81 / 358
4章 港街騒乱
077 真の貴族
しおりを挟む
クラブ様と呼ばれた身なりのいい男は騎士団員や冒険者達に指示を飛ばしていた、ブロスタさんの話にも出てきたザラキマクの領主だろうか。
「アイロンスティールの英雄?…そうか君達が噂になっている旅人のユイト殿一行か、この街に来ていると云う話は聞いていたが…」
「はい、俺達もモンスターの迎撃に参加させてもらえませんでしょうか?きっと力になれると思います」
「ありがたい申し出だとは思う…しかし好意に甘えても良いのだろうか、この場に居る騎士団は私も含め命を失う覚悟が出来ている者だと思っている、この街に来て日の浅い君達が命を賭ける事はないんだよ」
「傲慢に思われるかも知れませんが俺達の力は強力な物だと思ってます、俺達がこの戦いに参加する事で守れる命がある筈です、それに…あんなモンスター達に殺されるつもりは毛頭ありません」
クラブ様は真っ直ぐに俺達の姿を見つめる、しばらくすると何かを決意した様に口を開いた。
「…判った、申し遅れたが私の名はクラブ=バルメス=タルマイト、こんなでもこの街を任されている、街を守る為に君達の力を貸して欲しい、この通りだ」
「頭を上げて下さい、その…マズいんじゃないですか?こんな大勢の見ている所で領主様が平民に頭を下げるなんて」
深々と頭を下げるクラブ様、この世界に来て唯一知っている貴族がビズミスだった為あまり貴族に対して良い印象が無かった、どうやらこの人はアイツとは根本的に違う人種な様だ。
「君達は善意でこの街の為に力を貸してくれようとしている、街の代表たる人間が感謝の気持ちや敬意を示すのは自然な事だと思うが?」
「領主様…俺は貴族って存在を勘違いしていた様です、必ず街を守ってみせます、俺達は何処の守りに付きましょうか?」
「そうだな…君達は魔法部隊の護衛及び援護をお願いしたい、人数はそんなにいない部隊だがモンスターに対する要となる部隊だ、私が直接指揮を取る」
「領主様自ら前線に立つんですか!?危険だと思いますが…」
「私も魔法が使えるんで魔法使いの戦い方については騎士団の誰よりも熟知しているつもりだ、それにこの場に居る者は身分や能力など関係無い、皆等しく勇敢な戦士だ」
不思議な人だ、人を惹きつける魅力がある、こんな人を本物の貴族って云うんだろうな。
「わかりました、領主様の指揮に従います、俺達の力を領主様の思うままに使って下さい」
「言っただろう?君達と私に身分の差など存在しない、様なんて付けないでくれ、ユイト殿…いやユイトと呼ばせてくれ」
「クラブ…さん、一緒に戦いましょう、モンスターどもに街を好きにはさせません」
クラブさんと固く握手を交わす、その時1人の男が俺達の方へと駆け寄って来た。
「観測班より伝令に参りました、間も無くモンスターが港に到着します!」
「アイロンスティールの英雄?…そうか君達が噂になっている旅人のユイト殿一行か、この街に来ていると云う話は聞いていたが…」
「はい、俺達もモンスターの迎撃に参加させてもらえませんでしょうか?きっと力になれると思います」
「ありがたい申し出だとは思う…しかし好意に甘えても良いのだろうか、この場に居る騎士団は私も含め命を失う覚悟が出来ている者だと思っている、この街に来て日の浅い君達が命を賭ける事はないんだよ」
「傲慢に思われるかも知れませんが俺達の力は強力な物だと思ってます、俺達がこの戦いに参加する事で守れる命がある筈です、それに…あんなモンスター達に殺されるつもりは毛頭ありません」
クラブ様は真っ直ぐに俺達の姿を見つめる、しばらくすると何かを決意した様に口を開いた。
「…判った、申し遅れたが私の名はクラブ=バルメス=タルマイト、こんなでもこの街を任されている、街を守る為に君達の力を貸して欲しい、この通りだ」
「頭を上げて下さい、その…マズいんじゃないですか?こんな大勢の見ている所で領主様が平民に頭を下げるなんて」
深々と頭を下げるクラブ様、この世界に来て唯一知っている貴族がビズミスだった為あまり貴族に対して良い印象が無かった、どうやらこの人はアイツとは根本的に違う人種な様だ。
「君達は善意でこの街の為に力を貸してくれようとしている、街の代表たる人間が感謝の気持ちや敬意を示すのは自然な事だと思うが?」
「領主様…俺は貴族って存在を勘違いしていた様です、必ず街を守ってみせます、俺達は何処の守りに付きましょうか?」
「そうだな…君達は魔法部隊の護衛及び援護をお願いしたい、人数はそんなにいない部隊だがモンスターに対する要となる部隊だ、私が直接指揮を取る」
「領主様自ら前線に立つんですか!?危険だと思いますが…」
「私も魔法が使えるんで魔法使いの戦い方については騎士団の誰よりも熟知しているつもりだ、それにこの場に居る者は身分や能力など関係無い、皆等しく勇敢な戦士だ」
不思議な人だ、人を惹きつける魅力がある、こんな人を本物の貴族って云うんだろうな。
「わかりました、領主様の指揮に従います、俺達の力を領主様の思うままに使って下さい」
「言っただろう?君達と私に身分の差など存在しない、様なんて付けないでくれ、ユイト殿…いやユイトと呼ばせてくれ」
「クラブ…さん、一緒に戦いましょう、モンスターどもに街を好きにはさせません」
クラブさんと固く握手を交わす、その時1人の男が俺達の方へと駆け寄って来た。
「観測班より伝令に参りました、間も無くモンスターが港に到着します!」
0
お気に入りに追加
910
あなたにおすすめの小説
【オンボロ剣】も全て【神剣】に変える最強術者
月風レイ
ファンタジー
神の手違いにより死んでしまった佐藤聡太は神の計らいで異世界転移を果たすことになった。
そして、その際に神には特別に特典を与えられることになった。
そして聡太が望んだ力は『どんなものでも俺が装備すると最強になってしまう能力』というものであった。
聡太はその能力は服であれば最高の服へと変わり、防具であれば伝説級の防具の能力を持つようになり、剣に至っては神剣のような力を持つ。
そんな能力を持って、聡太は剣と魔法のファンタジー世界を謳歌していく。
ストレスフリーファンタジー。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる