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後日談と言う名のおまけ
その後の俺たちは3(蛍視点)
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「普通に朝だ」
拓はまだ寝ているけれど、俺はベランダに洗濯物を干し終わってベランダの手摺りに寄り掛かりぼぉっとしている。
見上げると青空で、ぽかぽか陽気になりそうだなって感じだ。
「拓まだ起きないよや」
まだ起きないというか、土曜なのに俺が早く起きすぎた。
洗濯終わったのに、まだ九時にもなってない。
このマンション割と音を気にせず暮らせる造りだから、早朝から洗濯機をまわしても掃除機掛けても問題ない。
ファミリー向けのマンションだから、防音しっかりしてると不動産屋さんが力説してただけのことはある。昼間に仕事していても隣とか上の階の生活音
気になった事ないし、それは夜も同じだからこのマンションの居心地はとっても良いと思う。
「掃除しちゃおうかな」
トイレ掃除と風呂掃除は洗濯中に終わらせてあるから、残るは自分の部屋とリビングとキッチンだ。
拓は自分の部屋は勿論自分で掃除しているし、共有部分の掃除はこまめにしてくれる。
部屋の汚れに対する感覚は同じらしく、どちらも神経質と言う程では無いし、部屋の隅っ子の埃を気にしない程ズボラでも無いのがありがたい。
そんなわけで元々汚れてない部屋は、ささっとフローリングワイパーを掛ける程度で掃除はすぐに終る。
「味噌汁作ってるうちに米炊けるかな」
掃除を終えてキッチンに戻ったけれど、炊飯器はやっと蒸気が上がり始めたばかりみたいだ。急に炊き込みご飯が食べたくなって準備した。
田舎から米を送ってもらった時、段ボールの中に入っていた炊き込みご飯の素だから、味は保証付きだし、今まさにいい匂いがリビングまで漂ってきてる。
「厚焼き玉子と、玉ねぎの味噌汁作って、あとは茄子の煮浸し……だけじゃ拓は寂しいかな」
冷蔵庫の中を見ながら、朝ご飯のメニューを考える。
週末だから冷蔵庫の中が寂しいんだよな、トマトも昨日食べちゃったし、残ってるのは作り置きの茄子の煮浸しだけだ。
冷凍庫にはまだ色々あるけど、朝ごはんって感じのものはない。
「ジャガイモのガレット、マッシュポテト、流石に重いな」
冷蔵庫の外にあるのは玉ねぎとジャガイモと人参と大根、これも米と一緒に送られて来た。
でも、ジャガイモメニューは拓ならともかく俺には重い。
大根いい加減食べてしまいたいけど、夕飯おでんとかどうだろう。
「味噌汁、玉ねぎ……あ、冷凍に油揚げ残ってたかな? あ、あった」
冷凍庫から短冊切りした油揚げを入れたビニール袋を取り出すと、常温保存用の野菜ボックスから玉ねぎを一つ出す。
玉ねぎの皮をむき、薄切りにして油揚げと共に味噌汁にする。
出汁にこだわりはないから顆粒出汁、味噌は拓の家で作った奴で、家で作ってる味噌より少し麹の粒が大きい印象だけど、これはこれで美味しいから味噌こしは使わずに麹の粒ごと美味しく頂く。
「拓起きるかな? 俺の分だけでいいか」
拓と一緒の時は出汁巻きにするけど、俺だけの時は砂糖と醤油の甘い味の卵焼き、卵一個を焼いていたら丁度炊飯器がピポピポと鳴りだした。
「うーん、いい匂い」
ざっとシャモジでご飯を混ぜると、醤油と出汁の匂いに食欲がわいてくる。
いそいそとご飯をよそって、味噌汁と卵焼きと茄子の煮浸しを盛り付ける。
「いただきまーす」
味噌汁を一口飲んでからパクっとご飯を頬張る。
リモートワークでいつも家にいるけれど、休みの日ののんびりした朝は別格だ。
「買い出し遠出したいなあ、天気いいし」
少し開けた窓から、風が入ってくる。
暑くもなく寒くもない爽やかな風、窓の向こうに見える空は青い。
こういう日にするドライブはきっと楽しい。
「デート、買い出しじゃなくて、ドライブデートとかしたいなあ。拓疲れちゃうかな?」
予定があるとは言ってなかったけれど、急にドライブしたいとか駄目かな。
急にデートしたいなんて、俺まだちょっと浮かれてるのかな。
でも俺がお願いしたら、きっと拓は嫌がらないと思うんだよねぇ。なんて、甘えすぎだろうか。
