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1章 北の森のオーク
09 A.C.S
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「足元に気を付けてくれ、滑りやすくなってる」
トロワーが小川を歩く女性達に注意を促す、俺達はオーク達の追跡を少しでも遅らせる為近小川を歩き森の外へと進んでいた。
「これで時間が稼げます、オーク達は嗅覚が鋭いので匂いが途切れれば見失ってくれるかもしれません」
「多少遠回りになるけど仕方ないわね、クロス、ヤツらの動きはどう?」
マップに映った反応を確認する、オーク本隊の反応は女性達の囚われていた洞窟で止まっていた。
「さっきの洞窟で止まっている、中の状況を見て混乱している様だな、少し時間を稼げそうだ」
「わかった、お嬢さん方、キツイかもしれないけどここが正念場だ、もう少し頑張ってくれ」
トロワーがみんなを励まし川を進む、しばらくするとマップの反応が一斉に俺達の方へと侵攻しはじめた。
『マスター、敵性反応がこちらへ移動を開始しました、数482体、森を抜けるまでに追いつかれる確率は46%です』
『わかった、例のアレだが準備万端にしておいてくれ、森を抜けても街までには追いつかれる』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「森の方がが騒がしいわね、もうヤツらが近くにいるみたい」
「見えた!街道だ!もう少しだぞ!」
川で匂いを消した事が吉と出た様だ、俺達はオークに追いつかれる事無く平原へと辿り着けた、しかしヤツらはもう近くへ迫って来ている。
「もうすぐ夜も明ける!運が良ければ街道警備の騎士団と会えるかもしれない!」
「アレは!?トロワー!ヤツらが森から出てきました」
後ろを見ると森からオークが1匹、また1匹と平原に姿を現す、人間より一回り大きな身体に緑色の皮膚、その身体は筋肉隆々で逞しい。
「イヤ!イヤァっっっ!助けて!誰か助けてぇぇぇぇ!」
攫われた女性の1人がオークの姿を見て暴れ出した、連れ去られた時の恐怖が蘇ったのだろう、無理もない。
「大丈夫よ、しっかりして!貴女は大丈夫よ!助かるわ!」
「クソッ!もう追いつかれたか…クロス!?何してるんだ!?」
「ヤツらを迎え撃つ、3人は彼女達をフォローしてあげてくれ、1人で十分だ」
「無茶です!あの数相手に1人でなんて無謀すぎます!」
俺はトロワー達を残し森から出て来たオーク達に対峙する、ヤツらは平原をこちらへと向かって来ている。
「アークス、右腕にアレを頼む」
『了解しました、Arms Conversion System 【A.C.S】Type-01、実体化します』
俺の右腕に銃身が2門のガトリングガンのホログラムが描き出される、ホログラムは瞬時に実体化しモニターの端に残弾数が表示された。
「50万発か、これだけあれば十分だろう」
『A.C.S-02、03も実用段階ですが今回の戦闘では火力過多になると予想される為不要と判断しました、ご希望ならば実体化致しましょうか?』
クロスは自己進化をコンセプトに神様と設計した、Arms Conversion System『A.C.S』はクロスの能力の1つ、あらゆる場面で状況に適した武装を換装でき開発や管理はアークスが担当してくれる、実用化第1号のA.C.S-01は実弾を高速で連射するガトリングガンだ。
「大丈夫だ、まずは01だけで戦ってみるよ」
俺はA.C.S-01をオークの群れに向ける、照準がカタカタと揺れた、恐怖だ、魔物とは云え他者の生命を断つ事に恐怖を抱いている。
『マスター、脳波、心拍数、呼吸に異常が見られます、オートエイミングに切り替えますか?』
「いや、これは俺がこの世界で生きていく為に乗り越えなくちゃいけない事なんだ、アークスは補助を頼む、俺は自分の意思で…ヤツらを殺さないといけない」
この前のレッドドラゴン戦は咄嗟の事だった為こんな気持ちにはならなかった、しかし今回は違う、明確な意思を持ち他者の生命を奪うのだ、覚悟しろ、恐怖を乗り越えろ。
「悪く思うなとは言わない、俺を恨め、それでも俺は…人間を守る!」
モニターのカーソルが1匹のオークに重なる、他の個体よりもかなり大きい、これがオークキングだろうか。
「いけぇぇぇぇぇ!!」
恐怖に押しつぶされない様に叫びながらトリガーを引く、2門のガトリングは猛烈な勢いで金属の弾丸を放出した。
「ゴッ!ゴギャァァァ!!」
オークキングに襲いかかった無数の弾丸が瞬時にその身体をミンチに変える、何が起こったか分からない他のオーク達は一瞬動きを止めた。
「引け!大人しく引くなら逃してやる!向かってくるなら容赦はしない!」
マイクのボリュームを上げ残されたオークへと叫ぶ。
「ガッ!グギゴォォ!」
残されたオーク達が一斉に俺目掛け突進してくる、やはり無駄だったか、オーク達との意思疏通が無理だとは知っていた、もしかしたらと淡い期待をしたのだがそれは俺の甘えだったのだろう。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
再び雄叫びをあげながら次々とオーク達を肉の塊に変える、モニターに映った敵性反応の数字が見る見る減っていく、中には平原の岩に身を隠す者もいたが関係ない、隠れた岩諸共その身を粉々に砕いていく。
「まだ向かってくるか!」
オークの数は残り少ない、モニターのカウントが減っていく、そして…やがてカウントは0を表示した。
『敵性反応の全滅を確認、A.C.S-01の実体化を解除します、マスター、大丈夫ですか?』
右腕のA.C.S-01 がホログラムになりその姿を消す、いつの間にか昇った朝日がオークの血で紫に染まった平原を照らしていた。
「あぁ、情け無いマスターでごめんな、心配してくれてありがとう、アークス」
『いえ、マスターの心配をするのは当然の事です、無理はなさらないで下さい、それにマスターがいなければ間違い無く彼らは殺されていたでしょう』
モニターに背後にいるトロワー達が写し出される、みんな口をあけて平原の惨状を眺めていた。
「お前がいて救われたよ、相棒」
『相棒…パートナーと云う意味でしょうか?』
「相棒は相棒さ、とにかくありがとう、アークス」
振り返った俺にトロワー達が駆け寄って来た。
「凄え…凄すぎるぜクロス!正直言って死ぬ事を覚悟していたんだ、お前は俺達の恩人だ!ありがとうよ!」
「本当にありがとうね!私もホラ…一応女だから、色々想像して身体が動かなかったの、情け無いわね」
「本当か?アンみたいな図太い女がそんな殊勝な事…ギブ!折れる!今腰から変な音が!ごめんなさい!」
トロワーはアンにコブラツイストを決められていた、人間の身体ってあんな風に曲がるんだな、新発見だ。
「圧倒的でした、オークキングの皮膚は中級魔法を弾く程頑強なのに一瞬で…いけない、また詮索してしまうところでした、クロス、本当にありがとうございました」
「いや、無事に終わって良かったよ、…?アレは騎士団か?」
いつの間にかマップに30人程の人間の反応が映し出された、マズい、この現場を見られたら色々と面倒な事になる。
「騎士団が近くまで来ている、悪いけど俺は先に帰るよ、また会おう!」
連れ去られた女性達は騎士団が保護してくれるだろう、もう安心だ、俺はバーニアを吹かし空へと浮かび上がる。
「飛んだ!?クロス!やっぱりお前はとんでもないな!」
上空へ向かう俺にトロワー達が手を振る、さぁ街へ帰ろう、ローラ達が心配しているだろうしな、早く皆の無事を報告しよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
街の上空へ到着した俺は光学迷彩を展開しブラボーの裏庭へと着陸した、変身を解除すると美味しそうな匂いが食欲を刺激する、レイラさんが朝食を作っているのだろうか。
裏口のドアを開けようと近づくと誰かが中から飛び出してきた。
「お帰りなさい!無事で良かったわ!話は後にして一緒に朝ごはんを食べましょう」
ローラが俺の腕を掴んでブラボーの店内へ連れ込む、トビィさんとレイラさんが笑顔で俺を迎えてくれた。
「ほら、帰ってきたらまず言う言葉があるだろう?」
「お帰りなさいヨーグ君、特製のスープが出来ているわよ」
テーブルの上には4人分の食事が用意されていた、俺の帰りを待っていてくれたみたいだ。
「ただいま、お腹ぺこぺこです、美味しそうですね」
