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油揚げは優秀だよね
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「油揚げに人参、ひき肉、あれ、ヒジキが無いや切り干し大根でいいか、あとは糸こんにゃくと、卵と椎茸」
冷蔵庫開いて材料を取り出すと下拵えから始める。
お湯を沸かして、半分に切って袋状に開きザルの上においた油揚げにお湯をかけたらそのまま冷ます。
糸こんにゃくを塩で軽く揉んだ後茹でて、適当な長さに切る。切り干し大根は水洗いして絞ったら、これも適当な長さに切っておく、人参は皮を剥いてやや太めの千切りにして、椎茸は細切り、椎茸の軸も立派だからこちらも細切りして一緒にいれることにした。
お湯を片手鍋に沸かして、鰹節で出汁を取る。
「味付けは軽くにしておかないとね」
私の味付けは少し濃い目らしい。
祖母の味付けが濃い目だったから、それを受け継いでしまったのだ。
自分だけ食べるなら兎も角、紺さんに差し入れするなら気を付けないとね。
材料全部ボールに入れて味付けし、粘りが出るまで混ぜるある程度まぜたら、油揚げに詰めていく。
五枚入りを半分にしたから、全部で十袋。
五袋分に詰めて爪楊枝で口を閉じたら、出し汁に砂糖と醤油とみりんを入れ、油揚げを入れていく。
「残りの五枚は卵」
小さなボールに油揚げをセットして、ぽとりぽとりと卵を中に落としていく。
こちらも爪楊枝で口を閉じたら、鍋に入れた方が煮えるまでちょっと待つ。
「鰹だしって良い匂い。椎茸もいいけど、鰹もいいよねぇ」
残った肉だねは小さく丸めて、保存袋に入れて冷凍庫へ仕舞う。
肉団子と白菜を一緒に煮たスープが大好きで、冬になると頻繁に作ってしまう。
手間が掛かるのは肉団子を作るところだけで、後は白菜をざくざく切って、キノコとかも入れて一緒に煮るだけだから、私の中では手抜き料理に分類しているものだ。
コンソメで煮ても、牛乳で煮ても、トマト味にしてもそれなりの味になるのがありがたい。
肉団子もハンバーグ作った残りでも、餃子作って余ったタネでも切り干し大根が入ってても、ヒジキが入っていてもそれなりになるのもありがたい。
まあ、先輩は一度食べて「なんか貧乏臭いね」で終わってしまったから、二度と作らなかったけれど。
うん、食の好みが先輩と全然違ってたんだなと今更ながら悟る。
会社だけの付き合いなら、好みが違っても問題ないけれど、恋人や結婚相手だったら食の好みは似てる人が良いな。
好みが違ってても、一生懸命作ったご飯を「貧乏臭い 」の一言で終わらせる人はごめんだ。
「先輩とは合わなかったんだ。二股が無くても、きっと駄目になってたよね」
好きだと思ってたから、もやもやする言動を気が付かない振りをしてただけ。
好きだと思うところ以上に、苦手だとか、ちょっと無理なところが多かったのだと気が付いた。
ううん、ずぅっと気が付いていた。
「先輩にとって私は、本命と会えないときの時間潰し要員だったんだろうけど、私にとって先輩は好きってフィルター越しじゃなきゃ付き合うの無理な相手だったんだなぁ」
すっきりしたのかガッカリしたのか分からない、複雑な気持ちのまま、私は料理を続けるのだった。
冷蔵庫開いて材料を取り出すと下拵えから始める。
お湯を沸かして、半分に切って袋状に開きザルの上においた油揚げにお湯をかけたらそのまま冷ます。
糸こんにゃくを塩で軽く揉んだ後茹でて、適当な長さに切る。切り干し大根は水洗いして絞ったら、これも適当な長さに切っておく、人参は皮を剥いてやや太めの千切りにして、椎茸は細切り、椎茸の軸も立派だからこちらも細切りして一緒にいれることにした。
お湯を片手鍋に沸かして、鰹節で出汁を取る。
「味付けは軽くにしておかないとね」
私の味付けは少し濃い目らしい。
祖母の味付けが濃い目だったから、それを受け継いでしまったのだ。
自分だけ食べるなら兎も角、紺さんに差し入れするなら気を付けないとね。
材料全部ボールに入れて味付けし、粘りが出るまで混ぜるある程度まぜたら、油揚げに詰めていく。
五枚入りを半分にしたから、全部で十袋。
五袋分に詰めて爪楊枝で口を閉じたら、出し汁に砂糖と醤油とみりんを入れ、油揚げを入れていく。
「残りの五枚は卵」
小さなボールに油揚げをセットして、ぽとりぽとりと卵を中に落としていく。
こちらも爪楊枝で口を閉じたら、鍋に入れた方が煮えるまでちょっと待つ。
「鰹だしって良い匂い。椎茸もいいけど、鰹もいいよねぇ」
残った肉だねは小さく丸めて、保存袋に入れて冷凍庫へ仕舞う。
肉団子と白菜を一緒に煮たスープが大好きで、冬になると頻繁に作ってしまう。
手間が掛かるのは肉団子を作るところだけで、後は白菜をざくざく切って、キノコとかも入れて一緒に煮るだけだから、私の中では手抜き料理に分類しているものだ。
コンソメで煮ても、牛乳で煮ても、トマト味にしてもそれなりの味になるのがありがたい。
肉団子もハンバーグ作った残りでも、餃子作って余ったタネでも切り干し大根が入ってても、ヒジキが入っていてもそれなりになるのもありがたい。
まあ、先輩は一度食べて「なんか貧乏臭いね」で終わってしまったから、二度と作らなかったけれど。
うん、食の好みが先輩と全然違ってたんだなと今更ながら悟る。
会社だけの付き合いなら、好みが違っても問題ないけれど、恋人や結婚相手だったら食の好みは似てる人が良いな。
好みが違ってても、一生懸命作ったご飯を「貧乏臭い 」の一言で終わらせる人はごめんだ。
「先輩とは合わなかったんだ。二股が無くても、きっと駄目になってたよね」
好きだと思ってたから、もやもやする言動を気が付かない振りをしてただけ。
好きだと思うところ以上に、苦手だとか、ちょっと無理なところが多かったのだと気が付いた。
ううん、ずぅっと気が付いていた。
「先輩にとって私は、本命と会えないときの時間潰し要員だったんだろうけど、私にとって先輩は好きってフィルター越しじゃなきゃ付き合うの無理な相手だったんだなぁ」
すっきりしたのかガッカリしたのか分からない、複雑な気持ちのまま、私は料理を続けるのだった。
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