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大神官の記憶3
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「フィリップ殿下は月足らずでお生まれになりました。王妃様の侍女が誤って王妃様にぶつかってしまい、それが理由で出産が早まった為です。確か二月近く早まったと聞いていましたが、お生まれになったフィリップ殿下は健康そのもので、早産だったとは思えぬ程でした」
「侍女がぶつかった」
王太后の宮に滞在を始めたのは義兄との事があってからどの程度過ぎてからなのか分かりませんが、偽装したであろう懐妊時期を誤魔化すには早産にするしかありません。
侍女は王妃様に命令されて事故を装ったのでしょうか?それとも王妃様がそうなるように自分から侍女にぶつかったのでしょうか。
「無事にフィリップ殿下はお生まれになったものの、陛下に全く似ていない外見と魔力系統の違いから、父親が陛下ではないのではと疑問が持たれました」
「それで、イオン様が鑑定を行ったのですね」
「はい。王族の血は神の血を引いていると言われていることはお嬢様もご存知の事と存じますが、そう言われる所以には魔力量と光魔法にあります。失礼ですがお嬢様達も王族の血を引かれていますね」
「ええ、三代前の陛下の弟君が当家に婿入りしています。血は薄まっているかと思いますが」
「それでも光魔法の適性はお持ちですよね。魔力量も多いのではありませんか?」
聞かれてケネスと顔を見合せました。
私は両親共に魔力量が多いせいもあり、王家の方々並みの魔力量を持っていますし、光魔法の適性もあります。
ケネスのお母様は男爵家の出身で魔力量が少ないですが、生まれたケネスも他の兄弟も魔力量は多く光魔法の適性もあります。
「フローリアの魔力量は王太子と同じ位あると聞いたが」
「でも光魔法はあまり得意ではないのよ」
「そうだな、俺も適性はあるが苦手だな」
「それは正しく王族の血を引いている証です。王族の中でも王家に近い血を持つ者程光魔法が得意で、魔力量も多いと言われています。フィリップ殿下以外の皆様はその説通り、魔力量がとても多く光魔法が一番得意な魔法です」
フィリップ殿下は魔力量も少なく光魔法の適性もありません。
そして、陛下に似ているところが全く無いのですから疑われるのは当然です。
「王妃様は男爵家の出身だと伺っています。魔力量は少ないのではありませんか?」
「ええ、平民の魔力量は生活魔法を使えるかどうかという程度ですが、それより少し多い程度だったと思います」
魔力量は平民で多く持つ者は殆んどおらず、貴族の位が高ければ高いほど魔力量は多くなります。
平民で魔力量が多い者は、どこかで貴族の血が入っている場合が殆んどなのだと聞いた事がありますが、真偽の程は分かりません。
魔力量が多い事は高位の証と言われていますから、魔力量が多いというのはそれだけで結婚相手に望まれる理由になるのです。
「魔力量が少ない王妃様からでも、王太子殿下の様に多量の魔力を持ち、光魔法の適性を持ってお生まれになる」
「はい。フィリップ殿下以外の皆様はそうでした。ですがフィリップ殿下は光魔法の適性が無いだけでなく、魔力量も王妃様より少し多い程度、下級貴族並みでしかありません」
「そこまで低かったのですか?」
フィリップ殿下は元々の魔力量が低いだげでなく、努力も好きでは無いため魔法を使うのは苦手です。
学校の魔法の授業の出席率もとても悪く、私は王妃様に『魔法が苦手なフィリップの前で得意気にお前が魔法を使うからフィリップは余計に苦手意識を持つようになったのだ』と何度も叱責されました。
「どうした、フローリア」
「王妃様に、フィリップ殿下が魔法を苦手にしているのは、私がフィリップ殿下の前で得意気に魔法を使ったからだとお叱りを受けたのを思い出してしまったの」
婚約者を立てることすら出来ない無能だと、何度言われたことでしょう。
「今言う話ではありませんでしたね。申し訳ございません」
