機械仕掛けの異世界転生〜勇者をクビにされたオッさんですが異世界でヒーローやってます〜

ふるっかわ

文字の大きさ
上 下
8 / 23
1章 北の森のオーク

07 救出作戦

しおりを挟む
俺達4人はオークの巣の入口近くに移動した、オークには見張りを立てるほどの知能はない様だ、入口はガラ空きだった。

「この粉は魔力で燃やさなくても大丈夫なのか?それなら俺が火を付けてくるよ」

「ええ、できれば少し入った所で焚いた方が効果が有ると思いますが…身軽なアンの方が適任では?」

「任せてくれ、俺にはこんな事が出来る」

俺は光学迷彩を展開し姿を消す、クロスの装甲はその頑強さに似合わず動く際に殆ど音を出さない、潜入するのはお手の物だ。

「ク…クロス?何処に行ったんだ?」

「姿が消えた?ここにいるの?」

アンが恐る恐る俺に手を伸ばす、俺はさっきから一歩も動いていない、アンの手が俺の胴体に触れると同時に光学迷彩を解除した。

「これならもし奴らが入口近くにいても大丈夫だろ?」

「魔法…ですか?魔力も感じなかったけど、それではクロスに着火をお願いします、火がついたら僕が入口から魔法で風を送りますね」

「魔法じゃないさ、俺は魔力が無いからね、技の様なモノだと思ってくれ、それじゃあ行ってくるよ」

ドゥークから粉の入った袋を貰い巣へと入る、洞窟は広く人間が3人程並んで歩ける幅があった。

「アークス、洞窟の構造が知りたいんだが何か方法が無いか?」

『超音波を反響させる方法かナノマシンのスキャンによる方法でマッピングが可能です』

「ナノマシンでスキャンしてくれ、囚われた人とオーク達の正確な位置も知りたい」

洞窟の壁に手を触れナノマシンを放つ、壁が淡く発光しながら奥へと光が進んで行った。

『マッピングを開始、モニターに進捗を表示します』

新たに現れたウインドウにマップが構成されていく、思ったより単純な構造の洞窟の様だ。

「完成まで少し時間がかかるな、コイツを燃やして一旦戻るか」

ドゥークから預かった袋を指先のバーナーで火を付ける、袋はパチパチと音を立て燃え始めた。

『警告、人体に有毒な物質が発生しています、この場での変身解除は危険です』

「わかってる、心配してくれてありがとうな」

これでドゥークに風を送ってもらえば大丈夫だろう、俺は一旦巣の外へと向かった。

巣の入口には3人が待機していた、俺は光学迷彩を解き3人に近づく。

「火を付けて来た、風を送ってくれ」

「わかりました、まずは第1段階クリアですね」

「それと洞窟内の地図を作っている、一緒に確認してくれないか?」

俺は空中にマッピング中の地図を映し出す、3人はそれを見て口をあんぐりと開けた。

「やっぱり魔法か?なんなんだこの地図は…?」

「恐ろしく正確な地図ね、それにみるみる地図が完成して行くわ、貴方何者なの?」

「これも俺の技さ、詳しくは詮索しないでもらえると助かる」

「やはり魔力は感じませんが…わかりました、今は囚われた女性達の救出に集中しましょう、僕は風を送り込みますね」

ドゥークが魔法で風を送る間俺達3人は周囲を警戒しながら完成していくマップを確認した、しばらくするとアークスからマップの完成を告げるアナウンスがあった、囚われている女性は4人で間違い無い様だ。

「3人とも、もう大丈夫です、中へ行きましょう、マスクを忘れない様に気をつけて下さい、まだ煙が洞窟内に漂っています」

マップの完成とほぼ同時にマスクを付けたドゥークが話しかけて来た、こちらも準備が整った様だ。

「俺はマスクがなくても大丈夫だ、それじゃあ中に向かうとするか」

マスクを付けた3人は俺の問いかけに頷いた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「次の分かれ道を左に向かう、分かれ道はこれで最後だ、もうすぐ目的地に着く」

4人で洞窟を進む、囚われた女性達はすぐ近くだ、周りにはオークらしき魔物の反応が確認が映し出されたが全く動かない、例の粉が効果を発揮したのだろう。

「この先ね、…アレはオーク?薬が効いた様ね全員動いていないわ」

「時間があれば今の内に全滅させたいところだな、クロス、囚われた人達はこの広場にいるのか?」

俺達は洞窟の最深部、広場の様になった場所に着いた、中では大量のオーク達が無造作に転がっている、人間の反応はこの広場の奥の方だ。

「この岩の奥だな、やけに厳重に通路がふさがれている、動かすから少し待ってくれ」

オーク達の間を縫う様に広場を奥へと歩く、広場の壁には岩で塞がれた横穴の入口があった。

「凄い…私でも1人じゃ動かせないわよ、こんな大きな岩」

「砕いてしまうから少し離れてくれ、破片が飛ぶと危ない」

俺は横穴を塞ぐ大岩に腕を突き刺し持ち上げた、3人が離れたのを確認し内部から粉砕する。

「こりゃあ街の噂も大袈裟って訳でも無かったな、クロス…、本当に人間か?」

「もちろん人間さ、訳あってこの鎧を脱げないんだ、すまない」

「謝らないで下さい、貴方が誰であれ僕達や囚われた人達を助けようとしてくれているのは紛れも無い事実です、何か事情があるのなら恩人の素顔を詮索するなんて出来ません」

「そうしてもらえると助かる、囚われた人達はすぐそこだ、早く助けよう」

「そうだな、変な事言って悪かった、謝るよ、お前は間違いなくいいヤツだ、それが判れば十分だ」

相変わらずお人好しだな、冒険者登録の時に案内役のローラとはぐれ右往左往していた俺に声を掛けてくれたのもトロワー達だった、困っている人を放って置けない性質なんだろう。

「見ず知らずの人達を助けようとする君達こそいいヤツらだ、さぁ、行こう」

俺達4人は横穴を奥へと進んで行った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~

K1-M
ファンタジー
元日本人の俺は転生勇者として異世界で魔王との戦闘の果てに仲間の裏切りにより命を落とす。 次に目を覚ますと再び赤ちゃんになり二度目の転生をしていた。 生まれた先は下級貴族の五男坊。周りは貴族至上主義、人間族至上主義のクズばかり。 …決めた。最悪、この国をぶっ壊す覚悟で元勇者の力を使おう…と。 ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...