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ふざけた話にばかやろう
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「もう少しで着くからね。寒いねえ」
お酒の瓶をカチャカチャ鳴らしながら歩く夜道、コンビニ袋の中身を紺さんが二重にした紙袋に入れてくれて、ちょっと持ちやすくなった。
この辺りは住宅街で道路がそんなに広くないせいなのか、街灯もそう数が多くない。おまけに深夜で人通りもないから十和が一緒じゃなければ、寂しい気持ちで一人歩くところだった。
「ねえ、十和。紺さんて良い人だね。初対面なのに、こんな図々しい女にうどん食べさせてくれて、愚痴まで聞いてくれて」
優しい紺さんに対して、私はとんでもなく図々しい女だ。
本当申し訳ない。まだちょっと酔いが残っているからあれだけど、きっと眠って明日の朝目が覚めたらもの凄く落ち込むだろう。
「黒歴史誕生だよ。いや、透先輩と付き合ったことがすでに私の中で黒歴史」
私は真剣に付き合ってたけど、あっちは遊びですらなかったのかも。
その可能性に気が付いたのが、さっきっていうのも、もう黒歴史だ。
「明日は十和を送っていったら、部屋中掃除しよう。ガツガツ掃除して厄落としよ」
透先輩の私物は何か置いてあったかな、着替えとか少しあったかもしれない。
でもあっても不要だろう。
だって、多分大事な物を私の部屋になんて置いておかないだろう。
「ちょっと酔いも醒めてきたから、お風呂入ろうかな」
さすがに十二月の夜中は寒い。
酔って火照った体も、なんとなく冷えてきて酔いも醒めてきた。
「十和は一緒のお布団で大丈夫かな? それともクッションに毛布の方がいい?」
動物を飼ったことがないから、寝るときどうするのが正しいのかわからない。
「紺さんに聞いてくれば良かったねえ。ごめんね」
額のあたりを撫でると、柔らかい毛の感触が指先にくすぐったいけれど、十和のホッとするような体温も感じて思わず顔がほころんでくる。
「寒いねえ、十和。早く部屋に入ろうね。あれ?」
十和に声を掛けながら歩きながら、見えてきたマンションの入り口に人影が見えた気がして、首を傾げた。
「こんな時間に誰だろ」
管理のおじさんは、今頃は寝てる筈だ。
いつもすっごく早起きで、マンションの入り口を掃き掃除しているおじさんは、朝が早いから夜は十時前には眠くなるんだと以前話していた。
「誰か待ってるのかな? 住人じゃないのかな」
まあ、住人だとしても顔見知りは三、四人しかいないけれど。
背が高そうな男性? そんな感じだ。
なんか嫌だな、どうしよう部屋についてこられたら。
「入り口はオートロックだけど、ドアが開いてる時間結構長いよね」
カードキーでなければ入り口の自動ドアは開かないけれど、ドアが開いている時間はちょっと長い。お年寄りがゆっくり歩いても十分通れる時間を取っているんだろうけれど、中に入って閉めるボタンがないから、付いてこられたら侵入を阻止できない。
「やだなあ。どうしよう」
「キュ」
「神社に戻ろうかな、その方がいいかも」
近所に知り合いはいないし、ここから見える管理人のおじさんの部屋の窓は真っ暗だから、やっぱりもう寝ているんだろう。
「由衣」
近寄るのを躊躇していたら、立っていた人は私の名前を呼びながら近づいてきた。
「え」
どういう事。
薄ぼんやりした街灯の明かりで、やっと顔が見えた瞬間衝撃で紙袋を落とさなかった自分を褒めたい。
「なんで」
「由衣二次会来なかったから、気になってさ」
私の疑問に対する答えが、なんでそれなんだろうと呆れた。
どうして私が二次会に行くと思うんだ、ありえないでしょうが。
ふつふつと怒りがこみあげてきて、悪びれた様子もない透先輩の顔を殴りたくなる。
「なんで私が二次会までいかないといけないんですか」
「なんでって、由衣いつも二次会来るじゃないか」
それは普通の飲み会の場合だ。
今回は、透先輩と花村さんの結婚のお祝いの会で、それだって本当は参加なんかしたくなかった。美紀に無理矢理連れていかれなければ、今頃家で一人やけ酒してた筈だ。
「行くわけないですよ。そんなの、なんで普通なんですか」
「何が」
「何がって、結婚するんでしょ。子供が出来たんでしょ」
「そうだけど。別に由衣と終わりなわけじゃないから」
しれっと言い放った。
この男、今なんて言った?
「どういう事ですか」
「カレンはカレン。由衣は由衣だろ」
「だから、どういう事ですか」
「カレンとは子供が出来ちゃったから、結婚するけれど。由衣が嫌いになったわけじゃないし。まあ、今までみたいにとはいかないけれどさ。上手く付き合っていこうよ」
「付き合う? 誰が誰と」
「意地張るなよ。俺と由衣だよ」
酔いが一気に醒めて、体が冷えてきた。
私、こんな酷い男が好きだったの?
「取り合えず部屋で話そう。由衣帰ってくるのが遅いから、体冷えちゃったよ。ほら、入ろう」
「帰って」
「え」
「私は既婚者と付き合うような人間じゃありません。馬鹿にしないで」
「由衣、怒るなよ。俺の事好きじゃん、由衣」
「こんな馬鹿だと分かってたら、付き合ったりしなかったわよっ。最低っ」
夜中なのに、声が響くのに、つい大声を出してしまう。
私、最低という叫び声は、夜の闇に反響している様に聞こえた。
「由衣、拗ねてんなよ。俺お前の事だって、好きだって」
「いやっ」
「キャンッ」
伸びてきた透先輩の腕を振り払おうとした時、腕の中にいた十和が吠えた。
「え、ゆ、由衣。なにそれ」
「何って、可愛いでしょ。何怯えているの」
震えながら、透先輩は私の腕の中で唸り声をあげている十和を指さした。
そういえばこの人、動物が苦手なんだ。子供の頃犬に噛まれたとかで、確か子犬も子猫も怖いって言ってたな、昔。
「可愛い? どこがだよ。そんなの捨てて来いよ」
「捨てる? 冗談でしょ。この子は預かったの。暫く一緒に暮らすんだから」
明日には紺さんのところに返すけど、そう言えば透先輩は部屋に来ようとはしないだろう。
嘘も方便だ。紺さん十和、ありがとう。
心の中でお礼を言いながら、ずいっと透先輩に十和を近づける。
「ほら、大人しいんだから。頭も良くていい子なのよ」
両手で抱いて、十和を透先輩の目の前に近づけると、ヴヴヴッと十和が唸り声をあげた。
「俺が犬嫌いなの知ってるだろ。当てつけかよ」
「当てつけだなんて、とんでもない。それにもう必要最低限な会話以外会社でも声かけないでくださいね。新婚の邪魔しているなんて噂がたったら困りますから」
「本気か」
「本気も本気、大本気です。二股もむかつくけど、結婚しても付き合おうなんて、正気じゃないわ」
私の声に、十和の唸り声が大きくなる。
ああ、凄く頼りになる。
こんな小さな体なのに、小さな小さな子狐なのに。
「わかったよ。じゃあ、もうこれきりにしよう。由衣が寂しいかと思ったから心配だったけど、思ってたより図太い神経してるんだな。そういうのって可愛くないぞ」
最後の最後まで、ふざけてる。
でも、いいよ。こんな男だと気が付かなった私が悪い。
「部屋に置いてあったものは、捨ててくれていいよ。ろくなもん置いてなかったし」
「じゃあ遠慮なく」
私の声にかぶせる様に、十和が大きく唸り声をあげる。
「ひっ。じゃあな、由衣。もう会社でも助けてやらないから」
「気遣ってくれなくて大丈夫です。さようなら」
ギャンと十和が鳴いて、透先輩はその声から逃げるように去っていった。
「最低、最低、最低」
坂を下りていく先輩の後ろ姿に、そう叫ぶと。
ああ、近所迷惑だ。ごめんなさいと、僅かに残っていた理性が私を責めた。
「十和ありがと。十和がいなかったら、私駄目だったかも」
急ぎ足でマンションに入り、オートロックを開く。
中に入ってドアが閉まるまで確認して、エレベーターを呼ぶ。
「十和」
ゆっくりと昇っていくエレベーターの中で、私は十和の小さな体を抱きしめて涙をこぼした。
お酒の瓶をカチャカチャ鳴らしながら歩く夜道、コンビニ袋の中身を紺さんが二重にした紙袋に入れてくれて、ちょっと持ちやすくなった。
この辺りは住宅街で道路がそんなに広くないせいなのか、街灯もそう数が多くない。おまけに深夜で人通りもないから十和が一緒じゃなければ、寂しい気持ちで一人歩くところだった。
