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1章 婚約破棄

010 遥か昔

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12億1126万822年前?マリウス様は一体何を言ってるんだろう。この世界で最初の文明は3000年くらい前だった筈だ。何万年、更に何億年も前に人類が存在していたなんて話は聞いた事がない。

「あぁ。いきなりこんな話をしても信じられないよね?君達の…今回の文明が始まったのは確か3000年くらい前だったかな?でも今回の文明の前にも、人間は何度も文明を発達させ、そして滅んでるんだ」

「…仰っている意味が良く分かりません…その、お話のスケールが大きすぎると言いますか….」

「バレンシア嬢。其方の気持ちも分かるがマリウス先生の仰る通り、この世界は何度も滅びておる…儂も最初は信じられなかったから気持ちは分かるよ」

「そして今の世界…私達が生きる今の世界も滅びの時が近づいているのです…」

「多分長くて後100年ってトコだろうね。後100年でこの世界は滅びてしまう。でもオーロラさん?君の協力が有れば、今回こそは世界の最後を回避出来るかも知れないんだ。僕に協力をしてくれないだろうか?」

私に聖女の素質が有るとか、何回も世界が滅びているとか、後100年でこの世界も滅びてしまうとか…本当に何一つ話が理解出来ない。夢を見ている様だ。

「もし私が何か世界の役に立てるなら…それは喜んで協力したいです…でも一体何をすれば?」

「本当かい!?いやぁ良かった!正直断られても仕方ないと思ってたんだ。本当に良かった」

「儂らが其方とレイスの婚約を決めた理由も、実はこの為に外堀から埋めてしまおうと考えての事でのぉ。義理の祖父と祖母からのお願いなら断る事も出来んくなろう?レイスが其方との婚約を破棄したと聞いた時には世界の最後を覚悟したんじゃが…結果オーライじゃの」

「バレンシア嬢。感謝しますよ。これで心置きなくカイゼルと2度目の新婚生活を送れます」

「あ、あの…ですから具体的に私は一体何をすれば…」

3人の喜び方が尋常では無い。一体私は何をさせられるのだろうか?まさかイーリアス様の伝説の様に命を失う事に?安請け合いだったかも知れない…

「あぁ、まずは君には聖女の素養…聖なる魔力を鍛える為に修行をしてもらう。僕の家に住み込みでね。その為にオーロラさんのご両親にも許可をもらいたいんだ」

「マリウス様。娘が世界を救うというならこれほど誇りに思える事は有りません…しかしオーロラの親として、1つだけ確認させて頂きたい事があります」

「娘は…オーロラはこのお話を受けて幸せになれるのでしょうか?」
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