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これからの計画

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「すぐに王都に戻られますか?」
「領地に魔道具を取りに行っていますので、それを受け取ってからになります。ケネス?」
「おばあ様が二角獣を貸してくださったんだ、あれなら一日で領地まで行けるし一晩休めばまた同じ距離を走れるから、早ければ明日の夕方には戻って来られるだろう」

 二角獣は二本の角を持つ魔物です。
 黒い体に金色の瞳を持っていて、体もとても大きく鎧を来た大人の男性が三人乗っても一日中全力で駆けることが出来ると言われています。
 おばあ様の領地に住む従魔師達が二角獣の従魔化に成功していて、確か今は十頭程の二角獣がいた筈です。

「二角獣ですか、あれは乗りこなすのが大変だと聞いたことがありますが」
「ああ、従魔師が騎乗してうちの護衛が同乗させて貰っているんだ。流石に従魔師なしで二角獣は御せないな」
「護衛達は体力があるけれど、従魔師が二日間騎乗し続けるなんて体は大丈夫かしら」

 従魔師達とはおばあ様の領地に来た時に少し話す機会がある程度ですが、剣などを得意とする方は少なく体を鍛えている方も少なかったように思います。
 急ぎだと言って無理をさせてしまっているのではないか心配です。

「そうだな、彼は大丈夫だと思うよ。チヌって名前だったがフローリア知っているんじゃないのか?」
「チヌ?まあ、彼なら安心していられるわ。でもどうして?あの方は領地を数日でも離れるなんて」

 チヌは従魔師達をまとめている立場にいるだけではなく、従魔を率いて領地の守りを担ってくれている方です。
 年は私の五つ程上でしょうか。
 騎士の家の嫡男に生まれながら、剣よりも従魔師の才があると弟に家督を任せこの地に住む様になりました。

「うん、フローリアが魔道具を必要としていると厩舎で話をしていたら、自分が適任だと言ってくれてさ。確かに他の従魔師達だと体力回復薬を飲んでも厳しい感じだったから助かったよ」
「そうなの。チヌが」
「フローリアには恩があるからってさ、明日には必ず帰ってくると言ってたよ」

 恩など、そんな風に言われる様な行いはしていませんが、私と出会ったことがこの地に暮らすきっかけになっていますから、そういう意味でしょうか。

「チヌが引き受けてくれたなら、明日必ず戻ってきてくれるでしょう」

 それだけの実力がある人です。
 では、お父様に手紙を書いて魔道具の準備をお願いしないといけませんね。

「イオン様、解呪してもまた再び魔法を掛けられたら元に戻る可能性もあるでしょうか」
「それは勿論ございます。むしろ他の人よりも簡単に魔法に掛かってしまうでしょう」
「それでは、解呪の魔道具を最低でも陛下と王太子殿下達と王妃様の侍医の分が必要ね。解毒もついていた方が良いけれど」
「そうだな。親子鑑定の魔道具はどうする?」
「元々の予定はそちらだったけれど、イオン様の鑑定を信じずに王妃様の味方をされた陛下が魔道具を信じるか分からないわ。でも、試す価値はあると思うわ」
「お嬢様、魔封じの魔道具はございますか」

 私達の会話を何か考えながら聞いていたイオン様から問われ、すぐに使い道を思い浮かべました。

「王妃様にそれを?」
「ええ、魔封じの魔道具を付けると王妃様が魔法により作っている繋がりは切れるわけではありせんが、薄くなる筈です。その方が解呪掛かりやすいかと」
「魔封じにそんな力があるのですね。それなら父が持っている筈です。私の話を覚えているなら使おうとして下さっているかもしれませんが、それも陛下次第かと」

 私達の作戦は陛下のお心一つで大きく変わるのです。

「父に神聖契約と解呪について手紙を書きます。父に私の体調が悪化しつつある旨の噂を広めて貰いましょう」
「分かりました。明日すぐにでも出立出来るよう準備をして伯爵家に伺います」

 それぞれの役目を話し合い、私達は神殿を後にしました。
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