「ねえ、十和。紺さんて良い人だね。初対面なのに、こんな図々しい女にうどん食べさせてくれて、愚痴まで聞いてくれて」
優しい紺さんに対して、私はとんでもなく図々しい女だ。
本当申し訳ない。まだちょっと酔いが残っているからあれだけど、きっと眠って明日の朝目が覚めたらもの凄く落ち込むだろう。
「黒歴史誕生だよ。いや、透先輩と付き合ったことがすでに私の中で黒歴史」
私は真剣に付き合ってたけど、あっちは遊びですらなかったのかも。
その可能性に気が付いたのが、さっきっていうのも、もう黒歴史だ。
「明日は十和を送っていったら、部屋中掃除しよう。ガツガツ掃除して厄落としよ」
透先輩の私物は何か置いてあったかな、着替えとか少しあったかもしれない。
でもあっても不要だろう。
だって、多分大事な物を私の部屋になんて置いておかないだろう。
「ちょっと酔いも醒めてきたから、お風呂入ろうかな」
さすがに十二月の夜中は寒い。
酔って火照った体も、なんとなく冷えてきて酔いも醒めてきた。
「十和は一緒のお布団で大丈夫かな? それともクッションに毛布の方がいい?」
動物を飼ったことがないから、寝るときどうするのが正しいのかわからない。
「紺さんに聞いてくれば良かったねえ。ごめんね」
額のあたりを撫でると、柔らかい毛の感触が指先にくすぐったいけれど、十和のホッとするような体温も感じて思わず顔がほころんでくる。
「寒いねえ、十和。早く部屋に入ろうね。あれ?」
十和に声を掛けながら歩きながら、見えてきたマンションの入り口に人影が見えた気がして、首を傾げた。
「こんな時間に誰だろ」
管理のおじさんは、今頃は寝てる筈だ。
いつもすっごく早起きで、マンションの入り口を掃き掃除しているおじさんは、朝が早いから夜は十時前には眠くなるんだと以前話していた。
「誰か待ってるのかな? 住人じゃないのかな」
まあ、住人だとしても顔見知りは三、四人しかいないけれど。
背が高そうな男性? そんな感じだ。
なんか嫌だな、どうしよう部屋についてこられたら。
「入り口はオートロックだけど、ドアが開いてる時間結構長いよね」
カードキーでなければ入り口の自動ドアは開かないけれど、ドアが開いている時間はちょっと長い。お年寄りがゆっくり歩いても十分通れる時間を取っているんだろうけれど、中に入って閉めるボタンがないから、付いてこられたら侵入を阻止できない。
「やだなあ。どうしよう」
「キュ」
「神社に戻ろうかな、その方がいいかも」
近所に知り合いはいないし、ここから見える管理人のおじさんの部屋の窓は真っ暗だから、やっぱりもう寝ているんだろう。
「由衣」
近寄るのを躊躇していたら、立っていた人は私の名前を呼びながら近づいてきた。
「え」
どういう事。
薄ぼんやりした街灯の明かりで、やっと顔が見えた瞬間衝撃で紙袋を落とさなかった自分を褒めたい。
「なんで」
「由衣二次会来なかったから、気になってさ」
私の疑問に対する答えが、なんでそれなんだろうと呆れた。
どうして私が二次会に行くと思うんだ、ありえないでしょうが。
ふつふつと怒りがこみあげてきて、悪びれた様子もない透先輩の顔を殴りたくなる。
「なんで私が二次会までいかないといけないんですか」
「なんでって、由衣いつも二次会来るじゃないか」
それは普通の飲み会の場合だ。
今回は、透先輩と花村さんの結婚のお祝いの会で、それだって本当は参加なんかしたくなかった。美紀に無理矢理連れていかれなければ、今頃家で一人やけ酒してた筈だ。
「行くわけないですよ。そんなの、なんで普通なんですか」
「何が」
「何がって、結婚するんでしょ。子供が出来たんでしょ」
「そうだけど。別に由衣と終わりなわけじゃないから」
しれっと言い放った。
この男、今なんて言った?
