10 / 13
拓サイド
おまけ2 浮かれ気分で過ごす夜 前編
しおりを挟む
「んんーと、ラズベリージャムと生クリームたっぷりのせて食べようシフォンケーキ? これどこまで商品名なんだ?」
最近長年の片思いが一昨日叶ったばかり、恋人、そうっ恋人なんだよ。はぁ、幸せ。
恋人の蛍から「帰る時に食パン買ってきて貰っていい? 米が無いの忘れてた、申し訳ない」とメッセージが入ってた。
在宅勤務の蛍は、今日は午後からWEB打ち合わせだと今朝言っていたから、買い物行く時間が取れないんだろう。
「ザクザク食感シュークリーム?」
地下鉄を出て住んでるマンション近くのコンビニに入るとまっすぐパンの棚に向かった俺は目当ての食パンを二袋持ってレジに向かう途中、スィーツコーナーが視界に入ってそれから少々の時間そこで悩んでいる。
俺は全く食べないから、スィーツ知識は皆無だからコンビニスィーツがこんなに種類豊富だと知らなかった。もう夜の七時過ぎだっていうのに、まるで今品出ししたばかりと言わんばかりの品揃えだけどこんなに売れるものだろうかと心配になるが、ある意味選び放題だ。
なにせ俺は、蛍が甘いもの好きだと知ったばかり、だが実際に食べてるところはまだ見ていない。
今までは俺に遠慮して食べて無かったらしいから、ここは是非とも美味しそうなものを買って蛍に食べてもらいたいんだが、色々あり過ぎて迷ってしまう。
ピスタチオクリームを挟んだ春色マカロン? もっちり皮の白たい焼き(カスタードクリー))? さくら風味ぷるぷる食感わらび餅入りクリームあんみつ? もう訳が分からない。
「無難にケーキかな、夢見る苺ケーキ? なんじゃそりゃ」
蛍の好みがよくわからないから、当たり障り無さそうなケーキを選ぶ。
蛍が苺好きなのは知ってるから、多分大丈夫だろう。
蛍喜んでくれるだろうか、実はこういうケーキは好きじゃなかったりするのかな、いや蛍ならきっと喜んで食べてくれるはずだ。……ケーキに喜ぶ蛍、可愛いだろうな。
このコンビニのスィーツ開発者のネーミングセンスに疑問を覚えながらケーキを一つ取ってから、蛍一人で食べるのは嫌かもしれないと考えて無糖のヨーグルトを自分用に取りレジで支払いを済ませて外に出た。
「ヤバい、こんな買い物で舞い上がってる俺絶対にヤバい」
好きだけど、ずっと好きだったけど片思いだと思っていた相手、それが恋人に変わっただけでも嬉しいのに、恋人のためにケーキを買って帰るのとか、そしてそれを食べてもらえることに喜びを感じる俺、ちょっと気持ち悪いかもしれない。
蛍のこと考えてたから、店の中でももしかしたらニヤついてたかもしれない。
それは第三者から見たら不審者っぽかったかもしれない、気を付けよう。
「あー、幸せすぎるのが悪いよな」
人気のない住宅街をエコバッグと通勤鞄を下げて歩く俺は、ご機嫌で浮かれ過ぎている。
ご機嫌ついでに、今日の夕飯は俺の好物の一つポテトグラタンだって言っていた。
蛍の作るグラタンは、美味いんだ。
ホワイトソースがとろとろで、じゃがいもがホクホクでこんがり焼けたチーズとパン粉も良い。
料理得意じゃないしかなり適当に作ってると本人は言うが、得意じゃない奴があれだけ作れれば十分胸張って威張って良いと思う。
「俺も料理出来るようになろ」
俺がレシピ見ないでも出来るのって炒飯、焼きそば、カレー程度だから、土日位俺が作れる様になりたい。
平日は蛍が作ってくれてるし、何せ弁当も作ってくれてるんだもんなあ。
「これは恋人というより、もはや新婚では」
だめだ頭が沸いている。
まだやっと思いが通じたばかり、キスすらしてないってのに、どれだけ俺は浮かれているのか分からない。
「ただいまー」
浮かれ気分で家まで歩き、マンションのドアを開け中へと入る。
「蛍、食パン二袋で良かったか?」
靴を脱ぎながら中に声を掛けると、パタパタとスリッパを鳴らしながら蛍が出迎えてくれた。
「おかえり、拓。食パンありがとう、買い物頼んでしまってごめんな」
デニムシャツにハーフパンツにエプロンという恰好の蛍は、申し訳なさそうな顔で俺を見上げていた。
※※※※※※
完結してたのに、追加を思いついてしまって書いております。
最近長年の片思いが一昨日叶ったばかり、恋人、そうっ恋人なんだよ。はぁ、幸せ。
恋人の蛍から「帰る時に食パン買ってきて貰っていい? 米が無いの忘れてた、申し訳ない」とメッセージが入ってた。
在宅勤務の蛍は、今日は午後からWEB打ち合わせだと今朝言っていたから、買い物行く時間が取れないんだろう。
「ザクザク食感シュークリーム?」
地下鉄を出て住んでるマンション近くのコンビニに入るとまっすぐパンの棚に向かった俺は目当ての食パンを二袋持ってレジに向かう途中、スィーツコーナーが視界に入ってそれから少々の時間そこで悩んでいる。
俺は全く食べないから、スィーツ知識は皆無だからコンビニスィーツがこんなに種類豊富だと知らなかった。もう夜の七時過ぎだっていうのに、まるで今品出ししたばかりと言わんばかりの品揃えだけどこんなに売れるものだろうかと心配になるが、ある意味選び放題だ。
なにせ俺は、蛍が甘いもの好きだと知ったばかり、だが実際に食べてるところはまだ見ていない。
今までは俺に遠慮して食べて無かったらしいから、ここは是非とも美味しそうなものを買って蛍に食べてもらいたいんだが、色々あり過ぎて迷ってしまう。
ピスタチオクリームを挟んだ春色マカロン? もっちり皮の白たい焼き(カスタードクリー))? さくら風味ぷるぷる食感わらび餅入りクリームあんみつ? もう訳が分からない。
「無難にケーキかな、夢見る苺ケーキ? なんじゃそりゃ」
蛍の好みがよくわからないから、当たり障り無さそうなケーキを選ぶ。
蛍が苺好きなのは知ってるから、多分大丈夫だろう。
蛍喜んでくれるだろうか、実はこういうケーキは好きじゃなかったりするのかな、いや蛍ならきっと喜んで食べてくれるはずだ。……ケーキに喜ぶ蛍、可愛いだろうな。
このコンビニのスィーツ開発者のネーミングセンスに疑問を覚えながらケーキを一つ取ってから、蛍一人で食べるのは嫌かもしれないと考えて無糖のヨーグルトを自分用に取りレジで支払いを済ませて外に出た。
「ヤバい、こんな買い物で舞い上がってる俺絶対にヤバい」
好きだけど、ずっと好きだったけど片思いだと思っていた相手、それが恋人に変わっただけでも嬉しいのに、恋人のためにケーキを買って帰るのとか、そしてそれを食べてもらえることに喜びを感じる俺、ちょっと気持ち悪いかもしれない。
蛍のこと考えてたから、店の中でももしかしたらニヤついてたかもしれない。
それは第三者から見たら不審者っぽかったかもしれない、気を付けよう。
「あー、幸せすぎるのが悪いよな」
人気のない住宅街をエコバッグと通勤鞄を下げて歩く俺は、ご機嫌で浮かれ過ぎている。
ご機嫌ついでに、今日の夕飯は俺の好物の一つポテトグラタンだって言っていた。
蛍の作るグラタンは、美味いんだ。
ホワイトソースがとろとろで、じゃがいもがホクホクでこんがり焼けたチーズとパン粉も良い。
料理得意じゃないしかなり適当に作ってると本人は言うが、得意じゃない奴があれだけ作れれば十分胸張って威張って良いと思う。
「俺も料理出来るようになろ」
俺がレシピ見ないでも出来るのって炒飯、焼きそば、カレー程度だから、土日位俺が作れる様になりたい。
平日は蛍が作ってくれてるし、何せ弁当も作ってくれてるんだもんなあ。
「これは恋人というより、もはや新婚では」
だめだ頭が沸いている。
まだやっと思いが通じたばかり、キスすらしてないってのに、どれだけ俺は浮かれているのか分からない。
「ただいまー」
浮かれ気分で家まで歩き、マンションのドアを開け中へと入る。
「蛍、食パン二袋で良かったか?」
靴を脱ぎながら中に声を掛けると、パタパタとスリッパを鳴らしながら蛍が出迎えてくれた。
「おかえり、拓。食パンありがとう、買い物頼んでしまってごめんな」
デニムシャツにハーフパンツにエプロンという恰好の蛍は、申し訳なさそうな顔で俺を見上げていた。
※※※※※※
完結してたのに、追加を思いついてしまって書いております。
応援ありがとうございます!
45
お気に入りに追加
75
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる