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1章 婚約破棄
005 奇跡
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「なに…これ…綺麗…」
思わず言葉が漏れる。マリウス様の放った光が収まると、淡い蒼の光が人の形に収束していた。
『よぅ、マリウス。って…そっちはもしかしてカイザルの坊主か!?ちょっと見ない内にジジイになったなぁ』
「おぉ…クロノス様…お久しゅうございます」
「急に呼び出して悪かったねクロノス。ちょっと頼みがあるんだよ。カイザルと…リリアンって覚えてる?2人の時間を50年くらい巻き戻して欲しいんだけどさ。お願い出来る?」
『あたぼうよ!俺を誰だと思ってるんだ?50年で良いんだな?カイザルはここにいるジジイだとしてリリアン…リリアンっと…おい、リリアンのヤツの気配探ったけど、アイツ結構ギリギリじゃねーか。次から時間戻せって命令する時はもっと余裕もって呼び出せよ。死んだヤツの時間戻すのってハデスの機嫌取らなきゃいけねーから面倒くせーんだよ』
「ゴメンゴメン。ちょっとぼーっとしてたらアッと言う間に50年くらい経っちゃっててさ。それじゃあお願いね」
コクリと人型の光…マリウス様がクロノスと呼んでいた存在が頷いた様に見えた。と同時にカイザル殿下の身体が光に包まれる。
「おっ…おお…身体が…身体に力がみなぎって来る…」
『リリアンの方も戻しといたぜ。そんじゃ俺は帰るからまた何か有ったら呼べよ。じゃあな』
「うん。ありがとうねクロノス。それじゃまた」
人型の光が霧散して消える。今のは一体何だったのだろう。
「ち!?父上!?一体そのお姿は!?」
「ふぅ…やはり若さとは良い物じゃのぅ…思い通りに身体が動くわい」
シーシャル国王陛下が驚きの声を上げる。それもその筈だ。カイザル先王陛下は若い青年の姿になっていた。
「良かったね。あっ、忘れてたけど今日は君のお孫さんの婚約パーティーに来たんだった。けど…何かそんな雰囲気でもなくなっちゃったね…」
皆のマリウス様を見る目が先程までとは全然違う。ある者は恐れる目で、またある者は羨望の目で、そしてある者は媚びる様な目でマリウス様を見つめていた。
「マ!マリウス様!お願いで御座います!私も!私めも30年…いや10年ほど若返らせていただけませんか!?」
「おい貴様!男爵風情がおこがましいぞ!マリウス様!私はこの国の公爵家の家長で御座います!若返えらせるなら私を!私を若返らせて下さい!」
「何言ってるの!貴方が公爵になれたのは私の婿になったからでしょ!マリウス様!私こそが公爵家の正当な血筋を引く者!私を若返らせて下さいまし!」
会場内が騒然となる。それはそうだ。人を若返らせる魔法なんて他では聞いた事も無い。この機を逃せば、若返る事が出来る次の機会など恐らく無いだろう。
「貴方達!見苦しいにも程があります!静粛になさい!」
思わず言葉が漏れる。マリウス様の放った光が収まると、淡い蒼の光が人の形に収束していた。
『よぅ、マリウス。って…そっちはもしかしてカイザルの坊主か!?ちょっと見ない内にジジイになったなぁ』
「おぉ…クロノス様…お久しゅうございます」
「急に呼び出して悪かったねクロノス。ちょっと頼みがあるんだよ。カイザルと…リリアンって覚えてる?2人の時間を50年くらい巻き戻して欲しいんだけどさ。お願い出来る?」
『あたぼうよ!俺を誰だと思ってるんだ?50年で良いんだな?カイザルはここにいるジジイだとしてリリアン…リリアンっと…おい、リリアンのヤツの気配探ったけど、アイツ結構ギリギリじゃねーか。次から時間戻せって命令する時はもっと余裕もって呼び出せよ。死んだヤツの時間戻すのってハデスの機嫌取らなきゃいけねーから面倒くせーんだよ』
「ゴメンゴメン。ちょっとぼーっとしてたらアッと言う間に50年くらい経っちゃっててさ。それじゃあお願いね」
コクリと人型の光…マリウス様がクロノスと呼んでいた存在が頷いた様に見えた。と同時にカイザル殿下の身体が光に包まれる。
「おっ…おお…身体が…身体に力がみなぎって来る…」
『リリアンの方も戻しといたぜ。そんじゃ俺は帰るからまた何か有ったら呼べよ。じゃあな』
「うん。ありがとうねクロノス。それじゃまた」
人型の光が霧散して消える。今のは一体何だったのだろう。
「ち!?父上!?一体そのお姿は!?」
「ふぅ…やはり若さとは良い物じゃのぅ…思い通りに身体が動くわい」
シーシャル国王陛下が驚きの声を上げる。それもその筈だ。カイザル先王陛下は若い青年の姿になっていた。
「良かったね。あっ、忘れてたけど今日は君のお孫さんの婚約パーティーに来たんだった。けど…何かそんな雰囲気でもなくなっちゃったね…」
皆のマリウス様を見る目が先程までとは全然違う。ある者は恐れる目で、またある者は羨望の目で、そしてある者は媚びる様な目でマリウス様を見つめていた。
「マ!マリウス様!お願いで御座います!私も!私めも30年…いや10年ほど若返らせていただけませんか!?」
「おい貴様!男爵風情がおこがましいぞ!マリウス様!私はこの国の公爵家の家長で御座います!若返えらせるなら私を!私を若返らせて下さい!」
「何言ってるの!貴方が公爵になれたのは私の婿になったからでしょ!マリウス様!私こそが公爵家の正当な血筋を引く者!私を若返らせて下さいまし!」
会場内が騒然となる。それはそうだ。人を若返らせる魔法なんて他では聞いた事も無い。この機を逃せば、若返る事が出来る次の機会など恐らく無いだろう。
「貴方達!見苦しいにも程があります!静粛になさい!」
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