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運命の相手を見つけたそうです。
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「フローリア、大事な話がある」
放課後、いつもの様に生徒会室で仕事をしていたら、遅れてやってきたフィリップ殿下が部屋に入るなりそういいました。
「書類の準備をしながら伺ってもよろしいですか」
私は生徒会の役員ではありませんが、殿下の婚約者として仕事の補佐を言いつけられています。
補佐という立場の筈が気がつけば、生徒会長であるフィリップ殿下が承認の署名をすればいいだけの状態まで書類を準備するという、補佐というより殆んどの仕事を私が主で行う様になり、結果私は放課後の殆んどの時間を生徒会の仕事に使わなくてはいけなくなりました。
「大事な話なのだが」
「書類の準備も大切です。今日は他の皆様揃ってお休みなのですもの。手を休める暇がありませんの」
処理してしまいたい会計書類があるのに会計担当はお休みな上、来月開催予定の行事の準備もあるのに、副会長に書記もそれぞれの補佐もお休みなのですから、いつも以上に頑張らなければ仕事が終わりません。
「大事なお話だと言っているだろう」
「では申し訳ございませんが、生徒会関係のお話ではないのでしたら、あと三枚書類を片付けるまでお待ち頂けますか?今日中に殿下にご承認頂かなければいけないものだけ急いで終わらせますので」
言いながらも書類を書く手は止めません。
家に戻れば習い事も今日の授業の復習、明日の授業の予習もありますし、明後日の休日はお城で王妃様とのお茶会があるのですから、ドレスの用意も侍女と話さなければなりませんから、正直時間が惜しいのです。
「分かった。ではエミリアはソファーに座っていてくれ」
「畏まりました」
その声を聞いて初めて私は顔を上げ、殿下の後ろに立っている女性の姿に気がつきました。
「忙しいのではお茶も頼めないな」
「申し訳ございません。書類を片付けますまでお待ち願います」
謝罪しながら笑顔がひきつるのを感じました。
忙しいと見ればわかるだろうに、お茶の用意等という無神経さ。こういうところが嫌いだと悟ったのは婚約が決まった後すぐに行われた顔合わせの時でした。
あれから十年、何があっても笑顔を保てる様に修行して来ましたが、そろそろ限界なのかもしれません。
「まだなのか」
四半刻もたたず殿下は声をかけてきました。
そんな簡単に会計書類が出来るなら私も苦労はありません。
本来なら私の仕事ではないというのに『殿下の婚約者なのだから手伝うのは当たり前』と無理矢理生徒会室に連れてこられ、それ以来日々仕事に追われる様になりました。
書類仕事はどんどん早くなり、会計書類まで押し付けられるようになってからは暗算の能力もどんどん向上しましたが、不満も募るばかりです。
私の方が仕事が早いからと皆で仕事を押し付けて、最低限の仕事だけして後はお茶とお菓子を貪っているのです。
「最低」
ぽそりとそう言うとソファーに座るエミリアと呼ばれていた女性が、ピクリと反応したのが見えました。
「殿下お待たせいたしました。大事なお話とはなんでしょうか」
その反応を無視して婚約者に視線を向けると、彼はにこりと笑って嬉しそうにこう言ったのです。
「私は運命の相手を見つけたのだ」
は?
寝言は寝てから言ってくださいませんか?
放課後、いつもの様に生徒会室で仕事をしていたら、遅れてやってきたフィリップ殿下が部屋に入るなりそういいました。
「書類の準備をしながら伺ってもよろしいですか」
私は生徒会の役員ではありませんが、殿下の婚約者として仕事の補佐を言いつけられています。
補佐という立場の筈が気がつけば、生徒会長であるフィリップ殿下が承認の署名をすればいいだけの状態まで書類を準備するという、補佐というより殆んどの仕事を私が主で行う様になり、結果私は放課後の殆んどの時間を生徒会の仕事に使わなくてはいけなくなりました。
「大事な話なのだが」
「書類の準備も大切です。今日は他の皆様揃ってお休みなのですもの。手を休める暇がありませんの」
処理してしまいたい会計書類があるのに会計担当はお休みな上、来月開催予定の行事の準備もあるのに、副会長に書記もそれぞれの補佐もお休みなのですから、いつも以上に頑張らなければ仕事が終わりません。
「大事なお話だと言っているだろう」
「では申し訳ございませんが、生徒会関係のお話ではないのでしたら、あと三枚書類を片付けるまでお待ち頂けますか?今日中に殿下にご承認頂かなければいけないものだけ急いで終わらせますので」
言いながらも書類を書く手は止めません。
家に戻れば習い事も今日の授業の復習、明日の授業の予習もありますし、明後日の休日はお城で王妃様とのお茶会があるのですから、ドレスの用意も侍女と話さなければなりませんから、正直時間が惜しいのです。
「分かった。ではエミリアはソファーに座っていてくれ」
「畏まりました」
その声を聞いて初めて私は顔を上げ、殿下の後ろに立っている女性の姿に気がつきました。
「忙しいのではお茶も頼めないな」
「申し訳ございません。書類を片付けますまでお待ち願います」
謝罪しながら笑顔がひきつるのを感じました。
忙しいと見ればわかるだろうに、お茶の用意等という無神経さ。こういうところが嫌いだと悟ったのは婚約が決まった後すぐに行われた顔合わせの時でした。
あれから十年、何があっても笑顔を保てる様に修行して来ましたが、そろそろ限界なのかもしれません。
「まだなのか」
四半刻もたたず殿下は声をかけてきました。
そんな簡単に会計書類が出来るなら私も苦労はありません。
本来なら私の仕事ではないというのに『殿下の婚約者なのだから手伝うのは当たり前』と無理矢理生徒会室に連れてこられ、それ以来日々仕事に追われる様になりました。
書類仕事はどんどん早くなり、会計書類まで押し付けられるようになってからは暗算の能力もどんどん向上しましたが、不満も募るばかりです。
私の方が仕事が早いからと皆で仕事を押し付けて、最低限の仕事だけして後はお茶とお菓子を貪っているのです。
「最低」
ぽそりとそう言うとソファーに座るエミリアと呼ばれていた女性が、ピクリと反応したのが見えました。
「殿下お待たせいたしました。大事なお話とはなんでしょうか」
その反応を無視して婚約者に視線を向けると、彼はにこりと笑って嬉しそうにこう言ったのです。
「私は運命の相手を見つけたのだ」
は?
寝言は寝てから言ってくださいませんか?
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