俺には帰る場所がある、暖かい場所や大切な人達を守る為に俺はこれからも戦っていこう、俺とローラは暖かい朝食の並べられたテーブルへと歩いて行った。
トロワーが小川を歩く女性達に注意を促す、俺達はオーク達の追跡を少しでも遅らせる為近小川を歩き森の外へと進んでいた。
「これで時間が稼げます、オーク達は嗅覚が鋭いので匂いが途切れれば見失ってくれるかもしれません」
「多少遠回りになるけど仕方ないわね、クロス、ヤツらの動きはどう?」
マップに映った反応を確認する、オーク本隊の反応は女性達の囚われていた洞窟で止まっていた。
「さっきの洞窟で止まっている、中の状況を見て混乱している様だな、少し時間を稼げそうだ」
「わかった、お嬢さん方、キツイかもしれないけどここが正念場だ、もう少し頑張ってくれ」
トロワーがみんなを励まし川を進む、しばらくするとマップの反応が一斉に俺達の方へと侵攻しはじめた。
『マスター、敵性反応がこちらへ移動を開始しました、数482体、森を抜けるまでに追いつかれる確率は46%です』
『わかった、例のアレだが準備万端にしておいてくれ、森を抜けても街までには追いつかれる』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「森の方がが騒がしいわね、もうヤツらが近くにいるみたい」
「見えた!街道だ!もう少しだぞ!」
川で匂いを消した事が吉と出た様だ、俺達はオークに追いつかれる事無く平原へと辿り着けた、しかしヤツらはもう近くへ迫って来ている。
「もうすぐ夜も明ける!運が良ければ街道警備の騎士団と会えるかもしれない!」
「アレは!?トロワー!ヤツらが森から出てきました」
後ろを見ると森からオークが1匹、また1匹と平原に姿を現す、人間より一回り大きな身体に緑色の皮膚、その身体は筋肉隆々で逞しい。
「イヤ!イヤァっっっ!助けて!誰か助けてぇぇぇぇ!」
攫われた女性の1人がオークの姿を見て暴れ出した、連れ去られた時の恐怖が蘇ったのだろう、無理もない。
「大丈夫よ、しっかりして!貴女は大丈夫よ!助かるわ!」
「クソッ!もう追いつかれたか…クロス!?何してるんだ!?」
「ヤツらを迎え撃つ、3人は彼女達をフォローしてあげてくれ、1人で十分だ」
「無茶です!あの数相手に1人でなんて無謀すぎます!」
俺はトロワー達を残し森から出て来たオーク達に対峙する、ヤツらは平原をこちらへと向かって来ている。
「アークス、右腕にアレを頼む」
『了解しました、Arms Conversion System 【A.C.S】Type-01、実体化します』
俺の右腕に銃身が2門のガトリングガンのホログラムが描き出される、ホログラムは瞬時に実体化しモニターの端に残弾数が表示された。
「50万発か、これだけあれば十分だろう」
『A.C.S-02、03も実用段階ですが今回の戦闘では火力過多になると予想される為不要と判断しました、ご希望ならば実体化致しましょうか?』
クロスは自己進化をコンセプトに神様と設計した、Arms Conversion System『A.C.S』はクロスの能力の1つ、あらゆる場面で状況に適した武装を換装でき開発や管理はアークスが担当してくれる、実用化第1号のA.C.S-01は実弾を高速で連射するガトリングガンだ。
「大丈夫だ、まずは01だけで戦ってみるよ」
俺はA.C.S-01をオークの群れに向ける、照準がカタカタと揺れた、恐怖だ、魔物とは云え他者の生命を断つ事に恐怖を抱いている。
『マスター、脳波、心拍数、呼吸に異常が見られます、オートエイミングに切り替えますか?』
「いや、これは俺がこの世界で生きていく為に乗り越えなくちゃいけない事なんだ、アークスは補助を頼む、俺は自分の意思で…ヤツらを殺さないといけない」
この前のレッドドラゴン戦は咄嗟の事だった為こんな気持ちにはならなかった、しかし今回は違う、明確な意思を持ち他者の生命を奪うのだ、覚悟しろ、恐怖を乗り越えろ。
「悪く思うなとは言わない、俺を恨め、それでも俺は…人間を守る!」
モニターのカーソルが1匹のオークに重なる、他の個体よりもかなり大きい、これがオークキングだろうか。
「いけぇぇぇぇぇ!!」
恐怖に押しつぶされない様に叫びながらトリガーを引く、2門のガトリングは猛烈な勢いで金属の弾丸を放出した。
