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狙われたのは誰だった?
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「手紙を読むわね。
公にはされていないが、フィリップ殿下が昨日より離宮にて謹慎処分になった。期限は今のところ定められていないが、王妃様が納得されていないことから、すぐに解かれる可能性がある。
フローリアが先程の手紙で提案していた噂はすでに着手しているが、使用人達への指示は行っていなかったからこちらも検討し進めるつもりだ。
フローリアが一番気になっているであろう婚約破棄の発表は今朝行われたが、男爵令嬢との婚約は令嬢が現在牢屋に拘束されており婚約締結が難しくなった為保留となった。
拘束理由は、我が侯爵家の放火未遂だ。放火と聞いて驚くかもしれないが、フローリアも知っての通り王都も領内の屋敷も魔道具で守られている。令嬢は魔道具に付与された魔法により火傷を顔と手の甲に……」
「怪我は魔道具の魔法が発動したからか」
「そうみたいね」
私が保護魔法等が付与された魔道具を常に身につけているように、屋敷にも魔道具が設置されています。
攻撃魔法等を受けた場合に相手に跳ね返すもとと、火事や破損の予防等の効果が有るものです。
屋敷をぐるりと囲む塀には侵入防止の魔道具も付いているそうです。
エミリアさんが屋敷のどこに火を放とうとしたのか分かりませんが、屋敷に侵入等普通の令嬢には出来ないでしょうから正門か裏門辺りでしょうか?どちらにも門番が常時守っている場所を狙うでしょうか?
「お嬢様、放火と言いましても、一体どこを狙ったのでしようか」
ユウナも首を捻っています。
仮に火種がついた物を敷地内に投げ込もうとしても、弓矢でも使わない限り高い塀を越えるのは難しいでしょう。
「お父様、簡単に書きすぎよ。これでは余計に心配になってまうわ」
手紙というよりも備忘録と言った方がいいかもしれません。
普段のお父様の書き方ではないのは、私を気遣い過ぎているのか、まともな手紙を書く余裕がないかのどちらかですが。
「どうした」
「お父様、私に何か知らせたくないことがあるのではないかと、気になってしまって」
本当は誰か怪我をした人がいるとか、私の婚約破棄で陛下から不興を買っている等を隠しているのではないかと不安なのです。
「そんなことは無いだろう、今フローリアに何か隠しても意味がない」
「そうだといいのだけれど。でも、エミリアさんが侯爵家に放火する理由が分からないのよ」
「お嬢様に逆恨みしていたとしても、平民の家みたいに建物に火を放つなんて、貴族の屋敷では難しいですよね。何がしたかったのでしょうか」
私の疑問にユウナも頷いています。
そもそも放火されるほどの恨みを、私がエミリアさんから向けられる理由が分かりません。
「逆恨みじゃないんじゃないのか」
「ケネス、でもそうしたらそれこそ理由が分からないわ」
恨みからの行動でなければ何が理由だというのでしょう。
放火は大罪です。
実際に火が出てしまったら、放火した罪人は処刑と決まっています。
そんな恐ろしいことを衝動的にする様な人には見えませんでしたし、そうまでして私を狙う理由なんて……。
「まさか、王妃様が?」
「それが一番納得がいくんじゃないか?普通の令嬢が放火なんてまともに出来るわけがないから、すぐに捕まるのも想定の上で命令した。放火未遂でも侯爵家への脅しになるし、フィリップ殿下の婚約相手が罪を犯せば婚約なんて出来ない。フィリップ殿下がどれだけ相手に夢中でも、相手を簡単に排除できる方法だ」
だからと言って、そんなに簡単に。
「王妃様が、そんな」
「俺達がそう考えるのも含めての脅しなんじゃないのか、彼女自身の考えて侯爵家に放火するなんてあり得ない。だとしたら誰かに命令されたんじゃないか、それは誰がなんの目的で?そうおじさんだって考えた筈だ」
信じたくありませんが、そう考えるのが一番納得がいくのは事実です。
「人の命も未来も、王妃様にとってはどうでもいいと?」
