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1章 北の森のオーク
08 撤退
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横穴を少し進むと広くなっている場所へ出た、人間の反応もすぐ近くだ。
「いたぞ、攫われた女性達だ、周囲にオークは居ないな」
「アン、先に確認してきてくれ、その…色々と女同士の方がいいだろう」
「わかったわ、私が合図するまでこっちをみないでね」
先にズームで確認してしまった、全員服を着ていたから恐らく乱暴はされていないだろう、デリカシーが無かったな、次からは気をつけよう。
『マスター、この周辺の空気は汚染されていません、保護対象の生体反応からも意識があるものと推測されます』
『良かった、オーク達に動きはないか引き続き警戒を頼む』
不意にアークスの声が聞こえた、横穴が塞がれていたのが良かったみたいだ、女性達が自力で歩けるならば無事に逃げられる確率がグンと上がる。
「全員無事だったわ、怪我もしてないみたい、早く巣から出ましょう」
「わかった、念のためにマスクをしてくれ、まだ煙の効果が残っているかもしれない」
アンが女性達を連れて来た、全員恐怖の為に顔色が悪いが意識はしっかりしている様だ、トロワーが全員に布を渡している、後は巣から逃げるだけだな。
「よし、これで大丈夫ね、ドゥーク、あの粉の効果はまだ大丈夫かしら?」
「えぇ、広場のオーク達には煙が届いていた様でした、朝までは動けないと思います」
「トロワー達は彼女達に付き添ってくれ、もしヤツらが近づいて来たら俺が片付ける」
俺達は攫われた女性達と一緒に来た道を引き返した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「彼女達にも聞いたけど他に人間は見かけなかったそうよ、クロスも他の人間の気配は感じなかったのよね?」
「あぁ、この洞窟にもう人間の反応はない、ドゥーク、入り口を塞いでくれ」
「わかりました、少し時間が掛かりますので彼女達をその辺りの茂みで休ませてあげて下さい」
魔法を使いドゥークが巣の入り口を塞ぐ、トロワーは念のためにドゥークの護衛に付いた、女性達は少しづつ口を聞ける様になって来た為アンが何が起こったのかを茂みで聞き出している。
「あ…ありがとうございました、私達ゼファール帝国から逃げて来たんですけど…途中でオーク達に襲われて…あの洞窟に連れてこられてからはあの穴の中に閉じ込められていました…」
「何もされて無くて良かったわ、もう安心して頂戴、クロス、少しいいかしら?」
アンが俺を女性達から離し小声で話しかけてきた。
「変なの、オークに攫われた女性がこんなに時間が経っても乱暴されてないなんて普通ありえないわ、ヤツら性欲の塊だから、考えられる可能性は一つだけよ、群のボスに女性を捧げるつもりだったんだわ」
「ボスに?馬車を襲ったオークの足跡に上位種の物があったんだよな?…もしかして…最上位種か!?」
「しっ!彼女達を不安にさせるわ、上位種のオークチーフはさっきの広場にいたの、多分巣の外にオークキングがいる、横穴が塞がれていたのはキングが手を出すまで他のオークが彼女達を襲うのを防ぐ為だったのよ」
マズイな、さっきの巣は本拠地では無かった訳か、アンの予想が正解だとすると今頃人間の女を捕まえた事を知ったオークキングが嬉々としてこちらへと向かっているだろう、早く街へと戻らなければ追いつかれる、ヤツラの嗅覚は鋭い。
『アークス、第3目標だった洞窟の方にセンサーを集中してくれないか?』
『了解しました…約27キロメートル先に多数の魔物と思われる反応を感知、時速7キロメートルでこちらへ接近しています』
アンの予想は当たっていた様だ、このままでは4時間程でオークの本隊が到着してしまう、早くこの場を離れなければ。
「アンの予想の通りだ、気配を探ったがオークの群れがこちらに向かっている、俺はトロワー達に説明してくるよ、アンは彼女達を頼む」
オーク達の反応を同期させた地図を女性達に見えない様に空中に投影する、アンはそれを見て状況を理解してくれた様だった。
「貴方って本当になんでもできるのね…って今は感心している場合じゃないわ、早く街へ逃げ帰らないと、街の近くまではオークキングでも追ってこないわ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
巣から離れて3時間程経過した、救出した女性達の足取りは重い、思ったよりも距離が稼げないな、このままでは森を抜けるまでにオーク達に追いつかれてしまう。
「あの…私達を置いて貴方達だけでも逃げてください、このままではみんな捕まってしまいます」
リーダー格の女性が口を開く、俺達の話を聞いて状況を理解したのだろう、気丈な人だ。
「お嬢さん、それはできない相談だ、みんなで生きて街に戻るんだ、絶対に見捨てないぜ」
「何カッコつけてるんだか…でもそれでこそ私達のリーダーね、そんな人だから私も…」
「クロスまで僕らに付き合ってくれて良かったんですか?出会ったばかりなのに…」
「先に一人で逃げるなんてできないよ、それにいざ戦闘になったら1人でも戦力が多い方がいいだろ?」
