの大丈夫です」
どうしよう、大丈夫と言いながら不安になる。
さっきはワルドさんの能力を見たから自信あったけど、あの人が凄く低い能力の人だったりしないのかな。
でも、俺の能力は低くないはずだよね、神様が俺が冒険者として生きていけるよう力をくれたんだから。
魔法はまだ生活魔法しか覚えていないけれど、体力と魔力は多いはずだから呆れられたりはしない筈、だよね?
「では、ウヅキさん魔道具の上に両手で触れてください」
椅子に座った俺の前に大きな黒い玉、バレーボールくらいの大きさのものが箱に固定されている物を置いたリサさんは、それに触れる様に言った。
「はい」
隠蔽の設定は大丈夫。
隠蔽の能力を確認してから、俺は恐る恐るそれに両手で触れた。
一瞬静電気みたいな衝撃を受けたけれど、その後は何もなく、リサさんは無言で黒い玉に映し出された情報を俺達に見せてくれたんだ。
名前:ウヅキ
年齢:十歳
種族:狼獣人族
レベル:22
体力:3000/3000
魔力:2500/2500
職業:なし
魔法属性:全属性(光、闇、火、水、氷、風、土)
習得魔法:生活魔法(水、火、浄化)、防御壁(レベル最上位無詠唱)
習得技:蹴り(レベル中)、瞬殺(レベル下の上)、棒術(レベル下)、投石(レベル中の上)、素材奪取(レベル中)
「これは」
「なんと」
二人の反応がどういう意味なのか分からないけれど、リサさんは何故か心配そうに俺を見ている気がする。
「あの、登録は大丈夫ですか? 俺、登録しても大丈夫ですか、魔力とか体力とかって低いですか」
「え、はい。問題ございません。魔力も体力も低くありませんよ」
「良かった」
ホッとした俺は、黙り込んだ二人の方へそっと視線を移した。
なんで黙ってるんだろ、俺の能力思ってたより低かったのかな。
リサさんは魔力も体力も低くないって言ってくれたけれど、実際はどうなんだろう。
狼獣人のレベル22ならもっと高くてもとか、思われてるのかな。
料理とかも隠蔽しちゃってるけど、役に立てると見せたほうが良かったのかも。
「ウヅキさん」
「はい」
「こちらの能力について、ご説明が必要なものはございますか」
「あの、良く分からないので簡単に全部お願いしてもいいですか」
「畏まりました。まずお名前、年齢、種族はご理解されていらっしゃると思います。ウヅキさんは年齢十歳であると確認出来ましたので冒険者登録可能です。レベルは22とありますので、同じ年頃の方に比べてかなり高レベルだと思います。種族にもよりますが、鍛えていなければレベルと年齢はほぼ同じか少し上と言うのが一般的です」
「そうなんですか」
俺、最初レベル1でスライムとか倒し続けて上がったんだよな。
「体力と魔力もかなり多いかと思いますが、これはレベルから考えますと……低くない、むしろ高すぎる気がしますね」
「え」
「ウヅキさん、僭越ですが今まで生命の危機に陥った経験が何度かおありですか?」
生命の危機。
そもそもこの世界に来たのは、生命の危機というより死んでしまったからだ。
それ以外を考えると、確かに何度か栄誉不足で倒れたことあるし、それ以外にも何度か死にかけた。
店長と奥さんのお陰で生きてたってのは間違いないし、俺割と最後の最後で誰かが気が付いて助けてくれるってこと何度かあったんだよなあ。
「ええと、何度か」
これ何の確認なんだろう。
冒険者になるための確認なら、嘘は言えないから答えるけど。
戸惑いながらそう答えると、リサさんはやっぱりと呟いた。
「子供でレベル以上の体力と魔力の持ち主は、幼い頃に生命の危機に陥った方が多いとされています。体を守るために魔力量が極端に上がり、それにつられて体力も上がるというのが定説です」
「そうなんですね。分かりました」
大神様、それを分かってたから体力と魔力を高くしていたとか?
あの過保護な方ならありえそうな話だ。
でも高い分には問題ないよね。
「ウヅキさん?」
「え、あ、ええと。低いよりはいいかなって、思うんじゃ駄目ですか」
俺の考え方間違ってるんだろうか。
「坊主は面白いな、そんなお前にこれから実技試験をやることにする。みんなの前で試験、受けられるか?」
「ギルドマスター」
「え」
突然扉を開け入ってきたのは、物凄く大きな人だったんだ。
「それに、俺が誰とパーティーを組もうとお前に何か言われる必要等ないし、お前が納得しようとしまいと俺には関係ない」
ゲルトさんは冷たく言い切ると、俺を抱き上げたまま奥の部屋へと歩き始めてしまった。
「ゲルトさん」
「気にすることはない。冒険者なんてあんな奴らばかりだ、気にしていたらきりがない」
「でも」
「ウヅキさん、お気持ちは分かりますがまずは鑑定を終わらせてしまいましょう。今日のウヅキさんは登録する為に三人でいらっしゃったんですから」
俺がゲルトさんとワルドさんの件を気にしていると、リサさんがそう声を掛けてくれた。
「はい。お騒がせして申し訳ありません」
「気になさらないで下さい。冒険者ギルドはほぼ毎日騒がしいですから」
「ありがとうございます」
リサさん優しいな。
俺はリサさんの気遣いに慰められながら、ゲルトさんに連れられて部屋の中へと入った。
「こちらにお掛けください。ウヅキさんの能力は保証人になられたお二人へ開示できますが、ご覧になりますか」
「ウヅキ君が私達に見せてもいいなら、そうさせて貰おうかのう」
「ウヅ」
「あ、あの大丈夫です」
どうしよう、大丈夫と言いながら不安になる。
さっきはワルドさんの能力を見たから自信あったけど、あの人が凄く低い能力の人だったりしないのかな。
でも、俺の能力は低くないはずだよね、神様が俺が冒険者として生きていけるよう力をくれたんだから。
魔法はまだ生活魔法しか覚えていないけれど、体力と魔力は多いはずだから呆れられたりはしない筈、だよね?
