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小さな狐を作りましょう
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「十和、まだ寝てる」
掃除を終えて、遅めの昼御飯も食べ終わり夕食の準備も終わったのに十和はまだ眠ったままだった。
あんまり静かに寝てるから心配になって、十和の体に耳を近づけてしまった。
結果、すぴすぴという可愛い寝息が聞こえてきて思わず和んでしまった。
狐なんて飼ったことなかったから私が知らないだけで、こんなに熟睡する生き物なのかもしれない。
「暇になっちゃったなあ」
紺さんに持っていくお菓子は玄関近くの棚に忘れないように置いてある。
掃除も洗濯も終わったからやることが無くなってしまったので、仕方なくコーヒータイムを始めた。
「どうしようかなぁ。あ、そうだ」
こういう纏まった時間は久しぶりだから、これは創作活動するしかないよね。
「そうと決まれば、準備準備っと」
樹脂粘土の創作は、動画の撮影もするので準備が大切だ。
もたもた撮影しても編集が大変なわりに、良い動画にならない。
「なに作ろうかな、十和とかいいかな」
スケッチブックにサラサラと描いてみる。
両手を揃えてお座りして、小首を傾げてる十和。
しっぽがフワリと大きく膨らんでるのが特徴の子狐ちゃん。
「んー、なんか寂しい感じ?」
小物はどうしよう。
赤い座布団かな。
「もう一匹大きい子も作ろうかな」
十和の少し後ろ、同じ座布団の上に座り十和を見下ろしてる大人の狐、こっちは目を細目て笑ってる感じ。
これに合わせて十和は大人の狐を見上げてる風にした。
「うん、いいね。大きさは大人の狐が十センチクライかな」
イメージが出来たので、カメラと照明と樹脂粘土作成の道具をテーブルにセットする。
「あ、十和」
起きてきたら大変だ、粘土の誤飲とか危ないし。
「どうかな、うん寝てるね 」
心配になりそうなレベルで熟睡してる。
これなら寝室のドアを閉めていても大丈夫そうだ。
「よし、作ろー」
白い樹脂粘土を捏ねて丸めて、まずは大人の狐から。
イメージが出来てるし、元々私は狐を作るのが得意だったからいつもよりスムーズに出来ている気がする。
「そういえば久しぶりに作ったなあ、狐さん」
ここに引っ越してくる前までは、よく作っていた。
小さい頃の粘土遊びで、私が作るのって恐竜でも犬でも猫でもなく狐だった。
「沢山作った筈なのに、一個も残ってないんだよなあ。あれどこに行っちゃったんだろ。お母さんに捨てられてたのかな」
大人の狐を作り終わって、十和の方を作り始める。
十和の大きさは三センチ位かな。
「子供の頃は兎も角、大きくなってからの物まで捨てたりするかな?どこかにしまいこんじゃったのかな」
わりと私は創作中の独り言が多い。
動画は無音で録ってるから、いくら話しても問題はないけれど、独り言多すぎるかも。
「しっぽはフワフワじゃないとね」
樹脂粘土なので、毛皮みたいにふわんふわんにはならないし、形をリアルじゃなくアニメのキャラみたいなデフォルメタイプだから、しっぽだけリアルなのもおかしい。
なんとなくそれなりな物が出来て、十和も完成したので残りは座布団だ。
「座布団は赤、ピンクっぽい赤じゃなく、朱赤だよね」
赤色の樹脂粘土を用意して、ふんわり座布団を作ると二匹が座って収まりが良いように二ヶ所へこませる。
「あ、ここに狐面付けちゃおうかな」
狐達を座布団に座らせた後何となく閃いて、ささっと小さな狐のお面を作る。
大きさは小指の爪位。
それを二匹の間に立て掛ける。
これで完成。十和は兎も角大人の狐は、稲荷神社の狐の像みたいな雰囲気になってる気がする。
「うん、良い感じ。後はしっかり乾かそう」
ぐるりと四方八方からも撮影して、動画撮影は無事終わり。
出来上がった作品は、オーブンペーパーを敷いたトレイの上に載せ、棚の上に置いた。
「狐さん作ったら、なんだかお袋煮食べたくなっちゃったなあ」
使った道具を片付けていたら、小腹がすいてると気がついた。
撮影中は何も食べないまま長時間集中してるから、結構疲れるしお腹すくんだよね。
「よし、材料あるし作っちゃお」
夕飯は準備おわってるけど、もう一品増えてもいいよね。
「あ、紺さんに持っていこうかな」
お稲荷さんの翌日がお袋煮じゃ、油揚げ続きで嫌かな。
でも、あっちは主食で今度は副菜だし少しならいいよね。