一人でご飯を食べながら、俺はドライブどこに行こうかなんて考えていたんだ。
拓はまだ寝ているけれど、俺はベランダに洗濯物を干し終わってベランダの手摺りに寄り掛かりぼぉっとしている。
見上げると青空で、ぽかぽか陽気になりそうだなって感じだ。
「拓まだ起きないよや」
まだ起きないというか、土曜なのに俺が早く起きすぎた。
洗濯終わったのに、まだ九時にもなってない。
このマンション割と音を気にせず暮らせる造りだから、早朝から洗濯機をまわしても掃除機掛けても問題ない。
ファミリー向けのマンションだから、防音しっかりしてると不動産屋さんが力説してただけのことはある。昼間に仕事していても隣とか上の階の生活音
気になった事ないし、それは夜も同じだからこのマンションの居心地はとっても良いと思う。
「掃除しちゃおうかな」
トイレ掃除と風呂掃除は洗濯中に終わらせてあるから、残るは自分の部屋とリビングとキッチンだ。
拓は自分の部屋は勿論自分で掃除しているし、共有部分の掃除はこまめにしてくれる。
部屋の汚れに対する感覚は同じらしく、どちらも神経質と言う程では無いし、部屋の隅っ子の埃を気にしない程ズボラでも無いのがありがたい。
そんなわけで元々汚れてない部屋は、ささっとフローリングワイパーを掛ける程度で掃除はすぐに終る。
「味噌汁作ってるうちに米炊けるかな」
掃除を終えてキッチンに戻ったけれど、炊飯器はやっと蒸気が上がり始めたばかりみたいだ。急に炊き込みご飯が食べたくなって準備した。
田舎から米を送ってもらった時、段ボールの中に入っていた炊き込みご飯の素だから、味は保証付きだし、今まさにいい匂いがリビングまで漂ってきてる。
「厚焼き玉子と、玉ねぎの味噌汁作って、あとは茄子の煮浸し……だけじゃ拓は寂しいかな」
冷蔵庫の中を見ながら、朝ご飯のメニューを考える。
週末だから冷蔵庫の中が寂しいんだよな、トマトも昨日食べちゃったし、残ってるのは作り置きの茄子の煮浸しだけだ。
冷凍庫にはまだ色々あるけど、朝ごはんって感じのものはない。
「ジャガイモのガレット、マッシュポテト、流石に重いな」
冷蔵庫の外にあるのは玉ねぎとジャガイモと人参と大根、これも米と一緒に送られて来た。
でも、ジャガイモメニューは拓ならともかく俺には重い。
大根いい加減食べてしまいたいけど、夕飯おでんとかどうだろう。
「味噌汁、玉ねぎ……あ、冷凍に油揚げ残ってたかな? あ、あった」
冷凍庫から短冊切りした油揚げを入れたビニール袋を取り出すと、常温保存用の野菜ボックスから玉ねぎを一つ出す。
玉ねぎの皮をむき、薄切りにして油揚げと共に味噌汁にする。
出汁にこだわりはないから顆粒出汁、味噌は拓の家で作った奴で、家で作ってる味噌より少し麹の粒が大きい印象だけど、これはこれで美味しいから味噌こしは使わずに麹の粒ごと美味しく頂く。
「拓起きるかな? 俺の分だけでいいか」
拓と一緒の時は出汁巻きにするけど、俺だけの時は砂糖と醤油の甘い味の卵焼き、卵一個を焼いていたら丁度炊飯器がピポピポと鳴りだした。
「うーん、いい匂い」
ざっとシャモジでご飯を混ぜると、醤油と出汁の匂いに食欲がわいてくる。
いそいそとご飯をよそって、味噌汁と卵焼きと茄子の煮浸しを盛り付ける。
「いただきまーす」
味噌汁を一口飲んでからパクっとご飯を頬張る。
リモートワークでいつも家にいるけれど、休みの日ののんびりした朝は別格だ。
「買い出し遠出したいなあ、天気いいし」
少し開けた窓から、風が入ってくる。
暑くもなく寒くもない爽やかな風、窓の向こうに見える空は青い。
こういう日にするドライブはきっと楽しい。
「デート、買い出しじゃなくて、ドライブデートとかしたいなあ。拓疲れちゃうかな?」
予定があるとは言ってなかったけれど、急にドライブしたいとか駄目かな。
急にデートしたいなんて、俺まだちょっと浮かれてるのかな。
でも俺がお願いしたら、きっと拓は嫌がらないと思うんだよねぇ。なんて、甘えすぎだろうか。
一人でご飯を食べながら、俺はドライブどこに行こうかなんて考えていたんだ。
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