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1章 婚約破棄
003 賢者
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「貴様!?一体どうやってこの会場に転移して来た!?」
「いや、どうって普通の転移魔法で…あっ!?何か違和感あるなぁって思ったけど、もしかして結界でも貼ってた?悪い事しちゃったなぁ…」
「ここをどこだと心得る!?我がティンバードール王国第三王子であるレイス殿下と、レイルデスク皇国第四皇女であられるステファニー皇女殿下の婚約発表の場であるぞ!貴様の様な不審者が招かれる場ではない!」
突如現れた青年に衛兵達ががなりたてる。流石は王城の衛兵達だ。あっという間に青年を囲む様に陣形を組み、いつでも斬りかかれる様に抜刀している。
「僕だってホントは来たく無かったんだけどさ…招待状ももらったし、最近この国の式典とかに呼ばれても面倒臭いから無視してたんで『たまには顔出しとかないと悪いかなぁ』って思ったんだけど…他にもちょっと会っておきたい人も来てるみたいだったし…でもどうやら邪魔だったみたいだね。それじゃ僕は退散するよ」
青年が虚空に手をかざすと、先程と同じ黒い渦が現れた。やはり魔力封じの結界は意味を成していないみたいだ。
「き…貴様ァ!のこのこと帰すか!者ども!ヤツを捕らえろ!」
「待て!剣を降ろせ!」
衛兵達が青年に飛びかかろうとしたその時、会場に声が響いた。皆が一斉に視線を声の主へ向ける。
「お…おお…お久しゅう御座います…貴方様は昔と全く変わっておられませんな…覚えておられますでしょうか…私です…カイザルで御座います…」
「せっ!?先王陛下!?危険です!お下がり下さい!!」
「良いのだ。お前達は退け。この方は私が招いた。まさか来て下さるとは思わなかったが…生きている内にまたこうしてお会いできるとは夢にも思ってませんでしたぞ…」
声の主はこのティンバードール王国の先代の王にして50年前に魔物の侵攻からこの国を救った救国の英雄王、カイザル=ティンバードール陛下その人であった。
王位を退いたが事実上この国の最高位である先王陛下が膝をつき青年に頭を垂れる。一体この青年は何者なのだろう。
「お、お祖父様!?一体何をなさっているのです!?頭を上げて下さい!!皆が見ております!」
「そうですぞ父上!王位を退いたと言っても父上はこの国の救国の英雄!その父上が不審者に頭を下げるなどあってはなりません!」
レイス殿下とその父…現国王であるシーシャル=ティンバードール陛下がカイザル陛下の元へと駆け寄る。会場は騒然となり、衛兵達もどうすれば良いか分からずあたふたとしている。最早婚約パーティーどころでは無い。
「黙れ!シーシャル!レイス!この方をどなたと心得る!この方こそ賢者マリウス様じゃ!お前達も頭を下げんか!」
一際大きな先王陛下の声が会場内に響き渡った。
「いや、どうって普通の転移魔法で…あっ!?何か違和感あるなぁって思ったけど、もしかして結界でも貼ってた?悪い事しちゃったなぁ…」
「ここをどこだと心得る!?我がティンバードール王国第三王子であるレイス殿下と、レイルデスク皇国第四皇女であられるステファニー皇女殿下の婚約発表の場であるぞ!貴様の様な不審者が招かれる場ではない!」
突如現れた青年に衛兵達ががなりたてる。流石は王城の衛兵達だ。あっという間に青年を囲む様に陣形を組み、いつでも斬りかかれる様に抜刀している。
「僕だってホントは来たく無かったんだけどさ…招待状ももらったし、最近この国の式典とかに呼ばれても面倒臭いから無視してたんで『たまには顔出しとかないと悪いかなぁ』って思ったんだけど…他にもちょっと会っておきたい人も来てるみたいだったし…でもどうやら邪魔だったみたいだね。それじゃ僕は退散するよ」
青年が虚空に手をかざすと、先程と同じ黒い渦が現れた。やはり魔力封じの結界は意味を成していないみたいだ。
「き…貴様ァ!のこのこと帰すか!者ども!ヤツを捕らえろ!」
「待て!剣を降ろせ!」
衛兵達が青年に飛びかかろうとしたその時、会場に声が響いた。皆が一斉に視線を声の主へ向ける。
「お…おお…お久しゅう御座います…貴方様は昔と全く変わっておられませんな…覚えておられますでしょうか…私です…カイザルで御座います…」
「せっ!?先王陛下!?危険です!お下がり下さい!!」
「良いのだ。お前達は退け。この方は私が招いた。まさか来て下さるとは思わなかったが…生きている内にまたこうしてお会いできるとは夢にも思ってませんでしたぞ…」
声の主はこのティンバードール王国の先代の王にして50年前に魔物の侵攻からこの国を救った救国の英雄王、カイザル=ティンバードール陛下その人であった。
王位を退いたが事実上この国の最高位である先王陛下が膝をつき青年に頭を垂れる。一体この青年は何者なのだろう。
「お、お祖父様!?一体何をなさっているのです!?頭を上げて下さい!!皆が見ております!」
「そうですぞ父上!王位を退いたと言っても父上はこの国の救国の英雄!その父上が不審者に頭を下げるなどあってはなりません!」
レイス殿下とその父…現国王であるシーシャル=ティンバードール陛下がカイザル陛下の元へと駆け寄る。会場は騒然となり、衛兵達もどうすれば良いか分からずあたふたとしている。最早婚約パーティーどころでは無い。
「黙れ!シーシャル!レイス!この方をどなたと心得る!この方こそ賢者マリウス様じゃ!お前達も頭を下げんか!」
一際大きな先王陛下の声が会場内に響き渡った。
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