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1章 リザードマンと女神の籠手

011 グランウッド大森林

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模擬戦を行った翌日、朝早くに村を出た俺達は地図に描かれた目印を目指して街道をブラーゴの街方面へ進んだ。

サクヤの腹時計がお昼を告げたので街道の傍に生えていた木陰で昼食をとる。

「ガンマさん、この辺りですかね?アレが目印の岩じゃないですか?」

「ああ、間違いない、それに見てみろよユイト」

ガンマさんが指差した方を見ると草原の中に何者かに踏み荒らされた跡が道の様に続き、街道に沿ってに広がっている森、『グランウッド大森林』に続いていた。

「ありゃあ、トカゲちゃん達の仕業だろうな、街道を外れてあの森に入っていくなんて馬鹿はそうそういない、しかも大勢でな」

「よし、あの跡を追って行こう、巣に戻っていったリザードマンの作った獣道だろう、ガンマは先頭を歩き痕跡を見失わない様に気をつけてくれ」

「あいよ大将、あんなに目立つ痕跡を見失う様じゃ偵察失格だぜ、任せてくれ」

俺達はガンマさんを先頭に街道から外れ森の方に歩いていく。

「それにしても相変わらず陰気な森ね、近づくだけで気が滅入ってくるわ」

「そうですね~、ジメジメしてそうです、イオタさん、もう1つクッキーもらえませんか?」

「ピクニック気分ね、貴女やっぱり大物だわ、これが最後よ?非常食なんだから」

サクヤがクッキーをもぐもぐしながらふと不思議そうな顔をする。

「今誰かに呼ばれませんでした?」

「おいおいやめてくれよサクヤちゃん、ただでさえ不気味な森に入るってのに、俺ッチその手の話は大の苦手なんだよ」

「う~ん、気のせいだったかなぁ?」

腑に落ちない顔をしてサクヤは呟いた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

森の中に入った俺達はリザードマンの痕跡を追いかけて黙々と進んだ、湿度が高い為か気持ち悪い汗が全身から吹き出してくる。

「よし、少し休憩しよう、目的地はもう近くだから最後の休憩になると思う」

アルフさんの号令で俺達は倒木に腰掛け休息を取る。

「そろそろオルトダイルの縄張りに入る、今まで以上に周囲を警戒するんだ、アイツらは気配を消していきなり襲いかかって来るからな」

「地図に描かれていた2首の鰐ですよね?どんなモンスターなんなですか?」

「厄介な相手よ、特に森の中じゃ1番出会いたく無い相手ね、自分の体皮を周囲の色に同化できるの、油断している獲物をパクっと丸呑みにする恐ろしいヤツよ」

イオタさんがパクっとジェスチャーをしながら説明してくれる。

「そのせいでヤツらの縄張りには滅多に人が立ち入らないのさ、オルトダイルに守られてトカゲちゃん達はヌクヌクとこの森で繁殖出来たんだろうな、しかしなんでヤツらはオルトダイルに喰われないんだ?」

「わからないな、とにかく僕たちは細心の注意を払って進むしかない、そろそろ出発しよう」
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