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戸惑っているのはこちらもでした(ディアス視点)
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「好かれてるとは感じてたけど、まさか本気だったとは」
ジョーシーと共に伯父さんの執務室に向かい、気がつけば婚約が決まっていた。
流されている感はあったけれど、婚約はまだ無理と否定する気にもなぜかならなかった。
「あんな風に告白されて、断るなんて出来るはずがないだろう」
部屋に戻り一人になって、早まったことをしたかもしれないと後悔しながら、でも嫌ではなかったのだからこれでいいのかと悩んでいた。
「嫌いじゃないんだよ、妹みたいに思ってたのも本当だし」
ジョーシーとカレンは可愛い従兄妹だ。
姉のジョーシーはしっかりしていてキリリとした顔立ちの美人で、妹のカレンはおっとりとした性格で妖精みたいな儚げ美人、系統の違う二人は考え方も行動も全く違うけれど、どちらも可愛い従兄妹だった。
年が近いからか、ジョーシーは幼い頃から俺の側に居たがった。
一緒に乗馬の稽古をし、一緒に魔法を習い領地経営の勉強もした。
ジョーシーは侯爵家の跡取り娘で、俺は家は継げないから成人後は平民になるけど侯爵領の役人になってジョーシーと結婚相手を支えていこうと考えていた。
自分がジョーシーの相手になるとは思ったことすらなかったんだ。
「そうは言っても、エスコートは俺がやりたかったんだよな」
やりたかったというか、俺がするものと勝手に思い込んでいたけれど、それが間違いだと気がついたのは、カレンの縁談がきっかけだった。
カレンに縁談が来たのを知った父から「次はジョーシーだな。そうなるとお前がエスコートするのもそろそろ終わりだな」と言われて、ハッとしたんだ。
そうだ俺はジョーシーの婚約者じゃない。
いつか彼女は夫になる相手にエスコートされる様になるんだって、気がついたんだ。
それは衝撃だった。
そんな未来を考えたことすら無かったんだと、やっと気がついた。
でも、それはずっとそうしていたからだと単純に考えていたんだ。
ずっとエスコートしてきたのに、結婚相手が決まったらその役目も終わるのか、それは娘を嫁に出す様な気持ちなのかと思っていたんだ。
「俺本当はどう思っているんだ?」
告白は嬉しかった。
あんな風に思っていてくれたと知って、単純に嬉しかった。
でも、好きなのかと言われると、自信がない。
嫌いではない。
それは当たり前だ。
だって、従兄妹として大事にしていたんだから。
でも、男女の好きなのかは自信がない。
「まともに付き合ったのって、一人だけだし、それも向こうから誘ってきたんだしなあ」
貴族学校の学生の頃に一度だけ付き合ったことがあるけれど、すぐに別れてしまった。
相手は子爵家の子で、俺には継ぐ爵位はないと知ると手のひらを返し別れ話を口にしたのだ。
あれが唯一だった。
「こんなんでいいのかな」
ごろりとソファーに寝転がり目を閉じて考える。
ジョーシーと結婚して、領地経営をして子供を育てる。
従兄妹じゃなく、妻として一緒に生きていく。
それは今まで考えたことすら無かった未来だけれど、何故か凄くしっくりきた。
「なんでだ」
愛しているという感情は多分ない、好きだとは思うけれど、兄妹のそれに近い気がしている。
だけど一緒に生きるのは想像出来るし、納得出来る。
何より他の奴にジョーシーのエスコートを譲りたくない。
「好きなのか? 妹してじゃなく」
答えが出ないまま夜が明けて、朝食前に伯父さんに婚約の届を出しに行くと言われて反射的に頷いてしまった。
いいのか俺、これでいいのか。
あやふやな気持ちのまま、婚約届は受理されてしまったのだった。
ジョーシーと共に伯父さんの執務室に向かい、気がつけば婚約が決まっていた。
流されている感はあったけれど、婚約はまだ無理と否定する気にもなぜかならなかった。
「あんな風に告白されて、断るなんて出来るはずがないだろう」
部屋に戻り一人になって、早まったことをしたかもしれないと後悔しながら、でも嫌ではなかったのだからこれでいいのかと悩んでいた。
「嫌いじゃないんだよ、妹みたいに思ってたのも本当だし」
ジョーシーとカレンは可愛い従兄妹だ。
姉のジョーシーはしっかりしていてキリリとした顔立ちの美人で、妹のカレンはおっとりとした性格で妖精みたいな儚げ美人、系統の違う二人は考え方も行動も全く違うけれど、どちらも可愛い従兄妹だった。
年が近いからか、ジョーシーは幼い頃から俺の側に居たがった。
一緒に乗馬の稽古をし、一緒に魔法を習い領地経営の勉強もした。
ジョーシーは侯爵家の跡取り娘で、俺は家は継げないから成人後は平民になるけど侯爵領の役人になってジョーシーと結婚相手を支えていこうと考えていた。
自分がジョーシーの相手になるとは思ったことすらなかったんだ。
「そうは言っても、エスコートは俺がやりたかったんだよな」
やりたかったというか、俺がするものと勝手に思い込んでいたけれど、それが間違いだと気がついたのは、カレンの縁談がきっかけだった。
カレンに縁談が来たのを知った父から「次はジョーシーだな。そうなるとお前がエスコートするのもそろそろ終わりだな」と言われて、ハッとしたんだ。
そうだ俺はジョーシーの婚約者じゃない。
いつか彼女は夫になる相手にエスコートされる様になるんだって、気がついたんだ。
それは衝撃だった。
そんな未来を考えたことすら無かったんだと、やっと気がついた。
でも、それはずっとそうしていたからだと単純に考えていたんだ。
ずっとエスコートしてきたのに、結婚相手が決まったらその役目も終わるのか、それは娘を嫁に出す様な気持ちなのかと思っていたんだ。
「俺本当はどう思っているんだ?」
告白は嬉しかった。
あんな風に思っていてくれたと知って、単純に嬉しかった。
でも、好きなのかと言われると、自信がない。
嫌いではない。
それは当たり前だ。
だって、従兄妹として大事にしていたんだから。
でも、男女の好きなのかは自信がない。
「まともに付き合ったのって、一人だけだし、それも向こうから誘ってきたんだしなあ」
貴族学校の学生の頃に一度だけ付き合ったことがあるけれど、すぐに別れてしまった。
相手は子爵家の子で、俺には継ぐ爵位はないと知ると手のひらを返し別れ話を口にしたのだ。
あれが唯一だった。
「こんなんでいいのかな」
ごろりとソファーに寝転がり目を閉じて考える。
ジョーシーと結婚して、領地経営をして子供を育てる。
従兄妹じゃなく、妻として一緒に生きていく。
それは今まで考えたことすら無かった未来だけれど、何故か凄くしっくりきた。
「なんでだ」
愛しているという感情は多分ない、好きだとは思うけれど、兄妹のそれに近い気がしている。
だけど一緒に生きるのは想像出来るし、納得出来る。
何より他の奴にジョーシーのエスコートを譲りたくない。
「好きなのか? 妹してじゃなく」
答えが出ないまま夜が明けて、朝食前に伯父さんに婚約の届を出しに行くと言われて反射的に頷いてしまった。
いいのか俺、これでいいのか。
あやふやな気持ちのまま、婚約届は受理されてしまったのだった。
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