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1章 婚約破棄
006 志願
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パーティー会場のドアが開き、若く美しい女性が怒声を上げた。凛として良く通る声だ。
「おぉ…リリアン…お前なのか…?」
「カイザル?貴方も若返ってるって事はやっぱり…ご無沙汰しております、マリウス様」
「やぁ、リリアン。久しぶりだね」
どうやら女性の正体は先代王女陛下のリリアン様らしい。リリアン様がカイザル陛下の元へ歩み寄る。
「カイザル?私は先程まで床に伏せ自分の命が残り僅かだと思っていました。しかし急に身体が楽になり、気がつくと若返っていたのです。正直に答えて下さい…マリウス様に何をお願いしました?」
「儂とお前の時間を巻き戻し…へぶっ!?」
リリアン様がカイザル陛下の頬を思い切り叩く。静まり返った会場に乾いた音が響き渡る。
「やはりそうでしたか!自分のやった事が分かっているのですか?人はいつか必ず死ぬものです。私も覚悟は出来ていました…それなのに…王族として人々の見本とならなければならない私達を何故人の理から外す様なマネをしたのです!?」
「儂だって…そう思っておった…だが、お前との永遠の別れを迎えるそのギリギリにマリウス様と再び会える事が出来た。儂とお前は長年王と王妃であったが、2人の『人間』として過ごせた時間はあまりに短かった…儂はお前と2人、ただの夫婦として当たり前の時間を過ごしたいと思ってしまったんじゃ…」
「貴方は卑怯です…その様な事…ぞのような事を言われだら怒れなぐなるではありまぜんがっ!?」
幼子の様に泣きじゃくりながらリリアン様がカイザル陛下の胸へ顔を埋めた。会場のあちこちから貰い泣きをしたのか鼻を啜る音が聞こえる。
「あのー…取り敢えず僕は君達のお孫さんの婚約祝いに来たんだけどさ。何か色々と台無しにしてゴメン」
「い、いえ…お祖父様とお祖母様を若返らせて頂きありがとうございました…あの、マリウス様?もしよろしければ…「マリウス様!!私を!私めにどうかマリウス様の魔法を教えていただけませんでしょうか!?」」
マリウス様に礼を述べるレイス殿下の言葉を遮ったのはステファニー皇女殿下だった。マリウス様はステファニー殿下の迫力にギョッとした表情をしている。
「あの…君は?カイザルのお孫さんのお嫁さん?」
「申し遅れました。仰る通り、私はレイス殿下の婚約者でレイルデスク皇国第四皇女のステファニー=レイルデスクと申しますわ。以後お見知りおきを…」
「これはご丁寧にどうも。でも君に魔法をねぇ…うーん…やめておくよ。何か君ってドロドロしてて魔法を教えてもロクな事にならないと思うからさ」
「おぉ…リリアン…お前なのか…?」
「カイザル?貴方も若返ってるって事はやっぱり…ご無沙汰しております、マリウス様」
「やぁ、リリアン。久しぶりだね」
どうやら女性の正体は先代王女陛下のリリアン様らしい。リリアン様がカイザル陛下の元へ歩み寄る。
「カイザル?私は先程まで床に伏せ自分の命が残り僅かだと思っていました。しかし急に身体が楽になり、気がつくと若返っていたのです。正直に答えて下さい…マリウス様に何をお願いしました?」
「儂とお前の時間を巻き戻し…へぶっ!?」
リリアン様がカイザル陛下の頬を思い切り叩く。静まり返った会場に乾いた音が響き渡る。
「やはりそうでしたか!自分のやった事が分かっているのですか?人はいつか必ず死ぬものです。私も覚悟は出来ていました…それなのに…王族として人々の見本とならなければならない私達を何故人の理から外す様なマネをしたのです!?」
「儂だって…そう思っておった…だが、お前との永遠の別れを迎えるそのギリギリにマリウス様と再び会える事が出来た。儂とお前は長年王と王妃であったが、2人の『人間』として過ごせた時間はあまりに短かった…儂はお前と2人、ただの夫婦として当たり前の時間を過ごしたいと思ってしまったんじゃ…」
「貴方は卑怯です…その様な事…ぞのような事を言われだら怒れなぐなるではありまぜんがっ!?」
幼子の様に泣きじゃくりながらリリアン様がカイザル陛下の胸へ顔を埋めた。会場のあちこちから貰い泣きをしたのか鼻を啜る音が聞こえる。
「あのー…取り敢えず僕は君達のお孫さんの婚約祝いに来たんだけどさ。何か色々と台無しにしてゴメン」
「い、いえ…お祖父様とお祖母様を若返らせて頂きありがとうございました…あの、マリウス様?もしよろしければ…「マリウス様!!私を!私めにどうかマリウス様の魔法を教えていただけませんでしょうか!?」」
マリウス様に礼を述べるレイス殿下の言葉を遮ったのはステファニー皇女殿下だった。マリウス様はステファニー殿下の迫力にギョッとした表情をしている。
「あの…君は?カイザルのお孫さんのお嫁さん?」
「申し遅れました。仰る通り、私はレイス殿下の婚約者でレイルデスク皇国第四皇女のステファニー=レイルデスクと申しますわ。以後お見知りおきを…」
「これはご丁寧にどうも。でも君に魔法をねぇ…うーん…やめておくよ。何か君ってドロドロしてて魔法を教えてもロクな事にならないと思うからさ」
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