「どういう事ですか」
「カレンはカレン。由衣は由衣だろ」
「だから、どういう事ですか」
「カレンとは子供が出来ちゃったから、結婚するけれど。由衣が嫌いになったわけじゃないし。まあ、今までみたいにとはいかないけれどさ。上手く付き合っていこうよ」
「付き合う? 誰が誰と」
「意地張るなよ。俺と由衣だよ」
酔いが一気に醒めて、体が冷えてきた。
私、こんな酷い男が好きだったの?
「取り合えず部屋で話そう。由衣帰ってくるのが遅いから、体冷えちゃったよ。ほら、入ろう」
「帰って」
「え」
「私は既婚者と付き合うような人間じゃありません。馬鹿にしないで」
「由衣、怒るなよ。俺の事好きじゃん、由衣」
「こんな馬鹿だと分かってたら、付き合ったりしなかったわよっ。最低っ」
夜中なのに、声が響くのに、つい大声を出してしまう。
私、最低という叫び声は、夜の闇に反響している様に聞こえた。
「由衣、拗ねてんなよ。俺お前の事だって、好きだって」
「いやっ」
「キャンッ」
伸びてきた透先輩の腕を振り払おうとした時、腕の中にいた十和が吠えた。
「え、ゆ、由衣。なにそれ」
「何って、可愛いでしょ。何怯えているの」
震えながら、透先輩は私の腕の中で唸り声をあげている十和を指さした。
そういえばこの人、動物が苦手なんだ。子供の頃犬に噛まれたとかで、確か子犬も子猫も怖いって言ってたな、昔。
「可愛い? どこがだよ。そんなの捨てて来いよ」
「捨てる? 冗談でしょ。この子は預かったの。暫く一緒に暮らすんだから」
明日には紺さんのところに返すけど、そう言えば透先輩は部屋に来ようとはしないだろう。
嘘も方便だ。紺さん十和、ありがとう。
心の中でお礼を言いながら、ずいっと透先輩に十和を近づける。
「ほら、大人しいんだから。頭も良くていい子なのよ」
両手で抱いて、十和を透先輩の目の前に近づけると、ヴヴヴッと十和が唸り声をあげた。
「俺が犬嫌いなの知ってるだろ。当てつけかよ」
「当てつけだなんて、とんでもない。それにもう必要最低限な会話以外会社でも声かけないでくださいね。新婚の邪魔しているなんて噂がたったら困りますから」
「本気か」
「本気も本気、大本気です。二股もむかつくけど、結婚しても付き合おうなんて、正気じゃないわ」
私の声に、十和の唸り声が大きくなる。
ああ、凄く頼りになる。
こんな小さな体なのに、小さな小さな子狐なのに。
「わかったよ。じゃあ、もうこれきりにしよう。由衣が寂しいかと思ったから心配だったけど、思ってたより図太い神経してるんだな。そういうのって可愛くないぞ」
最後の最後まで、ふざけてる。
でも、いいよ。こんな男だと気が付かなった私が悪い。
「部屋に置いてあったものは、捨ててくれていいよ。ろくなもん置いてなかったし」
「じゃあ遠慮なく」
私の声にかぶせる様に、十和が大きく唸り声をあげる。
「ひっ。じゃあな、由衣。もう会社でも助けてやらないから」
「気遣ってくれなくて大丈夫です。さようなら」
ギャンと十和が鳴いて、透先輩はその声から逃げるように去っていった。
「最低、最低、最低」
坂を下りていく先輩の後ろ姿に、そう叫ぶと。
ああ、近所迷惑だ。ごめんなさいと、僅かに残っていた理性が私を責めた。
「十和ありがと。十和がいなかったら、私駄目だったかも」
急ぎ足でマンションに入り、オートロックを開く。
中に入ってドアが閉まるまで確認して、エレベーターを呼ぶ。
「十和」
ゆっくりと昇っていくエレベーターの中で、私は十和の小さな体を抱きしめて涙をこぼした。
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