「では、ウヅキさん魔道具の上に両手で触れてください」
椅子に座った俺の前に大きな黒い玉、バレーボールくらいの大きさのものが箱に固定されている物を置いたリサさんは、それに触れる様に言った。
「はい」
隠蔽の設定は大丈夫。
隠蔽の能力を確認してから、俺は恐る恐るそれに両手で触れた。
一瞬静電気みたいな衝撃を受けたけれど、その後は何もなく、リサさんは無言で黒い玉に映し出された情報を俺達に見せてくれたんだ。
名前:ウヅキ
年齢:十歳
種族:狼獣人族
レベル:22
体力:3000/3000
魔力:2500/2500
職業:なし
魔法属性:全属性(光、闇、火、水、氷、風、土)
習得魔法:生活魔法(水、火、浄化)、防御壁(レベル最上位無詠唱)
習得技:蹴り(レベル中)、瞬殺(レベル下の上)、棒術(レベル下)、投石(レベル中の上)、素材奪取(レベル中)
「これは」
「なんと」
二人の反応がどういう意味なのか分からないけれど、リサさんは何故か心配そうに俺を見ている気がする。
「あの、登録は大丈夫ですか? 俺、登録しても大丈夫ですか、魔力とか体力とかって低いですか」
「え、はい。問題ございません。魔力も体力も低くありませんよ」
「良かった」
ホッとした俺は、黙り込んだ二人の方へそっと視線を移した。
なんで黙ってるんだろ、俺の能力思ってたより低かったのかな。
リサさんは魔力も体力も低くないって言ってくれたけれど、実際はどうなんだろう。
狼獣人のレベル22ならもっと高くてもとか、思われてるのかな。
料理とかも隠蔽しちゃってるけど、役に立てると見せたほうが良かったのかも。
「ウヅキさん」
「はい」
「こちらの能力について、ご説明が必要なものはございますか」
「あの、良く分からないので簡単に全部お願いしてもいいですか」
「畏まりました。まずお名前、年齢、種族はご理解されていらっしゃると思います。ウヅキさんは年齢十歳であると確認出来ましたので冒険者登録可能です。レベルは22とありますので、同じ年頃の方に比べてかなり高レベルだと思います。種族にもよりますが、鍛えていなければレベルと年齢はほぼ同じか少し上と言うのが一般的です」
「そうなんですか」
俺、最初レベル1でスライムとか倒し続けて上がったんだよな。
「体力と魔力もかなり多いかと思いますが、これはレベルから考えますと……低くない、むしろ高すぎる気がしますね」
「え」
「ウヅキさん、僭越ですが今まで生命の危機に陥った経験が何度かおありですか?」
生命の危機。
そもそもこの世界に来たのは、生命の危機というより死んでしまったからだ。
それ以外を考えると、確かに何度か栄誉不足で倒れたことあるし、それ以外にも何度か死にかけた。
店長と奥さんのお陰で生きてたってのは間違いないし、俺割と最後の最後で誰かが気が付いて助けてくれるってこと何度かあったんだよなあ。
「ええと、何度か」
これ何の確認なんだろう。
冒険者になるための確認なら、嘘は言えないから答えるけど。
戸惑いながらそう答えると、リサさんはやっぱりと呟いた。
「子供でレベル以上の体力と魔力の持ち主は、幼い頃に生命の危機に陥った方が多いとされています。体を守るために魔力量が極端に上がり、それにつられて体力も上がるというのが定説です」
「そうなんですね。分かりました」
大神様、それを分かってたから体力と魔力を高くしていたとか?
あの過保護な方ならありえそうな話だ。
でも高い分には問題ないよね。
「ウヅキさん?」
「え、あ、ええと。低いよりはいいかなって、思うんじゃ駄目ですか」
俺の考え方間違ってるんだろうか。
「坊主は面白いな、そんなお前にこれから実技試験をやることにする。みんなの前で試験、受けられるか?」
「ギルドマスター」
「え」
突然扉を開け入ってきたのは、物凄く大きな人だったんだ。
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