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しくじり長屋

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 油堀の親分こと、目明かしの政五郎が芳町の貸元、仁蔵親分を訪ねた翌日の八つ下がりのことである。
 定町廻り同心、溝呂木彦右衛門の持ち場である深川一帯の巡察の供をして自身番を廻った後、油堀の政五郎親分は独り菊川町の裏長屋へ向かっていた。
 巡察の終わった後、北森下町の権左の神酒所に立ち戻った政五郎は、白木の角樽に例の老松を詰めて貰い、伊予橋を渡り真っ直ぐに東へ向かった。
 大小の旗本屋敷が並ぶ武家屋敷町を抜けると程なく大横川に当たるが、この川の河岸道にある舂米つきこめ屋が所有している裏長屋に、政五郎は向かっていたのである。
 その裏長屋には九尺二間くしゃくにけんの棟割長屋が一棟と、どぶ板を挟んで小さな割長屋がある。八つ下りという時間のせいか、長屋にはつきものの女将さん連中の喧しい井戸端会議がない。どころか、頃合いとして有って然るべき、手習い帰りの子供達が駆け回る姿もない。この、庶民の生活感がまるで欠け落ちた、水を打った様な静寂に包まれたこの長屋は故あって界隈から
「しくじり長屋」
 と呼ばれていた。
「御免なさいよ。的場の旦那は御在宅ですか。油堀の政でござんす」
 舂米屋裏の土蔵横の割長屋の腰高障子の前で訪いを入れた政五郎。
 返事はない。
 すると隣の部屋の腰高が開き、陽に焼けて元の染めも朧げな、草臥た綿服を着た三十路の女が出て来た。
「もし、的場様なら所用でお留守でございます。八つには戻られるという事でしたので間もなくお帰り遊ばすと存じますが……」
 間違いない、この女も武家だ。貧乏を託っていても、この立ち居振る舞いに滲む品の良さはこの様などぶ板育ちでは養われない。この部屋に住む牢人の妻であろうか。政五郎のドスの効いた向こう傷を見ても顔色一つ変えないこの武家の妻女に、寧ろ政五郎の方が少したじろいだ。
「左様で。こらぁご丁寧に恐れ入りやす。手前は政五郎と申します。油堀の政が来たと的場さんにお伝えいただければお判りいただけやすんで。間も無くお帰りと云うことでしたら、あっしは南辻橋んの蕎麦屋で軽く手繰って参りますんで、誠に恐れ入りやすが、もし的場さんがお戻りになりやしたら、そう、お伝え願えませんでしょうか」
 と、腰を折って辞儀をしながら手土産の角樽を差し出す政五郎。
「あら、これはご丁寧に。お預かり申します。宜しかったらお待ちになりませんか、どうぞ此方へ」
 と、角樽を胸に抱えたまま的場の部屋の腰高を引き、まるで己の家であるかの様に政五郎を招じ入れようとする女の自然な態度に、つい政五郎も引き込まれてしまい、
「あ、宜しいですか、じゃあ、お言葉に甘えまして」
 と、的場の部屋の土間、上がり框に腰を掛けた。
「今、白湯等お持ちいたしますから」
 と、腰高を開け放ったまま出ていった女の隙の無さに心中、舌を巻く政五郎であった。
 
 的場の長屋の上がり框に腰かけ、開け放たれた入り口からどぶ板の向こうの殺風景な棟割長屋を眺めながら女がくれた白湯をすすっていた政五郎であったが、待ち人は直ぐに帰って来た。
 綺麗に火熨しの効いた五つ紋の黒羽織に仙台平を履き、鞘の塗りこそ剥げてはいるが決して悪い拵では無い、質実剛健な肥後拵の両刀を手挟んだ男が開け放たれた入り口で政五郎を見かけ大きな声で
「おっ、これはこれは櫓下の貸元。いや失礼、今では御上の御用を承る油堀の政五郎親分ではありませんか。これは珍しい客人だ。いや実はそれがしも貴殿にお目に掛かりたく存じておったのですが日々に取り紛れて中々に果たせずにいたところで、これは勿怪の幸、お待たせ致して恐縮至極。ささ、狭苦しい長屋ですがお上がりくだされ」
 と、的場と呼ばれた男は政五郎を招じ入れた。
「今日は又随分と堅苦しい格好をされておいでですね的場さん。仕官でもされたのですか」
 揶揄からかい気味にその紋服について尋ねてみた政五郎。
「いやいや、最近はトンと依頼が少なくなり申したが、それがしの表稼業は蔵宿師くらやどしですからな。今日は少々大きな話を纏めて来ましたので、此処が少し温まりました。今晩は賭場も無いので久々に酒でもやろうと思います、どうですか、折角ですからお付き合い願えませんか。実はそれがしも、折り入って親分へ願いの筋があるのだ」
 と、云いながら懐を右の手で軽く叩いた的場牢人。政五郎も快諾した。
 そこへ、白湯をくれた隣の女が乱れ箱を抱えてやってきた。
「お帰りなさいまし的場様。御紋服はこの乱れ箱へどうぞ。後は私が火熨斗をして畳んで差し上げます。それとこちらのお客様が角樽をお持ちくださいました。今晩、召し上がりますか」
 手を打って喜色を顔に出した的場、
「おっ、それは忝い。おお、そうだ、それで今宵は一杯やりましょう。お須磨殿、誠に相済まぬが、今宵は飯の他に何ぞ、肴も見繕って頂く訳にはいくまいか」
 と言いながら懐の紙入れから金の小粒を取り出して女に渡した。
「まあ、これでは多すぎます。鯛のお頭をお付けしても未だ余りますよ」
 と、女は政五郎の前で初めて笑ってみせた。一分の隙も無いと横目で女を見ていた政五郎であったが、その笑顔のあどけなさに、お須磨と呼ばれた女への印象が少し変わる思いであった。
「いやいや、いつもお須磨殿には飯や洗濯に留守中の掃除など、世話になりっぱなしですからね。壱之介殿に、何か精の付く物でも作って差し上げてください」
 照れ隠しであろうか、女の二の句を待たずに立ち上がり、奥の部屋へ行き襖を閉めて着替えを始めた的場。
 女は襖の奥に向かって深く一礼し、政五郎にも軽く会釈して立ち去った。今度は静かに腰高を閉めて。

 気軽な着流しに着替えた的場は、屈託の無い笑顔で奥から現れた。齢の頃は政五郎より五つ程が上であるから、四十になったばかりであろうか。独身のせいか、それともこの笑顔のせいか、政五郎と見た目の齢はさほど変わらない。
「さて、ご多忙の政五郎親分がわざわざこんなしくじり長屋までお出ましとあればきっと御用の筋でございますな。貴方には、櫓下の貸元時代に大変世話になった。それがしに判る事であれば何なりとお聞きくだされ」
「的場さん、もう櫓下の貸元はやめてくだせぇよ。あっしゃ上州屋一家の親分との盃だけは水にしてねぇものの、もう、五年前ぇから一切賭場には関係がねぇんです」
 改めてこの牢人者であるが、名を的場笑之介という。自称、作州牢人という事であるが、親の代から二代に渡る牢人暮らしゆえ、本当のことは当人も判らない。江戸の生まれで、勿論作州などへは行った事もない。
 彼の亡き父親は本所界隈では有名な蔵宿師で、本所近辺に屋敷を持つ無役の貧乏旗本のお殿様連中には随分と贔屓にされていた。蔵宿師とは、大方の幕臣が借金で雁字搦めにされている、かの悪名高い札差商へ借金の無心や金利の棒引き等の交渉を金銭で引き受ける者のことである。荒くれな地回りの稼業人や仕事師、腕と度胸に覚えのある世慣れた牢人者が引き受けることが多かった。
 勿論、札差側とて借主からの強談を指をくわえて見ていた訳ではない。これまた蔵宿師と同じ様な素性の者を『対談方』という名の番頭格で雇い入れ、荒くれ者には荒くれ者で対応していたのである。この対談方は高給取りで、勤続数十年の通いの筆頭番頭と同額の給与を取っていた程に重用されていたらしい。
 さて、この的場笑之介、父親譲りの度胸と、流派は誰にも云わないが喧嘩で鳴らした腕っぷしで蔵宿師を生業にしているが、それだけでは食えぬということで本所・深川近辺の賭場の用心棒も引き受けている。今ではこちらの方が本業と云っていい。
 政五郎との付き合いも、政五郎が深川櫓下の貸元として定盆(常設の賭場)を預かっていた頃に笑之介に用心棒を頼んでいたのが縁である。
 笑之介は賭場荒らしに睨みを効かせるだけではなく、揉め事を起こさぬ様に暴れる客を宥めて帰すのも又、上手であった。負けが込んで熱くなっている侍や乱暴者を見つけると巧みに話しかけ酒を注ぎ鮨を食わせ、少々の銭を握らせて帰らせてしまう芸当は笑之介でなければできないと云われ、笑之介が面倒をみている賭場は揉め事が圧倒的に少ない為評判が上がり、上州屋一家の貸元連中の間でも笑之介に用心棒を頼む者が増え、彼一人の体には持て余す様になっていった。
 そこで笑之介は、賭場で燻っていた腕のある牢人者の中でこれはという者に声を掛け、自分の名代として賭場の用心棒にし、自分は各地の賭場を巡回する様にして商売を広げた。この点、武家で有りながら中々の才覚であるが、やはり親子二代の浪々生活で身に着けた処世術であろう。
 その内、ままならない人生に自棄になっていた牢人者の中に笑之介の評判を聞き、頼ってくる者が出てきた。中には今宵の宿にも困る様な者も少なくなく、面倒見の良い笑之介はそういう手合いも決して無碍にせず、この長屋の空いている棟割りに住まわせてやった。
 この長屋、界隈では今やしくじり長屋としか呼ばれなくなっているが元々は河岸通りに面した舂米屋の家作で、この棟割り長屋はこの舂米屋で米搗き職人として働く男どもの為のものであったが、数年前に舂米屋が商売を手仕舞いにして家主に任せきりにして生まれ在所の下総へ帰ってしまった為、空き屋が多かったのである。
 評判が評判を呼び、主家を失い途方に暮れた牢人が噂を頼りに押し掛けてくる為、笑之介は数年前にこの長屋の家主(大家)の権利を切餅二つ(五十両)で買い上げて、自分自身が家主となり、家主が住んでいたこの割長屋へ越してきたのである。
 笑之介を頼りやってきた牢人共の面倒を見ながら、家賃を払えないものには要求せず、真面目に働く気があるものには請け人になってやり口入屋へも紹介する。そうして活計たつきの道が開かれた者はやがてこの長屋を去っていき住人は入れ替わるが、常に四人前後の牢人者が住まわっていた。
 武家をしくじった者とその家族だけが住んでいるのでいつの間にか此処はしくじり長屋と呼ばれる様になったのであった。

「入江町の多十親分の所の定盆、あそこの守りも的場さんでございましたね」
 入江町の多十。という名を聞くだけでそれまでの笑顔を渋面に変えた的場は腕を組んで畳に目を落としてしまった。
「ああ、あそこですか……正直、手を退きたいのは山々なのですがね、こちらも色々事情がありましてね。いや、私の相談というのもそこのところなのですよ親分」
「そんなに酷いのですか」
「ええ、特にこの数年、ほら、何を考えておられるのか多十の親分、五十を過ぎたあの齢になって北の旦那から鑑札を頂いて二足の草鞋を履く様になってから、が酷い」
「と、仰いますと」
「噂ですがね、あの御仁、手札を降ろして貰うために切餅(二十五両包)を四つも積んだらしいんです。元を取らねば、という事なのでしょうが、あからさまないかさま博打は無論のこと、乾分らを使って、居酒屋で陽気に飲んでる堅気の衆らを言葉巧みに賭場へ引きずり込んで借金漬けにしちまって、女房・子供を苦界に売り飛ばすなんて事を平気でやります」
 本所・深川一帯を手広く縄張りにする上州屋一家でも一、二を争う大きな盆である櫓下の定盆を、わずか二十代という若さで預かった程の金筋博徒であった政五郎、ここまで話を聞いただけで左目の目の色が変わった。
「あそこにゃあ、質の悪い付け馬も居るのですよ、絵描きだというのですが、賭場の付け馬をする様な絵描きがどこの世界にいるかと、あたしゃこれですがね」
 これ、と言いながら右手の人差し指で眉毛をなぞってみせた笑之介、眉唾、と云いたいのであろう。
 笹島一睡のことを話しているのは無論だが、ここでは政五郎はわざと反応をしないでいた。
「絵描きが付け馬ですか」
「いや、あっちこっちの賭場でお足が膨らんじまって、それでも懲りずに入江町の定盆へやって来ていたのはそれがしも見聞きしているんですが、何が有ったやら存じませんがね、いつの間にやら入江町の身内の様になっておりますな」
「……」
 黙って聞いている政五郎に、笑之介は畳みかけた。
「で、その入江町を探索でもしなさっておられるんですか」
「あちこちで良くない噂を聞くものですからで気になりましてね。但し、本所はうちの旦那(溝呂木彦右衛門)の廻り筋じゃござんせんし、相手も御上の御用を務める親分だ、こちらが探索だなんて大っぴらに出来やせんので事情にお詳しい、的場様にお話でもお聞きできねえかと思いましてね」
「そこよそこ、そこでござる。それがしの話と云うのも多十の賭場のことだ。いや、それがしとて他人に自慢出来る様な稼業ではございませんがね、他人様を泣かせてまで稼ぐというやり方はどうにもねえ。ところがあそこの定盆で一人、世話になっている新顔のご牢人がおるのですよ。ふた月前にここへ流れて来ましてね、何でもさる家中の江戸定府で代々五十俵っていう軽格のお方なのだが、今多十の仕事を断るとその御仁の食い扶持がきつい。先だってもこの件で葭町の仁蔵親分の所へ参りましてね、親分の定盆に用心棒の空きが無いかと頼んでみたのですがどうも芳しくない。あの様な賭場ではなく、もう少し真っ当な場所へご案内をして差し上げたいのだが、当の本人は一向に気にする所がなく飄々と用心棒をしているのです。私とは違うやり方ですが、兎も角も殺気が凄い御仁で、あの御仁の冷たい眼で一睨みされたらその辺りの破落戸は居竦んでしまうでしょうなぁ」
「ほう……」
 と、そこへ、
「御免……的場氏、おられましょうや」
 腰高の向こうから訪いを入れる声が掛かった。
「二宮さんですね、どうぞお入りなさい」
 と云いながら、右目を瞑り合図をし、小さな声で
「噂をすれば……」
 と呟いた的場笑之介。
 牢人と聞いたのでもう少し草臥れた格好をしているかと思ったが、意外に小ざっぱりとしていて、五つ紋の羽織に袴を履き、脇差は帯びず大刀のみを落とし差し、月代も青々と綺麗に剃り上げた細身の大男は、六尺近い背丈では頭が鴨居に当たると見え、窮屈そうに腰を屈めて笑之介の長屋の土間へ入ってきた。
「やあ二宮さん、入江町の盆にはまだまだ刻限が早いでしょう。こちらは深川は油堀の御用聞きの親分で政五郎殿と申されまして、それがしの知己でござる」
 如才なく、政五郎を大男に紹介する的場笑之介。
「お初に御意を得ます。それがし、二宮周作と申す牢人者です。故あって主家を退転いたし今や牢人暮らし、この的場氏のお情けに縋りこの長屋で夜露を凌いでおり申す。以後、よしなに」
「これはご丁寧に恐れ入ります。手前、深川油堀にて御上の御用を務めます政五郎と申します」
 政五郎は膝を直して畳に両手を突いた。
「それがし、少々所用もありますゆえこれより出掛けてまいります。戻りは何時もの様に遅くなり申す」
「ああ、気を付けていってらしてください。明日の朝は一緒にお須磨さんの朝飯を頂くとしましょうよ」
 透ける様に青白い、こけた頬を歪めて軽く笑った二宮という男は一礼をして出て行った。

「人の、一人や二人、斬っておられますね、あの御仁……」
 政五郎が静かに言うと、腕組をしたまま天を仰いだ的場笑之介がため息をついた。
「いや親分、流石の慧眼ですな。あの御仁は何も語られませんが、或いは敵持ちなのかもしれません。ですがね、この的場笑之介を頼ってこのしくじり長屋に来られた以上、それがしは全力であの御仁も守って差し上げる積りなのですよ。ひょっとして親分の目当てはあの二宮さんじゃぁないでしょうな」
「いや、滅相もない」
 汗を掻きながら手を振って否定する政五郎。
「どちらかといいますとね、その付け馬、絵師の、名を笹島一睡と云いますが……あっしの狙いはそちらなのです」
 もはや腹の探り合いの時期は過ぎたと観念し、本題に入った政五郎であった。
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