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一緒に旅しよう2
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「マリアさん、俺十歳には見えないってさっき言われましたけれど、年齢を知らなければ俺って幾つ位に見えるんでしょうか?」
十歳には見えないとさっき言われたけれど、どれだけ幼く見えるんだろう。
目の前の焚き火を鑑定しながらマリアさんに尋ねると、頭の中に、焚き火:枯れ枝を集めて火をつけている。と出た。
鑑定は会話しながらも出来るみたいだな。
うっかり鑑定結果を話したりしない様に気を付けなくちゃ。
「幾つ? そうねえ、狼獣人の子供なら五、六歳かしら。人族ならもう少し上になるかもしれないけれど」
種族によって成長速度って違うのか。
それにしても、狼獣人なら五、六歳って俺幼稚園児的な感じの大きさなの?
神様に十歳と言われて、俺は前世の十歳の体形位だと思ってたんだけどそう言えば俺、小学校卒業頃に小学三年生位の体重だって言われてたんだっけ、あの頃はチビだったしガリガリだった。
もし今の体形があの頃の状態だったら、心配されても仕方ないのかな。
「冒険者は種族によってなれる年齢が違ったりしますか」
「それはない。全種族十歳からだ」
ゲルトさんが教えてくれる。
見た目だけで幼いと判断されても、実年齢が十歳なら問題ない気がするんだけどその辺りどうなんだろ。
「十歳って証明できる物が無くても、受け付けて貰えますか」
「それはギルドの装置で分かるはずだが、本当にウヅキ君は冒険者になりたいのかのう」
ニルスさんが、鼻の頭を掻きながら話している。
その仕草が店長みたいで、まだそう時間が過ぎてるわけじゃないのに懐かしく感じてしまう。
「はい、俺冒険者になります」
冒険者になりなさいと神様が言ったのは、この世界に保護者がいない俺が一人で生きていくためにお金を手っ取り早く稼ぐ方法を教えてくれたんだろう。
日本でバイトを探す時苦労したのは、年齢と学校の許可とりだった。
ちょっと大手だと、働く為の保証人も必要だったりして、もの凄く大変だったんた。
簡単に保証人を確保できる奴ばかりだと思うなよって、あの頃の俺は思ってたけれど。
未成年だったら親が保証人になるんだろうから、それを会社が望むのは間違った事じゃなかったんだろう。
この世界そういうのに厳しいかどうか分からないけれど、親のいない子供が一人で生きていくのはきっとこの世界でもハードなことだと思う。
「ウヅキ君は計算が出来ると言ったわね」
「得意だと思います」
店長が暗算は出来た方がいいと、小学生の頃そろばんを教えてくれた。
それからはアパートで母さんがいない時は、店長が作ってくれた問題をひたすら頭の中のそろばんで計算をしていた。
「じゃあ、赤の実一個が銅貨三枚、パンが一個銅貨二枚だとしたら、それぞれ三個ずつ買うには銅貨が何枚必要かわかる?」
「赤の実が銅貨九枚、パンが銅貨六枚なので全部で銅貨十五枚です」
「じゃあそれぞれ五個買ったら、合計から銅貨三枚安くしてくれると言ったら?」
「赤の実が十五枚、パンが十枚で合計が銅貨二十五枚、そこから三枚引いて、銅貨二十二枚です」
あんまり簡単な計算で逆に戸惑う。
俺が子供だからこんなに簡単な問題なのかな、気を遣わせてる?
「じゃあ、赤の実十個、パンを十五個、それに一個銅貨四枚の木ノ実を六個と一袋銅貨七枚の干し肉三個も買う場合は幾らになるかしら?」
「ええと、赤の実が銅貨三十枚、パンが銅貨三十枚、木ノ実が銅貨二十四枚、干し肉が銅貨二十一枚で、合計銅貨百五枚です」
「銀貨と銅貨合わせて支払いしますと言う時は?」
「銀貨一枚は銅貨十枚ですか?」
「そうよ」
「じゃあ銀貨十枚に銅貨五枚です」
最後まで簡単過ぎる計算問題を出されて、簡単過ぎてこんなのでいいの? と逆に戸惑いながら答えると、ゲルトさんがくしゃくしゃと頭を撫でてくれた。
「え」
「凄いな、計算が早い」
「そ、そんなことないです」
ゲルトさんに褒められて顔が熱くなって、ついでにしっぽが揺れてしまうから慌ててしっぽを掴む。
謙遜しても嬉しいの丸分かりなのってどうなの、恥ずかし過ぎるよね。
この感情が丸わかりなしっぽをなんとかして欲しいっ。
「本当に計算が得意なのね」
「その様だのう」
この程度の計算でこんなに感心されるって、俺が幼く見えるせいなんだろうか。
それだとやっぱり今すぐ冒険者になるのは難しいのかな。
「ねえ、ウヅキ君」
「はい」
「あなたは十歳でまだ大人が一緒にいるべき年頃よ」
「……でも」
マリアさんに諭す様に言われて俯いてしまう。
そんな事言われても俺は一人だ。
「だからもしあなたが他に行くあてがないのなら、私達と一緒に町まで行きましょう。冒険者登録をするにしても、一番近い町はここから馬車で五日は掛かるの、途中に小さな村は一箇所あるけれど、そこには冒険者ギルドはないからある程度大きな町まで行かないといけないの、でも子供の足ではどれ位掛かるか分からないわ」
「一緒に?」
「そうよ」
町まで一緒に行ける。
その後は一人でも、町までは。
嬉しくて耳がピクピク動く、両手で抑えてるしっぽもユラユラ揺れてしまう。
「いいんですか?」
「ええ、町で冒険者登録したら簡単な依頼を何件か受けてみましょうね」
「はい、ありがとうございますっ」
嬉しい、町まで一緒にいられるんだ。
俺は嬉しくてマリアさんにしがみついたんだ。
十歳には見えないとさっき言われたけれど、どれだけ幼く見えるんだろう。
目の前の焚き火を鑑定しながらマリアさんに尋ねると、頭の中に、焚き火:枯れ枝を集めて火をつけている。と出た。
鑑定は会話しながらも出来るみたいだな。
うっかり鑑定結果を話したりしない様に気を付けなくちゃ。
「幾つ? そうねえ、狼獣人の子供なら五、六歳かしら。人族ならもう少し上になるかもしれないけれど」
種族によって成長速度って違うのか。
それにしても、狼獣人なら五、六歳って俺幼稚園児的な感じの大きさなの?