おそらくオーク達からは逃げ切れない、戦闘を覚悟しないといけないな、俺は皆に聞こえない様にアークとある事についての確認をはじめた。
「いたぞ、攫われた女性達だ、周囲にオークは居ないな」
「アン、先に確認してきてくれ、その…色々と女同士の方がいいだろう」
「わかったわ、私が合図するまでこっちをみないでね」
先にズームで確認してしまった、全員服を着ていたから恐らく乱暴はされていないだろう、デリカシーが無かったな、次からは気をつけよう。
『マスター、この周辺の空気は汚染されていません、保護対象の生体反応からも意識があるものと推測されます』
『良かった、オーク達に動きはないか引き続き警戒を頼む』
不意にアークスの声が聞こえた、横穴が塞がれていたのが良かったみたいだ、女性達が自力で歩けるならば無事に逃げられる確率がグンと上がる。
「全員無事だったわ、怪我もしてないみたい、早く巣から出ましょう」
「わかった、念のためにマスクをしてくれ、まだ煙の効果が残っているかもしれない」
アンが女性達を連れて来た、全員恐怖の為に顔色が悪いが意識はしっかりしている様だ、トロワーが全員に布を渡している、後は巣から逃げるだけだな。
「よし、これで大丈夫ね、ドゥーク、あの粉の効果はまだ大丈夫かしら?」
「えぇ、広場のオーク達には煙が届いていた様でした、朝までは動けないと思います」
「トロワー達は彼女達に付き添ってくれ、もしヤツらが近づいて来たら俺が片付ける」
俺達は攫われた女性達と一緒に来た道を引き返した。
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「彼女達にも聞いたけど他に人間は見かけなかったそうよ、クロスも他の人間の気配は感じなかったのよね?」
「あぁ、この洞窟にもう人間の反応はない、ドゥーク、入り口を塞いでくれ」
「わかりました、少し時間が掛かりますので彼女達をその辺りの茂みで休ませてあげて下さい」
魔法を使いドゥークが巣の入り口を塞ぐ、トロワーは念のためにドゥークの護衛に付いた、女性達は少しづつ口を聞ける様になって来た為アンが何が起こったのかを茂みで聞き出している。
「あ…ありがとうございました、私達ゼファール帝国から逃げて来たんですけど…途中でオーク達に襲われて…あの洞窟に連れてこられてからはあの穴の中に閉じ込められていました…」
「何もされて無くて良かったわ、もう安心して頂戴、クロス、少しいいかしら?」
アンが俺を女性達から離し小声で話しかけてきた。
「変なの、オークに攫われた女性がこんなに時間が経っても乱暴されてないなんて普通ありえないわ、ヤツら性欲の塊だから、考えられる可能性は一つだけよ、群のボスに女性を捧げるつもりだったんだわ」
「ボスに?馬車を襲ったオークの足跡に上位種の物があったんだよな?…もしかして…最上位種か!?」
「しっ!彼女達を不安にさせるわ、上位種のオークチーフはさっきの広場にいたの、多分巣の外にオークキングがいる、横穴が塞がれていたのはキングが手を出すまで他のオークが彼女達を襲うのを防ぐ為だったのよ」
マズイな、さっきの巣は本拠地では無かった訳か、アンの予想が正解だとすると今頃人間の女を捕まえた事を知ったオークキングが嬉々としてこちらへと向かっているだろう、早く街へと戻らなければ追いつかれる、ヤツラの嗅覚は鋭い。
『アークス、第3目標だった洞窟の方にセンサーを集中してくれないか?』
『了解しました…約27キロメートル先に多数の魔物と思われる反応を感知、時速7キロメートルでこちらへ接近しています』
アンの予想は当たっていた様だ、このままでは4時間程でオークの本隊が到着してしまう、早くこの場を離れなければ。
「アンの予想の通りだ、気配を探ったがオークの群れがこちらに向かっている、俺はトロワー達に説明してくるよ、アンは彼女達を頼む」
オーク達の反応を同期させた地図を女性達に見えない様に空中に投影する、アンはそれを見て状況を理解してくれた様だった。
「貴方って本当になんでもできるのね…って今は感心している場合じゃないわ、早く街へ逃げ帰らないと、街の近くまではオークキングでも追ってこないわ」
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巣から離れて3時間程経過した、救出した女性達の足取りは重い、思ったよりも距離が稼げないな、このままでは森を抜けるまでにオーク達に追いつかれてしまう。
「あの…私達を置いて貴方達だけでも逃げてください、このままではみんな捕まってしまいます」
リーダー格の女性が口を開く、俺達の話を聞いて状況を理解したのだろう、気丈な人だ。
「お嬢さん、それはできない相談だ、みんなで生きて街に戻るんだ、絶対に見捨てないぜ」
「何カッコつけてるんだか…でもそれでこそ私達のリーダーね、そんな人だから私も…」
「クロスまで僕らに付き合ってくれて良かったんですか?出会ったばかりなのに…」
「先に一人で逃げるなんてできないよ、それにいざ戦闘になったら1人でも戦力が多い方がいいだろ?」
おそらくオーク達からは逃げ切れない、戦闘を覚悟しないといけないな、俺は皆に聞こえない様にアークとある事についての確認をはじめた。
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