テンション上がった私は、いそいそと準備を始めるのだった。
掃除を終えて、遅めの昼御飯も食べ終わり夕食の準備も終わったのに十和はまだ眠ったままだった。
あんまり静かに寝てるから心配になって、十和の体に耳を近づけてしまった。
結果、すぴすぴという可愛い寝息が聞こえてきて思わず和んでしまった。
狐なんて飼ったことなかったから私が知らないだけで、こんなに熟睡する生き物なのかもしれない。
「暇になっちゃったなあ」
紺さんに持っていくお菓子は玄関近くの棚に忘れないように置いてある。
掃除も洗濯も終わったからやることが無くなってしまったので、仕方なくコーヒータイムを始めた。
「どうしようかなぁ。あ、そうだ」
こういう纏まった時間は久しぶりだから、これは創作活動するしかないよね。
「そうと決まれば、準備準備っと」
樹脂粘土の創作は、動画の撮影もするので準備が大切だ。
もたもた撮影しても編集が大変なわりに、良い動画にならない。
「なに作ろうかな、十和とかいいかな」
スケッチブックにサラサラと描いてみる。
両手を揃えてお座りして、小首を傾げてる十和。
しっぽがフワリと大きく膨らんでるのが特徴の子狐ちゃん。
「んー、なんか寂しい感じ?」
小物はどうしよう。
赤い座布団かな。
「もう一匹大きい子も作ろうかな」
十和の少し後ろ、同じ座布団の上に座り十和を見下ろしてる大人の狐、こっちは目を細目て笑ってる感じ。
これに合わせて十和は大人の狐を見上げてる風にした。
「うん、いいね。大きさは大人の狐が十センチクライかな」
イメージが出来たので、カメラと照明と樹脂粘土作成の道具をテーブルにセットする。
「あ、十和」
起きてきたら大変だ、粘土の誤飲とか危ないし。
「どうかな、うん寝てるね 」
心配になりそうなレベルで熟睡してる。
これなら寝室のドアを閉めていても大丈夫そうだ。
「よし、作ろー」
白い樹脂粘土を捏ねて丸めて、まずは大人の狐から。
イメージが出来てるし、元々私は狐を作るのが得意だったからいつもよりスムーズに出来ている気がする。
「そういえば久しぶりに作ったなあ、狐さん」
ここに引っ越してくる前までは、よく作っていた。
小さい頃の粘土遊びで、私が作るのって恐竜でも犬でも猫でもなく狐だった。
「沢山作った筈なのに、一個も残ってないんだよなあ。あれどこに行っちゃったんだろ。お母さんに捨てられてたのかな」
大人の狐を作り終わって、十和の方を作り始める。
十和の大きさは三センチ位かな。
「子供の頃は兎も角、大きくなってからの物まで捨てたりするかな?どこかにしまいこんじゃったのかな」
わりと私は創作中の独り言が多い。
動画は無音で録ってるから、いくら話しても問題はないけれど、独り言多すぎるかも。
「しっぽはフワフワじゃないとね」
樹脂粘土なので、毛皮みたいにふわんふわんにはならないし、形をリアルじゃなくアニメのキャラみたいなデフォルメタイプだから、しっぽだけリアルなのもおかしい。
なんとなくそれなりな物が出来て、十和も完成したので残りは座布団だ。
「座布団は赤、ピンクっぽい赤じゃなく、朱赤だよね」
赤色の樹脂粘土を用意して、ふんわり座布団を作ると二匹が座って収まりが良いように二ヶ所へこませる。
「あ、ここに狐面付けちゃおうかな」
狐達を座布団に座らせた後何となく閃いて、ささっと小さな狐のお面を作る。
大きさは小指の爪位。
それを二匹の間に立て掛ける。
これで完成。十和は兎も角大人の狐は、稲荷神社の狐の像みたいな雰囲気になってる気がする。
「うん、良い感じ。後はしっかり乾かそう」
ぐるりと四方八方からも撮影して、動画撮影は無事終わり。
出来上がった作品は、オーブンペーパーを敷いたトレイの上に載せ、棚の上に置いた。
「狐さん作ったら、なんだかお袋煮食べたくなっちゃったなあ」
使った道具を片付けていたら、小腹がすいてると気がついた。
撮影中は何も食べないまま長時間集中してるから、結構疲れるしお腹すくんだよね。
「よし、材料あるし作っちゃお」
夕飯は準備おわってるけど、もう一品増えてもいいよね。
「あ、紺さんに持っていこうかな」
お稲荷さんの翌日がお袋煮じゃ、油揚げ続きで嫌かな。
でも、あっちは主食で今度は副菜だし少しならいいよね。
テンション上がった私は、いそいそと準備を始めるのだった。
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