53 / 123
これからの計画
しおりを挟む
「すぐに王都に戻られますか?」
「領地に魔道具を取りに行っていますので、それを受け取ってからになります。ケネス?」
「おばあ様が二角獣を貸してくださったんだ、あれなら一日で領地まで行けるし一晩休めばまた同じ距離を走れるから、早ければ明日の夕方には戻って来られるだろう」
二角獣は二本の角を持つ魔物です。
黒い体に金色の瞳を持っていて、体もとても大きく鎧を来た大人の男性が三人乗っても一日中全力で駆けることが出来ると言われています。
おばあ様の領地に住む従魔師達が二角獣の従魔化に成功していて、確か今は十頭程の二角獣がいた筈です。
「二角獣ですか、あれは乗りこなすのが大変だと聞いたことがありますが」
「ああ、従魔師が騎乗してうちの護衛が同乗させて貰っているんだ。流石に従魔師なしで二角獣は御せないな」
「護衛達は体力があるけれど、従魔師が二日間騎乗し続けるなんて体は大丈夫かしら」
従魔師達とはおばあ様の領地に来た時に少し話す機会がある程度ですが、剣などを得意とする方は少なく体を鍛えている方も少なかったように思います。
急ぎだと言って無理をさせてしまっているのではないか心配です。
「そうだな、彼は大丈夫だと思うよ。チヌって名前だったがフローリア知っているんじゃないのか?」
「チヌ?まあ、彼なら安心していられるわ。でもどうして?あの方は領地を数日でも離れるなんて」
チヌは従魔師達をまとめている立場にいるだけではなく、従魔を率いて領地の守りを担ってくれている方です。
年は私の五つ程上でしょうか。
騎士の家の嫡男に生まれながら、剣よりも従魔師の才があると弟に家督を任せこの地に住む様になりました。
「うん、フローリアが魔道具を必要としていると厩舎で話をしていたら、自分が適任だと言ってくれてさ。確かに他の従魔師達だと体力回復薬を飲んでも厳しい感じだったから助かったよ」
「そうなの。チヌが」
「フローリアには恩があるからってさ、明日には必ず帰ってくると言ってたよ」
恩など、そんな風に言われる様な行いはしていませんが、私と出会ったことがこの地に暮らすきっかけになっていますから、そういう意味でしょうか。
「チヌが引き受けてくれたなら、明日必ず戻ってきてくれるでしょう」
それだけの実力がある人です。
では、お父様に手紙を書いて魔道具の準備をお願いしないといけませんね。
「イオン様、解呪してもまた再び魔法を掛けられたら元に戻る可能性もあるでしょうか」
「それは勿論ございます。むしろ他の人よりも簡単に魔法に掛かってしまうでしょう」
「それでは、解呪の魔道具を最低でも陛下と王太子殿下達と王妃様の侍医の分が必要ね。解毒もついていた方が良いけれど」
「そうだな。親子鑑定の魔道具はどうする?」
「元々の予定はそちらだったけれど、イオン様の鑑定を信じずに王妃様の味方をされた陛下が魔道具を信じるか分からないわ。でも、試す価値はあると思うわ」
「お嬢様、魔封じの魔道具はございますか」
私達の会話を何か考えながら聞いていたイオン様から問われ、すぐに使い道を思い浮かべました。
「王妃様にそれを?」
「ええ、魔封じの魔道具を付けると王妃様が魔法により作っている繋がりは切れるわけではありせんが、薄くなる筈です。その方が解呪掛かりやすいかと」
「魔封じにそんな力があるのですね。それなら父が持っている筈です。私の話を覚えているなら使おうとして下さっているかもしれませんが、それも陛下次第かと」
私達の作戦は陛下のお心一つで大きく変わるのです。
「父に神聖契約と解呪について手紙を書きます。父に私の体調が悪化しつつある旨の噂を広めて貰いましょう」
「分かりました。明日すぐにでも出立出来るよう準備をして伯爵家に伺います」
それぞれの役目を話し合い、私達は神殿を後にしました。
「領地に魔道具を取りに行っていますので、それを受け取ってからになります。ケネス?」
「おばあ様が二角獣を貸してくださったんだ、あれなら一日で領地まで行けるし一晩休めばまた同じ距離を走れるから、早ければ明日の夕方には戻って来られるだろう」
二角獣は二本の角を持つ魔物です。
黒い体に金色の瞳を持っていて、体もとても大きく鎧を来た大人の男性が三人乗っても一日中全力で駆けることが出来ると言われています。
おばあ様の領地に住む従魔師達が二角獣の従魔化に成功していて、確か今は十頭程の二角獣がいた筈です。
「二角獣ですか、あれは乗りこなすのが大変だと聞いたことがありますが」
「ああ、従魔師が騎乗してうちの護衛が同乗させて貰っているんだ。流石に従魔師なしで二角獣は御せないな」
「護衛達は体力があるけれど、従魔師が二日間騎乗し続けるなんて体は大丈夫かしら」
従魔師達とはおばあ様の領地に来た時に少し話す機会がある程度ですが、剣などを得意とする方は少なく体を鍛えている方も少なかったように思います。
急ぎだと言って無理をさせてしまっているのではないか心配です。
「そうだな、彼は大丈夫だと思うよ。チヌって名前だったがフローリア知っているんじゃないのか?」
「チヌ?まあ、彼なら安心していられるわ。でもどうして?あの方は領地を数日でも離れるなんて」
チヌは従魔師達をまとめている立場にいるだけではなく、従魔を率いて領地の守りを担ってくれている方です。
年は私の五つ程上でしょうか。