「王妃様は諦めてないんだよ、そうとしか考えられない」
ケネスの言葉は冷たく部屋に響いたのです。
公にはされていないが、フィリップ殿下が昨日より離宮にて謹慎処分になった。期限は今のところ定められていないが、王妃様が納得されていないことから、すぐに解かれる可能性がある。
フローリアが先程の手紙で提案していた噂はすでに着手しているが、使用人達への指示は行っていなかったからこちらも検討し進めるつもりだ。
フローリアが一番気になっているであろう婚約破棄の発表は今朝行われたが、男爵令嬢との婚約は令嬢が現在牢屋に拘束されており婚約締結が難しくなった為保留となった。
拘束理由は、我が侯爵家の放火未遂だ。放火と聞いて驚くかもしれないが、フローリアも知っての通り王都も領内の屋敷も魔道具で守られている。令嬢は魔道具に付与された魔法により火傷を顔と手の甲に……」
「怪我は魔道具の魔法が発動したからか」
「そうみたいね」
私が保護魔法等が付与された魔道具を常に身につけているように、屋敷にも魔道具が設置されています。
攻撃魔法等を受けた場合に相手に跳ね返すもとと、火事や破損の予防等の効果が有るものです。
屋敷をぐるりと囲む塀には侵入防止の魔道具も付いているそうです。
エミリアさんが屋敷のどこに火を放とうとしたのか分かりませんが、屋敷に侵入等普通の令嬢には出来ないでしょうから正門か裏門辺りでしょうか?どちらにも門番が常時守っている場所を狙うでしょうか?
「お嬢様、放火と言いましても、一体どこを狙ったのでしようか」
ユウナも首を捻っています。
仮に火種がついた物を敷地内に投げ込もうとしても、弓矢でも使わない限り高い塀を越えるのは難しいでしょう。
「お父様、簡単に書きすぎよ。これでは余計に心配になってまうわ」
手紙というよりも備忘録と言った方がいいかもしれません。
普段のお父様の書き方ではないのは、私を気遣い過ぎているのか、まともな手紙を書く余裕がないかのどちらかですが。
「どうした」
「お父様、私に何か知らせたくないことがあるのではないかと、気になってしまって」
本当は誰か怪我をした人がいるとか、私の婚約破棄で陛下から不興を買っている等を隠しているのではないかと不安なのです。
「そんなことは無いだろう、今フローリアに何か隠しても意味がない」
「そうだといいのだけれど。でも、エミリアさんが侯爵家に放火する理由が分からないのよ」
「お嬢様に逆恨みしていたとしても、平民の家みたいに建物に火を放つなんて、貴族の屋敷では難しいですよね。何がしたかったのでしょうか」
私の疑問にユウナも頷いています。
そもそも放火されるほどの恨みを、私がエミリアさんから向けられる理由が分かりません。
「逆恨みじゃないんじゃないのか」
「ケネス、でもそうしたらそれこそ理由が分からないわ」
恨みからの行動でなければ何が理由だというのでしょう。
放火は大罪です。
実際に火が出てしまったら、放火した罪人は処刑と決まっています。
そんな恐ろしいことを衝動的にする様な人には見えませんでしたし、そうまでして私を狙う理由なんて……。
「まさか、王妃様が?」
「それが一番納得がいくんじゃないか?普通の令嬢が放火なんてまともに出来るわけがないから、すぐに捕まるのも想定の上で命令した。放火未遂でも侯爵家への脅しになるし、フィリップ殿下の婚約相手が罪を犯せば婚約なんて出来ない。フィリップ殿下がどれだけ相手に夢中でも、相手を簡単に排除できる方法だ」
だからと言って、そんなに簡単に。
「王妃様が、そんな」
「俺達がそう考えるのも含めての脅しなんじゃないのか、彼女自身の考えて侯爵家に放火するなんてあり得ない。だとしたら誰かに命令されたんじゃないか、それは誰がなんの目的で?そうおじさんだって考えた筈だ」
信じたくありませんが、そう考えるのが一番納得がいくのは事実です。
「人の命も未来も、王妃様にとってはどうでもいいと?」
「王妃様は諦めてないんだよ、そうとしか考えられない」
ケネスの言葉は冷たく部屋に響いたのです。
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