「ゴッ!ゴギャァァァ!!」
オークキングに襲いかかった無数の弾丸が瞬時にその身体をミンチに変える、何が起こったか分からない他のオーク達は一瞬動きを止めた。
「引け!大人しく引くなら逃してやる!向かってくるなら容赦はしない!」
マイクのボリュームを上げ残されたオークへと叫ぶ。
「ガッ!グギゴォォ!」
残されたオーク達が一斉に俺目掛け突進してくる、やはり無駄だったか、オーク達との意思疏通が無理だとは知っていた、もしかしたらと淡い期待をしたのだがそれは俺の甘えだったのだろう。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
再び雄叫びをあげながら次々とオーク達を肉の塊に変える、モニターに映った敵性反応の数字が見る見る減っていく、中には平原の岩に身を隠す者もいたが関係ない、隠れた岩諸共その身を粉々に砕いていく。
「まだ向かってくるか!」
オークの数は残り少ない、モニターのカウントが減っていく、そして…やがてカウントは0を表示した。
『敵性反応の全滅を確認、A.C.S-01の実体化を解除します、マスター、大丈夫ですか?』
右腕のA.C.S-01 がホログラムになりその姿を消す、いつの間にか昇った朝日がオークの血で紫に染まった平原を照らしていた。
「あぁ、情け無いマスターでごめんな、心配してくれてありがとう、アークス」
『いえ、マスターの心配をするのは当然の事です、無理はなさらないで下さい、それにマスターがいなければ間違い無く彼らは殺されていたでしょう』
モニターに背後にいるトロワー達が写し出される、みんな口をあけて平原の惨状を眺めていた。
「お前がいて救われたよ、相棒」
『相棒…パートナーと云う意味でしょうか?』
「相棒は相棒さ、とにかくありがとう、アークス」
振り返った俺にトロワー達が駆け寄って来た。
「凄え…凄すぎるぜクロス!正直言って死ぬ事を覚悟していたんだ、お前は俺達の恩人だ!ありがとうよ!」
「本当にありがとうね!私もホラ…一応女だから、色々想像して身体が動かなかったの、情け無いわね」
「本当か?アンみたいな図太い女がそんな殊勝な事…ギブ!折れる!今腰から変な音が!ごめんなさい!」
トロワーはアンにコブラツイストを決められていた、人間の身体ってあんな風に曲がるんだな、新発見だ。
「圧倒的でした、オークキングの皮膚は中級魔法を弾く程頑強なのに一瞬で…いけない、また詮索してしまうところでした、クロス、本当にありがとうございました」
「いや、無事に終わって良かったよ、…?アレは騎士団か?」
いつの間にかマップに30人程の人間の反応が映し出された、マズい、この現場を見られたら色々と面倒な事になる。
「騎士団が近くまで来ている、悪いけど俺は先に帰るよ、また会おう!」
連れ去られた女性達は騎士団が保護してくれるだろう、もう安心だ、俺はバーニアを吹かし空へと浮かび上がる。
「飛んだ!?クロス!やっぱりお前はとんでもないな!」
上空へ向かう俺にトロワー達が手を振る、さぁ街へ帰ろう、ローラ達が心配しているだろうしな、早く皆の無事を報告しよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
街の上空へ到着した俺は光学迷彩を展開しブラボーの裏庭へと着陸した、変身を解除すると美味しそうな匂いが食欲を刺激する、レイラさんが朝食を作っているのだろうか。
裏口のドアを開けようと近づくと誰かが中から飛び出してきた。
「お帰りなさい!無事で良かったわ!話は後にして一緒に朝ごはんを食べましょう」
ローラが俺の腕を掴んでブラボーの店内へ連れ込む、トビィさんとレイラさんが笑顔で俺を迎えてくれた。
「ほら、帰ってきたらまず言う言葉があるだろう?」
「お帰りなさいヨーグ君、特製のスープが出来ているわよ」
テーブルの上には4人分の食事が用意されていた、俺の帰りを待っていてくれたみたいだ。
「ただいま、お腹ぺこぺこです、美味しそうですね」
俺には帰る場所がある、暖かい場所や大切な人達を守る為に俺はこれからも戦っていこう、俺とローラは暖かい朝食の並べられたテーブルへと歩いて行った。
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