神様に十歳と言われて、俺は前世の十歳の体形位だと思ってたんだけどそう言えば俺、小学校卒業頃に小学三年生位の体重だって言われてたんだっけ、あの頃はチビだったしガリガリだった。
もし今の体形があの頃の状態だったら、心配されても仕方ないのかな。
「冒険者は種族によってなれる年齢が違ったりしますか」
「それはない。全種族十歳からだ」
ゲルトさんが教えてくれる。
見た目だけで幼いと判断されても、実年齢が十歳なら問題ない気がするんだけどその辺りどうなんだろ。
「十歳って証明できる物が無くても、受け付けて貰えますか」
「それはギルドの装置で分かるはずだが、本当にウヅキ君は冒険者になりたいのかのう」
ニルスさんが、鼻の頭を掻きながら話している。
その仕草が店長みたいで、まだそう時間が過ぎてるわけじゃないのに懐かしく感じてしまう。
「はい、俺冒険者になります」
冒険者になりなさいと神様が言ったのは、この世界に保護者がいない俺が一人で生きていくためにお金を手っ取り早く稼ぐ方法を教えてくれたんだろう。
日本でバイトを探す時苦労したのは、年齢と学校の許可とりだった。
ちょっと大手だと、働く為の保証人も必要だったりして、もの凄く大変だったんた。
簡単に保証人を確保できる奴ばかりだと思うなよって、あの頃の俺は思ってたけれど。
未成年だったら親が保証人になるんだろうから、それを会社が望むのは間違った事じゃなかったんだろう。
この世界そういうのに厳しいかどうか分からないけれど、親のいない子供が一人で生きていくのはきっとこの世界でもハードなことだと思う。
「ウヅキ君は計算が出来ると言ったわね」
「得意だと思います」
店長が暗算は出来た方がいいと、小学生の頃そろばんを教えてくれた。
それからはアパートで母さんがいない時は、店長が作ってくれた問題をひたすら頭の中のそろばんで計算をしていた。
「じゃあ、赤の実一個が銅貨三枚、パンが一個銅貨二枚だとしたら、それぞれ三個ずつ買うには銅貨が何枚必要かわかる?」
「赤の実が銅貨九枚、パンが銅貨六枚なので全部で銅貨十五枚です」
「じゃあそれぞれ五個買ったら、合計から銅貨三枚安くしてくれると言ったら?」
「赤の実が十五枚、パンが十枚で合計が銅貨二十五枚、そこから三枚引いて、銅貨二十二枚です」
あんまり簡単な計算で逆に戸惑う。
俺が子供だからこんなに簡単な問題なのかな、気を遣わせてる?
「じゃあ、赤の実十個、パンを十五個、それに一個銅貨四枚の木ノ実を六個と一袋銅貨七枚の干し肉三個も買う場合は幾らになるかしら?」
「ええと、赤の実が銅貨三十枚、パンが銅貨三十枚、木ノ実が銅貨二十四枚、干し肉が銅貨二十一枚で、合計銅貨百五枚です」
「銀貨と銅貨合わせて支払いしますと言う時は?」
「銀貨一枚は銅貨十枚ですか?」
「そうよ」
「じゃあ銀貨十枚に銅貨五枚です」
最後まで簡単過ぎる計算問題を出されて、簡単過ぎてこんなのでいいの? と逆に戸惑いながら答えると、ゲルトさんがくしゃくしゃと頭を撫でてくれた。
「え」
「凄いな、計算が早い」
「そ、そんなことないです」
ゲルトさんに褒められて顔が熱くなって、ついでにしっぽが揺れてしまうから慌ててしっぽを掴む。
謙遜しても嬉しいの丸分かりなのってどうなの、恥ずかし過ぎるよね。
この感情が丸わかりなしっぽをなんとかして欲しいっ。
「本当に計算が得意なのね」
「その様だのう」
この程度の計算でこんなに感心されるって、俺が幼く見えるせいなんだろうか。
それだとやっぱり今すぐ冒険者になるのは難しいのかな。
「ねえ、ウヅキ君」
「はい」
「あなたは十歳でまだ大人が一緒にいるべき年頃よ」
「……でも」
マリアさんに諭す様に言われて俯いてしまう。
そんな事言われても俺は一人だ。
「だからもしあなたが他に行くあてがないのなら、私達と一緒に町まで行きましょう。冒険者登録をするにしても、一番近い町はここから馬車で五日は掛かるの、途中に小さな村は一箇所あるけれど、そこには冒険者ギルドはないからある程度大きな町まで行かないといけないの、でも子供の足ではどれ位掛かるか分からないわ」
「一緒に?」
「そうよ」
町まで一緒に行ける。
その後は一人でも、町までは。
嬉しくて耳がピクピク動く、両手で抑えてるしっぽもユラユラ揺れてしまう。
「いいんですか?」
「ええ、町で冒険者登録したら簡単な依頼を何件か受けてみましょうね」
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嬉しい、町まで一緒にいられるんだ。
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