「いいえ、それこそ王妃様の性格をよく表しているお言葉です。あの方は世間が噂している様な賢妃ではございません。私の鑑定で一瞬だけしか確認できませんでしたが、王妃様は精神操作の魔法をお持ちです。それを巧妙に隠しておいでなのです」
私が疑っていたことの証明を、イオン様がしてくださるとは思いもよりませんでした。
「侍女がぶつかった」
王太后の宮に滞在を始めたのは義兄との事があってからどの程度過ぎてからなのか分かりませんが、偽装したであろう懐妊時期を誤魔化すには早産にするしかありません。
侍女は王妃様に命令されて事故を装ったのでしょうか?それとも王妃様がそうなるように自分から侍女にぶつかったのでしょうか。
「無事にフィリップ殿下はお生まれになったものの、陛下に全く似ていない外見と魔力系統の違いから、父親が陛下ではないのではと疑問が持たれました」
「それで、イオン様が鑑定を行ったのですね」
「はい。王族の血は神の血を引いていると言われていることはお嬢様もご存知の事と存じますが、そう言われる所以には魔力量と光魔法にあります。失礼ですがお嬢様達も王族の血を引かれていますね」
「ええ、三代前の陛下の弟君が当家に婿入りしています。血は薄まっているかと思いますが」
「それでも光魔法の適性はお持ちですよね。魔力量も多いのではありませんか?」
聞かれてケネスと顔を見合せました。
私は両親共に魔力量が多いせいもあり、王家の方々並みの魔力量を持っていますし、光魔法の適性もあります。
ケネスのお母様は男爵家の出身で魔力量が少ないですが、生まれたケネスも他の兄弟も魔力量は多く光魔法の適性もあります。
「フローリアの魔力量は王太子と同じ位あると聞いたが」
「でも光魔法はあまり得意ではないのよ」
「そうだな、俺も適性はあるが苦手だな」
「それは正しく王族の血を引いている証です。王族の中でも王家に近い血を持つ者程光魔法が得意で、魔力量も多いと言われています。フィリップ殿下以外の皆様はその説通り、魔力量がとても多く光魔法が一番得意な魔法です」
フィリップ殿下は魔力量も少なく光魔法の適性もありません。
そして、陛下に似ているところが全く無いのですから疑われるのは当然です。
「王妃様は男爵家の出身だと伺っています。魔力量は少ないのではありませんか?」
「ええ、平民の魔力量は生活魔法を使えるかどうかという程度ですが、それより少し多い程度だったと思います」
魔力量は平民で多く持つ者は殆んどおらず、貴族の位が高ければ高いほど魔力量は多くなります。
平民で魔力量が多い者は、どこかで貴族の血が入っている場合が殆んどなのだと聞いた事がありますが、真偽の程は分かりません。
魔力量が多い事は高位の証と言われていますから、魔力量が多いというのはそれだけで結婚相手に望まれる理由になるのです。
「魔力量が少ない王妃様からでも、王太子殿下の様に多量の魔力を持ち、光魔法の適性を持ってお生まれになる」
「はい。フィリップ殿下以外の皆様はそうでした。ですがフィリップ殿下は光魔法の適性が無いだけでなく、魔力量も王妃様より少し多い程度、下級貴族並みでしかありません」
「そこまで低かったのですか?」
フィリップ殿下は元々の魔力量が低いだげでなく、努力も好きでは無いため魔法を使うのは苦手です。
学校の魔法の授業の出席率もとても悪く、私は王妃様に『魔法が苦手なフィリップの前で得意気にお前が魔法を使うからフィリップは余計に苦手意識を持つようになったのだ』と何度も叱責されました。
「どうした、フローリア」
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婚約者を立てることすら出来ない無能だと、何度言われたことでしょう。
「今言う話ではありませんでしたね。申し訳ございません」
「いいえ、それこそ王妃様の性格をよく表しているお言葉です。あの方は世間が噂している様な賢妃ではございません。私の鑑定で一瞬だけしか確認できませんでしたが、王妃様は精神操作の魔法をお持ちです。それを巧妙に隠しておいでなのです」
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