騎士の家の嫡男に生まれながら、剣よりも従魔師の才があると弟に家督を任せこの地に住む様になりました。
「うん、フローリアが魔道具を必要としていると厩舎で話をしていたら、自分が適任だと言ってくれてさ。確かに他の従魔師達だと体力回復薬を飲んでも厳しい感じだったから助かったよ」
「そうなの。チヌが」
「フローリアには恩があるからってさ、明日には必ず帰ってくると言ってたよ」
恩など、そんな風に言われる様な行いはしていませんが、私と出会ったことがこの地に暮らすきっかけになっていますから、そういう意味でしょうか。
「チヌが引き受けてくれたなら、明日必ず戻ってきてくれるでしょう」
それだけの実力がある人です。
では、お父様に手紙を書いて魔道具の準備をお願いしないといけませんね。
「イオン様、解呪してもまた再び魔法を掛けられたら元に戻る可能性もあるでしょうか」
「それは勿論ございます。むしろ他の人よりも簡単に魔法に掛かってしまうでしょう」
「それでは、解呪の魔道具を最低でも陛下と王太子殿下達と王妃様の侍医の分が必要ね。解毒もついていた方が良いけれど」
「そうだな。親子鑑定の魔道具はどうする?」
「元々の予定はそちらだったけれど、イオン様の鑑定を信じずに王妃様の味方をされた陛下が魔道具を信じるか分からないわ。でも、試す価値はあると思うわ」
「お嬢様、魔封じの魔道具はございますか」
私達の会話を何か考えながら聞いていたイオン様から問われ、すぐに使い道を思い浮かべました。
「王妃様にそれを?」
「ええ、魔封じの魔道具を付けると王妃様が魔法により作っている繋がりは切れるわけではありせんが、薄くなる筈です。その方が解呪掛かりやすいかと」
「魔封じにそんな力があるのですね。それなら父が持っている筈です。私の話を覚えているなら使おうとして下さっているかもしれませんが、それも陛下次第かと」
私達の作戦は陛下のお心一つで大きく変わるのです。
「父に神聖契約と解呪について手紙を書きます。父に私の体調が悪化しつつある旨の噂を広めて貰いましょう」
「分かりました。明日すぐにでも出立出来るよう準備をして伯爵家に伺います」
それぞれの役目を話し合い、私達は神殿を後にしました。
90
お気に入りに追加
8,677
あなたにおすすめの小説
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
逆行令嬢は何度でも繰り返す〜もう貴方との未来はいらない〜
みおな
恋愛
私は10歳から15歳までを繰り返している。
1度目は婚約者の想い人を虐めたと冤罪をかけられて首を刎ねられた。
2度目は、婚約者と仲良くなろうと従順にしていたら、堂々と浮気された挙句に国外追放され、野盗に殺された。
5度目を終えた時、私はもう婚約者を諦めることにした。
それなのに、どうして私に執着するの?どうせまた彼女を愛して私を死に追いやるくせに。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
『完』婚約破棄されたのでお針子になりました。〜私が元婚約者だと気づかず求婚してくるクズ男は、裸の王子さまで十分ですわよね?〜
桐生桜月姫
恋愛
「老婆のような白髪に、ちょっと賢いからって生意気な青い瞳が気に入らん!!よって婚約を破棄する!!せいぜい泣き喚くんだな!!」
「そうですか。わたくし、あなたのことを愛せませんでしたので、泣けませんの。ごめんなさいね」
理不尽な婚約破棄を受けたマリンソフィアは………
「うふふっ、あはははっ!これでわたくしは正真正銘自由の身!!わたくしの夢を叶えるためじゃないとはいえ、婚約破棄をしてくれた王太子殿下にはとーっても感謝しなくっちゃ!!」
落ち込むどころか舞い上がって喜んでいた。
そして、意気揚々と自分の夢を叶えてお針子になって自由気ままなスローライフ?を楽しむ!!
だが、ある時大嫌いな元婚約者が現れて………
「あぁ、なんと美しい人なんだ。絹のように美しく真っ白な髪に、サファイアのような知性あふれる瞳。どうか俺の妃になってはくれないだろうか」
なんと婚約破棄をされた時と真反対の言葉でマリンソフィアだと気が付かずに褒め称えて求婚してくる。
「あぁ、もう!!こんなうっざい男、裸の王子さまで十分よ!!」
お針子マリンソフィアの楽しい楽しいお洋服『ざまあ』が今開幕!!
《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?
桐生桜月姫
恋愛
『無能はいらない』
魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!?
大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。
無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!!
*******************
毎朝7時更新です。
決めたのはあなたでしょう?
みおな
恋愛
ずっと好きだった人がいた。
だけど、その人は私の気持ちに応えてくれなかった。
どれだけ求めても手に入らないなら、とやっと全てを捨てる決心がつきました。
なのに、今さら好きなのは私だと?
捨てたのはあなたでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる