バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

6章 集う力

306 死の恐怖

別に死ぬ事なんて怖くなんて無いと思っていた。それは現代日本で死の危険とは縁の無い生活を送ってからだ。死とは映画や漫画の中の出来事で自分とは関係無いと思っていたからこそそんな傲慢な勘違いをしていた。

「や…やめてよ…！？がぁぁぁっ！腕がっ！僕の腕がっ！」

「大袈裟なヤツだな。腕の一本や二本折られてもお前なら生命の指輪の力ですぐに治せるだろ？」

目の前に立つ男が悶え苦しむ僕を見下ろしながら言い放った。

「痛い…鬼ぃさん謝るからもう許してよ…」

「ダメだ。大体お前が俺に偽核を埋め込んだせいでこんな目に遭ってるんだぞ？自業自得とはこの事だな。ハハハハハ！」

この男の言う通りだ。自分の力に酔っていた僕は取り返しのつかない間違いを犯してしまった。このバケモノを作り出したのは間違いなく僕自身だ。

「これでもその件についてはお前に感謝してるんだぜ？俺の主人格様はとんだ偽善野郎で鬼神の力を持て余していた。こんな素晴らしい力なのに…よっ！！」

「グハッ…！？」

男が僕の顔を蹴り上げる。僕の身体はしばらく宙を舞った後地面へと叩きつけられた。痛みを堪えながら呼吸を整え生命の指輪の力を発動する。

「おっ？回復したのか？これでまた壊してやれるな。お前は最高の玩具だよ」

「はぁはぁ…ど、どこかに逃げ道は…？」

今の僕じゃどう足掻いてもこの男には敵わない。戦おうだなんて考えちゃダメだ。逃げる事だけを考えるんだ。

「逃げようとしてもムダだぞ。この大空洞から出るには入り口まで戻らないといけない。お前俺がそんな事を許すと思うか？」

「クソっ…おい！レブ聞こえてるんだろ！？早く助けに来てよ！！」

この空洞から逃げる事は難しい、かと言って戦っても勝ち目は無い。ならば助けを呼ぶしか無い。僕は声の限り手下の名を叫ぶ。

「情けない。最初はあんなに余裕たっぷりだったのに仲間に泣きつくなんて恥ずかしくないのか？」

男が握り締めた拳を振りかぶる。ダメか…レブもレブで戦闘を繰り広げている筈だ。こうなったらもう僕にできる事は無い。この男に嬲り殺しにされるしか無い。僕は目を閉じて拳の衝撃に身構えた。

「！？なんだこのクソモンスターめ！邪魔するなら貴様が代わりに消し飛びやがれ！」

「グギャァァァァッ！」

恐る恐る目を開くと男の攻撃を妨害する様に大きな蜘蛛の様なモンスターが男の頭へとしがみついていた。しかし一瞬で引き剥がされその胴体を拳に貫かれる。このモンスターは…レブだ、レブの使役したモンスターが助けに来てくれたのだ。

「我が主への狼藉はその辺りで辞めていただこう。行け！下僕共よ！カイト様をお守りするのだ！」