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仲直りの為の、罰は
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「カレン、私になにか罰を頂戴」
「罰ですか? どうしてでしょう」
「だってあなたを傷つけたわ。嫉妬して八つ当たりして気づ付けたのよ」
カレンは許そうとしてくれていますが、私はそれでは納得が出来ません。
だからカレンから何か罰を与えて貰いたいと思ったのです。
「それはもういいと言ったではありませんか」
「でもそれでは私の気が済まないのよ。だからカレンが私に何か罰を与えて欲しいの」
カレンが私に与える罰、想像も出来ませんがそれを受けたら私は本当に許される気がします。
「罰、罰ですか。私がお姉様に、何でもいいのですか?」
「ええ。どんな罰も受けるわ」
「そうですか……。では、お姉様」
「は、はい」
カレンがきりっとした顔で私を見つめ、ぎゅっと私の両手を握りました。
「では、ディアス兄様にお姉様の気持ちを告白して、兄様から返事を頂いてくださいませ」
「え」
思いもかけない言葉をカレンに言われ、私は呆けた様に口を開けてしまいました。
「カレン、それは」
「どんな罰でも受けると仰ったのは嘘ですか」
「嘘じゃないわ。ちゃんと私は罰を受けたいと、でも私が告白? ディアス兄様に?」
今ここにディアス兄様はいないというのに、私の顔は真っ赤に染まりました。
ディアス兄様に告白、私が兄様に思いを告げる。
私を妹にしか思っていない、妹の扱いしかしない人に。
昨日私の足を見て、すぐさま逃げ出す様な人に。私の思いを告げるなんて。
「そうです。お姉様から告白してください」
「告白。振られるでしょうけれど」
「それでもです。私はどういう天の気まぐれなのか第三王子殿下に求婚頂きました。殿下が私に幻滅さえしなければその求婚はそのまま婚約となるでしょう。侯爵家の次女が婚約して長女で時期当主の侯爵家を継ぐ長女が婚約者無しでいられるわけがありませんわ」
「そうね。ええ、それはそうよ」
本当なら私の方が先に婚約していなければ、可笑しいのです。
私はカレンよりも年上で、とっくの昔に社交デビューもしている大人なのですから。
本来であれば婚約どころかすでに結婚していてもおかしくない話です。
「私が一人でいられるのは、お父様とお母様が許して下さっていたからにすぎないわ」
婚約が決められずにいたのは、お父様とお母様が私がディアス兄様を好きだと知っていたからこそ許されていた我儘です。
でもそんな我儘も、カレンの婚約が決まれば通じなくなります。
妹の方が先に婚約し、結婚してしまったら私は出来損ないで婚約も決まらない女という陰口を言われる様になるのですから。
「ディアス兄様はきっと私なんて眼中にないと言うわ。私なんて妹にしか見ていないって」
「それでも、告白しなければお姉様は前に進めないのではありませんか」
「そう、そうね。確かにそうだわ。振られるにしてもディアス兄様に気持ちを告げなければ私は誰とも婚約なんて出来ないわ。政略だとしても受け入れるなんて出来ない」
それは分かり切っていたことです。
でも勇気が出なくて、振られると分かっていて告白なんて出来なくて、でも諦められなかったのです。
「分かったわ。私、告白するわ。ディアス兄様に好きだと言うわ。そして、私を妻にして欲しいとお願いするわ」
きっと振られてしまうでしょう。
妹にしか見られないと言われて、ごめんと言われるのです。
「好きだと、妹ではなく私を女として見て欲しいって言うわ」
「お姉様、はい。是非告白してくださいませ」
「断られたら慰めてくれる?」
「そんな事無いように。お姉様の気持ちが成就する様に祈っていますから」
優しいカレンは、私に優しいことを言ってくれます。
「ありがとう、カレン。王都に着いた夜に私告白するわ」
その後気まずくなっても、それは仕方ありません。
私は覚悟を決める事にしたのです。
「罰ですか? どうしてでしょう」
「だってあなたを傷つけたわ。嫉妬して八つ当たりして気づ付けたのよ」
カレンは許そうとしてくれていますが、私はそれでは納得が出来ません。
だからカレンから何か罰を与えて貰いたいと思ったのです。
「それはもういいと言ったではありませんか」
「でもそれでは私の気が済まないのよ。だからカレンが私に何か罰を与えて欲しいの」
カレンが私に与える罰、想像も出来ませんがそれを受けたら私は本当に許される気がします。
「罰、罰ですか。私がお姉様に、何でもいいのですか?」
「ええ。どんな罰も受けるわ」
「そうですか……。では、お姉様」
「は、はい」
カレンがきりっとした顔で私を見つめ、ぎゅっと私の両手を握りました。
「では、ディアス兄様にお姉様の気持ちを告白して、兄様から返事を頂いてくださいませ」
「え」
思いもかけない言葉をカレンに言われ、私は呆けた様に口を開けてしまいました。
「カレン、それは」
「どんな罰でも受けると仰ったのは嘘ですか」
「嘘じゃないわ。ちゃんと私は罰を受けたいと、でも私が告白? ディアス兄様に?」
今ここにディアス兄様はいないというのに、私の顔は真っ赤に染まりました。
ディアス兄様に告白、私が兄様に思いを告げる。
私を妹にしか思っていない、妹の扱いしかしない人に。
昨日私の足を見て、すぐさま逃げ出す様な人に。私の思いを告げるなんて。
「そうです。お姉様から告白してください」
「告白。振られるでしょうけれど」
「それでもです。私はどういう天の気まぐれなのか第三王子殿下に求婚頂きました。殿下が私に幻滅さえしなければその求婚はそのまま婚約となるでしょう。侯爵家の次女が婚約して長女で時期当主の侯爵家を継ぐ長女が婚約者無しでいられるわけがありませんわ」
「そうね。ええ、それはそうよ」
本当なら私の方が先に婚約していなければ、可笑しいのです。
私はカレンよりも年上で、とっくの昔に社交デビューもしている大人なのですから。
本来であれば婚約どころかすでに結婚していてもおかしくない話です。
「私が一人でいられるのは、お父様とお母様が許して下さっていたからにすぎないわ」
婚約が決められずにいたのは、お父様とお母様が私がディアス兄様を好きだと知っていたからこそ許されていた我儘です。
でもそんな我儘も、カレンの婚約が決まれば通じなくなります。
妹の方が先に婚約し、結婚してしまったら私は出来損ないで婚約も決まらない女という陰口を言われる様になるのですから。
「ディアス兄様はきっと私なんて眼中にないと言うわ。私なんて妹にしか見ていないって」
「それでも、告白しなければお姉様は前に進めないのではありませんか」
「そう、そうね。確かにそうだわ。振られるにしてもディアス兄様に気持ちを告げなければ私は誰とも婚約なんて出来ないわ。政略だとしても受け入れるなんて出来ない」
それは分かり切っていたことです。
でも勇気が出なくて、振られると分かっていて告白なんて出来なくて、でも諦められなかったのです。
「分かったわ。私、告白するわ。ディアス兄様に好きだと言うわ。そして、私を妻にして欲しいとお願いするわ」
きっと振られてしまうでしょう。
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「好きだと、妹ではなく私を女として見て欲しいって言うわ」
「お姉様、はい。是非告白してくださいませ」
「断られたら慰めてくれる?」
「そんな事無いように。お姉様の気持ちが成就する様に祈っていますから」
優しいカレンは、私に優しいことを言ってくれます。
「ありがとう、カレン。王都に着いた夜に私告白するわ」
その後気まずくなっても、それは仕方ありません。
私は覚悟を決める事にしたのです。
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