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6章 集う力

221 拍子抜け

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「きゅう…」

「どうしてこうなった…?別に楽して捕まえる事が出来たから不満はないんだけど…なんか釈然としないな…」

『まさか脚を滑らせて勝手に自滅するなんて思いませんでした。頭を強く打ってたみたいなので少し心配です』

「念の為にちょっとだけ治癒の力を使ってやるか。もしこれが原因で死なれたりしたら目覚めが悪い」

女魔族が戦闘態勢に入った次の瞬間…彼女は濡れた脚元を滑らせてそれはもう盛大にずっこけた。

『その前にキチンと手足を縛っておくべき、治療して逃げられたら洒落にならない』

「そうだな、そんな事になれば俺もコイツの事をバカにできない。確か丈夫そうなロープをアイテムバックにしまっていた筈だ」

気を失っている女魔族の手足を入念に縛った後で生命の指輪の力を発動する。シグマさん達から何度も逃げ切った相手だと警戒していたがまさかこんなマヌケなヤツだったとは…

「う…う~ん…アイタタ…私は一体?」

「目が覚めたか、言葉が話せるって事は大丈夫そうだな」

「ア!アンタは!?私に一体何をしたのよ!?」

「何もしてない、お前が勝手にずっこけて気を失っただけだ…一応聞いておきたいんだけどアレは本気でコケたのか?ウケ狙いじゃなく?」

俺の言葉を聞いた女魔族ねの顔がみるみる赤くなっていく。自分がこけた時の記憶が戻り恥ずかしくなったのだろうか。

「う!五月蝿いわね!この天才美少女魔族のアン様が敵の前でコケたりする訳ないじゃない!私が正々堂々と戦うに値するかどうかアンタを試したのよ!」

「天才美少女魔族ねぇ…それにしては言い訳が色々と苦しい気がするけど…まぁいいや、意識が戻ったなら大人しく俺の話を聞いてくれ」

「誰がアンタの話なんか聞くもん…って何コレ!?何で全身が縄で縛られてるのよ!?まるでミノムシみたいじゃない!」

「あぁそれか、お前が意識を取り戻しても逃げられない様に手足だけ縛る予定だったんだがな。念の為にとあちこち縛ってるウチにそんな格好になってしまった。許せ」

アンと名乗った自称天才美少女魔族サマを縛っている内にまるでミノムシの様に顔だけ残して全身をロープでグルグル巻きにされた生物が誕生してしまった。頑丈なロープの結び方なんか知らないのでこうするしか手段が無かった、途中から少し楽しくなってしまったのはご愛嬌だ。

「これじゃ逃げられないわ…一体私をこんな格好にしてどうするつもりよ!?アンタの言いなりになんてならないわ」

「別に乱暴をするつもりはない、大人しく話がしたいだけだ。でもこんな場所じゃいつドラゴンに襲われるかわからないな…」
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